日本語教育学講座講演会


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ワークショップ
玉岡賀津雄(Tamaoka, Katsuo)
(名古屋大学教授)

◇タイトル: Rによる線形混合効果(LME)モデルを使った反応時間実験データの分析法
◇日時: 第一部 2017年4月22日(土) 13:00〜16:30
◇場所: 名古屋大学東山キャンパス全学教育棟405号室
      (名古屋大学キャンパスマップ 41番の建物)
◇問合せ先: 名古屋大学大学院・人文学研究科・日本語教育学分野
         玉岡賀津雄 (ktamaoka@lang.nagoya-u.ac.jp)
ポスター [PDF]
写真

◇ワークショップの概要
 反応時間パラダイム(reaction time paradigm)を使った実験の反応時間(ミリ秒)および正誤(0と1)データの分析には,線形混合効果(linear mixed-effects, LME)モデルが使われることが多くなりました。そこで,今回のワークショップでは,R を使って,一般的なLME の分析法を紹介します(分析の手順は今回紹介する方法だけではありません)。@分析前のExcel による反応時間と正誤判断データの編集,ARStudio の基本設定(作業ディレクトリとファイルの取り込み)B変数の対数および逆数変換と有効性の検討,BLME の基本概念(固定変数とランダム変数),CLME の分析コマンドと交互作用,DLMEのモデル検討,ELME の結果報告,Fその他のLME に関連したコマンド,です。90 分の2コマ(180 分)で紹介します。あくまでLME の分析の基本的な解説ですので,R 自体の講習会ではありません

第 51 回
西阪仰(Nishizaka, Aogu)
(千葉大学文学部 教授)

◇タイトル: 知識と不安の道徳性 −内部被ばく検査の結果報告を語ること/聞くこと−
◇日時: 2016年11月7日(月) 16:30〜18:00
◇場所: 名古屋大学東山キャンパス全学教育棟406号室
      (名古屋大学キャンパスマップ B4@の建物)
◇問合せ先: 名古屋大学大学院・国際言語文化研究科・日本語教育学講座
         林誠 (hayashi@lang.nagoya-u.ac.jp)
ポスター [PPTX]
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◇講演の概要
 2016年3月の地震のあとの津波により,原子力発電所が爆発事故を起こし,その結果,多くの放射性物質が空中に放出された.福島県内のいくつかの病院において,体内の放射性物質の量を検査することで,内部被ばくの状況を把握するとともに,住民の心配に応えるこころみがなされている.私の研究室では,2014年に,内部被ばく検査の結果について医師が受検者に説明する場面を,4つビデオに収録する機会をえた.1人の医師と6名の受検者に参加いただくことができた.このビデオの音声部分を書き起こし,そこから,受検者が自身の心配について語っている部分を切り出した.それを会話分析の手法により分析した.本報告では,その分析にもとづき,次の2つの問に答えていきたい.ひとつは,この説明場面において,相互行為参加者たち(医師と受検者)は受検者の心配をどう取り扱っているのか,という問である.わざわざ内部被ばく検査を受けに来る人たちは,放射性物質に関する何らかの心配を抱えていると期待できる.この (抱えているべき)心配がどう取り扱わるかを明らかにする.もうひとつは,検査結果を語るということが,この相互行為のなかでどのような役割を担うのか,という問である.この説明場面は,そもそも内部被ばく検査がきっかけとなっている.参加者たちにとって検査結果は,かれらの相互行為に方向性を与えるものである.このことを示すとともに,それがどのようになされているかを明らかにする.最初に,知識と心配の道徳性について概観したあと,医師が検査結果を語ることに関する1つのパターンを記述する.そのうえで,知識と心配の道徳性がどう絡み合っているかを明らかにする.ついで,相互行為の展開において,その絡み合いが解除され,知識問題と感情問題が異なる問題として扱われる様子を記述する.最後に,知見をまとめながら,コミュニケーションの道具としての検査の意味を考察する.

第 50 回
宮川繁(Miyagawa, Shigeru)
(マサチューセッツ工科大学教授)

◇タイトル: The Syntax of Participants(シンタックスの中の話者と聞き手)
◇日時: 2016年6月17日(金) 17:30〜19:00
◇場所: 名古屋大学東山キャンパス全学教育棟406号室
      (名古屋大学キャンパスマップ B4@の建物)
◇問合せ先: 名古屋大学大学院・国際言語文化研究科・日本語教育学講座
         玉岡賀津雄 (ktamaoka@lang.nagoya-u.ac.jp)
ポスター [PPTX]
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◇講演の概要
 We formulate an attempt to understand what we call the Syntax of Participants (SOP). SOP is concerned with a variety of linguistic phenomena that occur at the interface of syntax and pragmatics: sentential particles, allocutive agreement that marks politeness, interjections, and so forth. These share the trait of referencing either the speaker or the hearer, or both. For example, the allocutive agreement in certain Basque dialects agrees with the hearer, thus it is always 2nd person, despite the fact that there is no 2nd person entity in any of the argument positions (Oyharcabal 1993). The allocutive is a regular form of agreement, hence it must enter into a probe-goal relation. Using a modern version of Ross’s Performative Analysis proposed by Speas and Tenney (2003) and Haegeman and Hill (2011), we show that the goal of the allocutive is the representation of the Hearer in Ross’s performative structure and what Speas and Tenney more recently call the Speech Act Phrase (SAP). I argue that the politeness marking -des-/-mas- in Japanese is a form of allocutive agreement (Miyagawa 2012, in press). Cross linguistically SOP phenomena are highly restricted in distribution, being available only in root clauses. We explore the idea that in fact their distribution reflects Emonds’s original conception of the Root: the highest S in a tree, an S immediately dominated by the highest S or the reported S in direct discourse. If this is correct, what Emonds (1969) identified was the distribution of the Speech Act Phrase.

第 49 回
鍋島弘治朗(Nabeshima, Koujirou)
(関西大学教授)

◇タイトル: 身体性とメタファー −身体性とメンタルスペースを使ったメタファー理論の素描−
◇日時: 2016年1月29日(金) 16:30〜18:00
◇場所: 名古屋大学東山キャンパス全学教育棟406号室
      (名古屋大学キャンパスマップ B4@の建物)
◇問合せ先: 名古屋大学大学院・国際言語文化研究科・日本語教育学講座
         鷲見幸美 (ysumi@lang.nagoya-u.ac.jp)
ポスター [PDF]
◇講演の概要
 本発表は、3部構成となる。第1部では、近年、急速に発展しつつある脳科学のさまざまな発見を、身体性をキーワードにして紹介する。脳科学における身体性研究とシミュレーション理論は、認知言語学における百科事典的意味観に神経的基盤を与えることになる。
 第2部では、こちらも近年、言語学における証拠提示に重要なツールとして注目を浴びているコーパスについて検討する。具体的にはコーパスによるメタファー分析を扱ったダイグナン(2005)などを取り上げ、批判的に分析する。ダイグナンの主張に反してdeepのふたつの意味(「(水などが)深い」および「(色が)濃い」)の関連性があること、また、痕跡的多義(「把握する」など)を含む主に比喩的意味しかもたない例(「落とし穴」「烙印」squirrel (v.))もメタファーの証拠として取り扱われるべきことを、身体性を論拠に主張する。
 第3部では、身体性を取り入れたメタファー理論を提案し、これによってメタファーの機構が解明しやすくなることを主張する。まず、アリストテレスから始まるメタファー研究の系譜を紹介し、整理する。この中には、メタファーにまつわる未解決の謎のリストも含まれる。次に、[概念レベル] vs. [身体レベル] × [現実スペース] vs. [仮想スペース] からなる仮想身体マトリックスの概要を説明する。最後に、仮想身体マトリックスがメタファーにまつわる過去からの謎の解明に役立つことを示す。

第 48 回
松村瑞子(Matsumura, Yoshiko)
(九州大学教授)

◇タイトル: 日本人の言語行動におけるポライトネス −効率的な日本語ポライトネス指導を目指して−
◇日時: 2015年11月13日(金) 14:45〜16:15
◇場所: 名古屋大学東山キャンパス全学教育棟406号室
      (名古屋大学キャンパスマップ B4@の建物)
◇問合せ先: 名古屋大学大学院・国際言語文化研究科・日本語教育学講座
         杉村泰 (sugimura@lang.nagoya-u.ac.jp)
ポスター [PDF]
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◇講演の概要
 この講演では、依頼・勧誘と断り、謝罪、褒め、不同意表明、感謝という言語行動における日本語ポライトネスについての、日本語母語話者と日本語学習者の認識の違いを明らかにした上で、これらの言語行動における日本人のポライトネスを教授するための方法について例示していく。様々の文化出身の学習者が、自らの文化の日本文化の相違と類似を認識し、日本語で丁寧な行動をとるにはどうすればよいかを自ら判断できるようになることを目指す。
 国立国語研究所においては、敬語研究から発展した日本語の丁寧さに関する調査研究が行われてきた。その調査研究に基づき、『言語行動における「配慮」の諸相』(国立国語研究所2006)では、敬語形式選択の問題にとどまらず、それぞれの言語行動場面でどのような配慮をしているかにまで範囲を広げた研究が行われた。杉戸(2005:2)によると、「配慮」とは、「コミュニケーションにおける言語使用を背後で支える各種の意識や心配り」である。日本語のポライトネスにおいては、この「配慮」が重要な要素であることは事実なのだが、日本語学習者にとっては誤解しやすい表現でもある。このことを考慮すると、日本語教育という観点からの日本語ポライトネス 研究においては、先ず日本人のポライトネスの認識と日本語学習者のポライトネスの認識の相違を明らかにすることで、誤解されやすいポライトネスに焦点をあてた研究が求められていると言える。このような事情を勘案の上、本発表では、依頼・勧誘と断り、謝罪、褒め、不平・不満・不同意表明、感謝という言語行動における日本語ポライトネスについての、日本語母語話者と日本語学習者の認識の違いを明らかにし、教授内容を特定することで、これらの言語行動における日本人のポライトネスを教授するための教育法を提示する。

