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「大地を守る会」の放射能連続講座

表題の連続講座の殆どを聴きました。ためになる情報が沢山あるのでお勧めです。

「大地を守る会」は、東京に本社を持つ会社で、日本全国の契約有機農家から買い付けて全国の消費者に販売してきた実績を持ち、その歴史は長く今年で35周 年を迎えるようです。講演者の中には伊藤俊彦さんや浅見彰宏さんなどの福島県の有機農家の人がいますが、彼らと「大地を守る会」の関係も長いのだろうと想 像します。伊藤さんによれば、チェルノブイリでは小麦畑が汚染されたが、今回の福島事故は、水田が高濃度に放射能汚染された世界最初の事例なのだそうで す。そのため、放射能が米に移行する過程の詳細を明らかにし、放射線防護の方策についての知見を積み上げて、世界に伝える使命を負っている、と強い意志を 表明していました。福島で農業を可能にするための技術的方策を探るために、マスクと防御服のフル装備で、作付するというのは、正気の沙汰ではないという受 け止め方をする人もいるかもしれません。私も彼らの話を聞くまでは、そのような否定的な感想を持っていました。しかし、話を聞いて考えを改めました。科学 が正しい情報を蓄積していくためには、一見、無謀な実験もやっていかなくてはなりません。その主体になっているのが、有機農家だというのは、皮肉と言えば 皮肉ですが、彼らの話を聞くと農業を続けたいという強い意志を感じるので、納得させられます。農作物への移行を十分に低くすることが出来るのなら、汚染地 での農業を禁止する理由はありません。消費者に食べることを強制することは出来ませんが、作り続けたいという農家を止めることは出来ません。

彼らの結論は、福島で農業は可能であるというものです。米への移行が微量でゲルマニウム半導体検出器で長時間かけて測っても1ベクレル未満であったという 主張に嘘がないのなら、福島の米は避ける理由がありません。もちろんストロンチウムやウランやプルトニウムなど他の核種も同様に微量であればの話ですが。

しかし、消費者が福島や関東一帯の農産物を避ける場合、それなりの理由が明確にあります。意識の高い農家が1ベクレル未満の米を福島で作ることに成功して も、南相馬のような比較的線量が低いところからでも、規制値の100ベクレル以上の米が検出されています。それに島津製作所のハイテク機を使って全袋検査 と言っても、5秒かけて100ベクレル、15秒かけて50ベクレルが検出限界ですから、せいぜい規制値を超えないように管理しているだけにすぎません。私 のように、ドイツの放射線防護委員会の勧告した数字である1キロ4ベクレル以下を求める場合、西日本の農家から直接買うしかありません。福島の伊藤さんか ら直接買ってもいいでしょうが、そこまでリスクを負う必要はありません。ネットビデオで見たのですが、ある福島の農家の人が自分は自分で作った米を食べな いが、キロ100ベクレル以下だから流通させていると告白していました。生活するには他に方法がないと語っていました。武田邦彦さんが主張しているよう に、原子力関連予算を削って、農家の救済に使うべきだと思いますが、その程度の政治力も永田町の連中は持てないようです。何のために政治家になったので しょうか。

連続講座で一番驚いたのが、児玉龍彦さんの質疑応答です。彼は、放射性セシウムが人体の細胞の中でどのような挙動をするのかよくわかっていないと言ってい ます。カリウムはよくわかっているが、セシウムはよく分かっていないので、調べるために、研究計画書を書いたのだが、東大内の審査で第2位という高い評価 を受けたのにも関わらず、文科省に持っていたら落とされたそうです。これには驚きました。まず、セシウムの代謝の詳細が分かっていないというのは俄には信 じがたいというのが偽らざる感想です。想像するに、アメリカ、ソ連、中国、フランス、イギリスなど、大気圏核実験を行った国は調査してデータを持っている が、軍事機密となっているので、アメリカの属国である日本は見せてもらえないということなんでしょうか。既成メディアに接していると、放射能汚染について の情報を隠そうという意図を強く感じます。世界の核マフィアがメディアと日本国家に圧力をかけているのでしょうか。いづれにせよ放射能について、とくに内 部被曝の実態について研究するのはタブーのようです。政治的に中立な科学なんて存在しないことがよく分かります。

河田昌東さんの話はためになります。彼は食品に関しては子供も大人も1キロあたり10ベクレル以下なら大丈夫と言っています。ひょっとしたらそのへんが正 解なのかも知れません。チェルノブイリ周辺で子供の8割近くが被曝による慢性の疾患を抱えているのは、どれだけ表向きの規制値が厳しくても、汚染された土 地からとれるきのこやベリー類に大きく依存する自給自足的な食生活を変えられないからなのだろうと推察できます。ホールボディーカウンタで測ると事故の ずっと後で生まれた子供たちですら、体内被曝量が高いのはそのためなのでしょう。今日の日本では、気をつけて食品を選んでおればそのレベルの内部被曝を受 けることはたぶんないだろうと考えられます。海外から汚染されていない食料を輸入するために長時間労働しているんだと考えれば、ちょっと気が楽になりま す。

彼のバイオレメディエーション(bioremediation)の話はなかなか興味深いです。日本の森林を除染するのはそれしかないでしょう。ウクライナ における菜種のようには行かないかも知れませんが、試行錯誤でいろんな方策を探すしかありません。彼の話で少し疑問を感じたのは、ホールボディカウンタで 測った数字に高い信頼を寄せていることでした。ウクライナのそれと日本のそれは厳密な校正なしに比較できるのでしょうか。福島の子供たちをHBCで測ると それほど高くなく、時間につれて、数字が下がっているという話を聞いたことがありますが、環境の汚染があれだけ高いのに遮蔽は十分に出来るのでしょうか。 尿のセシウム値を測る方が正確であるという主張も目にしたので、確信が持てません。事故直後は、名前は忘れましたが、屑御用学者が自分が開発したという棒 状のHBCをかざして心配ないを繰り返していたのをネットビデオで見たので、HBCをめぐるデタラメが底なしである可能性は払拭できません。

