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癌業界、エイズ、ランス・アームストロング

私はHIVとAIDSの真相について知るまで、癌について深く考えてきませんでした。普通の人と同じように、もし癌になったら有能な癌の専門医を探して治 療を受けるのが正解であると単純に考えていました。もちろん、ランス・アームストロングのIt's not about the bike を読んでいましたから、セカンドオピニオンの重要性は認識していました。彼は、テキサスの病院とインディアナの病院の両方で見てもらいましたが、後者を選 ばなければ死んでいたかも知れません。もし死ななかったとしても、ツールで7連勝するという歴史はなかったかもしれません。ロードレーサーとしてのキャリ アが終わっていただろうからです。

がん治療やがん業界について疑問を持ち始めたのは、エイズ薬として処方されてきたAZTがもともとは癌の薬として開発されたと知ってからです。House of numbers の感想文で書いたように私は知人をAZTによって失っています。HIVがAIDSの原因であるという定説には説得力がある反論が多くの専門家から寄せられ ているのにも関わらず、そのHIVを退治するために、猛毒であるAZTを処方し、HIVの痕跡を消すか、患者自身を消すか、という、ハエを殺すのに機関銃 を使うに似た治療法がまかり通っています。そのような医療業界というのは一体何なのだ、ひょっとしたらがん治療も似たようなものではないのか、と疑問を持 ち、書物やネットから情報を拾ってきました。日本語では近藤誠という放射線医が沢山本を書いていますし、ネット上には英語で山ほど情報が転がっています。

未だに、結論は出ていませんが、暫定的には次のことが言えると考えています。

がん治療は体を傷めつけます。手術はしなかったほうがよかったという場合が多いし、薬療法は基本的に猛毒を盛ってがん細胞と患者のどちらが生き延びるかを 見る荒療治ですし、放射線治療は言わずもがなです。いづれも根本的な治療にはなっておらず、治療をした場合と、治療をしなかった場合の生存率についての決 定的なデータは存在しません。治療することによって半年長く生きた可能性があるのかもしれない(でもそれは証明できない)が、その半年の間、激しい「副作 用」(本当は主作用と言うべき)で苦しむのであれば、一体何のための治療なのでしょうか?

これはHIV/AIDS治療と構造が似ています。どういうことかというと、研究が治療と直結してしまっているのです。研究者は、癌の発生メカニズムを生化 学的に解明しようとします。解明できればそのプロセスに人為的に介入する薬を作り出せばいいのだ、という考えです。何かよく分からないけれど効くようだと か体全体の免疫力を高めるというのではダメで、癌発生の生化学的な理解と薬の開発が相まってはじめて権威ある発見となり、生存率や生活の質向上にどれだけ 貢献しているか疑問でも高い値段で売れる薬が売りに出されるということになります。しかし、現実には、製薬会社の金儲け主義が様々な形で科学を歪めていく のは、がん研究においても、HIV/AIDSと同様に言えることなのかも知れません。それから、もうひとつ重要なのは、薬というのは、自然界に存在する化 学物質であってはならず、人為的に合成したものでなければ特許が取れず、薬として認可されないという事情もあります。だからビタミンのサプリなどいくら効 能があっても「薬」としては売れないことになっています。

ここでランス・アームストロングについて考えてみましょう。彼は、睾丸癌を克服した後、ツール・ド・フランスの7連勝を成し遂げました。睾丸癌について調 べてみると、化学療法が確実に効果的であると証明されている数少ない癌であることがわかります。そういう意味で彼の生還は奇跡的であったのかも知れない が、幸運だったと言えます。彼は、睾丸癌ではない別の癌を患って闘病生活している患者にも心の支えとなっていますが、ある意味で残酷であると言えます。癌 との闘いは苦しいだけで回復の見込みがないことが圧倒的に多いからです。ランスは、癌研究の資金集めにも尽力していますが、それは、基本的に国家予算(税 金)から大学や製薬会社にお金を取ってくるということです。70年代にWar on cancer でさんざんお金を使って癌研究やったのに華々しい成果は出ていません。がん研究で行き詰まったからHIV/AIDS研究に流れてきたというRobert Galloという人もいるくらいで、ランスが頑張っても癌治療に開花する保証はそれほどありません。しかし、ランスのような広告塔がいることは製薬会社や 大学にとっては助かります。House of numbers の中で Peter Duesberg が達観して述べているように、金の流れが出来ればそれにあわせて研究テーマをでっち上げるというのが研究者の処世術でもあるからです。

ハリウッドの映画俳優がアフリカのエイズ撲滅運動に関わったり、ランスががん研究の資金集めに奔走しているのを見て、ほとんどの人が賛同賞賛します。私の ように懐疑的な立場の人間は圧倒的少数派です。以前、ロードバイク関係のサイトで、ランスのドーピング疑惑についてオンラインアンケートがあり、6割が彼 を無実と見、黒と考えている人が2割強に過ぎなかったことを覚えています。彼の支持者が多いのは、彼の癌治療に関する慈善活動が好意的に受け取られている ことと無関係ではないでしょう。私は表層的な理解だと考えますが、ほとんどの人は生活に忙しく、テレビから受け取る情報で世界を理解しているのだから仕方 ありません。

癌についてはネットに山ほど情報があります。保険が使えるのは伝統的な治療法だけですが、それ以外の治療法も色々あります。アメリカでは非主流の治療法を 実践する医者は様々な形で迫害を受けているようですが、日本はより寛容である印象があります。柳美里はかつてがん治療をテーマにした私小説を書きベストセ ラーになりました。そこでは日本よりアメリカの方ががん治療技術が進んでいるという印象を残す記述が多かったと記憶しています。しかし、本当はどうなので しょう。日本の方がひょっとしたら治癒率が高いのかも知れません。





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