第 47 回
森山新(Moriyama, Shin)
(お茶の水女子大学教授)

◇タイトル: 日本語多義動詞の意味分析の方法論の確立をめざして
◇日時: 2015年11月13日(金) 13:00〜14:30
◇場所: 名古屋大学東山キャンパス全学教育棟406号室
      (名古屋大学キャンパスマップ B4@の建物)
◇問合せ先: 名古屋大学大学院・国際言語文化研究科・日本語教育学講座
         鷲見幸美 (ysumi@lang.nagoya-u.ac.jp)
ポスター [PDF]
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◇講演の概要
 言語学習において語彙力が重要なことは言うまでもないが、語彙学習は専ら学習者の独学に委ねられ、学習者は語彙学習を辞書に頼らざるを得ない。しかしながら辞典の語義記述は専門家の内省に頼る結果、辞書によってまちまちであり、母語話者のような判断基準を欠く学習者を混乱させている。こうした中、近年、認知意味論の観点から、単に語義を配列するだけでなく、語義間の拡張の動機付けや意味構造を明記することで、語義を暗記する認知的負担を軽減しようとする試みが行われている(例えば『日本語多義語学習辞典』、アルクなど)。しかしこれらでも、その意味分析は執筆者の内省に委ねられ、語義記述にはやはり辞書によってばらつきが見られる。このような中、多数の母語話者に用例間の類似性を判定してもらい、クラスタ分析などを行うことで、意味構造を明らかにしようとする試みも始まっている。このような心理実験的手法で明らかになった意味構造は語義分析が主観的であるという内省分析の短所はある程度補完され、母語話者間で共有する意味構造に近づくことができるが、一方で調査対象者が一般の母語話者ということもあり、その語義分類は表面的で精度に欠けるなどの限界も指摘されている。このため内省分析のほうも、方法論の整備を行い、精度を上げるべきとの指摘も出ている。本講演ではこれまでの研究をふりかえりつつ、多義動詞を例に意味分析改善のための具体的方案を提示する。

第 46 回
Michael Patrick Mansbridge
(名古屋大学大学院博士後期課程)

◇タイトル: A typological comparison in the processing of relative clauses between prenominal languages
◇日時: 2015年10月23日(金) 16:30〜18:00
◇場所: 文系総合館7階カンファレンスホール
      (名古屋大学キャンパスマップ B4Cの建物)
◇問合せ先: 名古屋大学大学院・国際言語文化研究科・日本語教育学講座
         玉岡賀津雄 (ktamaoka@lang.nagoya-u.ac.jp)
ポスター [PDF]
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◇講演の概要
 Relative clause (RC) research has been and still is a prominent topic in experimental linguistics. The general question for much of the research has been “why are subject-extracted relative clauses (SRCs) so much easier to process and comprehend than their object-extracted relative clause (ORC) counterparts?” In linguistic literature, the classic dichotomy in processing between SRCs and ORCs (making SRCs “universally” easier) in European languages (e.g. English) is explained via numerous approaches, such as, syntactic complexity, experienced-based effects (i.e. frequency), and memory-based effects (i.e. integration) to name just a few. Even though this topic has been extensively explored, researchers are still using RCs to reveal aspects of linguistic theory and general processing behaviour. In this lecture, eye-tracking data on three prenominal RC languages (Mandarin Chinese, Korean and Japanese) will be used to reveal typological differences in processing between these languages whilst using post-nominal English as basis for comparison. Focusing on regressive eye-movements, these differences will raise questions on the universality of memory-based effects in the processing of RCs making either SRCs or ORCs more difficult to process depending on the language.

第 45 回
若林茂則(Wakabayashi, Shigenori)
(中央大学教授)

◇タイトル: 3人称単数現在の-sの難しさの多層性に基づく文法知識と使用のモデル
◇日時: 2015年10月23日(金) 14:45〜16:15
◇場所: 文系総合館7階カンファレンスホール
      (名古屋大学キャンパスマップ B4Cの建物)
◇問合せ先: 名古屋大学大学院・国際言語文化研究科・日本語教育学講座
         稲垣俊史 (inagaki@lang.nagoya-u.ac.jp)
ポスター [PDF]
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◇講演の概要
 英語の3単現の -s は規則としては簡単であり、日本の英語教育では早い時期に教えられるが、日本語母語話者にとって、この形態素を正しく使うことは非常に難しい(Shirahata, 1988, 2015)。その原因はどこにあるのか。「人称」「数」の素性、「主語の数」と「主語と動詞の数の一致」、主語と動詞の「線的距離」と「構造上の距離」などを切り分けて実証的データを収集することにより、3単現の -s が難しい原因が複数あることを提示する。この結果から、形態素脱落の誤りの原因は表層的な屈折の欠損のみによるという主張(Hazneder and Schwartz, 1997; Prevost and White, 2000)は誤りであることを示すとともに、非解釈可能素性は習得不可能であるという主張(Hawkins and Chan, 1997)、素性再配分が問題であるという主張(Lardiere, 2002, 2009)、第二言語習得の難しさは境界面の問題であるという主張(Sorace and Filiaci,2006)のいずれも、それぞれ単独ではデータが説明できないことを示した上で、極小理論(Chomsky,1995)を理論的枠組みとして、複数の要因がモジュールおよび境界面で多層的に問題となるという第二言語の知識とその使用に関するモデルを提示する。

第 44 回
Dr. Danijela Trenkic
(University of York)

◇タイトル: Why are articles hard ? : Exploring second language representations and processing
◇日時: 2015年10月23日(金) 13:00〜14:30
◇場所: 文系総合館7階カンファレンスホール
      (名古屋大学キャンパスマップ B4Cの建物)
◇問合せ先: 名古屋大学大学院・国際言語文化研究科・日本語教育学講座
         稲垣俊史 (inagaki@lang.nagoya-u.ac.jp)
ポスター [PDF]
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◇講演の概要
 Utterances that non-native speakers produce often differ - be it phonologically, morphosyntactically, idiomatically or at the level of pragmatic appropriateness - from the input to which they have been exposed. One of the central questions of second language (L2) research is why it happens: what forces shape the patterns of L2 use and development, what underlying knowledge and processing mechanisms non-native speakers develop, and to what degree these converge on what native speakers know or do. This talk will address these questions by focusing on L2 morphosyntax, specifically difficulties that English articles pose to speakers of languages that do not have a corresponding property. How do we refer and how do we resolve reference in a second language? Why do some second language learners show persistent variability in L2 article production? And how do they process L2 articles in comprehension? I will report findings from a number of recent studies, utilising a range of methodologies, from picture descriptions to eye-tracking in the visual world paradigm. Populations involved in the experiments included L1 Chinese, L1 Thai and L1 French speakers of L2 English, as well as monolingual English speakers. The talk will highlight the most important findings, suggesting differences in which native and non-native speakers of English represent and process English articles.

第 43 回
張 麟声(Zhang, Lingsheng)
(大阪府立大学教授)

◇タイトル: 言語教育のための対照研究の方法について
◇日時: 2015年3月7日(土) 15:45〜17:15
◇場所: 名古屋大学東山キャンパス全学教育棟406号室
      (名古屋大学キャンパスマップ B4@の建物)
◇問合せ先: 名古屋大学大学院・国際言語文化研究科・日本語教育学講座
         杉村泰 (sugimura@lang.nagoya-u.ac.jp)
ポスター [PDF]
◇講演の概要
 対照研究というのは、言語学の一種類というよりも、むしろ複数の言語学において用いられる研究の方法の一つとして位置づけられるべきである。よって、どんな言語学に用いられるか、言い換えれば、どんな目的で用いられるかによって、具体的な手続きが異なってくる。本講演においては、「ている」とそれに対応する中国語の“在”や“着”との対照研究を通して、言語教育のための対照研究の性格や研究の手続きについて語る。

第 42 回
谷口一美(Taniguchi, Kazumi)
(京都大学大学院准教授)

◇タイトル: 認知言語学からみた言語獲得
◇日時: 2015年2月23日(月) 16:30〜18:00
◇場所: 名古屋大学東山キャンパス全学教育棟406号室
      (名古屋大学キャンパスマップ B4@の建物)
◇問合せ先: 名古屋大学大学院・国際言語文化研究科・日本語教育学講座
         鷲見幸美 (ysumi@lang.nagoya-u.ac.jp)
ポスター [PPTX]
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◇講演の概要
 認知言語学による言語獲得研究は、使用依拠モデルに基づき、個別事例からのボトムアップで構文や規則が段階的に形成されることを示しており、普遍的・生得的文法を仮定することなく獲得を捉える新たなパラダイムを提示しています。一方で、言語獲得を認知発達という文脈で捉える動向はいまだ限られており、発達心理学での研究の蓄積を認知言語学的に考察する余地は多く残されているのが現状です。今回は、語彙と文法の獲得に関わる現象を取り上げ、こどもの認知発達や環境との相互作用といった要因からそのプロセスを眺望します。さらに、第一言語獲得の知見が第二言語習得とどのような点で関連し、応用が可能であるか、展望を示したいと思います。

