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ワールドカップの戦意高揚工作

サッカーワールドカップの真っ最中なので、何か書いておかないとと考え作文することにしました。これを書いているのは日本が第二戦でギリシャと引き分けた 後です。
 
私は世界最高レベルのサッカーの試合を見るのは結構好きです。朝が早いので生では見られず、仕方なく録画します。今まで、最初から最後まで連続して見た試 合は、オランダ対スペイン、オランダ対オーストラリアくらいです。イタリア対イングランド、イングランド対ウルグアイ、フランス対スイス、ポルトガル対ア メリカなどはところどころ飛ばし見をしました。他は、ハイライトを見ただけです。日本対コートジボアールは前半だけ、日本対ギリシャは出勤直前に生をち らっと見て後は録画したのを見ました。夜中一時から始まったドイツ対ポルトガルやイタリア対コスタリカは途中まで生に付き合いました。
 
観戦した試合の中では、日本の試合が一番レベルが低いという印象です。選手の動き、パスのスピード、パスを出す判断、攻守の切り替え、ドリブル、すべてが 遅かったです。加えて、蹴ったボールの強さと正確さも強豪国のトップレベルの選手と比べると見劣りします。トラップやドリブルの技術も同様です。ヨーロッ パの強豪クラブのレベルにそこそこ適応できている選手も何人かいますが、多くありません。コートジボアール戦ではボールを失ったり奪われたりすることが多 くいらいらし通しでした。ヨーロッパの強豪国はユーロでもやっているしお互い闘い慣れているのでスムーズに試合に入っていきますが、コートジボアール戦は 重苦しく進んで行きました。それでもコートジボアールはリズムをつかみシュートもばんばん打ちましたが、日本の攻撃選手の中にはシュートを一本も打てずに 終わった選手もいたようです。日本対ギリシャ戦は少しましな印象でしたが、レベルが低いのは同じでした。コロンビア戦がどうなるのかわかりませんが、これ だけ得点できないのに、「日本らしい攻撃的サッカー」というお題目はむなしく響きます。もっと決定的なシュートを沢山打たないと話になりません。それ以前 にシュートを打てるゾーンにボールをすばやく持ち込めないと話になりません。ポゼションサッカーと言っても、中盤でボールを回しているだけではどうにもな りません。それも遅いです。ギリシャが引き篭もり戦略を取ったので、日本が中盤でチンタラ回せただけです。
 
ワールドカップ直前には、テレビなどのメディアは戦意高揚プロパガンダを繰り返していました。日本、日本を連呼していました。日本人の連係の強みを生かし て圧倒的な攻撃力でグループステージを勝ち上がるのだとか、今回の日本代表は史上最強であるから優勝も夢ではないとか、選手も解説員も浮き上がっていて、 興ざめでした。毎度毎度ですが、日本人らしい集団の連係を生かしたサッカーとか、高温多湿のコンディションは日本人向きだとか、フィジカルで負けるがアジ リティで勝つのだとか、根拠のないことをべらべらしゃべっていました。
 
このような戦意高揚プロパガンダはただ単にワールドカップで日本中が盛り上がれば消費が増え視聴率も上がってテレビ局や広告代理店が儲かるというだけのこ となのですが、私は、前の戦争の頃の戦意高揚プロパガンダを思い出さずにはいられません。私は一時、戦中期の「中央公論」や「改造」を拾い読みした経験が あります。あのころの日本は大和魂連呼で舞い上がっていて、アメリカを完全に見下していました。日本には大和魂があって団結できるが、アメリカは個人主義 の国なのでまとまりが取れないなどと、全く根拠がない妄想を垂れ流していました。
 
