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慰安婦問題

ヒマラヤの海抜8000メートルより上は
デスゾーンと呼ばれている。
氷詰めの遭難者を横目で見ながらゼーゼー息を切らせて
一歩々々進まねばならない。
長居は出来ない。ピークに居られるのは長くても5分。
空気の濃度は外界の1/3。
死の領域、とは事実をありのままに表現した正直な言葉だ。

それにひきかえ、
慰安婦、警戒区域、風評被害、コラテラルダメージ(collatteral damage)
などなど
全部嘘で固めた言葉だ。
性奴隷、立ち入り禁止区域、放射能被害、ミサイル攻撃による巻き添え死者
とちゃんと正確にそして正直に言え。
嘘ばかり言ってると脳が腐ってくるぞ。
後ろめたい気持ちがあるから嘘をつくのだ。
馬鹿な奴らは嘘を見抜けないからとりあえず騙しておくのだ
という態度でいるとあんたの子供が騙されるよ。
そのうちあんたも嘘をホントだと思い込むようになるよ。
それでいいのか。

愚かな屑どもよ。

という具合にポエム風に始めてみましたが、これは作文なので、作文調に戻します。

先学期、英語で口頭発表させるクラスで、女の学生が慰安婦問題を取り上げました。慰安婦問題で日韓の関係がギクシャクしているが、正常に戻さなけ ればならない。そのためには若い人たちの交流が重要である。交流を広げて仲良くしなければならない。という主旨の発表をしました。まったくもって その通りだと思いましたが、ある一人の男の学生は、口をもごもごさせて何か言いたそうでした。彼の英語の力では説明出来ないようだったので、私が 彼の意思を確認するために幾つもの質問をして、それに対しての彼の短い答えから私は彼の意見を推察するしかありませんでした。推察するに、彼の反 論は、慰安婦は売春婦であるから、労働に対して対価をもらっているので日本が責められる筋合いはないというものでした。彼は、あるアメリカの研究 者が慰安婦を調査してすべて売春婦として雇われていたことを確認したという記事を新聞で読んだと言っていました。そういう彼に、私は、sex slaveや human trafficking という英語のことばを教えました。英語の授業なので一連のやりとりは全部英語です。次に、youtube に行って、human trafficking に関してのクリップも見せました。締めくくりに、私は、トルコ人によるアルメニア人虐殺の話をしました。私はアメリカでアパートをシェアしていた時、トルコ人がルームメー トになったことがあります。彼はお爺さんが位の高い軍人だったらしくて、オスマントルコの輝かしい過去の話ばかりしていました。彼は、トルコ人の 留学生が外国に出るとアルメニア人虐殺について必ず聞かれるからちゃんと議論できるように教習を受けるのだと教えてくれました。日本人にとって慰 安婦問題は、トルコにとってのアルメニア問題のようなものなので、外国に出たらちゃんと英語で議論できないとだめだよ、と私は学生に言いました。

正直言って、朝日新聞が記事を捏造したとか何とかの細かい議論がメディアを騒がしたそうですが、全然見てません。別に朝日新聞が捏造したって、そ んなもの他の新聞も年がら年中捏造してるんだから同じ穴の狢だろ、としか思えません。朝日新聞を擁護する気などさらさらなく、皆同じくらい腐って いるのに批判しあって茶番だろ、としか言えません。そもそも既成メディアは殆ど全部無視しています。学生にも本当のことを知りたければ、嘘が多い ネットの中に入っていって真偽を自分で判断するしかないのだ、我々はそのような時代に生きているのだと教えています。

一体、20年以上に及ぶアメリカのイラク介入によってどれほどの数の女性が難民となり性奴隷として近隣のアラブ諸国に売られていったのでしょう か。サウジアラビアなど正式な妻であってもあのような扱いですから、金で買った外国の女など人間扱いしてなくても何も驚くことはないでしょう。米 軍に出入りするセキュリティクリアランスをもらった業者が人身売買に関与している疑いがあるとアメリカ議会で質疑応答がありました。911真相究 明運動で有名なシンシア・マッキニーが国防長官のラムズフェルトに質問したものです。youtubeで見ることが出来ます。DynCorpという 会社です。

だいたい、仮に日本軍が慰安婦問題に何らかの形で関わっていたとしたら、直接であったはずはありません。世界どこを探しても軍が直接売春業に係わ ることはないでしょう。金を出して業者にやらせるに決まっています。そして、業者を雇ったという記録は敗戦直前のごたごたの中で焼却されたはずで す。しかし、元慰安婦だった人の証言は消せないし、日本の軍医で性病管理を任された人の手記が残っています。

大体、歴史というものは、公式な記録が嘘であることが多いのは、911事件の例を見ても明白です。だから、政府機関が出した資料を歴史家が色々 引っ張り出してきて、あーだこーだ言っていても、適当に聞き流しておけばよく、そんな戯言を真に受けて色々考えを巡らせるのは時間の無駄です。洋の東西 を問わず、生活に困った女子供が性産業に叩き売られるのは、普通に見られる光景です。からゆきさんとか『サンダカン八番娼館』とか聞いたこ とがないのでしょうか。東南アジアでは貧しい少数民族の子供たちが売り飛ばされてバンコックなどで性奴隷として働かされています。梁石日が『闇の 子供たち』という小説を書いているので読んでみてください。内容は絶句するほど悲惨ですが、それが現実です。組織暴力や軍の関与 が示唆されており、DynCorp の例を知っている私などはその通りだろうと考えています。小説だからフィクションに分類されていますが、事実で す。ノンフィクションとして梁石日が実名を出して発表すれば、彼は生きていないでしょう。恐ろしい世界ですが、それが現実であるという理解が広ま らなければ、世界はよりよい方向に向かっていかないでしょう。

いわゆる慰安婦問題については村山談話や河野談話をめぐる議論が山ほどネットに転がっています。政治家や歴史家になるにはその詳細を熟知しなけれ ばならないのでしょうが、私は詳細に興味がありません。不確かで瑣末な情報に関わっていると本質を見失うからです。論争をし始めると相手のちょっ とした事実誤認や失言を追求してちまちま得点を稼ごうという戦略に陥りがちで、政治家や弁護士はそれが仕事なのだから情熱を傾けるのでしょうが、 私にとっては時間の無駄です。ぼおーっと星を見ていたほうが百倍ましです。

慰安婦なんて言葉はやめにして、性奴隷という言葉で現実を冷酷に見据えないと、世界は何も理解できません。目を覆いたくなるような事実であっても 事実をありのままに捉える言葉を使って語らないと世界の現実は伝えられません。まだ、20歳にもならず、世の中のことを何も知らない学生が、そうだ からこそ、「慰安婦」をめぐる政治的言辞に翻弄されてしまっているのを見るのは哀しいですが、少しずつ真実の側に引き戻して行かないと駄目だと 考えています。

(Oct. 2014)


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