第 41 回
本多 啓(Honda, Akira)
(神戸市外国語大学教授)

◇タイトル: 日本語と英語の無標識可能表現について
◇日時: 2015年1月23日(金) 16:30〜18:00
◇場所: 名古屋大学東山キャンパス文系総合館7階カンファレンスホール
      (名古屋大学キャンパスマップ B4Cの建物)
◇問合せ先: 名古屋大学大学院・国際言語文化研究科・日本語教育学講座
         鷲見幸美 (ysumi@lang.nagoya-u.ac.jp)
ポスター [PPTX]
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◇講演の概要
 日本語の無標識可能表現については呂雷寧氏によるものをはじめとして多くの研究の蓄積がある。他方で英語の中間構文に可能の意味があることが以前から指摘されている(Fellbaum 1985など)が、それに加えて影山 (1998) などにより、中間構文が日本語の自動詞表現に対応することが指摘されている。以上から、英語の中間構文は日本語の無標識可能表現に対応する可能表現と言える。本発表ではこれらを踏まえ、「無標識であるにもかかわらず可能の意味が生じることの経験的基盤」「日英語における無標識可能表現の広がり」「「可能表現」を認定することの困難さ」などについて考えていく。

第 40 回
三輪晃司(MIWA, Koji)
(名古屋大学非常勤講師)

◇タイトル: 眼球運動による日英バイリンガルの英単語認識プロセスの検討
◇日時: 2015年1月20日(火) 18:15〜19:45
◇場所: 名古屋大学東山キャンパス全学教育棟405号室
      (名古屋大学キャンパスマップ B4@の建物)
◇問合せ先: 名古屋大学大学院・国際言語文化研究科・日本語教育学講座
         玉岡賀津雄 (ktamaoka@lang.nagoya-u.ac.jp)
ポスター [PDF]
◇講演の概要
 単語が視覚的に認識される際、そのプロセスは特定の視覚的刺激に対応する特定の単語表象のみを頭の中で活性化させる選択的なものではなく、書字・音韻・意味の似た複数の候補を活性化させる非選択的なものだということが分かっている。さらにバイリンガルの場合、二言語ともに非選択的メカニズムの対象になることで、単語の認識プロセスは量的また質的に複雑なものとなる。その複雑化に対処するためには実験手法、分析手法、理論的枠組の全てにおいて、既存のアプローチを再考してみる必要がある。本発表では、眼球運動追跡を加えた日英バイリンガル単語認識研究 (Miwa, Dijkstra, Bolger, & Baayen, 2014, Bilingualism: Language and Cognition) を中心に、(1) 単語認識研究における眼球運動追跡の有効性、(2) 心理言語学研究における線型混合効果モデルの有効性、(3) バイリンガル交互活性化モデル (BIA+, Dijkstra & Van Heuven, 2002) の日英バイリンガルへの発展の可能性について考察する。

第 39 回
庵 功雄(Iori, Isao)
(一橋大学教授)

◇タイトル: 日本語のテンス・アスペクト形式を記述する −ている、ていた、た−
◇日時: 2014年12月21日(日) 13:00〜14:30
◇場所: 名古屋大学東山キャンパス全学教育棟406号室
      (名古屋大学キャンパスマップ B4@の建物)
◇問合せ先: 名古屋大学大学院・国際言語文化研究科・日本語教育学講座
         稲垣俊史 (inagaki@lang.nagoya-u.ac.jp)
ポスター [PDF]
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◇講演の概要
 テンス・アスペクトは日本語学の中で研究の蓄積が非常に多い分野で、一定の「結論」が出ているように見えます。しかし、日本語学習者への説明(日本語教育文法)という観点からその「結論」を見直してみると、不十分である点がいくつも出てきます。本講演では、「ている、ていた、た」という3つの形式の(主節末での)全用法を記述することを通して、テンス・アスペクト形式についての新しい見方を提示したいと思います。

(参考文献)庵 功雄・清水佳子(2003)『上級日本語文法演習 時間を表す表現』スリーエーネットワーク

第 38 回
小泉政利(Koizumi, Masatoshi)
(東北大学准教授)

◇タイトル: 言語の語順と思考の順序:カクチケル・マヤ語からみた人間の文処理メカニズム
◇日時: 2014年12月4日(木) 16:30〜18:00
◇場所: 名古屋大学東山キャンパス全学教育棟405号室
      (名古屋大学キャンパスマップ B4@の建物)
◇問合せ先: 名古屋大学大学院・国際言語文化研究科・日本語教育学講座
         玉岡賀津雄 (ktamaoka@lang.nagoya-u.ac.jp)
ポスター [PDF]
◇講演の概要
 日本語や英語など多くの言語の理解(聞く、読む)や産出(話す、書く)の際に、主語(S)が目的語(O)に先行する語順(SO 語順=SOV, SVO, VSO)のほうが、目的語が主語に先行する語順(OS 語順=OSV, OVS,VOS)よりも処理負荷が低く母語話者に好まれる傾向があることが知られている(SO 語順選好)。従来の文処理研究は全て英語のようにSO語順を基本語順にもつSO 言語を対象にしているため、SO語順選好が個別言語の基本語順を反映したもの(=個別文法説)なのか、あるいは人間のより普遍的な認知特性を反映したもの(=普遍認知説)なのかが分からない。この2 つの要因の影響を峻別するためには,OS 語順を基本語順に持つOS 言語で検証を行う必要がある。そこで、私たちの研究チームでは,OS言語であるカクチケル語(グアテマラのマヤ諸語のひとつ)を言語学,心理学,脳科学など多様な観点から研究することによって、個別文法説と普遍認知説を検証した。本発表では,その研究成果の一部を紹介し,人間の文処理メカニズムについて考察する。

第 37 回
荒川洋平(Arakawa, Yohei)
(東京外国語大学教授)

◇タイトル: 認知言語学と日本語教育 〜メタファーと多義理論を中心に〜
◇日時: 2014年11月7日(金) 16:30〜18:00
◇場所: 名古屋大学東山キャンパス文系総合館7階カンファレンスホール
      (名古屋大学キャンパスマップ B4Cの建物)
◇問合せ先: 名古屋大学大学院・国際言語文化研究科・日本語教育学講座
         鷲見幸美 (ysumi@lang.nagoya-u.ac.jp)
ポスター [PPTX]
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◇講演の概要
 認知言語学の発展は、外国語の教育や学習に大きな影響を与えてきました。日本語教育も、その例にもれません。今回の講演では、言語学の理論を外国語に応用するとはどういうことかという本質的な問題に触れ、次いでメタファーと多義性における知見を、日々の授業や教材開発にどのように組み込んでいけばよいか、お話しします。特にわたしが刊行に加わった『英語多義ネットワーク辞典』(小学館)および『日本語多義語学習辞典』(アルク)と教育実践の関連について具体的に説明し、あわせてこの分野の展望を述べようと思います。

第 36 回
于 康(Yu, Kang)
(関西学院大学教授)

◇タイトル: 誤用研究のためのツールと日本語の誤用研究
◇日時: 2014年10月17日(金) 14:45〜18:15
◇場所: 名古屋大学東山キャンパス全学教育棟406号室
      (名古屋大学キャンパスマップ B4@の建物)
◇問合せ先: 名古屋大学大学院・国際言語文化研究科・日本語教育学講座
         杉村泰 (sugimura@lang.nagoya-u.ac.jp)
ポスター [PDF]
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◇講演の概要
 日本語教育において、学習者の作文データを元に研究を進めたいが、どのように作文データを扱い、分析すればよいのかが分からないといったことが問題になることがある。作文添削ソフトとタグ付与ソフトは、このような問題を解決するために作成されたソフトである。具体的には、作文添削ソフトでは、作文データを効率的にかつその後の分析に利用できる形で添削することができ、添削結果をワンクリックで自動的に正誤タグの形に変換することができる。さらに、タグ付与ソフトでは、添削結果に研究用のタグがワンクリックで付与でき、タグを元に、学習者の誤用について詳細に分析することを可能にする。今回の講演では、これら2つのソフトを利用して今後有意義な研究を行うために、ソフトの操作方法を習得することを目的としている。

第 35 回
呂 雷寧(Ro, Rainei)
(上海財経大学常勤講師)

◇タイトル: 可能の観点から見た有対自他動詞の習得
◇日時: 2014年7月28日(月) 16:30〜18:00
◇場所: 名古屋大学東山キャンパス全学教育棟405号室
      (名古屋大学キャンパスマップ 41番の建物)
◇問合せ先: 名古屋大学大学院・国際言語文化研究科・日本語教育学講座
         玉岡賀津雄 (ktamaoka@lang.nagoya-u.ac.jp)
ポスター [PPTX]
◇講演の概要
 日本語の自動詞、とくに有対自動詞は、中国語を母語とする学習者にとって難点である。可能に関して言えば、従来の研究者が指摘しているように、本来ならば有対自動詞が適格な文脈に、有対自動詞の可能形、あるいはそれに対応する他動詞の可能形を用いるという誤用が、上級学習者にもしばしば見られる。しかし、すべての有対自動詞において、上記の誤用が見られるわけではない。誤用が産出されるとしても、次に示されるように、つねに同じ種類のものであるわけではない。可能に関する有対自他動詞の習得状況には、いかなる特徴があるのか。そこから何らかの規則的なものが見出せないだろうか。本研究では、これらの問題を解明し、有対自他動詞をめぐる諸問題に関わる要因を探ろうと試みた。

