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内部被曝まとめ

これを書いているのは7月の初旬です。原発事故は未だに収束の兆しを見せず、福島の本格的な除染は始まっておらず、首都東京もかなり汚染されているという のに、日本を支配する危機感のなさは一体どうなってるの???という感じです。授業では学生に危機感を持たせるために時々吠えています。

77万テラベクレルが放出されました。その1割が偏西風で海に逃げず大地に降り注いだとしても7.7万テラベクレル。77000000000000000 ベクレルです。日本国民1億で割るとひとりあたり7.7億ベクレルとなります。海に逃げたのも雨や海産物として幾らかは戻ってくるので、馬鹿に出来ません。ア メリカの西海岸では幼児の死亡率が35%上がったという話(CDC Morbidity and Mortality Weekly Report)もあるくらいなので、北半球全体が汚染されていると言えるでしょう。アメリカまで汚染されている と言うのに名古屋人の危機感のなさはちょっと奇怪です。加工食品は原料の産地が全くわからなくなっているし、そもそも外食する場合、食材の産地を教えてく れないレストランや飯屋が殆どでしょう。食品の放射能規制値もドイツなどと比べて百倍とかゆるゆるになってしまいました。小さい国土で大量消費ですからゴ ミは焼却しかありません。フィルタなしの焼却なら煙で拡散、フィルタつければ灰が放射線廃棄物となり処理が問題となります。セシウムだけではなくストロ ンチウムやプルトニウムで汚染された魚の骨は生ごみとして焼却され日本中に汚染は広がります。日本は雨が多いので海へ流されて行く量がチェルノブイリなど と比べると多いかもしれないというのが救いといえば救いです。しかし、徐々に日本全土に汚染が広がるのは確実です。福島に住む人はよほど鈍感でものを考え ない人以外は線量を管理しながら怯えて生活していますが、遠く離れた名古屋人が将来同じ生活を強いられる可能性は小さくありません。想像力を持って論理的 に考えるとそうなります。

という訳で、内部被曝について勉強する以外ありません。ここで7月の初旬時点のまとめを書きます。

結論から言うと、御用学者はだめ。医学しか知らず、核物理学の素養のない人はだめ。信頼できるのは、核物理学の深い知識があり、のちに放射線医学に関心を 持つようになった人達です。具体的に名前を挙げると、Ernest Sternglass, John Gofman, 沢田昭二さん、矢ヶ崎克馬さんなどです。チェルノブイリの現場をよく知っている河田昌東さんも信頼できます。武田邦彦さんは毎日ブログを更新していて頼り にしていますが、被曝している子供を持ったお母さん向けに実践的なアドバイスを行うことを旨としているので、原理的な話には深入りしません。その点、沢 田さんや矢ヶ崎さんは原理的な話に少々入ってくれるので勉強になります。

御用学者がどうしてダメかというと、放射線を年間にxxミリシーベルト浴びることによって癌になる確率は、野菜・果物を十分に摂取しない食生活によって癌 になる確率と同程度だから、大したことがないなどと、しゃーしゃーと言ってしまうからです。一体、そんなものと比べてどうするんでしょうか。それにそもそも野 菜・果物を十分に摂取しない食生活が癌を引き起こす確率などどのようにして正確に知ることが出来るのでしょうか。そんなレベルの話をしている人が有名大学の医 学部の先生なのだから不思議です。野菜・果物が汚染されているから、傷つけれられたDNAを補修するための酵素を取ろうとしてもその行為自体が仇になる、 というジレンマについてこそ語るべきでしょう。しかし、御用学者はそこまで頭が回らないようです。原発推進の御用学者になると、内部被曝についての根 源的な議論を避けたくなるからでしょうか。

沢田さんは広島・長崎の被爆者認定裁判で何度も勝利を勝ちとり、矢ヶ崎さんは沖縄米軍の劣化ウラン弾を実地検証したという実績があります。どちらも、内部 被曝を軽んじる原発推進派の御用学者を無能と糾弾しています。シナリオに沿った結論ありきの論文乱造でなく、データをちゃんと取ってまともな科学をやって くださいと真っ当な主張をしています。まあ、わたし個人としては、HIV/AIDSの嘘を知ってしまってからは、医学や薬学の専門家に対する信頼を完璧に 失ってしまったので、素粒子論が専門の沢田さんや物性物理学が専門の矢ヶ崎さんの方に信頼を置いてしまうのは仕方ありません。空間のガンマ線量だけを測って、安全だなどというのは、ど素人でもまともな科学ではないとわかります。高校でα線やβ線のことも習うわけですから、核種が体内に入ったらどうなるかを考えないといけないのは自明の理です。

上にあげた信頼に足る研究者たちは John Gofmanを除き、ネットビデオで肉声を聞くことが出来ます。John Gofman に関しては、"NUCLEAR WITNESSES, INSIDERS SPEAK OUT: JOHN W. GOFMAN, MEDICAL PHYSICIST" と "THE PLOWBOY INTERVIEW JOHN GOFMAN NUCLEAR AND ANTINUCLEAR SCIENTIST" の一読を勧めます。核エネルギー産業の嘘つき体質と異議を唱える研究者に対する弾圧が、その最も初期の段階からアメリカで顕在化していたということがよくわ かります。

ECRRのChris Busbyさんは福島の原発事故によってこの先50年で、40万人の追加がん患者を産み出すと予想しています。チェルノブイリの25年で100万人の犠牲 者が出たというYablokov さんらの説がとても信憑性が高いので大いにありえます。ベラルーシなど、チェルノブイリ事故対策省が強い指導力を発揮して、学校に食物を持っていけば精密 な機器で含有放射能値を測ってもらえるという体制を構築しています。それでも今なおチェルノブイリ二世の子供たちの間で犠牲者が出続けているという状況は 変わっていません。縦割行政の日本の将来が思いやられます。大規模な除染をするのにも縦割りを横断する中央の強い指導力が必要だからです。食物の全品検査 はなおさらです。

内部被曝が一種のタブーであるのは間違いありません。John Gofmanの頃は、冷戦体制を維持したいという体制側の思惑がありました。今では、劣化ウラン弾の真実が広く明るみに出て欲しくないという思惑が働いて います。アメリカ国民にイラク戦争の真実が十分に浸透しているとは言えません。仮にもし浸透したとしてもアメリカの最大の産業が軍事産業なので一朝一夕に 変わることは期待できない構造になっています。日本においては、広島・長崎の被曝訴訟をめぐる法解釈の蓄積が内部被曝を大っぴらに認めてしまうと全部ひっ くり返ってしまう、という危惧があるのでしょう。嘘をつきとおしても現状維持が世の習わしです。哀しい世界ですがそれが現状です。HIV/AIDSと同じ で科学者は買収されています。

最後に、いくつかサイトを紹介します。ひとつは、「僕と核」というサイトです。主の本名はわからないのですが、鎌仲ひとみさんの映画の音楽を担当した人が 作ったサイトで す。ECRRとICRPの討論会のリンクもここで知りました。核エネルギー産業と内部被曝の関係についてよくまとめてあります。もうひとつは、野呂美加さ んの講演です。USTREAMで聞けます。郡山市や福島市では、健康不順を訴える子供たちが増大していますが、放射能との因果関係を認めない医者が多いの だそうです。そういう医者はもう終わっているので無視してください。野呂さんから実践的な情報を手に入れてください。自分の体は自分で守るしかありませ ん。
(July 2011)



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