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自ら不自由を選ぶ人々

小保方さんが反撃を始めたようです。彼女の手記は読んでませんが、要約を読むと、自分はハメられた、それでもSTAP細 胞は存在する、ということのようです。不屈の精神を持っている魅力的な人です。ファンになりそうです。講談社も頑張っていますね。

この事件がメディアに取り上げられた頃、学生に感想を聞いたら、工学部の学生の半数ほどが彼女に同情を感じているのに対して、法学部の学生の大多 数が彼女を悪者だと決めつけていたのに驚いたことがあります。法学部の学生って実験なんてしたことがないし、新聞に書いてあることを鵜呑みにして いる人が多いからじゃないの、と指摘したら、英語の教師のくせに何を抜かすかと総スカンを喰らいました。実際、翌週の授業では半分くらいの学生が ごそっと抜けてしまいました。詳しく説明しても911事件の公式説が嘘だということを理解できない人もいるし、英語の教員は英語だけを教えていれ ばいいんだという態度だし、法学部は問題が多いです。世の中がおかしくなっているのは法学部出身の人達が社会の色々なところで指導的な立場にいる からではないのかと勘ぐりたくもなります。

閑話休題。本題に入ります。

私の古い記事を読み返すとビデオのリンクが切れているのが多いことに気づきます。Bill Hicks、Joy Campはリンク切れになってし まいました。リンク切れになってもビデオクリップを自分のハードディスクにダウンロードしてあればいいのですが、し忘れ たのもあるので、後になって後悔することになります。

「英語コミュニケーション」の授業ではyoutubeなどのビデオクリップを使って聞き取りの練習をするので、学生には忘れずにダウンロードする んだよと念を押します。 明日も明後日も10年後もネット上に置いてあるとは限らないし、ネット上の言論の自由はファシスト体制の目の前のたん瘤なのでいつ潰されるかもし れないよと警告しているのですが、小さい頃からスマホに慣れ親しんだ最近の若い学生は、スマホがあればどんな情報でも自力でネットから取って来れ ると根拠のない自信があるようです。私が伝えようとしている情報を見つけにくくするために工作員が情報撹乱工作をやっているということについても 想像力が及ばない感じです。しかし、それより驚いたのは、youtube のビデオクリップをダウンロードすることが違法だと指摘する学生が出てき たことです。去年初めてそのような学生がいるのに気づきました。その学生にはpdfの文書をダウンロードするのが合法でビデオが違法である理由を 説明してくれと逆に質問しましたが答えられませんでした。

どうやら著作権に守られているビデオクリップが違法にアップロードされているという実態があって、そういうクリップをダウンロードするのは好まし くないと いう情報が広く流布しており、その延長ですべてのビデオクリップについても同じようにダウンロードを避けるべきだと考えていたようです。技術的な ことを言えば、ビデオクリップはパソコン上で再生するために一時的にダウンロードされてキャッシュされます。だから再生したということはダウン ロードしたということなのですが、そういうことを考えたことがない学生が大多数ですし、ブラウザにビデオをダウンロードするためのプラグインが存 在するということすら知らない学生が大半です。そもそもネット上のビデオなど好きなときにいつでもアクセスして見れるからダウンロードをする必要 を感じたことがない学生が大多数です。

類似のケースを数年前に経験したことがあり、それは中国の学生でした。youtube にアクセスしてアニメーション作品を自宅で見てくるようにと指示を出したのですが、 その学生は見てきませんでした。どうして見なかったのかと問い詰めるとどうやらyoutubeがグーグルのサービスであり中国国内ではグーグルが 違法だからのようでした。中国にはyoutubeに類似する動画配信サイトがあり、そこで検索しても私の課した動画が見つからなかったので、日本 に いるにも関わらず、youtube を避けて結局見ずに終わってしまったというのが事の顛末です。法律は国によって違うので、youtube が合法の日本にいるんだから堂々と使おうよと言ったら、苦笑いしていました。よく知られているようにグーグルと中国当局の関係はよくありません。 ネッ トを管理したい中国当局にとってグーグルが自由すぎるから、という風に理解している人が西側では多いでしょうが、グーグルがスパイ活動に従事して いることに中国当局が警戒心を持っているというのが実状に近いでしょう。いづれにせよ、上に書いた日本人の学生にしろ、この中国人の学生にしろ、 自分で自分の自由を束縛して、その事実に気づいていないか無頓着であるという点が共通しています。

こういう事態は体制にとっては願ったりかなったりです。ほとんどの学生は、北朝鮮などと比べると日本はネットの自由があっていい国だと思っている でしょう。でもその自由を何も積極的に享受しておらず、かえって自分で自分の自由を束縛していてそれに気づいていないという事態が進行していま す。自分が奴隷であると気づいていない奴隷が一番コントロールしやすい奴隷です。反乱など起こりようがありません。支配者は武力でねじ伏せる必要 がありません。

このような奴隷根性の持ち主は大人の中にもいてパーティで出会ったりします。細かい法律の知識を自慢気に語るのですが、我々小市民の自由を守り、 巨悪を懲らしめてくれる法律ではなくて、反対に束縛する法律なり条例なりについての知識ですから、聞いている方としては、白けるというよりどうし てこのような人種が存在するのかと呆れてしまいます。私の場合、基本的に誰の迷惑にもならないなら何をやってもよい、という基本原則で生きていま すから、限りなく白に近いグレーゾーンでそんな法律にちょっと抵触しても誰も咎めないような瑣末な知識をひけらかしたいという思考様式は不思議 としか言いようがありません。でもそういう人達が法学部に行きたがるのかもしれません。もちろん、弱いものの権利を守り、権力者の横暴をチェック するために法学の道に進んだ人もいるでしょうが、最近どんどんそういう人が減っているような印象を持ちます。

以前、あっとするポスターを名大キャンパスで見かけたことがあります。「目指せ、グローバルエリート」とかなんとかいう文句が踊っていました。私 のような英語の独立系メディアから情報を取っている者からすれば、グローバルエリートの意味ははっきりしています。世界の超金持ちのパワーエリー トで世界を実質的に支配している層のことです。彼らから見れば、自分たち以外は全員奴隷です。当然その中に私も入ります。一方、日本語のポスター で使われている「グローバルエリート」はそのような意味では使われていません。グローバル企業で働くエリートサラリーマンというくらいの意味で 使っているのだろうと想像します。そのポスターの作者には、エリートサラリーマンなんて所詮奴隷であるという視点が欠けているようです。そしてそ の視点が欠けているという自覚すら持ち合わせていないのが奴隷が奴隷である所以なんでしょう。

(Feb. 2016)


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