初級クラス(2)の実習報告

 

. 学習者

インタビューの結果、予想していたより学習者のレベルが高いことが分かった。当初このクラスは片言ではあるが、日本語を話せる人を対象にと考えていた。しかし実際インタビューをしてみると、大学等で一通り学んだ人が多かった。だが、質問に対して回答することはできるものの、まだ使いこなせているわけではない。また、アンケートからも「日本語でどのようなことをしたいですか」という質問に、「流暢に話す」「会話や文を書くことが上手になりたい」「日常の物事をこなす」等のコメントが寄せられた。以上のことから、ある程度学んで知っている日本語を、実際に使いこなせるようになりたいという学習者の要望が読み取れる。学習者の国籍、学習歴を以下に示す。

  

                     国籍      学習歴

  学習者A   オーストラリア  高校,大学(6年間)

  学習者B   オーストラリア  大学(2年間)

  学習者C   カナダ      大学(3年間)

  学習者D   アメリカ     大学(6ヶ月)*両親が日本人

1日目はこの他に2名の学習者がいたが、学習者の希望により、中級クラスへ移動した。)

 

 

. 実習生

 2名の実習生で授業を交替に担当した。

 

 

. シラバス・デザイン

 教科書『あさがお』に沿って、場面シラバスで授業を進めた。しかし教科書自体はあまり使用せず、教科書で提示された場面に沿って、学習項目、語彙を増やした。例えば、て形や、敬語表現など、まだ正確に言えないもの、スムーズにできていないものを新たに学習項目に加えた。また練習は、実際にコミュニケーションが取れるようになることを目標にしたものを多く行うことにした。

 

 

.カリキュラム・デザイン

◆ カリキュラム   

1日1課2時間(50分授業)を基本とし、10分の休憩を取った。

 

◆ 教材

 テキストはゼロ初級(1組)と同じ、『あさがお』を用いた。しかし、学習項目やダイアログが簡単であるため、あまり教科書は使用せず、担当者がプリント、タスクシートなどの副教材を作成した。

 

◆ 学習項目                                                                    

 

 学習項目

 

L 1 自己紹介

名前、出身、職業などが言えるよ

 

 

にする。友達を紹介する。

 

 

決まり文句、教室用語

 

L2  レストランで

これ、それ、あれ。なんですか N

 

 

ください。Nありますか。NとN

 

L3 アパート探し

イ形容詞、数字、あります/あり

 

 

ません

 

 

 

 

L4 郵便局はどこ

ここ、そこ、あそこ、どこ。動詞

 

    ですか

テ形。〜にあります。前後、左右、

 

 

隣。

 

L5 電話する

敬語。電話をかける。

 

 

 

 

L6 不調を訴える

身体名称。病気表現。んです。ほ

 

 

うがいいです。

 

L7 誘いと断り

誘う。断る。「〜んですけれども、

 

 

〜ませんか。」「〜はちょっと」

 

 

 non-polite

 

L8 お礼を言う

カルチャーショックの体験につい

 

 

て作文して発表。動詞の過去形。

 

 

「〜より〜のほうが〜です」

 

 

L8は、お礼を言う場面を取り上げ練習した。しかし、教科書の内容が簡単すぎたので、最終日のまとめとして、カルチャーショックについての作文、発表を中心に授業を行った。

 

 

. 学習者からのコメント

実習の最終日に学習者に対し、アンケートを行った。課ごとにAからEまでの5段階で評定をつけてもらった。Aのほうから評価が高く、Eになるに従い学習者の評価は落ちる。以下に、課ごとの評価と学習者の授業へのコメントをまとめる。アルファベットの後の数字は人数である。

 

L1 自己紹介

A2 B1 E1 既に知っていた内容だった。お互いを知るのによかった。

L2 レストランで

A3 B1 忘れていたので役に立った。

L3 アパート探し

C2E2  既に部屋を見つけていたが、語彙は役に立つ。

  L4 郵便局はどこですか

     A4

  L5 もしもし

     A3 B1 日常、役に立つ。

  L6 不調を訴える

     A4

  L7 誘いと断り

     A3 B1

  L8 お礼を言う

     A3 B1

 

 また全体的に役に立つ場面だったというコメントもあった。楽しかったアクティビティは、カードゲーム、電話をかけるタスクなどがあげられていた。この他に、もっと学習項目を増やして欲しい、スピードが遅いといったコメントも寄せられた。

 

 

. 実習生の反省

すでに日本語を学習済みの人が対象で、学習項目を考えるのに苦労した。また、教科書は内容が簡単だったため,副教材などを新たに作成しなければならず、準備に時間がかかった。予想外に学習者のレベルが高かったので、学習者に必要な学習項目をつかみ、授業の流れを立てるということがスムーズに行えなかった。経験を積み、このような事態にも適切に対応できるようにしたい。

アンケートでは、もっと学習項目を増やして欲しいとか、スピードが遅いと応えた人が多かった。しかし、授業でやった学習項目をスムーズに達成しているわけではなかったので、復習を混ぜつつ新しい項目をやるバランスが必要だったと思う。それにより、学習者が学習意欲を損なうことなく、授業に参加できるだろう。後半はこの点で割と工夫できた。

 練習については臨場感があるよう、また楽しい活動になるよう工夫できたと思う。また、実際の場面でコミュニケーションが取れるようになることを目標とした練習を、多くするよう心がけた。ただ、スムーズに準備し、授業を行えていなかったところもあり、まだ改善すべきところはある。 

 またアンケートでは、教師が学習者の日本語をあまり訂正する事がなかったという人がいたので、誤用の訂正を上手に、分かりやすく出来るようにすることが今後の課題である。

 クラスの雰囲気は良く、授業もずいぶん学習者に助けられた。レベル差があったが、助け合ってやってくれていた。

 

 


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