ゼロ初級クラス(1組)実習報告

 

1 学習者

ゼロ初級クラス(1組)には、日本語学習歴が皆無である学習者から、短期間の学習歴のある学習者が含まれている。

 

カナダ人男性(1)、カナダ人女性(1)・・・日本語学習歴なし

アメリカ人男性(2)・・・・・・・・・・・語学学校での短期の学習経験あり(一ヶ月未満)

アメリカ人女性(1)・・・・・・・・・・・高校で一年間の学習経験あり

 

 学習経験のある学習者も、実際に日本語を運用する能力はほとんどないと判断し、ゼロ初級クラスで学習してもらうこととした。

 

 

2 実習生

 2名の実習生が交代で担当した。

 

 

3 シラバスデザイン

◆ 授業で使用した教材

授業では98年度の実習で用いた『あさがお』を改訂したものを用いた。

『あさがお改訂版』は日本で生活する上で最低限必要であると考えられる表現を学習し、学習者が日本での生活に対応できるように心がけて作成されている。そのため学習者が日本で生活する上で出会うであろう場面を中心に構成されている。また、文法項目は最小限にとどめ、使用する単語も使用頻度の高いものが提示されている。

 

◆ 授業運営方針

実習期間が短いため、ゼロ初級クラスでは文字教育を行わず、ヘボン式ローマ字を用いて授業を行った。しかし、実習期間の最後の一コマで、実習の指導教官である大曽先生にひらがな講義を担当していただいた。

媒介語は基本的に日本語を用いた。教室での指示に使用する言葉は実習生間で統一し、英語訳と共に教室内に掲示した。しかし、文法説明の際など、どうしても学習者が理解できない場合には英語を補助として用いることもあった。

 

◆ シラバス

 

各課の場面は以下の8つである。

 

LESSON1 自己紹介 Self Introduction

LESSON2 レストランで At the Restaurant

LESSON3 アパートさがし Finding Apartment

LESSON4 郵便局はどこですか Where's the Post Office

LESSON5 もしもし Phoning

LESSON6 ふちょうをうったえる Complaining of Sickness

LESSON7 さそいとことわり Inviting, Refuse

LESSON8 おれいをいう Expressing Thanks

 

 

4 カリキュラムデザイン

 

LESSON1

・〜です ・〜ですか ・NのN

LESSON2

・これ/それ/あれ ・Nください ・なんですか ・Nありますか ・NとN ・数詞 

・おねがいします

LESSON3

・イ形容詞 ・あります/ありません ・いくらですか

LESSON4

・動詞 ・ここ/そこ/あそこ/どこ ・Nはどこですか ・〜へ ・〜たいんですが

LESSON5

 ・います/いません ・いつ ・なんじですか ・〜といってください

LESSON6

 ・ナ形容詞 ・〜たいです ・〜んです ・〜たいんです

LESSON7

 ・〜ませんか ・〜ましょう ・〜から〜(Reason)

LESSON8

・動詞過去形・否定形 ・形容詞過去形・否定形

 

 

5 授業後のアンケート結果

実習の最後に、学習者に1、授業項目、テキストについて、2、授業で行われたタスク、ロールプレイ等について、の2点を中心にアンケートを行った。

 

◆ 授業項目、テキストについて

授業項目、テキストについては、各課ごとに「役に立つものであったか」、「理解できたか」、の2点について尋ねた。(A-そう思う、 E-そう思わない)

 

○ 役に立つものであったか

この点については、LESSON3「アパートさがし」で1名Cをつけた学習者がいた以外は、全てAと回答されていた。LESSON3でCと回答された理由は、「もうすでにアパートを見つけてしまっていたから」というものだった。

 

○ 理解できたか

 この点についての回答は以下の通りである。

 

 LESSON1 A-5名

 LESSON2 A-5名

 LESSON3 A-4名、B-1名

 LESSON4 A-3名、B-2

 LESSON5 A-4名、B-1

 LESSON6 A-5

 LESSON7 A-3名、B-2

 LESSON8 A-3名、B-2

 

全ての課で学習者はおおむね授業を理解していたようであるが、課が進むにつれてBとの回答が目立った。これは、学習項目が多かったために学習者が混乱したこと、教師の文法項目等の導入が適切でなかったことなどが理由として考えられる。

 

◆ 授業で行われたタスク、ロールプレイ等について

 

授業で行われたタスク、ロールプレイについて尋ねたが、実際には授業全体に対する感想も述べられていた。

 

・ 実際の生活や状況に基づいたシラバスデザインだったので、とても役立ち、実践的だった。

・ 楽しく、とても勉強になった。シチュエーションを理解するのに役に立った。

・ 楽しく、とても興味深いクラスだったので、もっと勉強したいと思った。

・ ダイアログ等のリピートの回数が多すぎると退屈だった。

・ 助詞についてもっと勉強したかった。

 

タスク、ロールプレイに対する感想を中心に、おおむね良い回答を得ることができた。しかし、学習者が退屈したり、学習者の要望に十分に答えられないことがあったという問題点も指摘されていた。特にダイアログのリピートについては、より学習者が意欲的に行えるように工夫するべきであったと反省される。

 

 

6 実習生の反省

反省するべき点として、第一に文法説明が十分でないために学習者を混乱させてしまうことがあった。この問題を解決する方策としては、学習者の母語である英語を使用することも考えられるが、事前に日本語での導入の仕方をより検討、工夫することで学習者の理解を十分に得ることができたのではと反省される。

第二に、学習者の誤りの訂正が十分でなかったことがあった。これは、教師が教授項目をこなすことに重点を置きすぎてしまい、学習者の誤りにまで注意を払う余裕がなくなってしまったためと考えられる。しかし、今回の実習では、学習者が授業で学習したことを実際の生活で活用できるような授業を行うことを目的としている。したがって、実際のコミュニケーションに支障を来すような誤りならば、的確に訂正する必要がある。教師は訂正するべき誤りと、そうでない誤りとを的確に判断することが求められると考えられる。

 

 

 

 


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