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ランス・アームストロング、ツール7連勝のタイトル剥奪

スポニチ新聞によると

米国反ドーピング機関(USADA)は、8月24日、ドーピング違反で告発した自転車ロードレースのランス・アームストロング(40=米国)に対し、ツー ル・ド・フランスの7連覇を含む98年8月1日以降の全タイトルを剥奪し、自転車競技からの永久追放の処分を科したと発表した。

ということなのだそうです。英語でも同じ情報が取れます。

その処置に対して、ランスは異議申し立てを放棄する意向を表明しました。この一連の進展についてネットでは様々な意見が出ています。ロードレースにメディアとして関わっている人達から、普通のファンに至るまで、様々です。

ロードレースメディア関係の人が、曖昧な反応をするのは仕方がありません。自分が職業として関わっている業界に八百長が蔓延していると認めることは自分の 首を締めることだからです。ツールが毎年開催されるから、主催者側からホテル宿泊などの便宜をはかってもらえたり、映像を売ってもらえたりして商売できる ので、業界全体の悪口は口が裂けても書けません。適当にお茶を濁しておくのが正解です。

不思議なのはファンの反応です。掲示板の書き込みを読むと、ランスが有罪かどうかという問題の核心についてはそれほど関心がない人が多い印象です。知識が 足りないのか、ここまで来ても、ドーピングの事実について確信が持てない人がかなりいるようです。USADAが政府系機関なので政府全般に懐疑的な人は、 これだけ圧倒的な証拠があっても、ランスの潔白を信じたいのかもしれません。ランスもそのような心情につけこんで、政府系の機関が税金を使って「魔女狩 り」に加担するのは、憲法違反であるなどの主旨の反論をしてきました。今回は、異議申立てを放棄するというというところまで追いつめられましたが、それで も、捨て台詞的な言辞を残しています。しかし、ランスが何を言おうと、USADAが言っているように、異議申し立てを放棄したということは、ランス自身が 自分の有罪を認めていると解釈せざるを得ないでしょう。

ロードレース界の陰謀など、911をめぐる陰謀などと比べると可愛いものです。前者が理解できないと後者は理解できないでしょう。前者の場合真実が暴かれ ますが、それは体制の根幹に関わらない社会の末梢的な部分における陰謀だからです。ツール・ド・フランスはおそらく世界最大規模のスポーツイベントです。 動員数はオリンピックを凌ぐでしょう。しかし、それだけ規模が大きくて、知名度の高いイベントであっても、世界体制の存続には何の関係もありません。あっ てもなくてもどうでもいいものです。しかし、911をめぐる陰謀はその真実が、広く明るみに出てしまえば、体制を維持しようとする勢力にとっては大きな脅 威です。いつ自分の地位が脅かされるかわからないからです。だからこそ、その真実が暴かれるためには、世界市民の意識の覚醒が必要なのです。ロードレース界の 陰謀を暴いたのは、政府系機関です。4年前の大統領選で共和党の候補になったジョン・マケインという大物政治家もUSADAの支持を表明しました。一方、911の陰謀には政府自身が加わっている ので、暴くのが余計に難しくなります。アラスカ選出の元上院議員であるマイク・グラヴェルさんが911事件の再調査を要求していますが、マケインは知らん 顔です。悪いやつを追いかけて行ったら、黒幕は警察だった、というかつてハリウッド映画でよくあった話が現前しているので厄介なのです。

ロードレースは腐敗しきっている、だから俺はツールを見ない、という人もいるようですが、私は違います。どの選手を応援するか、とか、どの選手のファンに なるかとか、などの関心とは無関係に、レースそのものを見るのが面白いので見続けています。ランスが7連勝したのでなければ、一体誰が本当の勝者だったの か、についても興味はありません。ほぼ全員ドーピングをしていた中で、ランスが最強だったのだから、やっぱりランスだろう、という見方も取りません。全員 ドーピング無しでレースをすれば、ランスが勝てなかった可能性は大いにあります。ランスが勝てたのはあくまでも、ドーピングした状態で、最高のパーフォー マンスを出せたのが彼だったということに過ぎず、ドーピングなしで最高のパーフォーマンスを出せるように身体をチューン出来る選手は、別の身体プロファイ ルを持っていると考えられるからです。加えて、ロードレースはチームスポーツなので、チーム全員の能力が総合優勝の結果を大きく左右します。ランスでなけ れば誰が優勝したのか、誰が真のチャンピョンなのか、は知りようがないし、興味もありません。

何故腐敗がはびこるのか?それは世界中に悪巧みで儲けたほうが勝ちというエートスが蔓延しているからです。皆悪いことやってるから、俺一人いい子になって も、損を食うだけだから、馬鹿らしいという考えです。これはロードレースという小さな世界だけの問題なら、それほど実害がありませんが、巨大ヘッジファン ドや米軍なら話は違います。ジョージ・ソロスのような巨大ヘッジファンドはタイのような小国の通貨を暴落させるだけの資金力があります。暴落すればタイの 貧しい人達が飢えて死にます。でも彼は言い訳を用意していて、俺のようなファンドでも、世界全体の通貨市場から見れば小さい、それに俺がやらなければ誰か 他に同じ事をして儲ける奴が必ず出てくる、と強弁します。米軍も同じです。世界の軍隊の中で圧倒的に強大なのは、米軍なのですが、それでも彼らは、俺達が やらないと、中国やロシアがやるだろうと責任転嫁です。世界中の軍隊を集めても米軍の規模に対抗できないのにも関わらずです。(本当に戦争したいのは軍人 ではなくて、多くの場合、政治家や巨大企業なのですが、ここでは触れません。「シビリアンコントロール」という言葉はしばしば誤解されています。)

ランスは世界の超権力から比べると雑魚ですが、それでも十分権力者です。ツールの7連勝というタイトルを剥奪されても、トレックの大株主だし、生活には何 にも困らないでしょう。がん患者を救え財団の理事をやるだけでもかなりの報酬があると想像できます。ナイキなどのスポンサーも彼から下りる気配はありませ ん。一方、Floyd Landisなど、世渡りの下手な選手は、ツールで総合優勝という頂点に登り詰めたのにも関わらず、一文無しになってしまいました。こんな不公平な世の中 があっていい訳がありません。

世界は腐敗しきっている。だから、俺は引退する、という態度を取る人には反論ができません。経済的に可能ならどうぞとしか言えません。ただ、隠遁しても、腐りきった連中の味方にはならないでもらいたいものです。出来れば、ツイッタで闘いを続けてください。

(Sept. 2012)


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