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広島国際アニメーションフェスティバル 2014

今年の広島は、土砂崩れ生き埋め事故と重なったからなのか、出席者の数が以前より少ない印象です。命を失われた方々のご冥福を祈ります。生きてい て広島で多くの作品を見ることの幸せを感じています。一日目のコンペ作品を見終わっての感想は、今年はひょっとしてレベルが上がったのか?という ものでした。これを書いているのは三日目でまだ全部見てはいないので即断はできませんが、毎回、応募作品が増えているということなので、レベルが 上がってきていても不思議ではありません。今回は、名古屋に用事があって、一日半広島を留守にしました。二日目のコンペは見ていません。残念で す。公開される作品は著作権保護のため広島で会場にいないと見ることが出来ないので、ずっと広島にいたかったのですが、断れない用事でした。

(以降は、大会終了後に書きました。)

小夜子さんは、日本人の作品がコンペに入選しなかったのは、仕方がないと閉会式の時語っていましたが、久里洋二さんの本を読むと、手塚治虫が 「おんぼろフィルム」 "Broken-down film" でグランプリを取ったのは他の審査員の反対を押し切って自分が積極的に推したからだと書いています。えこひいきをしろとは言いませんが、日本人は、同胞をもっと推せばいい のにと思います。日本人作品のプログラムを見ると、ダメなのも散見されますが、いいものは、明らかにコンペのレベルに達しています。コンペ最後の フーガは 大したことがない作品だと思うので、特にそう感じます。あの音楽は、絵がなければ聞き続けるのがかなり苦痛です。久里洋二さんは自分が海外のコン ペでグランプリを取れたのは、武満徹のおかげだと書いていて、アニメーション作品は8割が音楽、2割が絵とまで書いています。一理あると思いま す。あのフーガは武満徹の域にはありません。久里洋二さんがツイッターやっていることなど知らなかったので広島に来て彼の本を買えたのは本当に幸 運でした。ユーモアあふれた珠玉の呟きで満ちています。

前回、福島原発事故を扱った日本人による作品がコンペ入りしなかったのはは残念だと書きました。今でもこの考えは変わっていません。今回は日本人 作品を集めたプログラムで死んでいくカラスを扱った作品が上映されました。コンペ入りするレベルかどうかは微妙ですが、前回と今回、福島事故関係 の作品を日本の審査員がもっと強く推すべきだったと思います。難しいテーマに取り組む作家を応援するという意味でです。特に前回のセミを扱った作 品はコンセプトのレベルでも興味深い作品だったので、コンペ入りしてもらいたかったです。前節の繰り返しになりますが、広島アニメーションフェス ティバルのいわゆる「ウィンブルドン化」は作品の力が劣っているのなら仕方ありませんが、日本人の審査員が持論を主張できず、海外の審査員に押し きられたことの結果であれば、哀しいと思います。

コホードマンの The Blue Marble という作品は最後の日に上映されました。少年兵を扱ったものです。広島大会のテーマである、愛と平和というコンセプトに適合していると一見見えます。しかし、世界には数十 万の少年兵がいるという情報をアニメーションで流して何をやりたいんでしょうか。兵士を作る訓練は、殺すことに無感覚にする洗脳であり、脳を変え ます。大人でも子供でも同じです。武器を買う金は一体どこから出ているのか。世界の銀行に決まっています。その仕組みについて語らず、少年兵だか らかわいそうというメッセージをアニメ作品に込めても意味はありません。かわいそうだね、で終わりです。メッセージの弱さという点では、 Heart of Tap (Masako Ahn) という作品と何も変わりません。私は別にメッセージが弱いから、駄作だとかつまらないと言っているのではなくて、もう今の世界状況は、戦争は悲惨なので止めよう、と世界の 片隅でこっそり呟くだけではどうしようもないところまで来ているので、世界の人々の洗脳を解くことから始めないといけないと言っています。

洗脳を解くというのはどういうことかというと、人類は古来から戦争ばかりやっているので撲滅することは不可能であるという思い込みから開放するこ とが一つ、もうひとつは、現在進行中の世界戦争の動きは米帝国がNATOを引きずり込んで、中ロとの対立を一方的に煽っているという事実を正しく 理解するということです。そのためには、911同時多発テロ事件の嘘、アルカイダやアイシスという虚構、その他もろもろのやらせテロ事件の嘘、戦 争を可能にする金融の仕組みを正しく理解する必要があります。戦争の悲惨さをやんわりとアニメーションで表現して事足れりと満足できる状況 ではありません。リビアは一方的に侵略して滅ぼされました。イラク然り、ウクライナ然り。嘘を信じこまされている人々の洗脳を解くための作品が出 てくることを期待しています。

