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「勇気ある知識人」と名古屋大学平和憲章

名古屋大学はことあるごとに「勇気ある知識人」ということばを口にします。新入生ガイダンスの際に話題にするし、寄付金を集める際にも名大は「勇 気ある知識人」を育てることを教育方針の根幹に据えていると印象づけたいようです。日本の国立大学は文科省の支配下にあり東大を頂点とする序列意 識に関係者全員が支配されています。「勇気ある知識人」というスローガンはそのような画一的な支配構造の中で独自性を持たせたいというブランド戦 略なのかもしれません。誰が言い始めたのかは知りません。

実は私は最近まで「勇気ある知識人」という題目を名古屋大学平和憲章と同一視していました。名古屋大学平和憲章は名古屋大学の生協で売っている学 生手帳に記されています。先の戦争で大学人がファシスト国家の軍事産業の片棒を担いでしまったことを反省するという趣旨の宣言で私は全面的に賛同 します。「勇気ある知識人」というのは、この憲章の趣旨にしたがって暴走する軍事国家に物申す勇気のある大学人を指すのだと理解してきました。し かし、どうやらこの解釈は間違っているようだということに昨年ぐらいから気がつきました。

学生ガイダンスで私の同僚が説明するところによると「勇気ある知識人」というのは、どうやら「困難な研究テーマに挑戦する勇気」というような当た り障りのない意味に収まっているようなのです。そんな当たり前のことをわざわざ言挙げするのはどういうことなのだと疑問を呈したくなりますが、 「植物物語」というシャンプーの商品名に何の意味もないのと同様の空虚な言葉遣いなのだと納得させています。「安全保障」とか「国益」とか空虚な ことばは他にも沢山あるのでいちいち目くじらを立てても始まりません。

そんなことを考えていたら、一ヶ月ほど前に、名大憲法九条の会の主催による沢田昭二さんの講演があったのに気づきました。ふと資源回収用の紙の束 に目をやったらそのチラシが目に飛び込んできたのです。教員の郵便受けはしばらくほっておくとジャンクメールでいっぱいになります。中には重要な 郵便物や書類も含まれていますが、殆どが資源回収送りとなります。沢田昭二さんの講演を知らせるチラシもジャンクメール扱いしてしまいました。

チラシの内容を少し引きます。

名古屋大学平和憲章は、軍事研究を大学に持ち込ませないという内容の重要性だけではなく、憲章制定のプロセスそれ自体が、「大学の自 治」の実践であったことが重要である。大学「改革」の名の下に「軍産学」の共同が強力に推進される今だからこそ、平和憲章制定過程の経験 を振り返ることで、今後の大学のあり方について考えたい。

沢田昭二さんの肉声を聞く最後の機会だったかもしれないので聞き逃したことを後悔しています。沢田昭二さんの講演やインタビューはyoutube に沢山あります。私の作文でも以前話題にしました。彼は幼少期に広島で被曝しただけでなく母親を目の前で失っています。成長して理論物理学者とな り、被爆者認定裁判に多く関わってきました。私が勇気ある知識人とみなすひとりです。

名大憲法九条の会という団体についてはよく知りません。会員でもないし、その会が主催する講演会に行ったこともありません。ただ、安倍政権が九条 をなくすために色々動いているのでちょっと書きます。

日本の現状が憲法九条に照らしあわせて違法状態であるのは明らかで議論の余地がありません。自衛隊は軍隊だし、安倍政権はその軍隊をさらに積極的 に地球の裏側でも使えるように法律を変えようとしています。このような憲法と現実の乖離は受け入れがたく現実に合わせて憲法を変えようと望むのは 理解できなくはありません。しかし、本音と建前の乖離は、日本に限ったことではなく、アメリカなど史上最大規模のデタラメ国家であると言えます。 911事件を引き起こした連中は国家反逆罪(米国憲法3条3節)で弾劾されるべきですが、オバマ政権は彼らに対して何もできません。「政権交代」 があっても世界最強の権力者は米国憲法を踏みにじってノウノウと生き延びています。似たような事例は世界に枚挙に暇がないでしょう。世界のどこに 行っても権力者は法律の外で動いています。司法を買収しているので平民が立ち上がって腐敗した体制自体を変えるしかありません。個人的には、私は 以前書いたように、第九条はすべての戦争を犯罪とみなすというように、消極的な平和主義ではなく、積極的な文言に変えたほうがいいと思っていま す。そうすれば、自衛隊が軍隊として存在していても戦争には参加できなくなります。

(May 2015)


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