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広島国際アニメーションフェスティバル 2012

前回は英語で書きましたが、反応がゼロだったので今回は日本語で書きます。日本語で書いても反応はないのですが、日本語で読む人の方が多いと考えられるの で。広島は相変わらず美しい街です。外面を見る限り経済が停滞しているようには見えません。フェスティバル名誉会長のPeter Lordさんは、開会式の演説で広島は活気があると言っていましたし、外国からの訪問者がそのような印象を受けるのは的外れではないでしょう。

原発事故の影響で外国からの参加者が減るだろうと想像していましたが、それほど影響はありませんでした。コンペに入選した作家で外国から来ている人も例年 と同じくらいいました。福島から遠く離れていることが幸いしました。東京ならこのようには行かなかったでしょう。東京はドイツ人のように放射能の影響を正 しく理解している人達からは避けられています。開会式の演説では広島が原爆投下を乗り越えたように日本は福島を乗り越えるのだ、という希望的観測を語る人 がいました。福島の事故は意外に正しく理解されていないようです。

会場入り口にマツダの車を展示していました。このような宣伝は今回が初めてです。上映まで時間があるとき営業の人の話を聞きました。このような機会がなけ ればマツダのSUVを触って見ることなどなかったかもしれないので、私としては文句はありません。フェスティバルの中身に文句をつけてこなければどんどん 大きな会社から協賛を取ってください。

倉嶋正彦さんの「瞑想の部屋のための「起源」ー受ー心母ー胎ー」というインスタレーションは以前ポール・グラビッキ(Paul Glabicki)さんのと似ていて、一日中映画を見続ける観客の一人としては、畳の上でゆっくり頭と目を休める機会を提供してもらってありがたく感じま した。自宅でビデオを鑑賞する場合、コーヒーを作りに台所に行っている間は中止することが出来るし、見る姿勢もゆったりしていますが、公共の空間で映画を 長時間鑑賞し続けるのはかなり苦痛です。倉嶋さんとはちょっと立ち話して、リヨンの「光の祭典」のようなことが出来れば、客集めに役立つだろうと提案して おきました。実際倉嶋さんん自身も建物に映写するのはスペインで経験済みだそうで、アステールプラザの壁面にアニメーション作品を映写することも考えたこ とがあるそうです。実現できれば面白いでしょう。

5日間朝から晩まで毎日12時間近く映画を見続けていると頭がおかしくなってくるので真ん中の土曜日の午後を宮島見物に使いました。宮島は2回目です。今 回の目的は中判のリバーサルフィルムを使ってこの世界遺産を写すことです。幸い好天に恵まれました。フィルムカメラで撮影している人は私だけでした。重い ペンタ67で撮りました。レンズは広角55ミリです。

鑑賞した作品について感想を書きます。感想を書くのは鑑賞した映画のほんの一部です。グランプリを取ってもらいたいコンペ出品作品は Ullo Pikkovの Body Memory です。しかし、私の予想は大抵外れるのであまり期待していません。自分の意見と審査員の意見が合ったのは、Michaela Pavlatova の Repete (レペテ)と Anita Killi の Angry Man だけなのであまり当てになりません。

Le Tableau,  Jean-Francois Languionie (2011): 絵の中の人物が物語を作る。巧妙な話だが、ちょっと単調。登場人物が窮地に陥ってもハラハラドキドキ感がまるでない。寝不足なので途中居眠りする。絵画に おける表象についての思弁と、格差社会についての批判があるが、ちょっと頭でこしらえた話でわざとらしさが残る。

The Ugly Duckling, Garri Bardin (2010): アンデルセンの童話をクレイアニメ化。巧い。チャイコフスキーに振り付けたダンスオペラ。長いので寝不足からちょっと居眠りしたが、楽しめた。音楽だけで も楽しめる。

Luminaris, Juan Pablo Zaramella (2011): 人物を使ったコマ撮り。電球製造工場で働く男女。男は口から電球を吐き出し、女は目から電流を送り点灯させる。工場から原料をくすめる。表情の作り方とタ イミングが絶妙でよくできている。

Rew Day, Svilen Dimitrov (2012): 交通事故による死を逆に辿る。

Bottle, Kirsten Lepore (2010): 砂男(女)と雪男(女)が恋に陥る。海底で出会う前に溶けてしまう。

Muybridge's Strings, Koji Yamamura (2011): 手と手を重ねる。母親が子供をあやす。情事の場面。マイブリッジの糸はピアノ線にもなる。母親と赤ん坊をつなぐDNAの螺旋構造も糸になる。