嘘と言えば、アメリカ人の大多数は、広島・長崎の原爆投下は、アメリカ兵の死者を減らすため、戦争を早期に終結させるために仕方がなかったという 嘘(公式説)を信じています。その洗脳を解くには、日米の権力の最上部で何らかの取引があったことを歴史学的に跡づけないといけないでしょうが、 それは無理なので、広島原爆がウラン型、長崎爆弾がプルトニウム型であるという事実からから、アメリカが人体実験をしたがっていたという事実を理 解する必要があるし、原爆産業と原発産業が表裏一体であることを理解する必要があります。原爆の悲惨さを訴えても、日米戦争が日本の奇襲で始まっ たという嘘を信じこまされているアメリカ人を説得することは出来ません。ルーズベルトは日本がハワイを襲撃することを予め知っていたのに、ハワイ の海軍に知らせませんでした。ハワイの米兵はルーズベルトの戦略のために数千人犠牲になりました。911同時多発テロで数千人犠牲になったのと同 じことです。これは偽旗戦略といいます。軍人の常套手段です。勝つためにはまず味方を騙す、という戦法です。

次に気になった作品についてひとつひとつコメントを書いていきます。毎日メモを取ったのを元にしています。カッコ内は大会終了後に追加しました。

The snow king, Attila Bardos: 森の動物は王の到来を喜ぶ。しかし、祝辞で「王は太陽の光で燦然と輝く」とかなんとか決まり文句を吐いたおかげで溶けてしまい周りから咎められる。

Rabbit and Deer, Peter Vacz: 鹿と兎が仲良く暮らしている。どちらも2次元の世界に住んでいる。ある日テレビが壊れてルービックキューブが現れる。鹿がそれに夢中になって研究しているうちに、自分自身 がもうひとつの次元を持ち3次元の世界に住むようになる。二次元に住んでいる兎は鹿が2次元の世界と交差する場所でしかつながりを持てない。もど かしい。ある時鹿はルービックキューブを二次元の世界に投げつけるとそれは二次元の平面に捕まりそこにとどまる。それを見た鹿は兎の世界に戻るた めに2次元の壁にぶつかるが穴を開けるという結果に終わる。鹿は、2次元の世界に住む兎と3次元の自分の世界で遊ぶために彼女の周りを切り抜いて 自分の世界に誘う。いろいろあって、鹿は兎をタコにして飛ばしたりして遊ぶ。

Monster Catch, Agota Vegso: 普通の街の日常の風景にプロジェクションマッピングを合成で行う。虫が道路を動いたり、建物に怪物を写したり。

Symphony No. 42, Reka Bucsi: 動物と人間が超現実主義的な世界を作る。動物は言語を操る。短い挿話の連続。前後の関連がある場合もない場合もある。(これは賞を取った。アニメ作品の新しい手法を開拓し たそうだが、ちょっとこじつけっぽい。奇想天外な状況を42挿話集めただけのように見える。動物と人間が同等に生きる世界を提示しているという意 味では新しいかもしれない。スリランカの鯨に捧げられている。)

Hollow Land, Uri & Michelle Kranot: 移民のカップルが新天地にたどり着く。そこは外からは南の楽園のようだったが実際は砂漠だった。

The Maggot Feeder, Priit Tender: 好きな作家の作品なのに居眠りしたようで何も覚えていない。

Deep End, Bill Plympton: 好きな作家の作品なのに居眠りしたようで何も覚えていない。Priit Tender の作品だと思って見ていたら最後のクレジットでBill Plymptonの作品だと知り一体どうなっているのかと不思議に感じた次第。

Dog Skin, Nicolas Jacquet: 白黒の切り絵アニメ。動きが面白い。クローズアップを多用。身分証明書と配給券を見せないと何も買えない。殺人、窃盗が多発。犬に仮装した人間なのかあるいは本物の犬なの か、いづれにせよ、それが殺人事件に巻き込まれ、飲み屋の主人に嫌疑をかけられ当局に通報される。恐ろしい警察国家。