第 34 回
Dr. Jun Lai
(Tilburg University ・ポスドク研究員)

◇タイトル: The Facilitative Cues in Learning Complex Recursive Structures
◇日時: 2013年12月17日(火) 18:15〜19:45
◇場所: 名古屋大学東山キャンパス全学教育棟405号室
      (名古屋大学キャンパスマップ 41番の建物)
◇問合せ先: 名古屋大学大学院・国際言語文化研究科・日本語教育学講座
         玉岡賀津雄 (ktamaoka@lang.nagoya-u.ac.jp)
ポスター [PPT]
写真

◇講演の概要
 The learnability of center-embedded recursion has been proposed to be crucial in distinguishing humans from non-humans (Hauser, Chomsky, & Fitch, 2002; Fitch & Hauser, 2004). It has played an important role in both psycholinguistic empirical researches about language acquisition, and also theoretical debates from philosophy, biology and computer science about learning complex structures. Previous studies have shown that the center-embedded recursion is notoriously difficult to process (Lai & Poletiek, 2010, 2011, 2013). The purpose of the current project is to investigate the influence of statistical information, i.e. the sample set and its probability, on mastering the complex recursive structures. In an experiment with artificial grammar learning paradigm, we presented our adult participants with a certain number of non-sense artificial strings, which were composed according to an underlying center-embedded recursive rule. After the learning phase, participants were presented with novel strings composed according to the same rule. Participants were required to perform a grammaticality-judgment task. We manipulated different aspects of statistical information of the learning input, in order to investigate the influence in participants’ processing of center-embedded structure. The results showed that participants were significantly assisted by the statistical cues of the learning input. In addition, the working memory capacity participants significantly correlated with their language learning performance.

ワークショップ
Dr. Kalinka Timmer
(ライデン大学・ポスドク研究員)

◇タイトル: Introduction to data analysis for Electroencephalogram (EEG) using Brain Vision Analyzer (BVA)
◇日時: 第一部 2013年11月30日(土) 13:00〜17:00   第二部 2013年12月1日(日) 13:00〜17:00
◇場所: 名古屋大学東山キャンパス全学教育棟405号室
      (名古屋大学キャンパスマップ 41番の建物)
◇問合せ先: 名古屋大学大学院・国際言語文化研究科・日本語教育学講座
         玉岡賀津雄 (ktamaoka@lang.nagoya-u.ac.jp)
ポスター [PPTX]
◇ワークショップの概要
 With the electroencephalogram (EEG) you measure the activity that our brain generates due to communication between neurons. Psychophysiology assumes that cognitive, emotional, social and behavioral processes are mirrored in physiological processes. After preparing the data, by means of among others ocular correction and filters, the event-related potentials (ERPs) can give us more insight into underlying processed that cannot be untangled by for example reaction times (RTs). However, we have to keep in mind that there is no golden rule for the settings, but they are dependent on the set-up and type of research conducted. Thus, a good understanding of the underlying processes is very important for correct analysis of your data.

第 33 回
Dr. Kalinka Timmer
(ライデン大学・ポスドク研究員)

◇タイトル: Supra- and segmental speech planning is syllabic languages
◇日時: 2013年11月29日(金) 18:15〜19:45
◇場所: 名古屋大学東山キャンパス全学教育棟405号室
      (名古屋大学キャンパスマップ 41番の建物)
◇問合せ先: 名古屋大学大学院・国際言語文化研究科・日本語教育学講座
         玉岡賀津雄 (ktamaoka@lang.nagoya-u.ac.jp)
ポスター [PPTX]
◇講演の概要
 For non-alphabetic languages like Chinese the syllable is an important planning unit, instead of the segment (phoneme), which is the main planning unit for alphabetic languages during phonological encoding of lexical items. Alphabetic languages are segmental because the individual speech sounds are orthographically represented. Languages with non-alphabetical scripts, such as Chinese, are syllabic because the most prominent unit of spoken word production is a syllable, raising the question whether Chinese speakers mentally represent sub-syllabic units. In addition, based on alphabetic language research it is suggested that segmental and supra-segmental information is stored and retrieved separately, though possible in parallel. However, tone in Chinese languages has segmental properties and possibly similar neural correlates and cognitive processes for consonants and tone.

第 32 回
Dr. Kalinka Timmer
(ライデン大学・ポスドク研究員)

◇タイトル: The time course of orthography and phonology defined by neural correlates
◇日時: 2013年11月28日(木) 18:15〜19:45
◇場所: 名古屋大学東山キャンパス全学教育棟405号室
      (名古屋大学キャンパスマップ 41番の建物)
◇問合せ先: 名古屋大学大学院・国際言語文化研究科・日本語教育学講座
         玉岡賀津雄 (ktamaoka@lang.nagoya-u.ac.jp)
ポスター [PPTX]
◇講演の概要
 With both behavioral and electroencephalography (EEG) measures the on-line time course of reading (aloud) is investigated in first, second, and cross-language situation. The behavioral results of the studies revealed that target words (e.g., CARPET) were read aloud faster when preceded by phonologically onset-related primes (e.g., kettle) but not orthographically onset-related primes (e.g., circus). The phonological priming effect was present in the native language, the second language, and from second to first language (e.g., phone - FIETS). The event-related potentials (ERPs) revealed both orthographic and phonological activation peak around 150 milliseconds after target presentation. Thus, even if we have an accent in a second language, the phonological code is activated similarly to a native speaker. In addition, though not visible in the behavioral responses, ERPs revealed early activation of orthography and phonology for Persian word reading (with unmarked vowels) and for silent reading. This suggests that reading starts with same processes - whether silent or aloud or in different scripts. To conclude, this thesis favors computational models assuming early conversion of orthography-to-phonology and models should extend their horizon to accommodate bilinguals.

第 31 回
那須川訓也(Nasukawa, Kuniya)
(東北学院大学教授)

◇タイトル: 英語と日本語とカクチケル語の音節構造(第二部)
◇日時: 2013年7月29日(月) 18:15〜19:45
◇場所: 名古屋大学東山キャンパス全学教育棟405号室
      (名古屋大学キャンパスマップ 41番の建物)
◇問合せ先: 名古屋大学大学院・国際言語文化研究科・日本語教育学講座
         玉岡賀津雄 (ktamaoka@lang.nagoya-u.ac.jp)
ポスター [PPTX]
◇講演の概要
 単語を構成している単音よりは大きいが、単語よりは小さい音連続の束を一般的に「音節」と呼ぶ。音節は、音節核(nucleus)とその前後に選択的に生じる非核(non-nucleus)から形成されている。音節核の位置に現れることができる音は通常母音であり、短長の違いはあるものの、その数はひとつと考えられている。これに対して、核の前後の非核位置に表出可能な子音の数は言語により異なる。さらに、この選択的である非核位置の音韻表示は理論により大きく異なる。本講演では非核位置の中でも尾子音(coda)に焦点を当て、理論的にどのような音節構造が妥当であるかを論じる。その上で、異なる語族に属する3言語(英語、日本語、カクチケル語)の音節構造を比較し、それらの類似点ならびに相違点を類型論的観点から論じる。

第 30 回
杉崎鉱司(Sugisaki, Koji)
(三重大学・准教授)

◇タイトル: 言語間変異を司る生得的制約:英語獲得の観点から
◇日時: 2013年7月25日(木) 18:15〜19:45
◇場所: 名古屋大学東山キャンパス全学教育棟405号室
      (名古屋大学キャンパスマップ 41番の建物)
◇問合せ先: 名古屋大学大学院・国際言語文化研究科・日本語教育学講座
         玉岡賀津雄 (ktamaoka@lang.nagoya-u.ac.jp)
ポスター [PDF]
◇講演の概要
 普遍文法に対する「原理とパラメータのアプローチ」においては、言語の可能な異なり方を規定する生得的制約(「パラメータ」)の存在が仮定されていたが、近年のミニマリスト・プログラムにおいては、そのような生得的制約の存在は疑問視されている。本発表では、英語における前置詞残留現象および他動詞needの獲得過程を詳細に分析することにより、これらの性質の言語間変異を司る制約の必要性について検討する。それにより、言語の理論的研究と、母語獲得過程に関する研究がいかにして有機的に関わり得るかを例示する。

第 29 回
滝浦真人(Takiura, Masato)
(放送大学・教授)

◇タイトル: 日本語は親しさを伝えられるか
◇日時: 2013年7月20日(土) 14:30〜17:00
◇場所: 名古屋大学東山キャンパス全学教育棟405号室
      (名古屋大学キャンパスマップ 41番の建物)
◇問合せ先: 名古屋大学大学院・国際言語文化研究科・日本語教育学講座
         玉岡賀津雄 (ktamaoka@lang.nagoya-u.ac.jp)
ポスター [PDF]
写真

◇講演の概要
Part1 語用論の展開と研究の焦点:ポライトネス研究のこれから
 過去半世紀にわたる語用論の展開は、そのまま研究対象の変遷を意味している。そしてそれはまさに、“何が語用論か?”という関心の移り変わりにほかならない。言語行為論から、ポライトネス論、関連性理論、会話分析という流れのなかで、研究の焦点をあらためて整理し、これからの研究のあり方を考えたい。
Part2 日本語の近代とコミュニケーション:日本語はどちらに向かっているか?
 わたしたちが普通だと思っている標準語の所作はずいぶんと丁寧で堅苦しくはないだろうか。「敬して避ける」ための敬語はあっても、「親しく交わる」ための言葉は育んでこなかった。「作法」に寄りかかってきた日本語のここ百年をたどり、成熟した「親しさのコミュニケーション」への変化のきざしを見いだす。