Head Over Heals, Timothy Reckart (2012): たぶん何か賞を取るはず(これを書いた時にはまだ結果が出ていない)。老夫婦が同じ家に住むが、上と下が両方床になっていて、別々に反対方向の重力がか かっている。物理的にありえないが、そういう世界を描き出している。最後には、重力の方向は別だが、女が天井(男にとっては床)にぶら下がる形で夫と抱擁 する。

City, Young-geun Kim, Ye-young Kim, (2010): 年に生きる人々を3次元空間に点として表す。

Romance, Georges Schwizgebel, (2011): この人の作品はいつもカメラが宙を飛んで浮遊感が楽しい記憶がある。抽象アニメの方が面白い。

Tunnel, Maryam Kashkoolinia, (2012): 生活のために穴を掘る?坑夫なのか?そうではない。羊を穴の向こう側から運ぶのだ。パレスチナのガザ地区では実際そのようなことが行われているということ をこの作品で初めて知る。

Please, call back later, Yulia Ruditskaya, (2010): 絵が美しい。それ以外はあまり覚えていない。

Seven Minutes in the Warsaw Ghetto (2012): 塀の向こうから穴を通して針金で人参を取ろうとする少女の目をめがけて発砲。ナチスの若い兵隊の目はデジタルの実写でサンプルした目を貼りつけている。白 黒だが、アーリア人の澄み透った青い瞳をしているのだろう。そのような目の持ち主である若い少年がどうしてそこまで残酷になれるのか。仕事をやっているだ けです。

Babeldom, Paul Bush (2012): 「現代的」な情景を集めたドキュメンタリ。考古学的には過去は下の地層、未来は上の地層、というように時間が経つに従って上に積み重なっていくというアイ デアをモチーフにして語りが進行する。こんなふうにネットから拾ったような動画を編集すれば長編が出来ちゃうのだなと納得。納得したらすぐ退出しました。

Documentary Jiri Trnka, Jiri Lehovec (1967): すばらしいドキュメンタリ。語りはなく、トルンカの指使いを間近で撮るだけ。時々、トルンカの顔のショットが挿入される。頑固で働き者の職人であるトルン カの人柄がにじみ出ている。

Archangel Gabriel and Mistress Goose, Jiri Trnka (1967): デカメロンの短編に基づく。すばらしい。トルンカはすごいとしかいいようがない。「手」も上映されたがビデオで何度も見たのでパス。文句なしの傑作。旧共 産圏の思想弾圧及び言論の自由の規制は、過去のものだと思ってはいませんか?911など明らかにアメリカ政府の自作自演でクーデタなのにアラブのテロなど という公式説以外はタブーですよね。911を正しく理解せずに現代史なんて書けるんですか。歴史学者の皆様。

Babylon, Peter Lord (1986): peace and profit ということばが印象に残る。抑止力は平和につながるというタカ派の議論の裏には本音は金儲けしたいだけという狂った連中の腐敗がある。チェイニーにちょっ と似た悪役が出てくる。彼は巨大になって最後に腹が破け中から血が吹き出る。Peter Lordは講演でこの映画はとても真面目な作品なのだが、最後の場面を見ると、撮影の苦労が思い出され笑ってしまうらしい。スタジオが赤い血の海となっ た。

The Pirates! Band of Misfits, Peter Lord (2012): 日本では公開されないそうだ。第一級の娯楽クレイアニメ大作。ほんと楽しめます。劇場公開されないならディスクを買いましょう。コンペに出展されている短 編作品の中にはつまらないのが散見されるのでこのように非のつけどころのない娯楽大作は大歓迎です。Peter Lordさんはホールで見かけたら気軽に声をかけてね、と講演で言っていました。きさくでいい人ですね。ハリウッドの映画人とはちょっと違う感じ。

Tram, Michaela Pavlatova (2012): 上映した土曜は昼間休みをとって宮島見物したのですが、その往復に路面電車に長い間乗ったので、印象深かった。女の発情がかなり露骨に描かれていて刺激 的。久里洋二さんとの対談を企画すれば面白いと思う。