Sunny Afternoon, Thomas Renolder: 以前バッハの作品に振りつけた作品を見て感激した作家の作品。ちょっと立ち話した作家なので親近感を抱く。この映画では作家自らが椅子に座ったり歌を歌ったりして作品に登 場する。音楽とアニメーションすべて彼が担当。

Through you, Lucette Braune: 男と女が街で出会い惹かれ合う。歩道を往来する人々を横からとらえた動画を画像処理している。人が人を追い越すと2次元空間では通り抜けるように見える。シルエットアニ メ。

Three's a crowd, Trevor Hardy: 人形アニメ。主人公の顔は特徴的で以前にも見た記憶がある。主人公のアパートの隣は麻薬常習犯の夫で妻と娘との仲がうまく行っていない。妻は離婚を要求。男はナイフで首を 切ると脅す。これを見た主人公はエレベータに細工して男を殺す。エレベータの箱の天井にはThree's a crowd の文字が。それに気づいた時には男の乗った箱は底の地面に激突。

Women's Letters, Augusto Zanovello: 第一次大戦の戦場。兵士たちは紙でできている。看護兵シモンは倒れた兵士の傷口を銃後の妻たちからの手紙を貼って応急処置をしている。自分は恋人を強姦のような形で孕ませ その子が生まれる時女は死ぬ。シモンは戦後帰郷する。死ぬ前の手紙によって彼は許されているが子供との人生が待っている。

Pik Pik Pik, Dmitry Visotsky: 楽しい子供も楽しめる音楽アニメ。アリとキツツキと樵の話。最初はキツツキはアリをいじめる。樵が木を倒そうとするとキツツキはアリと協力して樵を追い払う。音楽と踊りが うまい。(何か賞を取るだろうと予想したら当たった。)

Virtuoso Virtual, Thomas Stellmach, Maja Oschmann: 歌劇Alchemist の序曲に合わせて墨絵が踊る。墨をぶっちゃけたところを実写で撮ったような画像もあるが音楽と完全にシンクロしているのでソフトで画像を生成しているのだろう。上手い。音 楽もいい。すばらしい。Stellmachさんは会場に来ている。(賞を取って欲しかったが取らなかった。)

Boles, Spela Cadez: これは何かの賞を取るはず。話が絶妙で人形アニメの演出も上手い。作家志望のフィリップの隣に娼婦のテレサが住んでいる。ある日、テレサは遠くにいる婚約者に手紙を書いて くれと頼み請け負う。彼女の文案がすらすら出てくるのに対して彼の筆はなかなか進まない。小説家として身を立てることは出来るのか。彼は時々本棚 の本をどかせて隣の女の部屋を垣間見る。女はラジオを聞いている。ある日、テレサはまた手紙を書いてほしいとフィリップに頼む。誰が出す手紙なの かと聞くと彼女の婚約者だと言う。ということは架空の恋人との空想に付き合わされたということか。彼女が出て行ったあと本棚の本をどかすと、本の 奥は壁だ。ということは娼婦テレサもフィリップの妄想だったということか。ゴーリキの原作がよく出来ている。人形アニメの出来もすばらしい。これ は何かの賞を取るでしょう。(予想通り賞を取った。)

We can't live without cosmos, Alexander Boyarsky: 宇宙飛行士になるために訓練を受けている二人の友人の話。ユーモア満載。このような作品はかつてのロシアにはあまりなかった。新鮮な感じがする。例えば、遠心力を体にかけ てどの程度の重力に体が耐えられるのか見る検査では二人共高い成績をおさめるが検査の後トイレで吐いているシーンを見せる。数々の適性検査の後二 人が選ばれる。一人は補欠になる。ここまでは覚えているが後は居眠りをしてしまったので覚えていない。

5 meters 80, Nicolas Deveaux: キリンがプールに飛び込む。正確な名前は失念したがオリンピック競技にもなっている。飛び込みの技の難易度を争う競技。ハイパーリアル映像。足音に少し違和感が残る。それ から動きはリアルで筋肉の動きのシミュレーションが十分になされていると感じるが、重さの表現が少し足りない。それでも『ジュラシックパーク』の 頃と比べると技術の進歩を感じる。シリコン・グラフィックス社の高いコンピュータでなくても十分計算できるのだろう。(何か賞をとるだろうと予想 したが当たった。)