第 28 回
芝垣亮介(Shibagaki, Ryosuke)
(南山大学・講師)

◇タイトル: 複雑述語の類型論的考察
◇日時: 2013年7月18日(木) 18:15〜19:45
◇場所: 名古屋大学東山キャンパス全学教育棟405号室
      (名古屋大学キャンパスマップ 41番の建物)
◇問合せ先: 名古屋大学大学院・国際言語文化研究科・日本語教育学講座
         玉岡賀津雄 (ktamaoka@lang.nagoya-u.ac.jp)
ポスター [PDF]
写真

◇講演の概要
 本発表では二点の主要なテーマを扱う。第一に、複雑述語に関する問題として多くの言語学者が挑戦してきた中国語の連動詞構文(V-V)の再分類を行う。ここでは、いわゆる結果構文として扱われてきた様々なタイプの連動詞を語彙意味論・統語論の観点から複雑述語と複合動詞に分類し、各タイプの統語構造を示す。その後第二のテーマとして、英語、日本語、中国語、モンゴル語、韓国語を用い、複雑述語構文における二次述語の解釈の仕方を時制投射の有無と関連付けて説明し、その解釈の仕方を二元的なパラメーターで捉えられることを提案する。

第 27 回
JEFFREY WITZEL
(University of Texas at Arlington)

◇タイトル: EVIDENCE FOR STRUCTURE-BASED PARSING BIASES IN SECOND-LANGUAGE SENTENCE PROCESSING
◇日時: 2013年6月6日(木) 18:15〜19:45
◇場所: 名古屋大学東山キャンパス全学教育棟405号室
      (名古屋大学キャンパスマップ 41番の建物)
◇問合せ先: 名古屋大学大学院・国際言語文化研究科・日本語教育学講座
         玉岡賀津雄 (ktamaoka@lang.nagoya-u.ac.jp)
ポスター [PPTX]
講演原稿 [PDF]
写真

◇講演の概要
 This study examines the reading patterns of native speakers (NSs) and high-level (Chinese) nonnative speakers (NNSs) on three English sentence types involving temporarily ambiguous structural configurations. The reading patterns on each sentence type indicate that both NSs and NNSs were biased toward specific structural interpretations. These results are interpreted as evidence that both first-language and second-language (L2) sentence comprehension is guided (at least in part) by structure-based parsing strategies and, thus as counterevidence to the claim that NNSs are largely limited to rudimentary (or “shallow”) syntactic computation during online L2 sentence processing.

第 26 回
那須川訓也(Nasukawa, Kuniya)
(東北学院大学教授)

◇タイトル: 英語と日本語とカクチケル語の音節構造
◇日時: 2013年5月30日(木) 18:15〜19:45
◇場所: 名古屋大学東山キャンパス全学教育棟405号室
      (名古屋大学キャンパスマップ 41番の建物)
◇問合せ先: 名古屋大学大学院・国際言語文化研究科・日本語教育学講座
         玉岡賀津雄 (ktamaoka@lang.nagoya-u.ac.jp)
ポスター [PPTX]
講演原稿1 [PDF]
写真

◇講演の概要
 単語を構成している単音よりは大きいが、単語よりは小さい音連続の束を一般的に 「音節」と呼ぶ。音節は、音節核(nucleus)とその前後に選択的に生じる非核 (non-nucleus)から形成されている。音節核の位置に現れることができる音は通常 母音であり、短長の違いはあるものの、その数はひとつと考えられている。これに対 して、核の前後の非核位置に表出可能な子音の数は言語により異なる。さらに、この 選択的である非核位置の音韻表示は理論により大きく異なる。本講演では非核位置の 中でも尾子音(coda)に焦点を当て、理論的にどのような音節構造が妥当であるかを 論じる。その上で、異なる語族に属する3言語(英語、日本語、カクチケル語)の音 節構造を比較し、それらの類似点ならびに相違点を類型論的観点から論じる。

第 25 回
深田 淳(Fukada, Atsushi)
(パデュー大学教授)

◇タイトル: 初級日本語学習者の流暢さの発達 −縦断的計量的研究
◇日時: 2013年5月27日(月) 18:15〜19:45
◇場所: 名古屋大学東山キャンパス全学教育棟405号室
      (名古屋大学キャンパスマップ 41番の建物)
◇問合せ先: 名古屋大学大学院・国際言語文化研究科・日本語教育学講座
         玉岡賀津雄 (ktamaoka@lang.nagoya-u.ac.jp)
ポスター [PPTX]
写真

◇講演の概要
 本研究は、日本語学習者の流暢さの発達の諸相を、長期にわたって多数の音声サンプルを収集し調査した。研究の目的は、(1)流暢さに関連する指標が二学期間にわたってどのように変遷したか、(2)どのような言語的要因がどの指標と相関関係を持つか、を調べることであった。データ収集においては、米国某大学の一年次日本語のコースに在籍する母語が英語の学習者を被験者とし、Speak Everywhereシステムを用いて音読とQ&Aの二つのタスクにおけるパフォーマンスを収集した。一要因反復測定分散分析の結果、流暢さの指標のうちのいくつかは、両方のタスクにおいて、下がっている時期があることがわかった。そこで混合モデルを用いた分析を行ない、どういう言語的複雑性の要因がこれらの指標に影響を与えたのかを調べた。結果的に、流暢さの発達には様々な要因が影響するため、経時的な指標だけでは捉えきれない、ということがわかった。発表においては、分析結果に加えて、Speak Everywhereシステムによるデータ収集、Praatによる音声データ分析の方法の解説も行なう予定である。

第 24 回
Prof. Lourdes Ortega
(University of Hawai'i at Manoa / Georgetown University・Professor)

◇タイトル: Synthesis and Meta-Analysis in Applied Linguistics
◇日時: 2012年8月6日(月) 15:30〜17:00
◇場所: 名古屋大学東山キャンパス全学教育棟406号室
      (名古屋大学キャンパスマップ 41番の建物)
◇問合せ先: 名古屋大学大学院・国際言語文化研究科・日本語教育学講座
         稲垣俊史 (inagaki@lang.nagoya-u.ac.jp)
◇(※ 応用言語学講座公開講演会との共催)
ポスター [PDF]
写真

◇講演の概要
 Research synthesis refers to a continuum of techniques and research procedures, including meta-analysis, that have been developed by social scientists with the aim to review past literature systematically. In this talk I will discuss the ways in which this methodology has been used in the field of applied linguistics since its introduction some ten years ago, caution about some dangers in its application, and highlight its value for the applied linguistics research community. Choosing examples from published studies on a variety of applied linguistic topics, I will illustrate the process of carrying out syntheses, from (1) the use of systematic procedures for the sampling of primary research studies (i.e., problem specification, literature search, and study eligibility criteria); through (2) the evaluation and classification of substantive and methodological features of primary studies (i.e., developing a coding book and implementing the coding process); and concluding with (3) the analysis, interpretation, and dissemination of synthetic findings. I will also demystify meta-analytic techniques for summarizing and interpreting quantifiable findings from primary studies and provide guidance on how to evaluate the quality of a research synthesis.

第 23 回
高橋 登(TAKAHASHI, Noboru)
(大阪教育大学教育学部教授)

◇タイトル: 学童期の言語能力の発達とその評価
◇日時: 2012年1月18日(水) 18:15〜19:45
◇場所: 名古屋大学東山キャンパス全学教育棟406号室
      (名古屋大学キャンパスマップ 41番の建物)
◇問合せ先: 名古屋大学大学院・国際言語文化研究科・日本語教育学講座
         玉岡賀津雄 (ktamaoka@lang.nagoya-u.ac.jp)
◇(※ 第11回応用言語学講座公開講演会との共催)
ポスター [PPTX]
写真1  写真2  写真3

◇講演の概要
 本報告では学童期の言語能力について,語彙,漢字の読み書き,文法能力の3点から概説する。最初に,語彙と読解の能力の関係について説明した上で,学童期の語彙と読解力,および読書経験の間にある循環的な関係について説明する。次に,語彙と深い関係にある漢字の知識について,語彙の場合とはいくぶん異なった獲得過程をたどることを示す。また,漢字を「読む」ことと「書く」ことが相対的に異なる能力である可能性についても触れる予定である。さらに,文法の能力について私たちの定義を示した上で,発達の過程を概説する。最後に,学童期の言語能力を査定する際には,適切な要素に分け,その間の相互関係も視野に入れながら分析する必要があることを指摘した上で,こうした言語能力を査定するためにわれわれが開発してきた言語能力検査(ATLAN)について,検査の特徴と背景にある考え方について触れる予定である。

第 22 回
牧岡省吾(MAKIOKA, Shogo)
(大阪府立大学教授)

◇タイトル: 計算論的神経科学の視点から心理実験をデザインする
◇日時: 2012年1月11日(水) 18:15〜19:45
◇場所: 名古屋大学東山キャンパス全学教育棟405号室
      (名古屋大学キャンパスマップ 41番の建物)
◇問合せ先: 名古屋大学大学院・国際言語文化研究科・日本語教育学講座
         玉岡賀津雄 (ktamaoka@lang.nagoya-u.ac.jp)
ポスター [PPTX]
写真

◇講演の概要
 計算論的神経科学は脳を理解するための強力な方法論である。視覚、聴覚、身体運動などの領域では、計算論的モデルを構築することによって脳内過程を理解しようとする計算論的神経科学に基づく研究は着実な成果を挙げてきており、言語やワーキングメモリなどの高次脳機能もその対象範囲に入りつつある。また計算論的神経科学は、心理実験で検討すべき仮説を導き出す際にも有効な視点を提供する。本講演では、計算論的神経科学の考え方を紹介した上で、単語認知過程について、計算論的モデルから導出された仮説とそれを検証するための実験について解説する。

