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日本プロ野球はライト級です。認めれば幸せになれます。

2013年6月某日、朝早くから歯医者の予約が入っており、出かける前に憂鬱な気分で、テレビとつけたら、日本プロ野球統一球変更問題で、加藤良三コミッ ショナーが記者会見を開いているのを聞きました。

統一球の変更の事実を記者会見の前日に初めて知ったと語っていました。そんなことありえるでしょうか。大抵の人は嘘だと思うでしょう。加藤さんは在米日本 領事館で総領事をした経歴の持ち主で、外務省では出世コースを歩んだ人のようです。「これは不祥事ではない」という言明は、自分のようなエリートには不 祥事なんてありえないのだ、と自分に言い聞かせているような口ぶりでした。自分が嘘を言っているのかどうかは大した問題ではなく、世間体だけを気にしてい るようでした。

私が見た番組によると、飛ばない統一球を導入する決断をしたのが加藤コミッショナーその人だったということなので、今年2013年によく飛ぶ球に変更した 場合、彼がその事実を事前に知らないということはありえないでしょう。事実、下田事務局長は彼と事前に協議したと前日に語ったそうです。当然でしょう。そのよう な重要な問題にコミッショナーが直接関わらないなどということは考えられません。しかし、記者会見では、下田事務局長は、加藤コミッショナーを守るためでしょ うか、前言を撤回しました。

何というか、朝早くから醜いものを見てしまいました。じたばたしないで、ホントのことを言えよ、たかが野球じゃん、911じゃないんだから、とテレビに向 かって叫びたくなりました。たかが、野球でしょ。

事の発端は、MLBに合わせるべく、飛ばない統一球を導入したことにあります。加藤コミッショナーはMLBファンなので、日本のボールをMLB規格に近づ けるのが世界で野球を広めるのに必要と考えたのでしょう。その判断は一概に間違っていると断定できません。

でも、その結果ホームランの数が激減しました。そうなると、興行的に問題になるだけでなく、MLBに行けば箸にも棒にもかからないレベルの投手の自責点が1 点台になるというような珍現象が現れてきて、これどう考えても問題でしょ、というような展開になったのだと想像します。NPBは殆ど見ないので想像で書い ていますが、たぶん当たっていると思います。

そこで、さらに想像を続けると、ホームランが出ないと客も減るし、商売上がったりだし、球を変えようよ、という声が球団のオーナー達から出てきて、協会も無 視出来なかったのだろうと考えられます。何だかんだ言っても、プロ野球は興行であり金儲けですから、ボールの規格を世界的に統一するという崇高な理想は うっちゃられます。

しかし、そうなると責任問題が生じます。統一球導入を決めたのは誰なんだ、公の場に出てきて釈明せよという声に答える必要が生じます。変更する際も、その 説明をしなければなりません。私などは、たかが野球なんだから、すべてぶっちゃけて、本音でファンと選手に説明すれば、毎年ころころ変わっても別に何の問題もないだろうと 思いますが、加藤コミッショナーの類のエリートは世間体を気にしてその責任から逃げまわり、他人に責任を押し付けようとするから、今のような醜態を晒して いるのだと想像します。

NPBとMLBのボールを統一しようとする場合、一番楽なのはMLBが使っているボールを輸入することです。TPP的解決法です。しかしそうなるとミズノ を切り捨てることになりますが、それは過去の経緯もあって難しいのでしょう。金儲けの現実と崇高な理想は一筋縄では両立できません。

ファンにも責任があるでしょう。MLBがヘビー級ならNPBはライト級であるという厳然とした事実を受け入れられないファンが沢山いるようです。 NPBのエリート選手を集めてMLBで1シーズン戦えば、最下位になる確率は非常に高いと考えられます。ヤンキーズの松井選手ですら、チャンスに強かった とは言え、MLBでは並のパワーヒッターでした。野球という球技はサッカーと違って体格がどうしようもなく成績に反映します。MLBとNPBは別のリーグ だと納得するのが精神衛生上いいのではないでしょうか。

野球ファンはMLBでもNPBでも、歴史を語りたがります。金田投手とダルビッシュはどちらがすごいかとか、ベーブ・ルースとバリー・ボンズはどちらがす ごいか、というような議論です。史上最強の捕手は誰かなどを議論し始めると、百家争鳴状態となります。しかし、時代が変われば、道具もルールも体格も栄養状 態もトレーニング法も違うので、選手の成績を示す数字を時代を超えて単純に比較するのは、全く意味がありません。たかが野球なので、地元チームを応援して勝 てば喜べばいいのではないでしょうか。

要は、日本は日本の野球として楽しめればそれでいいのです。道具も変わっていくし、選手の体格も変わっていくし、ボールが変わったってどこに問題があるのでしょうか。シーズンが始まる前に最高責任者がちゃんと関係者全員に説明すればいいだけのことです。

しかし、たかが野球の瑣末な問題を、責任者がちゃんと解決できないのを見せつけられると、原発などを運転する資格が日本の経営者にあるのかどうか、大いに疑問 です。(という具合に何について考えても原発事故に行き着きます。日本が直面する最大の問題なのだから仕方ありません。放射能についての話はタブー視しておいて、たかが野球の球の話でこれだけ盛り 上がるなんてほんとに日本国民はノーテンキだなと感心します。)

最後に、加藤良三さんについて一言。彼は、2013年にホームランが激増したことについて、ボールが変わったからだとは思わなくて、選手が優秀なので飛ば ないボールに対応出来るようになったからだと考えたそうです。これはありえません。嘘をついているかどうかは、ひとまず棚上げにしたとしても、野球につい てこの程度の理解しかない人が、プロ野球のコミッショナーをやっているというのは問題です。別に野球に興味がなくても、統計など一般常識的な知識があれば 理解できるレベルの話です。とは言っても別に驚きはありません。今回の原発事故騒動で有名大学の偉い先生のアホぶりが白日の下に晒されたので、元エリート 官僚がアホであっても驚かないようになってしまいました。

(June 2013)

追記:ネットで調べたら2013年に変更される前の統一球はMLBの球より飛ばないらしいということがわかりました。加藤コミッショナーはWBCの国際規格の球に近づけようとして統一球を導入したのであって、MLB球のコピーを作ろうとはしていなかった模様です。飛ばない統一球とWBCで使用される球の違いの詳細は知りません。素人考えでは、ミズノがMLB球の完全コピーを作りそれを世界統一球にすればいいと思いますが、たかが、野球のボールでも一筋縄ではいかないんでしょう。材質をちょっと変えれば反発係数が変わるので容易ではないのでしょう。  



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