Audition, Udo Prinsen (2011): 強制収容所でトランペットのオーディションを受ける息子。オーケストラに入れれば命が助かる。

Bao, Sandra Desmazieres (2012): 列車事故で姉が助かり妹は死ぬ。明示されないが暗示されている。妹が姉が渡した水を飲み干さなかったら二人は同じ席にいて助かったかもしれない。公害がひ どい場所に住んでいる移民の姉妹のようだ。

Chinti, Natalia Mirzoyan (2011): ゴミでタージマハルをつくる蟻の話。表情がなんともいえない。ノルシュテインもそうだが、動物の表情を絶妙に創りだすのはロシア人が世界最強です。グラン プリを取ってもおかしくない。私は観客賞候補としてこれに票を入れるか次の futon に入れるか迷って、日本人だからということで futon にした。知り合いのオーストリア人はこの映画に投票した。素晴らしい映画。

Futon, Yoriko Mizushiri  水尻自子 (2012): 線の動きが音楽に合っている。布団にしがみつく女の体、ケーキを舐めようとする(苺は苺以外のものを暗示しているのかも)女の唇が、しなやかにちょっとエ ロっぽく(官能的に)動く。ダンスアニメーションとしても良くできている。

Dead But not Buried, Phil Mulloy (2011): 朝の9時にこれを見て残りは宮島見物しました。80分の長編です。顔を画面全体に見せて口パクだけで進行する。話は荒唐無稽。ヒトラーの子孫だったという 落ちもあり。速いテンポでどんどんプロットが複雑になっていくので飽きずに最後まで見てしまう。登場人物の一人であるヤカモト氏が露骨な日本語訛りの英語 を話し始めたときは、ハリウッドがよく使うエスニックステレオタイプかと一瞬思いましたが、途中でフランス語訛り、ドイツ語訛りが出てくるし、ヤカモト氏 は実はドイツ人だったというおちがあり身元がばれると日本語訛りがドイツ語訛りに変わり笑ってしまいます。家族が崩壊し、倫理観も崩壊してしまっている世 界を冷徹に描き出している。マロイさんは今のアメリカと世界について山ほど言いたいことがあるのだろうと想像します。オタワの映画祭で観客賞を取ったとい うのは納得です。

11PM, Yoji Kuri: 一日中連続上映していましたが私が覗いたのは15分くらいです。ひとつ興味深い短編がありました。安保反対のデモ隊がシリンダーの中に囲い込まれていて、 彼らがわーわー騒ぐと上からピストンが降りてきて、蛇口に血が出ます。その血が戦闘機や武器に変わるというやつです。これはするどい風刺です。風刺である し現実をそのまま表現しているので写実でもあります。70年代のその風刺は今もその通り当てはまります。代々木公園で20万人あつまっても何も変わりませ ん。

Katsuo Takahashi Retrospective: 高橋克雄さんは医者に止められたということで娘さんが代わりに出ました。「かぐや姫」などに使われているキラキラ光る筋などはハーフミラーが使われてお り、合成したものではないそうです。このような彼の特撮のノウハウはノーマン・マクラレンとギヴアンドテイクの意見交換をしたそうです。「かぐや姫」は外 務省の資金で作り外国向けなので日本語のものがないそうです。今回のプログラムは英語版が上映されました。「野ばら」は自主制作で金策に困り3年かかった そうです。高橋さんの作品は初めて見ますが、素朴でなかなか味があります。

Happiness (Lykke), Yngvild Sve Flikke (2008): 子供が楽しく遊ぶ様子を、顔だけ写真の切り抜きを使ってデジタルで作っている。子供と遊んでいるような気分になれる。微笑ましい作品。

Pjotr Sapegin & Pravda Retrospective: 主として人形アニメ。Through my thick glasses, One day a man bought a house, Grandpa is a raisinの3作品は中身を借用して組み合わせ一つの作品に作りなおされているということを後で知りました。Granpa is a raisinを見てちょっとうとうとして目を覚ましたら、One day a man bought a house で見たシーンを繰り返しているので、これは映写技師さんが間違えたんだと思い込んで会場の人に「苦情」を言ったくらいです。コンペの上映開始までにホテル から借りた自転車を返さないといけないし、夕食も食べる時間が欲しかったので、上映技師さんの不手際もあるし、ということで早めに切り上げて出ました。 Sapeginさんの作品は深刻な話を扱っていても絶妙なユーモアがあってすばらしいと思います。ただ、プッチーニの「蝶々夫人」の翻案である Aria は例外で、怒りと悲しみが強烈な形(クレイ人形が皮膚を剥ぎ、スケルトンの接合部のボルトも外して自分をばらばらにしてしまう)で表現されていて圧倒的な 印象を残します。プッチーニとかピエール・ロティがこの作品を見たらどう思うか興味津々です。