第 21 回
吉田健二(YOSHIDA, Kenji)
(昭和音楽大学)

◇タイトル: 「下降式」をもつ日本語方言が提起する問題点
◇日時: 2011年12月21日(水) 18:15〜19:45
◇場所: 名古屋大学東山キャンパス全学教育棟406号室
      (名古屋大学キャンパスマップ 41番の建物)
◇問合せ先: 名古屋大学大学院・国際言語文化研究科・日本語教育学講座
         玉岡賀津雄 (ktamaoka@lang.nagoya-u.ac.jp)
ポスター [PPTX]
写真

◇講演の概要
 「式」とは、日本語の京阪式アクセント諸方言に見られる、音調の音韻論的対立である(和田, 1957)。京都・大阪方言に代表される「近畿中央式」アクセントの「高起式・低起式」の対立がよく知られるが、その他「低接上昇式」「くぼみ式」などさまざまな式音調が報告されている(上野, 1989)。しかし、詳細な報告は一部の方言にしかなく、ことにピッチパタンの定量的分析や文レベルでの観察が不足している。そこで、日本語のアクセントの歴史の解明につながる可能性が示唆されている「下降式」(上野, 1988; 松森, 1993)が存在する四国北部の7地域22名の話者のデータを用い、「式」のピッチパタンの方言間比較を行った(Yoshida, 2011)。本発表では、この結果が音韻研究に提起する問題点のうち重要だと思われるものについて報告したい。

第 20 回
澤崎 宏一(SAWASAKI, Koichi)
(静岡県立大学准教授)

◇タイトル: 関係節は日本語文処理研究でどのように扱われてきたか
◇日時: 2011年12月20日(火) 16:30〜18:00
◇場所: 名古屋大学東山キャンパス全学教育棟406号室
      (名古屋大学キャンパスマップ 41番の建物)
◇問合せ先: 名古屋大学大学院・国際言語文化研究科・日本語教育学講座
         稲垣俊史 (inagaki@lang.nagoya-u.ac.jp)
◇(※ 第8回応用言語学講座公開講演会との共催)
ポスター [PDF]
◇講演の概要
 日本語の関係節処理について, 先行研究を振り返ります。文の逐次処理, 再解釈, 他言語との類似性, ワーキングメモリ, 名詞の有生性など, 関係節は興味深い問題を多く含んでいます。通常は, ある特定の仮説を検証するための材料として関係節が取り上げられることが多いですが, ここでは, どのような研究目的のために関係節にスポットがあてられてきたかという観点から考えてみます。L1の内容を主に, 時間が許せばL2の話も含めるという形になると思います。

第 19 回
藤木大介(Fujiki, Daisuke)
(名古屋大学・ポスドク研究員)

◇タイトル: 文の意味表象の形成過程
◇日時: 2011年11月30日(水) 18:15〜19:45
◇場所: 名古屋大学東山キャンパス全学教育棟405号室
      (名古屋大学キャンパスマップ 41番の建物)
◇問合せ先: 名古屋大学大学院・国際言語文化研究科・日本語教育学講座
         玉岡賀津雄 (ktamaoka@lang.nagoya-u.ac.jp)
ポスター [PDF]
◇講演の概要
 文を理解するためには,文を構成する単語の持つ情報から文法構造を把握し,かつ意味表象を構築しなければならない。意味表象の構築に関しては,2語からなる句の意味表象や,複数の文からなる文章の意味表象を対象にした研究が多く行われている。またその多くが完成した意味表象の構造を探るオフライン研究である。それに対し本研究は,複数の語からなる文の意味表象が構築されているプロセスをオンライン実験を通して検討しようとするものである。

第 18 回
鈴木孝明(Suzuki, Takaaki)
(京都産業大学教授)

◇タイトル: オンライン実験を通して探る日本語の母語獲得:学習と処理
◇日時: 2011年11月25日(金) 16:30〜18:00
◇場所: 名古屋大学東山キャンパス全学教育棟406号室
      (名古屋大学キャンパスマップ 41番の建物)
◇問合せ先: 名古屋大学大学院・国際言語文化研究科・日本語教育学講座
         稲垣俊史 (inagaki@lang.nagoya-u.ac.jp)
◇(※ 第7回応用言語学講座公開講演会との共催)
ポスター [PDF]
写真

◇講演の概要
 近年、子どものL1を対象としたオンライン実験が盛んに行われている。母語獲得研究の目的と意義を問い直し、選考注視法を用いた日本語の「統語的ブートストラッピング」(syntactic bootstrapping) に関する研究 (Kobayashi & Suzuki, 2011) とセルフペースト・リスニング法を利用した幼児の「かき混ぜ文処理」(processing of scrambled sentences) に関する研究 (Suzuki, 2010) を 紹介する。

第 17 回
徳弘康代(TOKUHIRO, Yasuyo)
(名古屋大学留学生センター特任准教授)

◇タイトル: 日本語漢字教育における認知科学的アプローチの導入と実践
◇日時: 2011年11月16日(水) 18:15〜19:45
◇場所: 名古屋大学東山キャンパス全学教育棟405号室
      (名古屋大学キャンパスマップ 41番の建物)
◇問合せ先: 名古屋大学大学院・国際言語文化研究科・日本語教育学講座
         玉岡賀津雄 (ktamaoka@lang.nagoya-u.ac.jp)
ポスター [PDF]
◇講演の概要
 英語の第二言語習得を範として発展してきた日本語教育において、文字語彙の教育、特に漢字教育は、英語教育にならうものがない分野であり、英語教育にはない問題を抱えている。現在も、漢字教育の研究と実践は試行錯誤の中で発展途上にあるといえる。日本語教育の現場では、膨大な量の漢字の教育を実践する時、国語教育の方法が取り入れられることも多いが、日本語における漢字教育は、漢字の読み書きの教育だけでなく、語彙教育の側面も大きく、語彙の習得と文字の習得を同時に行うという負担を学習者に強いることになっている。ここでは、このような日本語教育の漢字教育に、新たな視点を導入することを目的とし、認知科学的なアプローチを取り入れ、人の認知処理のメカニズムに関する研究からアイデアを得て、それを教育実践につなげていく試みについて紹介する。

第 16 回
木山幸子(KIYAMA, Sachiko)
(名古屋大学・ポスドク研究員)

◇タイトル: 自他両用の「−化する」の語用論: 文中での使われ方を決める要因は何か?
◇日時: 2011年10月10日(月) 17:00〜18:30
◇場所: 名古屋大学東山キャンパス全学教育棟405号室
      (名古屋大学キャンパスマップ 41番の建物)
◇問合せ先: 名古屋大学大学院・国際言語文化研究科・日本語教育学講座
         玉岡賀津雄 (ktamaoka@lang.nagoya-u.ac.jp)
ポスター [PDF]
パワーポイント [PPTX]
写真

◇講演の概要
 「‐化する」という漢語動詞には、以下の例のように自動詞としても他動詞としても使われるものがある。 「日本語教育学講座が活性化する」(自動詞用法)
 「日本語教育学講座を活性化する」(他動詞用法)
自他両用の「‐化する」の自動詞用法と他動詞用法はどのようにして決まるのか。また自他の違いによって文中で使われるときの意味は変わってくるのか。新聞コーパスの多変量解析を通して、これらの問いを検討する。

第 15 回
新井 学(Arai, Manabu)
(日本学術振興会PD研究員 / 東京大学)

◇タイトル: Prediction using verb-specific syntactic information in sentence processing
◇日時: 2011年9月26日(月) 15:00〜16:30
◇場所: 名古屋大学東山キャンパス全学教育棟406号室
      (名古屋大学キャンパスマップ 41番の建物)
◇問合せ先: 名古屋大学大学院・国際言語文化研究科・日本語教育学講座
         玉岡賀津雄 (ktamaoka@lang.nagoya-u.ac.jp)
ポスター [PDF]
パワーポイント [PPTX]
写真

◇講演の概要
 Recent research on sentence processing demonstrated that language comprehenders make predictions about upcoming linguistic information using various sources of information (Altmann & Kamide, Cognition 1999; Arai et al., CogPsy 2007; Staub & Clifton, JEP 2006). In my talk, I will review several important findings from previous studies on prediction and then report the results from my eye-tracking experiments that were designed to examine whether comprehenders can make predictions about upcoming syntactic structures using lexically-specific syntactic information, more specifically, verb's subcategorization and frequency information. I will discuss the findings in the context of constraint-based (MacDonald et al., PsyRev 1994) and probabilistic models of processing (Jurafsky, Cogsci 1996).