Toto, Zbigniew Czapla: 油絵タッチのアニメーション。母親と息子の関係を表す。クローズアップを多用。このような作風の作品はポーランドに多いのか。以前、女性の作家でポーランドの人がこのよう な作品を作ったのを見た記憶がある。

Marcel, King of Tervuren: マルセルと呼ばれる雄鶏の話。王の座を一旦息子に奪われるが、片目になっても再挑戦し息子を倒して再度王の座を取り返す。

Lava, Pixar Animation Studios, James Ford Murphy: ハワイの火山活動をヒントにして作られた。孤独な火山が周りの動物たちが番って人生の伴侶を見つけて行くのに寂しく一人でいる。その寂しさをウクレレの伴奏で歌う。年老い て沈んで行く頃、たまたま、近くに女性の火山の噴火がある。沈んでいた主人公も爆発して彼女と寄り添うことになる。星空を撮った映像がちょっと不 自然なので質問したかったが時間切れとなった。地球の自転に動く星空のインターバル撮影があるが、この映画ではそのような動きを星がしない。何故 なのか?しかし、このプレゼンで一番良かったのはハワイからやってきた歌手だった。名前はプログラムには載っていない。声もギターも楽曲もすばら しかった。つまらんアニメよりすぐれた音楽のほうが絶対にいい。

Paper world, Laszlo Ruska, David Ringeisen: 折り紙の動物が動き出す。草原も含めすべてが紙で作られている。白い紙で出来たジオラマを紙の動物が駆け抜け、紙の魚が泳ぐ。動きがいい。カメラワークもよい。WWFの宣 伝動画。

My Own Personal Moose, Leonid Shmelkov: ユーモアあふれたお話。ロシア的ではない。最近ロシアは変わっているのか?ちょっとのろくてとんまなミーシャが大人になって初めてムースに遭遇。ぶつかり車が大破。その後 食べているのはムースの肉か?父親との関係がほのぼのとしている。

Defragmentation, Saebyul Hwangbo: 女と子供共にストレスの多い生活をしている。プレゼンをして常に自分を売り込まないと行けない社会。彼女は息子の養育権を失う。彼女を評価して勲章を与えるのは軍隊。彼女 がバズーカ砲を撃つのは、暗喩としてではなく、軍事産業に乗っ取られた経済体制では優秀な兵隊であることが評価される。実際、勲章を制服にたくさ んぶら下げた軍人が彼女を評価して手を叩くシーンがある。これら一連のシーンは、デフラグの進行と並行している。クラスタの分散が激しすぎてデフ ラグ不能になる。これは彼女がストレスを溜め込んで爆発するのと同期する。その時点でメモリ消去が発動。(戦争に突き進む現在を巧妙に描いている が賞は取らなかった。)

Son of the white mare (Feherlofia), Marcell Jankovics: 絵はアールヌーボーの様式美と色使いで統一されている。左右対称の図柄がお多い。音楽はシンセサイザーを使って効果音を多用している。80年代の作品なのでデジタルではな くてアナログだろう。ちょっとAlwin Nikolais のダンスの音楽っぽい。草原に暮らす遊牧民の神話に基づいている。ハンガリー特集の一環として上映された。ちょっと不思議な作風で話も面白かったので最後まで見たかった が、同時に中ホールでは、平和のアニメーション特集をやっていて、途中で退出した。

The Thumb Cuff, Bin Wang: 路上で胡弓を弾いて生活している老人と一緒にホームレス生活を送っている少年が老人の薬を万引きしようとして捕まり指かせをはめられ木に縛り付けられる。少年は自分の指を 切って抜け出す。が、本当は切ってはいない。老人を探して最後に見つかり二人が一緒に住んでいたことがわかる。情報の開示が私の説明と反対になっ ていて、巧妙である。胡弓の音楽がすばらしく、心を打つ。

The clockmakers, Renaud Hallee: 中央から360度外に広がる直線が音楽とともに動きそれに体操選手がぶつかると効果音が出る。音楽は思い出せないが、画像と音楽のダンスが見て心地よい。 何か賞を取るだろう。幾何学アニメ。作者は自分でプログラムを書いたのだろう。(予想通り賞を取った。)

The little pond by the Great Wall, Dmitry Geller: ロシアと中国の合作。建設現場で山水画を夢想する芸術家の話。才能があっても報われないすぐれた芸術家に捧げられている。作品の最後に実在した芸術家への献辞が出てくる。 調べたら、特偉だった。特偉は水墨画アニメがすばらしい。彼が文化大革命のころに迫害を受けたことを今回知った。この映画の中で描かれているよう な非業の死を遂げたのか。知らなかった。

