イプセン『幽霊』Ghostsの梗概

 

■登場人物

ヘレーネ・アルヴィング 陸軍大尉兼侍従アルヴィングの未亡人

オスヴァル・アルヴィング 彼女の息子、画家

マンデルス 牧師

エングストラン 指物師

レギーネ・エングストラン アルヴィング夫人の召使い、指物師の娘

 

■梗概

第一幕(雨steady rain

【エングストランとレギーネ】

・エングストランはアルヴィング夫人の家にきて、(孤児院の造作が終わったので)街で宿屋を開業するという自分の計画を話し、そのために娘を連れ帰ろうとする。娘は、帰省して二階で寝ているオスヴァルドが目を覚まさないか気がかり。【エングストラン退場。マンデルス登場】

・牧師はレギーネに父親に対する娘の義務について話す。【レギーネ退場、アルヴィング夫人登場】

・牧師が訪問した目的は、孤児院創設の事務的な話をするためであったのだが、たまたま、夫人の新思想についての関心を発見し、最初にそれを話題にし、夫人の振舞いをとがめる。

・次に牧師は、孤児院の事務的な話に移るが、そのなかでの重要な彼の関心事は、火災保険をめぐって。夫人は牧師に災いが及ぶ可能性があるならと、火災保険をあきらめる。

・夫人はレギーナが父親と暮らすことに猛反対。【オスヴァル登場】

・牧師は若い芸術家たちの同棲生活・家族生活を不道徳だと断じるが、オスヴァルは自分自身の観察をもとに、その見解を受け入れない。逆に地元で有徳の士と考えられている男たちが、海外で淫らな生活にふけっているという。《母と息子は別居しながらも考え方が似る》

・アルヴィング夫人と次第に考え方が掛け離れてゆくばかりだと感じる牧師は、彼女の昔の事件を持ち出す。彼女は夫の元から逃げ出し、マンデルスの元に逃げ込んだ。妻として、母としての「義務」を果たさなかったと牧師は言う。《レギーナに対する態度と、昔、夫人に対した態度は同じ》

・アルヴィング夫人がマンデルスに真実を告げる。結婚後も続いた夫の放蕩生活。息子が悪影響を受けることがないように外国に住まわせたこと(7歳のとき)。孤児院の建設は、いつかは漏れる夫の悪い噂を払拭するため。《孤児院建設の動機と火災保険を掛けない動機は同じ》【オスヴァル登場】

・過去の夫の振舞いを思い出させるオスヴァルの振舞いがオフステージから聞かれる。

 

第二幕(濃いもや(thick mist)がかかる景色)

・アルヴィング夫人とマンデルス、オスヴァルドとレギーナに聞かれないように、ドアを閉める。一幕最後の、夫人による打ち明け話の続き。

・レギーナ誕生の秘密。レギーナの実の母ヨハンナはアルヴィングと関係があった。

・エングストランから事実を知らされずに、彼とヨハンナの結婚式を執行したことを牧師は知り、彼が悪人なのを思い知る。金目当ての結婚。

・「私は臆病者」。アルヴィング夫人の考える「幽霊」。【エングストラン登場】

・造作の仕事が片付いたので牧師参加の祈祷会を開きたい。牧師はエングストランを詰問。レギーナは誰の娘か。ヨハンナがもっていたお金の使途。エングストランの説明を簡単に信じこむ。堕落した女の窮状を救った男。彼の雄弁は今後も役立つ牧師とのコネを失わないため。《アルヴィング夫人は二人の男たちのやりとりには加わらない》【マンデルス退場】【オスヴァル登場】

・散歩にでかけたはずのオスヴァルは食堂にいた。母は驚く。《先ほどのやり取りを聞いた?》

・オスヴァル、泣き崩れる。体全体が虫食い状態。医師の診断によると原因は父の罪にあるというがこれは見当違い。本当はパリでの幸福な生活が原因となり精神が破壊された。《思い込み。》話題はレギーネに。《オスヴァルは母たちの会話を聞いた?近親相姦を承知?》「レギーネに僕の救いがある」。《この意味は?》《言葉が額面通りのものか不確かになる》美と健康の権化であるレギーネはオスヴァルが書く絵のテーマそのもの。

・病気だけなら母のもとにいたいが、「身の毛もよだつ恐怖感」のために離れなければならない。レギーネこそ「生きる喜びがつまっている」。

・「僕の持っているものがここでは下らんものになる」、それは怖い。"I'm afraid that everything that's most alive in me will degenerate into ugliness here"(257) 【マンデルス登場】

・アルヴィング夫人が息子たちに打ち明け話を始めようとしたそのときに、人々の叫び声。孤児院が燃えているのが見える。神の裁き(マンデルス)。

 

第三幕(大火災のあった夜明け前)(全部のドアが開いたまま)

・夫人とレギーナの短いやり取り。【夫人の退場】【マンデルス、少しあとにエングストラン、登場】

・エングストラン、出火は祈祷会が原因、マンデルスが原因だと言い張り、それをもとにマンデルスを脅迫。自分が計画する事業に支援を約束させる。【アルヴィング夫人登場】「焼け跡から息子を引き離すことができない」「こうなるのがいちばんよかった」。《火事は大きなランプ?》《英雄的な夫人》牧師に事業支援を約束させる。「侍従アルヴィングの家」《宿屋は、火事が起きなかった場合の孤児院の正体》【マンデルス、エングストラン、いっしょに退場】

【オスヴァル登場】「それも[宿屋]も燃えてしまうだろう」「ドアをみな閉めるんだ」

・自分の介抱はレギーネにかぎるという。

・アルヴィング夫人の、夫についての打ち明け話。「生きる喜び」。夫人のレギーネについての打ち明け話。レギーネは自分の母を堕落した女と受け取り、自分は牧師か父の元に行くしかないと言う。【レギーネ退場】

・夫人が伝えた父親像は、以外にもオスヴァルに衝撃を与えず。《観客は当惑?》

・オスヴァルの「あの恐怖」。「レギーネならやってくれた」

・(太陽が昇りつつある)「赤ん坊に逆戻り」「脳軟化症の一種」(玄関に鍵を掛ける)(最後の発作が襲う)

 

 

 


(C)Muranushi, All Rights Reserved.