第 14 回
Dr. Masako Hirotani
(Associate Professor, Carleton University & Max Planck Institute for Human Cognitive and Brain Sciences, Leipzig, Germany)

◇タイトル: Genitive of Dependent Tense in Japanese and its Correlation to Genitive of Negation in Slavic
◇日時: 2011年9月26日(月) 13:00〜14:30
◇場所: 名古屋大学東山キャンパス全学教育棟406号室
      (名古屋大学キャンパスマップ 41番の建物)
◇問合せ先: 名古屋大学大学院・国際言語文化研究科・日本語教育学講座
         玉岡賀津雄 (ktamaoka@lang.nagoya-u.ac.jp)
ポスター [PDF]
パワーポイント [PPTX]
写真

◇講演の概要
 本発表では、日本語の談話構造の処理のメカニズムを脳波と眼球運動による実験データを用いて論じる(c.f., Hirotani & Schumacher, 2011; Hirotani et al., in preparation)。具体的には、日本語の特徴の1つである「は」と「が」を通して、オン・ラインで行われる談話処理の規則および神経基盤を探る。さらに、英語、ドイツ語等の他言語と比較し、談話処理におけるメカニズムの普遍性を追究する。

第 13 回
Dr. Jenneke Wal
(Research Fellow, Royal Museum for Central Africa)

◇タイトル: Expressing information structure within the conjugational system. Form and function of the Bantu conjoint and disjoint verb forms
◇日時: 2011年8月3日(水) 16:00〜17:30
◇場所: 名古屋大学東山キャンパス全学教育棟406号室
      (名古屋大学キャンパスマップ 41番の建物)
◇問合せ先: 名古屋大学大学院・国際言語文化研究科・日本語教育学講座
         玉岡賀津雄 (ktamaoka@lang.nagoya-u.ac.jp)
ポスター [PDF]
写真

◇講演の概要
 All languages have a way to highlight the most important or contrastive part of a sentence, the focus. English uses intonation (JOHN ate sushi) or a cleft construction (it was John who ate sushi) to indicate the focus, but other languags use morphological means. A particularly interesting system is found in southern Bantu languages, where focus can be encoded in the conjugation of the verb. In Makhuwa, for example, the form of the verb not only shows tense or aspect but also encodes whether the following element is in focus or not. This presentation discusses the formal distinctions marking these so-called conjoint and disjoint verb forms, and their exact interpretations in terms of semantic focus.

第 12 回
Dr. Rinus Verdonschot
(Visiting Research Fellow, Nagoya University)

◇タイトル: The functional unit of Japanese word naming: Evidence from masked priming
◇日時: 2011年8月3日(水) 14:30〜16:00
◇場所: 名古屋大学東山キャンパス全学教育棟406号室
      (名古屋大学キャンパスマップ 41番の建物)
◇問合せ先: 名古屋大学大学院・国際言語文化研究科・日本語教育学講座
         玉岡賀津雄 (ktamaoka@lang.nagoya-u.ac.jp)
ポスター [PDF]
◇講演の概要
 Theories of language production generally describe the segment to be the basic unit in phonological encoding (e.g. Dell, 1988; Levelt, Roelofs, & Meyer, 1999). However, there is also evidence that such a unit might be language-specific. Chen, Chen and Dell (2002), for instance, using a preparation paradigm found no effect of single segments. To shed more light on the functional unit of phonological encoding in Japanese, a language often described as being mora-based, we report the results of four experiments using word reading tasks and masked priming. Experiment 1 using Japanese kana script demonstrates that primes, which overlapped in the whole mora with target words, sped up word reading latencies but not when just the onset overlapped. Experiments 2 and 3 investigated a possible role of script by using combinations of romaji (Romanized Japanese) and hiragana, and again found facilitation effects only when the whole mora overlapped, but not the onset segment. The fourth experiment distinguished mora priming from syllable priming and revealed that the mora priming effects obtained in the first three experiments are also obtained when a mora is part of a syllable (and again found no priming effect for single segments). Our findings suggest that the mora and not the segment (phoneme) is the basic functional phonological unit in Japanese language production planning.

第 11 回
時本真吾(Tokimoto, Shingo)
(目白大学 教授)

◇タイトル: 日本語を材料にした脳波研究の現在と今後
◇日時: 2011年7月19日(火) 18:15〜19:45
◇場所: 名古屋大学東山キャンパス全学教育棟406号室
      (名古屋大学キャンパスマップ 41番の建物)
◇問合せ先: 名古屋大学大学院・国際言語文化研究科・日本語教育学講座
         玉岡賀津雄 (ktamaoka@lang.nagoya-u.ac.jp)
ポスター [PDF]
写真

◇講演の概要
 脳科学への社会的関心を背景に、言語の神経科学的研究が世界的に急増している。中でも脳波は、実験装置と維持費が比較的安価なことも手伝って、言語の脳科学への入り口となることが多い。とりわけ、事象関連電位(ERP)は歴史の長い安定した指標で、多くの知見が蓄積されている。但し、言語のERP研究は暗黙の理論的背景を強く引きずっているし、ERP成分の解釈にも異論が出始めている。本発表では、主に日本語を材料にしたERP研究について、その成果と問題点を指摘する。また、今後への展望として脳波の大域的同期研究の可能性に触れる。

第 10 回
宮川繁(MIYAGAWA, Shigeru)
(Massachusetts Institute of Technology 教授)

◇タイトル: Genitive of Dependent Tense in Japanese and its Correlation to Genitive of Negation in Slavic
◇日時: 2011年7月6日(水) 18:15〜19:45
◇場所: 名古屋大学東山キャンパス全学教育棟405号室
      (名古屋大学キャンパスマップ 41番の建物)
◇問合せ先: 名古屋大学大学院・国際言語文化研究科・日本語教育学講座
         玉岡賀津雄 (ktamaoka@lang.nagoya-u.ac.jp)
ポスター [PDF]
講演原稿 [PDF]
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◇講演の概要
 Since Harada (1971), nominative/genitive conversion in Japanese has been taken up by numerous linguists, leading to a variety of observations and approaches. In one such approach, the occurrence of the genitive on the subject in relative clauses and in the noun-complement construction is proposed to be licensed by D (or N), relating this to the fact that the genitive most commonly occurs in nominal clauses (see Miyagawa 2011, Lingua, for references). In this paper, I will examine a fundamentally different genitive that is licensed by an entirely different environment, namely, by dependent tense in conjunction with “weak” small v. As we will see, this genitive only appears on the subject of unaccusatives and passives, and on certain objects. This distribution parallels the distribution of the so-called genitive of negation in Slavic. I will suggest that this genitive in Japanese and Slavic is the same, the only difference being what combines with the weak “v” to license it ― dependent tense in Japanese and negation in Slavic.

第 9 回
森美子(Mori, Yoshiko)
(ジョージタウン大学准教授)

◇タイトル: 日本語学習者の漢字に対する認識と漢字学習ストラテジー
◇日時: 2011年6月29日(水) 16:30〜18:00
◇場所: 名古屋大学東山キャンパス全学教育棟406号室
      (名古屋大学キャンパスマップ 41番の建物)
◇問合せ先: 名古屋大学大学院・国際言語文化研究科・日本語教育学講座
         稲垣俊史 (inagaki@lang.nagoya-u.ac.jp)
写真

◇講演の概要
 第二言語学習者が読解力を伸ばす上で、大きな課題となるのは語彙力です。日本語の文章の場合、漢語が主要概念を表していることが多いので、中上級の読解では漢字知識をどう伸ばすかが重要な課題となります。印刷物にふんだんに出て来る漢語にうまく対処できず、漢字に対して苦手意識を持つ学習者は多く、その傾向は非漢字圏の学習者に多く見られます。この講演では、英語圏の日本語学習者の抱える問題点を整理し、学習者が漢字と学習方法に対してどのような考え方を持っているかを探って行きます。さらに、そのような漢字に対する認識が、実際に知らない漢語に遭遇したときの理解度にどのように影響するかを調べた研究についてもお話します。

第 8 回
深田淳(FUKADA, Atsushi)
(パディー大学外国語外国文学学科准教授、パデュー大学先端技術言語学習研究所所長)

◇タイトル: 外国語教育のスピーキング指導におけるテクノロジー利用
◇日時: 2011年5月25日(水) 18:15〜19:45
◇場所: 名古屋大学東山キャンパス全学教育棟405号室
      (名古屋大学キャンパスマップ 41番の建物)
◇問合せ先: 名古屋大学大学院・国際言語文化研究科・日本語教育学講座
         玉岡賀津雄 (ktamaoka@lang.nagoya-u.ac.jp)
写真

◇講演の概要
 欧米の外国語教育において、明らかにスピーキングが重視されているにもかかわらず、それに見合うスピーキング訓練が施されていないし、スピーキング能力の評価が成績に占める割合も低いという現状がある。これは外国語教授法の変遷の所産であることがまず指摘できる。特にオーディオリンガル法の衰退とともにLL教室が撤廃されたことが、今となっては大きな損失だったと認識できる。スピーキングの練習量が足りないからと言って、それを増やすのは容易ではない。授業中は語彙の導入、文法説明、文化紹介など他にもするべきことがたくさんあるからである。さらに一斉授業時間内にするスピーキング練習は効率も悪い上に、効果も上がらないという議論がある。そもそもスピーキングを初めとする語学練習は個人化された練習が必要なのである。このように考察を進めてくると、学習者が授業時間外に宿題などの形で個人練習ができて、しかもそれを教師がモニターしたり採点したりできるという語学教育・学習環境が理想的ということになる。
 本発表では、以上の議論を精説し、それを踏まえてパデュー大学先端技術言語学習研究所が開発した最新の語学教育・学習環境をデモンストレーションを交えて紹介する。

第 7 回
木山幸子(KIYAMA, Sachiko)
(名古屋大学・ポスドク研究員)

◇タイトル: 線形混合効果(linear mixed effects: LME)モデルによる言語実験データの解析法
◇日時: 2011年4月20日(水) 18:15〜19:45
◇場所: 名古屋大学東山キャンパス全学教育棟405号室
      (名古屋大学キャンパスマップ 41番の建物)
◇問合せ先: 名古屋大学大学院・国際言語文化研究科・日本語教育学講座
         玉岡賀津雄 (ktamaoka@lang.nagoya-u.ac.jp)
ポスター [PDF]
写真