The bigger picture, Daisy Jacobs: 母親の死をめぐる兄弟のはなし。2次元と3次元アニメの併用。それほどいいとは思わなかったが、となりのオーストラリア人の知り合いが気に入っていた。(後にグランプリを 取ったと知る。見なおしてみると、上手いのは確か。ただ、審査員の評価で、"elegant mid-century modern esthetic and poignant personal content" というのはちょっと。エレガントかどうかは意見が分かれるし、昔のスタイルをうまく真似るのを評価するというのはどうなんだろう。)

Animal, Benoit Dulac, Laura Foglino, et.al. : ハイパーリアル映像。黒豹、アナコンダ、象、などの動物が牢に入っている。看守は狼。ハエが集まって鍵を開けて動物たちを開け放つ。多数の象がいるのは不思議。「実験」の ために集められたらしいが何の実験?

The soldier and the bird: ロシアのお伽話に基づいているらしい。兵士シュヴェイクと似ている。生姜色の髪の毛の人は頭が良いとされていて、その髪の兵士は多くの危機を機転で乗り越えていく。

The Choir tour, Edmunds Jansons: 少女ソプラノの合唱団がはしゃいでエレベータに閉じ込められたまま歌い続ける。微笑ましい。

Gloria Victoria, Theodore Ushev: ショスタコービッチの交響曲に合わせて、構成主義風の絵とかピカソのゲルニカの断片とかが出てくる。勝利と讃えるのではなく戦争の悲惨さを表現している。

No time for toes, Kari Pieska: 一人、二人、三人の幼児の世話に忙殺される男の話。観客の喝采を受けた。観客賞を取ると思う。(予想的中)

Faded Finery, Sonia Gerbeaud:コヨーテと親しくなった女の子が、コヨーテの群れを率い、人間たちに武力の使用をとどまらせる。平和のためのアニメーションにふさわしい。

Fugue for cello, trumpet and landscape, Jerzy Kucia: 長くてつまらない。音楽は陳腐。途中居眠りした。(これが賞をもらうとはちょっと不可解。)

Chair, Ferenc Cako: 捨てられた木の椅子が歩き出す。

Motor tour, Ferenc Cako: 粘土アニメ。動かない車を様々な方策を使って動かそうとする男の話。形状は単純化されているが動きはリアル。例えば、車を押そうとして動かない、でも力は精一杯入ってい る、という状況がリアル。ナレーションでごまかしているのではなく。動かない動きが表現できているような感じ。別に筋肉のクローズアップなどはな い。多くの3Dアニメがこの程度のこともうまく出来ていない。一体何のための技術だ。ユーモアも秀逸。Ferenc Cakoは前に広島に来た時には砂アニメのパーフォーマンスを行った。その技術は完成されていて音楽に合わせてミスなく生でやり遂げるのには感心したが、クレーアニメの作 品の質も高い。

Hey, SOS!, Ferenc Cako: 溺れる男を誰も助けない。鮫が襲ってくると思いきや、『ジョーズ』の撮影現場。素通りして助けない。水面を歩くイエスも素通り。イエスは後ろのノアの方舟を指すが、方舟の 船長は場所がないと見捨てる。しかし、この男は本当に溺れているかという疑問も残る。なぜなら時々クロールで泳ぐからだ。業を煮やして、海の栓を 抜くと水が抜け、砂漠に男が取り残される。助けてくれない敵もいなくなり、ひとりぼっち。なかなか巧妙な寓話。

Face, Ferenc Cako: 顔のない男が列を作り国家によって顔の部品を付けられていく。皆無個性な顔をしている。中央に貼られた男前の指導者の顔との違いに怒った一人が自分で筆を使って顔を変える と皆もお互いの顔を変える。このことで元気づけられ反乱の兆しが起こる。この作品にはリゲッティの音楽が使われていた記憶が有る。Cakoの作品 はこれに限らず、バルトーク、ペンデルツキ、などの質の高い音楽が使われている。デジタルの効果音を聴き続けていると、声や楽器の奏でるすぐれた 音楽は耳に心地よい。

