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マイクロソフトが東電であることについて、あるいは、リナックスの勧め

最近、ようやくと言ってはなんですが、64bit OSの必要性を感じ、Windows 7とUbuntu Linux の64bit版をインストールしました。最近デジカメの進歩がめざましく2万円そこらのコンパクトデジカメでもフルHDで動画撮影が出来るものが出まわっ ていて、動画の編集くらい出来ないと時代に取り残されるなと考えたのがきっかけです。私が去年書き始めた一連の文章でもネットビデオから情報を取ることの 重要さを何度も強調してきました。デジタルデータは文字を扱っているだけなら、32bitでも全く問題ありませんが、最近のデジカメの巨大画像や動画を扱 おうとすると、64bitは必須と言えます。

WindowsとLinuxの両方を久しぶりにインストールしてみて気づいたことを書きます。

Windows 7のインストールはXPの時と比べると随分まともになりました。32bitのUbuntu Linuxはインストールが本当に速くシステム再構築もラクラクでしたが、XPは地獄でした。時間がかかるだけでなく、古いパッケージをインストールする となるとアップデートするための面倒な手順があります。認証というLinux にない手続きもあります(Linuxはインストールし放題です)。Windows 7のインストールは比較的速いですが、それでも64bitのUbuntuと比べるとかなり遅いです。まあ起動も遅いのでこんなものかと諦めています。

Windows 7の振る舞いは一言で言うと、傍若無人です。俺は独占してるんだから好きなようにさせてもらうよという感じです。インストールの途中で、「パーフォーマン スを上げるためにパーティションを作る場合があります」と予告して、実際に勝手にパーティションを切ってスワップ領域を作ってしまいます。どこにとも断らず、勝手にです。他の OSなんて知らないよ、という感じです。インストールは比較的簡単でしたが、ネットに繋がらないのは驚きました。マザーボードの会社が同封しているドライ バをインストールしないとネットに繋がらないのです。俺はOSなんでドライバなんてハードウェアのベンダが勝手に作ってね、俺は知らんからね、と言 いたげです。一枚のインストールディスクに必要なものがすべて入っているUbuntu Linuxに慣れていた私は、ちょっとしたカルチャーショックを受けました。誰がドライバを提供するかという点ではっきりしたルールがないようで、サウン ドドライバについてはインストールした直後はマイクロソフトが提供したものを使っていたので音が鳴ったのに、その後、マザーボードの会社が提供したものを インストールしたら不具合が出るという災難に遭遇しました。ネットワーク関係のドライバはマザーボード会社が提供、サウンドカードはマイクロソフトが提供 と一貫性がないのでインストールするときにハマるユーザが続出するでしょう。Ubuntu Linuxの場合、必要なものをすべて含んだCD-ROMからブートして、ネットにつなげたり、音を出したり出来ますから、Windowsは何年も遅れて います。起動もインストールもUbuntu Linuxよりずっと時間がかかります。

私がWindows 7をインストールしたのは、そのOSでしか動かない動画編集ソフトを使う必要があるからです。普通の人が普通に使うパソコンの用途を満たすためには、今の Ubuntu Linuxは十分すぎるほどです。画像管理ソフト、画像処理ソフト(フォトレタッチ、デジタル現像など)も充実しているし、結構使える動画処理ソフトもあり ます。天文写真カメラソフトも開発されつつあります。ただ、特定のソフトを使いたくてそれがLinuxで走らないと、Windowsを嫌でもインストール しなければなりません。税金みたいなものです。Windowsしか使ったことのない人にこの理不尽さやWindowsというOS自体のダメさを訴えても、 アプリを使うんであってOSを使うわけではないからね、何でもいいじゃないOSなんて、などと言われてしまい、暖簾に腕押しです。

独占があってそれが常態になり、ほとんどの人がその異常さに無知・無関心になるとこうなります。

まるで、東電のようです。誰だって東電以外から電気が買えるなら乗り換えたいと思うでしょう。私などパソコンの用途で99%はUbuntu Linuxで用足りているわけですから、たった一つのアプリだけのためにマイクロソフト税を払わなければならないなんていうのは理不尽です。

Linuxは大多数のユーザにとってWindowsより優れています。まず、起動が速い。安定している。ソフトウェアのパッケージ管理、アップデート管理 がしっかりしている。インストールすればすぐ使える。例えば、アーカイブソフト、pdfリーダ、画像(写真)管理ソフト、オフィススイート、動画閲覧ソフ ト、などなどがすぐ使えます。Windowの場合、アーカイブソフトすら同封されていません。Vectorなどに行って取ってくる必要があります。定番ソ フトというものを誰も管理していないので、使えないダメダメなものも沢山あります。ダウンロードしてインストールしたらウィルスが入っていたということも ありえるでしょう。Linuxの場合、再インストールやシステムの再構築が容易です。CD-ROMからブートできるのでインストールする前に事前にドライ バ関係でどのような問題が出そうなのか予測できます。Windowsが独占状態なのはその製品の質が高いからでは決してありません。独占状態になると、大 多数の人が他の商品と比較検討する機会を奪われることになるので、正しい判断ができません。

同じことが日本の発電市場について言えます。東電は地域独占であり、やりたい放題出来るので、我々はとんでもない電気料金を受け入れされられてきました。 福島の事故があって、やっと初めて私のような一般人も総括原価方式という東電ボロ儲けのからくりを知ることとなったのです。東電にとっては、借入金の利子、燃料費、 備品の価格、広告費(独占企業がどうして広告を出す必要があるの?)などなどコストが高ければ高いほどいいのです。メディアを買収する費用すら原価となり 電気料金として回収できます。英米流の資本の論理が働くところでは、発電コストが高くて危険な原発はスリーマイルやチェルノブイリ事故以降ずっと下火でし たが、日本ではコストがかかればかかるほどその分電気料金を上げて回収できるので、原発のようなコストがかかる投資は願ったりかなったりなのです。無駄 遣いの方向にしかインセンティブが働きません。立命館大学の大島堅一教授によると、2012年4月からの電気料金値上げは火力発電所のコストが上がったか らというよりも、原発関連コストを回収するためだそうです。

私は、OS/2やLinuxなど主流でないOSを使い続けてきたので、マイクロソフトの独占がもたらす弊害について、一般人より正しく理解することが出来 ました。そんな私も日本の電気料金の仕組みについては、福島の事故が起こるまで全く無知でした。無知につける薬はありません。知ろうとしない人には、尻をひっぱたいてでも知らしめる のが教師の仕事なのかな、と最近考えるようになりました。

という訳で、Windowsを使っている人は全員、Linuxを試してもらいたいと思います。そうすれば、世の中の仕組みについて、今よりちょっと理解が 深まるでしょう。

(April, 2012)


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