そのような妄想に全く根拠がないことは、オランダ対オーストラリア戦を見れば明らかです。オーストラリア代表は、日本と同じように選手が世界のクラブに散 らばっています。ヨーロッパ、北アメリカ、日本、豪州というふうに時差によって分断されています。代表が集まって試合する機会もそれほど多くなく、代表 チームの中で連係を熟成する時間もそれほどありません。それにも関わらず、対オランダ戦を見るかぎりチーム一丸となって戦えていたしオランダ相手に2対3 というのは、一人少ないギリシャ相手に0対0で引き分けるしかなかった日本と比べると健闘したと言えるでしょう。なにより、プレーの質が高いので見ていて 楽しかったです。2戦でグループステージ敗退となってもファンは十分満足できるのではないでしょうか。第三戦の対戦相手であるコロンビアはもうすでに次の ステージに進むことが決まっているので、主力選手を温存してくるでしょう。2軍のコロンビア相手に3点くらい取れなければ、「攻撃的サッカー」の名がすた ります。
 
気になったことを幾つか書きます。
 
第1戦のコートジボアール戦は現地時間で夜10時キックオフ夜中の12時に終了という正気の沙汰ではないスケジュールが組まれていました。日本時間で日曜 の朝10時開始という事にして視聴率を上げようとしたのでしょうが、このような視聴率ビジネスは幼稚なのでもう止めてもらいたいです。テレビを見る人はリ モコンでチャンネルをどんどん変えているので、視聴率なんて意味があるとは思えません。
 
コートジボアール戦は日本選手のコンディションが悪いように感じました。単に初戦で緊張していたとか、筋肉隆々の相手選手に萎縮したとかという以上の何か を感じました。凡ミスが多くて、動きにキレがありませんでした。前半しか見ていませんが、後半に2点取られて悪化したようなので改善はなかったのでしょ う。
 
前回の南アフリカ大会では選手の運動量が多く、引き篭もりカウンター狙いのサッカーをしてもそこそこ得点を上げチャンスも作り出していました。今回は、ポ セッションサッカーをしたといっても後ろでボールを回している時間が多くて、決定的なチャンスはそれほど多く作り出すことはできませんでした。暑さ対策 で、フロリダで合宿するより、コロラドで高地トレーニングをしたほうがよかったのではないでしょうか。南アフリカで走り回れたのは明らかに高地トレーニン グが効いていました。
 
試合自体は見ていませんが、開幕戦のブラジル対クロアチアは西村雄一という人が主審を勤め、その仕事ぶりが批判の対象になりました。ブラジルがPKを得た 場面のビデオを見ると、明らかにブラジルのフォワードが故意に倒れています。シミュレーションと呼ばれる反則です。これを見抜けなかった審判は明らかに能 力不足です。クロアチア選手に詰め寄られて走って逃げたのも印象を悪くしました。クロアチアにしてみればあの試合は勝つか引き分ける可能性があった試合な ので、西村主審の仕事ぶりに怒りを爆発させていました。ネット上では、英語で抗議しても西村主審は日本語で返答したと証言するクロアチア選手の声が聞かれ ました。
 
今回の日本代表のレベルは客観的に言ってグループステージを突破できれば上出来だと考えてあまり高望みせずに応援するのがいいのではないでしょうか。私は 質の高いサッカーを観たいだけなのでどのチームも応援していません。ファンベルシ、ロッベン、スアレス、ケーヒル、メッシ、ロナウド、ベンゼマなどなど、 能力が高いフォワードは野球で言えばホームランバッターなのでなくてはならない存在です。彼らのレベルの決定力を持つ選手は日本代表にはいません。そうい う選手がいないチームがワールドカップで優勝するなどということはありえません。選手が優勝するぞと自分自身を鼓舞するために大言壮語しても煽られないよ うにしなければなりません。
 
要するに、世界トップレベルのアスリートの妙技を楽しめばよく、国を応援するというのは意味が無いので私はやりません。
 
(June 2014)
 
(追記)コロンビア戦は朝出勤前にハイライトを見ました。録画しましたがたぶん見ないだろうと思います。本田選手の病気のことを書き忘れました。彼はバセドウ病になったらしく首の付け根辺りに手術あとがあります。目付きが変わったのでネット上では話題になっていましたが、ワールドカップ直前に発表がありました。テレビなどの既成メディアが大きく取り上げないのは、放射能との関係を話題にしたくないからだと考えられます。ネット上でもブログ運営会社が検閲して話題が広がらないようにしたようです。日本でもネットの検閲があるようで嘆かわしいことです。



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