高橋弘さんの話もためになります。ただファイトケミカルについての研究は彼が述べているようにアメリカが発祥地なので、英語では山ほど情報源があります。 私はこのたぐいの栄養学についての知見は英語のサイトからとっています。放射能防護のために免疫力を高く維持するため、日々の食事に気をつけなければなら ないというのは、全くその通りとしかいいようがありません。高橋さんのファイトケミカルについての話はためになりますが、彼の放射能についての説明は、甲 状腺がんについて触れるだけという点から推察できるように、不十分であり、平均的な医師がどれだけ不勉強なのかよく分かります。高橋さんのお母さんは埼玉 で自家菜園をやってるそうですが、田んぼの土壌がどの程度汚染されているか興味がなさそうなのは、ちょっと驚きです。開明的な医者がこの程度なのだから、 後は推して知るべしです。自分の体は自分で守るしかありません。

勝川俊雄さんは福島事故当時からツイッターでその存在を知っています。彼の基本的なスタンスは、市場に出回っている魚介類は安全であり子供にも食べさせて いるというものです。残念ながら、私はそこまで楽観的になれません。ただ、無性に寿司を食べたくなる時があり、その場合、日本海の魚だけを扱っている店に 行きます。最近スーパーで富山産と表示してあった青魚を買って食べました。今のところ、体に異常はでていません。あとは、チリ産などを探して食べます。福 島事故以後、魚の消費量はかなり減りました。以前は、さんまが旬な時は毎晩さんまでも嬉しかったのですが、もう長い間食べていません。旬のさんまを食べる 時が自分が日本に生まれてよかったと感じる時だったのですが、福島事故以降、かなり日本に愛想が尽きたので、さんまもそれほど恋しく思わなくなりました。 思えば長い間アメリカとかフランスに住んでいた時はサンマの塩焼きなど食べなくても別に寂しくなかったので、外国に住んでいると考えればやりすごせるで しょう。

勝川さんは、日本政府がグリーンピースを敵視して協力しなかったのは間違いであったと述べています。同感です。ただ私の場合、グリーンピースを含め世界の NGOに大した期待をしてはいません。グリーンピースが出したチェルノブイリについての報告書も、ICRP=WHO=IAEA=UNの公式説よりはましで すが、それほど信頼できるとは思いません。そのようなグリーンピースでさえ敵視して協力しなかったというのは、日本政府の度量の狭さを表しているので情け ないとは思います。ただ、911以降、世界の戦争屋が、表向き「平和活動」に携わっているはずのNGOを巻き込んで戦争を拡大してきた過程を見れば、崇高 な理想を掲げたNGOですら運営資金を確保するために、どんどん腐敗に引きこまれて行かざるを得ないというのが自明なので、あまり信頼を寄せてはいませ ん。ないよりまし、日本のような後進国ではもっと増えるべき、だとは思いますが。

北海道がんセンター院長である西尾正道さんの講演は必見です。ICRPを名指ししてデタラメであると言い切ったのはこの人だけです。私も同感です。聞き手 の戎谷徹也さんは、自分自身もシーベルトの算出に科学的根拠があるのか疑問を持ったと吐露しています。放射線加重係数とか組織加重係数とか、科学的根拠を 疑うのが普通の頭でしょう。しかし、「大地を守る会」は白石久二雄さんのようなICRPのモデルにどっぷり浸かったような人も同時に呼んで講演をしても らっています。彼と西尾さんを聴き比べれば、どちらが信頼できそうか、話し方からも、判断できるでしょう。

ICRPのような頓珍漢なドグマの廃棄はなかなか進みません。何度も書いていますが、腐敗した産業がダウジョウンズ指数などに巣作って年金ファンドなどを 人質にとっており、一般人も共犯になってしまっているので、科学論争ではどうにもならないようになっています。素人である普通人の覚醒しか現状を変える手 立てはありません。科学者は買収されています。

西尾正道さんの話が面白いのは、放射線医学学会の舞台裏をぶっちゃけてくれているからでもあります。彼は、日本の放射線医学学会の重鎮と議論する場がなか なか与えられないことに不満を述べています。明石真言などは討論から逃げたし、長瀧重信などは、甲状腺がんは内部被曝だろと言ったら反論も出来ず、口をも ぐもぐさせるだけだったと名指しで非難しています。まあ、連中もわかっているのでしょう。広い場所に出て十分な時間をかけて討論したら負けるとわかってい るから、権力の後ろ盾がある間は逃げまわるのでしょう。武田邦彦さんも雑誌を通じて御用学者に対談を申し出たらすべて断られたとポドキャストで語っていま した。HIV=AIDSのドグマも同じです。ドグマ側に陣取っている学者で頭がいいのは確信犯的に嘘をついていますが、中には正真正銘のアホがいて自分の 非が理解できないので話が複雑になります。政治家はあらかたアホなので、そのようなアホな御用学者を肩書きだけで信用してしまうのでしょう。西尾さんは、 質疑応答の最後の方で、「利口な人間は政治家になんてならない」と吐いて捨てています。わたしも残念だけど同意せずにはいられません。

(Oct. 2013)



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