Barflies, Greg Holfeld: barfly というのは飲んだくれという意味があるが、このアニメでは二匹のハエに飲んだくれの役をやらせている。会話が面白い。肝試しで殺虫灯にぶつかっていくのが飲んだくれの面目 躍如。

Heartbreak Motel, Greg Holfeld: 自殺希望者を受け入れるモーテルの話。死んだ後の始末も契約を交わしてから入居。死にきれない場合、幇助する役目の強面のお兄さんも雇われている。執筆に行き詰まった作家 が滞在するが、何の拍子か筆が進みベストセラーを生み出す。

Destruction of Troy and the adventures of Odysseus, Valentas Askinis: ホーマーのこの作品は昔読んだが、詳細は忘れていたので、復習した感じ。教科書的な作品。可なく不可なし。

Scarred skies, Vera Neubauer: ケムトレイル、ジオエンジニアリングを題材にしている。これは既成メディアがタブーにしているので、知らない人はネットで調べてね。

Pilots on the way home, Priit Parn, Olga Parn: 彼らがカナダの資金を得て作った作品。3人の帰還空軍パイロットがダッチワイフと性行為を行う。ここまで露骨な性描写はアニメでは初めて見る。インドと日本の春画のスタイ ルを模倣。

Norman McLaren: animated musician, Donald McWilliams with the collaboration of Luigi Allemano: マクラレンは作曲家でもあったということが分かるドキュメンタリ。

Junkyard, Hisko Hulsing: 会話が殆どないが、絵で物語を進行させる。貧困街に育つ兄弟。ジャンクヤードで更に下層に属する若者に出会い麻薬の道に進む。進まなかった方の一人が刺される。女を巡って 対立があった模様。18分ほどの短い作品だが、物語のインパクトは長編同等。監督が音楽を担当しているところにも驚いた。フランス製の2次元アニ メソフトで作られている。そのソフト開発会社はブースを出していてちょっと情報を入手した。

Kellerkind, Julia Ocker: 兎唇の息子を産んだ女の話。ちょっと衝撃的な話。

Heart of tap タップのゆめ, Masako Ahn アンマサコ: 人形アニメ。年老いた靴屋がタップダンサーの靴を直す話。年でこの靴が最後になるかもしれない。ダンサーは靴を取りにこない。兵士として戦場にいたのだ。幸い生きて帰還で きた。心温まる話。技術的にも上手いし、何故コンペに残らなかったのか不明。あのフーガアニメを外してこれを入れるべきだった。

Fireworks beads, Masam Hashimoto はしもとまさむ: ビードで花火を見せる。ビードを配置するシーンを早回しで写して並置。

While the crow weeps, Makiko Sukikara, Kohei Matsumura: これはおそらく放射能を題材にしている。光っているカラスを登場させるところで分かる。日本はあの事故から3年経ち健康被害が本格的に出てくるだろう。隠そうとしても隠せ なくなる。鳥は放射能に弱いのでチェルノブイリ周りでもやられている。ヤブロコフさんの本に記述がある。アメリカの学者も福島に行って研究してい る。

Firewood, Kanta & Grampa, Takeshi Yashiro「薪(まき)とカンタとじいじいと」(八代健志): 奥深い雪国と薪の話。東邦ガスの資金で作られているが、作品自体は優れている。別にガス会社の宣伝になっているわけではない。孫とおじいさんの心温まる話で技術的にも十 分。何故コンペに残らなかったのだろう。

The sexual fish -- the fish that forgot to breed, Dino Sato ダイノサトウ: 魚を題材にして少子化を話題にしている。納得できる。日本をある程度知らないと理解できないかもしれない。

Snow Hut かまくら, Yoriko Mizushiri 水尻自子: 彼女の作品は見ればすぐ彼女だと分かる。色使いと艶かしさ。前作と似てるのでコンペから外れたか。

Shashinkan 『寫眞館』(The portrait studio), Takashi Nakamura 中村たかし: 20世紀初頭から東京オリンピック頃までの東京のある写真館の話。子供の頃からカメラの前で微笑まなかった女の子が老婆に。写真館の主人はさらに年をとっていて健康問題を 抱えており写真館は閉店寸前。かつての女の子はその主人におかゆを持ってくる。この作品とか、Heart of Tapとか、平和と戦争をテーマにして、広島コンペに照準を当てたのだろうが、コンペ入りもしなかった。あのフーガを下ろしてこれでもよかった。(Aug. 2014)



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