◇講演の概要
 従来の心理言語学の領域では、言語実験で得られたデータについて、被験者分析と項目分析という2つの分散分析が行われてきた。これに対してBaayen (2008) は、言語実験データの解析にLMEモデルを適用することを提案した。被験者と項目のそれぞれをランダム要因とみなし、それらのランダム効果を踏まえた上で、検討したい要因(固定要因)の効果が有意であるかを分析する手法である。本講演では、日本語母語話者の漢字認知に関する実験データ(玉岡・木山, 準備中)を題材として、SPSS社の統計ソフトを用いたLME分析の過程を紹介する。

第 6 回
松下達彦(MATSUSHITA, Tatsuhiko)
(Victoria University of Wellington 大学院生、日言文修了生)

◇タイトル: 日本語学習・教育にとって重要な語彙とは何か −大規模コーパスに基づく語彙データベースの作成−
◇日時: 2011年1月21日(水) 18:00〜19:30
◇場所: 名古屋大学東山キャンパス文系総合館7階カンファレンスホール
      (名古屋大学キャンパスマップ 66番の建物)
◇問合せ先: 名古屋大学大学院・国際言語文化研究科・日本語教育学講座D1
         早川杏子 (hayakawa.kyoko@g.mbox.nagoya-u.ac.jp)
ポスター [PDF]
写真

◇講演の概要
 語彙リストは言語の学習・教育にさまざまな点で役に立つ。日本語研究においても、雑誌や新聞の頻度データに基づいて、いくつもの語彙リストが作られてきたが、書籍の大規模コーパスに基づく語彙リストはこれまで作成されてこなかった。本講演では、「現代日本語書き言葉均衡コーパス(BCCWJ)2009年モニター版」(国立国語研究所, 2009)の書籍部分(約2800万語)とインターネット・フォーラム(「Yahoo知恵袋」)部分(約500万語)、合計約3300万語に基づいて発表者の作成した語彙データベース(VDRJ)について報告する。語彙リストの応用目的、そのための問題点を概観したうえで、VDRJの作成法、分析結果、応用法について紹介する。具体的には、どのように語を配列することが日本語学習・教育に有用か、語種や品詞の分布、語数・字数とテキストカバー率の関係、それらの領域による違い、従来の語彙リストとの比較などである。時間が許せば、Coxhead (2001)と類似の考え方に基づいて抽出した日本語学術共通語彙リスト(JAWL = Japanese Academic Word List)や語彙テストについて話したい。

第 5 回
Rinus G. Verdonschot
(Leiden Institute for Brain and Cognition & Leiden University Centre for Linguistics, Leiden University, The Netherlands)

◇タイトル: Semantic context effects when naming Japanese kanji, but not Chinese hanzi
◇日時: 2010年5月19日(水) 18:00〜19:30
◇場所: 名古屋大学東山キャンパス全学教育棟406号室
      (名古屋大学キャンパスマップ 41番の建物)
◇使用言語: 英語
◇問合せ先: 名古屋大学大学院・国際言語文化研究科・日本語教育学講座
         玉岡賀津雄 (ktamaoka@lang.nagoya-u.ac.jp)
ポスター [PDF]
◇講演の概要
 (published in Cognition, 2010) The process of reading aloud bare nouns in alphabetic languages is immune to semantic context effects from pictures. This is accounted for by assuming that words in alphabetic languages can be read aloud relatively fast through a sub-lexical grapheme-phoneme conversion (GPC) route or by a direct route from orthography to word form. We examined semantic context effects in a word-naming task in two languages with logographic scripts for which GPC cannot be applied: Japanese kanji and Chinese hanzi. We showed that reading aloud bare nouns is sensitive to semantically related context pictures in Japanese, but not in Chinese. The difference between these two languages is attributed to processing costs caused by multiple pronunciations for Japanese kanji.

第 4 回
Rinus G. Verdonschot
(Leiden Institute for Brain and Cognition & Leiden University Centre for Linguistics, Leiden University, The Netherlands)

◇タイトル: Workshop on E prime 2.0
◇日時: 2010年5月15日(土)、16日(日) 10:30〜17:00
◇場所: 名古屋大学東山キャンパス全学教育棟406号室
      (名古屋大学キャンパスマップ 41番の建物)
◇使用言語: 英語
◇問合せ先: 名古屋大学大学院・国際言語文化研究科・日本語教育学講座
         玉岡賀津雄 (ktamaoka@lang.nagoya-u.ac.jp)
ポスター [PDF]
◇ワークショップのプログラム
  ・ポスター参照

第 3 回
杉村 泰(SUGIMURA, Yasushi)
(名古屋大学 准教授)

『現代日本語における蓋然性を表すモダリティ副詞研究』(ひつじ書房)出版記念講演
◇タイトル: 副詞研究から見た日本語モダリティ論の新展開
◇日時: 2010年4月23日(金) 16:30〜18:00
◇場所: 名古屋大学東山キャンパス全学教育棟406号室
      (名古屋大学キャンパスマップ 41番の建物)
◇問合せ先: 名古屋大学大学院・国際言語文化研究科・日本語教育学講座
         玉岡賀津雄 (ktamaoka@lang.nagoya-u.ac.jp)
ポスター [PDF]
パワーポイント [PPT]
写真1  写真2  写真3

◇講演の概要
 従来、日本語のモダリティ研究は「ダロウ」、「ニチガイナイ」、「カモシレナイ」などの文末のモダリティ形式に焦点を当てて研究が進められてきた。それに対し、本研究では今まであまり関心がもたれてこなかった副詞に焦点を当てることにより、日本語のモダリティ研究に新たな局面を切り開くものである。具体的には「カナラズ」、「キマッテ」、「キット」、「タブン」、「モシカスルト」、「サゾ」、「マサカ」、「ケッシテ」、「ゼンゼン」など広義の蓋然性(事態成立の可能性)を表す副詞群を対象に、コーパスを使って共起する文末のモダリティ形式の違いを明らかにし、それまで漠然と考えられていた命題とモダリティの峻別を明確にすることにより、これらの副詞の表す「蓋然性」の違いを明らかにした。さらにこの研究を通して、従来蓋然性の高低として捉えられていた「ニチガイナイ」と「カモシレナイ」に蓋然性の高さという「量」的な違いのみでなく、モダリティ的な「質」の違いがあることなど、文末のモダリティ形式の研究にも新たな発見がなされたことを報告する。

第 2 回
里 麻奈美(SATO, Manami)
(ハワイ大学 博士後期課程学生)

◇タイトル: 言語処理とメンタルシミュレーション
◇日時: 2009年10月13日(水) 18:15〜19:45
◇場所: 名古屋大学東山キャンパス全学教育棟C40号室
      (名古屋大学キャンパスマップ 41番の建物)
◇問合せ先: 名古屋大学大学院・国際言語文化研究科・日本語教育学講座
         玉岡賀津雄 (ktamaoka@lang.nagoya-u.ac.jp)
ポスター [PDF]
講演原稿 [PDF]
写真1  写真2  写真3

◇講演の概要
 人が直接的表現だけではなく抽象的表現の「意味を理解する」際に自分の経験や経験によってつちかわれた知識(視覚、聴覚、味覚、動作など)をMental Simulationという認知プロセスを通して無意識に利用しているということを脳科学,認知言語学の視点から実証する。Mental Simulationとは,「聞き手が意味を理解する際,話し手が言っている事象を無意識に想像し,その想像過程の認知プロセスがあたかも自分が実際に経験しているかのような状況を作り出す」ことである。この「疑似体験」的なプロセスが,人間の意味理解において大きな役割を果たしている。Mental Simulationの存在は,脳科学において,fMRIの実験結果から実証されている。認知言語学においては,Mental Simulationは次のような視点から実証されている。(1)視覚をともなうMental Simulation,(2)複数の感覚(視覚、聴覚、味覚など)をともなう Mental Simulation,(3)動作をともなうMental Simulation,(4)抽象的な表現(比喩)を理解する際にともなうMental Simulationである。また,最後にこの分野でのこれからの課題に言及する。

第 1 回
北川善久(Dr. Yoshihisa Kitagawa) 〔Home Page〕
(インディアナ大学言語学科)

◇タイトル: On the Discrepancy between Unacceptability and Ungrammaticality
        (文の非容認性と非文法性の不一致について)

◇日時: 2009年6月3日(水) 17:30〜19:00
◇場所: 名古屋大学東山キャンパス全学教育棟C40号室
      (名古屋大学キャンパスマップ 41番の建物)
◇使用言語: 日本語(質疑応答は、英語でも可能)
◇問合せ先: 名古屋大学大学院・国際言語文化研究科・日本語教育学講座
         玉岡賀津雄 (ktamaoka@lang.nagoya-u.ac.jp)
ポスター [PDF]
写真1

◇講演の概要
 生成統語論は、過去半世紀にわたり理論の改変、精巧化を通して急激な発展を遂げてきた。しかし、そのような理論的洗練の追求にくらべて、具体的なデータの収集やその処理などに関する方法論の追求にはさして労力を費やしてこなかったと言える。そのため、研究の根幹をなすべき言語観察に関して研究者の間で必ずしも同意が得られず、基礎として蓄積されるべきデータが不安定であるという状況に直面することが多い。今回は、実験を通して入手した日本語の使役文の容認性判断に関するデータを統語論と統計の両方の観点から分析することによって、文の非容認性と非文法性の区別を見極めるための研究法の試案を提示・議論したい。