Borderline, Dustin Rees (2011): 何度も死のうとするが死ねない国境警備隊員。絶望から救ってくれるかもしれない人が現れるが、同じく巻き込まれた交通事故でその人だけが死んで彼が生き残 る。ハッピーエンドを字け笑う作品。

I saw mice buring a cat, Dmitry Geller (2011): 絵と色がすばらしくきれい。音楽が中国風。作家はロシア人のようだが、制作は中国。

The tongueling, Elli Vuorinen (2010): 舌で舐める行為を集める。舌を絡め合わせる恋人達。おしりの穴を舐める犬。ソフトクリームを舐める少女。最後に凍ったランプポストに舌を付ける男。剥がす とハートの形をした血の跡が。

Body Memory, Ullo Pikkov (2011): 私は彼の作品が好きです。これは彼の最高傑作かもしれない。もちろん、グランプリを取って欲しい。紐で作られた人間が収容所に向かっていると思われる汽車 の車両の中で蠢いている。紐は車両の外に引っ張られていき全部解かれて外に出てしまえば消滅する。つまり死ぬ。各自、死に抗がおうとするが集団の塊とな り、いずれ全部解かれて消滅する。男好きの女、妊婦などがいる。妊婦は卵を守ろうとするがその過程で自分が犠牲になる。残された卵は車両の内側の壁に叩き つけられる。この物語には枠物語があって、それは木々の枝の一つに結び付けられた鉛筆が揺れて画用紙に線を描く情景である。このシーンが最初と最後に出て くる。作品の最後にはこの木々の横を列車が通りすぎる。その後尾はCGによって芋虫のように形象される。

Overcast, Velisalav Kazakov (2011): 何度も殺されるが死なない男の話。抱腹絶倒。観客賞を取るかもしれない。

Hosenka 鳳仙花, Nobuhiro Aihara (1975): 人伝に聞いたところでは相原信洋さんの死亡原因は事故とは言え車ではねられた訳でもなくかなり理想的だったと言えます。寝ている間に死んでいたというのが 望みうる最良の死に方ですが、相原さんのも悪くありません。彼とは全く面識がありませんが、広島で毎回見かけました。「鳳仙花」というのは彼のおばあさん の最後の数カ月を扱ったドキュメンタリアニメです。実写の写真もたくさん使われています。結構ジンとくるものがあります。相原さん自身がなくなったのでな おさらです。

Harbor Tale, Yuichi Ito 伊藤有壱 (2011): これは傑作です。コンペに出展もされていないというのはなぜなんでしょうか。ちょっと長すぎるのか。たまたまロビーで作者に出くわし感想を述べたあとサイ ンをいただきました。チェコのアニメーションフェスティバルではグランプリを取ったそうです。明治以降の横浜?の歴史を主人公の赤レンガの視点から辿りま す。明治初期の洋館の赤レンガはたかが100年くらいしかたっていませんが、その赤レンガが欧州からやってきた400年以上経った黒レンガに遭遇しその死 を看取ります。軍艦の寄港に驚き、最後には、世界中の建物が横浜に寄港するのを見届けます。人だけではなく建物までが交流する時代になったのです。ほのぼ のとした印象を残す名作です。

Chiruri チルリ, Kenji Kawasaki 川崎健司 (2011): 放射能汚染を比喩的に扱っている。黒い顔をした人達がうごめく都会。水道からは黒い水が出てくる。りんごをカゴに入れて渡そうとする少女。しかし、りんご は徐々に黒く腐っていく。青い水が地面をひたし健康的な顔色の男の子が現れ少女を抱く。二人はわかれる。

Possessions 九十九, Shuhei Morita 森田修平 (2012): 森の中の荒屋で雨宿りをする野武士が遭遇する不思議な出来事。映像が迫力満点。この製作クオリティの長編なら喜んで劇場に行きます。

663114, Isamu Hirabayashi 平林勇 (2011): 戦後66年地中で過ごし、福島事故で被曝しながらも成虫になる蝉の話。最後に66年後の蝉が出てくるが、ちょっと形が普通ではない。2011年の被曝に よって遺伝子を傷つけれられたからだろう。2011年の蝉の横を黒い雲が通るがこれは放射能プルームだろう。蝉は強い。子孫を残すため放射能にも負けな い。日本が好きだ。土がきれいで農薬が少ないから、蝉が生きるのに適している。などと日本を讃えるが、その日本はまだ存在するのか。作者のアイロニーを感 じる。この作品はどんなことがあってもコンペに残すべきだったでしょう。広島アニメーションフェスティバルは好きだけれど、福島原発事故について日本の芸 術家がすばらしい作品を作っているのだからその心意気に答えて欲しかった。ちょっと情けないよ広島。

Combustible 火要鎮, Katsuhiro Otomo  大友克洋 (2012): これは傑作です。一葉の「たけくらべ」と似た悲しい恋物語です。森田修平さんの「九十九」のように映像の完成度がすごい。

Her Story, Jun-ki Kim (2011): 韓国の従軍慰安婦のひとり語り。村の家に日本軍がやって来て真鍮を差し出せと要求する。父親は嘘をつき家にあった真鍮を裏庭に埋める。そのことを村人が密 告し両親は迫害を受ける。ブローカーがやってきて娘を縫製工場に2,3年差し出せと脅かし、娘は売られてしまう。縫製工場というのは嘘で、インドネシアの 日本軍で従軍慰安婦として働かされる。15歳の彼女は最年少で、アヘンを射たれ客を取る。同じ売春宿からは二人の死者が出る。負けが濃厚になった終戦間 近、証拠隠滅のために日本軍は慰安婦を防空壕に入れて殺害し始める。それを知った彼女はインドネシア人の出入りの洗濯屋さんに連合軍への伝言を渡す。それ が幸を奏して殺される前に日本は降伏。彼女は助かる。日本の歴史家で従軍慰安婦は存在しなかったとか、軍の命令はなかったとか、資料がない、とか大部な本 を書いて否定しようとする人がいますが、このようなドキュメンタリを見て、生き証人の証言を聞いてもらいたいものです。性的奴隷の存在を否定する人は単な る無知です。ヤンソギル(梁石日)の『闇の子供たち』でも読んでください。平時のタイに存在するのだから、戦時中の日本帝国に存在しないわけがありませ ん。軍が命令したかどうかを資料を探して明らかにしようとするなんて呆れます。従軍慰安婦の存在は否定しようがありません。議論の余地がある としたら何人犠牲になったかということくらいです。

55 socks, Co Hoedeman (2011): ナチス制圧下のアムステルダムの話。食料を得るためにベッドカバーの刺繍を解いて靴下を縫い、食料と交換しようとする。何回も断わられるが、最後の金持ち の家ではたくさんの食料と交換することに成功。その家ではベッドカバーを作るための糸が欲しかったので、靴下の糸を解いたのでした。貨幣って一体何だろう と考えさせられる。

Pica Don ピカドン, Renzo and Sayoko Kinoshita (1978): これを見たのは二回目です。きれいなDVDになってました。

The King that wanted more than a crown (Kongen som ville ha mer enn en krone), Anita Killi, Randall Meyers (1999): 二年前の広島で見た Angry Man がすばらしかったので Anita Killi のファンになりました。この作品はオーケストラのために音楽を作曲したMeyersさんがAnitaさんとともに監督を担当しています。作曲家が監督とい うのは一見不可解ですが、この作品を見ればわかります。これはアニメーション歌劇です。音楽だけ聞くと、それほどすぐれた作品であるとは言えませんが、そ れはもともと映像作品とともに鑑賞されることを前提に作曲されているからです。Anita さんの話によると、この作品は生のオーケストラとともに上映されることが少なからずあるそうです。いいですね。私の好きなモダンダンスの振付家にMark Morrisがいます。モダンダンスは大抵録音された音楽とともに上演されるのが普通ですが、彼は生演奏にこだわります。同様に、アニメーションも生音楽 と一緒にやると味わいも深まるでしょう。このような作品を生の音楽と共に上映してしまうノルウェーという国はなかなかいい国ですね。
(Aug. 2012)


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