国際多元文化専攻講義題目(2008年度後期2)

多元文化論講座 先端文化論講座 南北アメリカ言語文化講座 東アジア言語文化講座
ヨーロッパ言語文化講座 ジェンダー論講座 メディアプロフェッショナルコースの講義題目
日本言語文化専攻の講義題目 高度専門職業人コースの講義題目 文系大学院開放科目(pdf)

 

東アジア言語文化講座
◆韓国・朝鮮語表現論演習 b
◇副題:現代韓国語文法の諸問題
◇担当教員:
飯田秀敏
◇開講時限:後期水曜2限
◇教室:
国言棟共同 A
◇目的・ねらい:
 日本語話者を対象とする韓国語教育において教師が備えるべき現代韓国語の文法知識を整理し,教育現場で生じると考えられる諸問題を効果的に解決するための方法を検討することを目的とする。学習レベルに応じて,教材・教授法の面でどのように問題解決に迫るべきかという視点から諸問題の検討を試みる。
◇履修条件等:受講者は中級程度以上の韓国語能力を持っていることが望ましい。
◇講義内容:
 15週の講義を問題別に4つの期間に区分する。
1.品詞
 韓国語の品詞に関する基礎知識を整理し,問題点を把握し検討する。主に取り上げるテーマは,品詞区分,数詞,派生法などである。
2.用言の活用
 韓国語と日本語の用言の活用に関する基礎知識を整理し,問題点を把握し検討する。主に取り上げるテーマは,活用形の処理,変則活用などである。
3.文構造
 韓国語の文構造に関する基礎知識を整理し,問題点を把握し検討する。主に取り上げるテーマは,基本文型,必須要素・従属要素・独立要素,埋め込み構造などである。
4.待遇法
 韓国語の待遇法(敬語法)に関する基礎知識を整理し,問題点を把握し検討する。主に取り上げるテーマは,対者敬語・主体敬語・客体敬語,絶対敬語法,呼称表現などである。

 各期間をそれぞれ3つの段階に区分する。
(1) 基礎知識の整理
 参考書に基づき受講生が整理して報告する。
(2) 問題点の指摘
 (1)の報告に基づき授業担当者が指摘する。
(3) 問題解決の方策の検討
 受講者全員の討論の形で問題解決の方法を模索する。

 なお,期間ごとに4,000字前後のレポートを課す。

◇成績評価の方法:平常点40%,レポート評価(2回)60%
◇教科書、参考書等:野間秀樹編『韓国語教育論講座 第T巻』くろしお出版
注意事項:特になし。
◆東アジア言語論演習 b
◇副題:ロシア・ソヴィエト言語学の諸問題
◇担当教員:
柳沢民雄
◇開講時限:後期火曜3限
◇教室:文総609
◇目的・ねらい:ロシア・ソヴィエトの言語類型学の歴史と成果を知り、これが現代の言語研究にとってどの様な意義をもっているのかを知ることを目的にしている。
◇履修条件等:特になし
◇講義内容:

 まずロシア・ソヴィエトの言語類型学の歴史を20世紀の30-40年代に焦点を当てて考察する。これはデスニッカヤのロシア語文献(1)を読みながら行う。次にロシア・ソヴィエトの言語類型学の成果と見なされるクリモフの言語類型論を考察する(文献(2)を用いる)。これによってロシア・ソヴィエトの言語類型学の概略を理解した後に、この言語類型論が現代の言語研究にどの様に反映されているかを特に印欧語の研究を使って検討する。具体的には、文献(3)のガムクレリゼとイヴァノフの印欧語文法に展開されている文構造に関する考えと、それに対する西欧の研究者の賛同的あるいは批判的な考えを文献(4)とプリントを用いて検討する。
成績評価の方法:平常点(講読と意見の発表)とレポートによって評価するが、それぞれ7対3の割合で成績評価とする。
教科書:
(1) A. V. Desnickaja, Sravnitel'noe jazykoznanie i istorija jazykov. Leningrad. 1984. pp.7-56.
(2) G.A.クリモフ「新しい言語類型学」三省堂 1999.
(3) T. V. Gamkrelidze, Vjach. V. Ivanov. Indo-European and the Indo-Europeans. I. Mouton de Gruyter. 1995.
(4) J. Clackson, Indo-European Linguistics. An Introduction. (Cambridge Textbooks in Linguistics.) Cambridge University Press. 2007.
参考書等:
(1) Szemerenyi, O. J. L. Introduction to Indo-European Linguistics. Oxford: Clarendon Press. 1996.
(2) 松本克己「世界言語への視座――歴史言語学と言語類型学」三省堂、2006.
注意事項:特になし
◆漢民族文化論 b
◇担当教員:楊暁文
◇副題:中国における1920〜30年代の文学と知識人
◇開講時限:後期月曜6限
◇教室:
国言棟1F演
◇目的・ねらい:
 I. 中国における1920〜30年代の文学とは何か、当時の知識人が何を考え、激動の時代をどう生き抜いたのかを理解する。
 II. 中国文学研究における方法論等を学ぶ。
◇履修条件等:前期(漢民族文化論a)から引き続き履修することが望ましい。
◇講義内容:
 中国における1920〜30年代の文学を対象として考える場合、種々さまざまな角度による考察が可能であるが、本講義では、受容と展開という視点からのアプローチを試みる。中国近現代文芸の草創期には、海外の文芸理論の紹介が盛んに行われていた。欧米からの直接的な受容も見受けられたが、アジアでいち早く近代化を成し遂げ、かつ漢字を共有する日本を経由して間接的にそれを吸収するケースが最も多く、そこに日本的な工夫が加味されたからこそ、中国のインテリの興味と関心を惹いたのではなかろうか。厨川白村の文芸理論専門書『苦悶の象徴』の中国語訳が魯迅と豊子ガイ
[「ガイ」は立心偏に「豈」] により同時に出版されたのは、このことを雄弁に物語っている。『苦悶の象徴』が民国文壇にどのような影響を与えたか、中国の知識人はそれをいかに自分のものとしたのか、『苦悶の象徴』の受容過程に見出される文化的戦略とは何かなどについて、この講義を通して考えていく。
 I.『苦悶の象徴』の翻訳に見られる魯迅の意図や、白村理論を魯迅がどのように自らの創作にいかしたのかをめぐって、一部講読もまじえて講義する。
 II. 豊子ガイがいかに『苦悶の象徴』を受容し、展開していったかを分析する。
 III. 受講者がそれぞれ自らの研究テーマについて発表し、それについて全員で討論する。
◇成績評価の方法:出席(30%)と、研究発表もしくは学期末のレポート提出(70%)による。
◇教科書、参考書等:別途指定する。
◇注意事項:特になし。
◆現代中国語表現論 b
◇副題:中国語学の諸問題
◇担当教員:
丸尾誠
◇開講時限:後期月曜3限
◇教室:文総609

◇目的・ねらい:
 本講義では中国語学に関する中国語で書かれた論文(必要に応じて日本語で書かれたものを扱うこともある)の講読を通して、現代中国語における文法研究の方法論を身につけていく。
◇履修条件等:前期(現代中国語表現論a)から引き続き履修することが望ましい。
◇講義内容:
 ある言語事象について、その問題の所在を明らかにするとともに、形式・意味・語用・認知などの側面から、総合的に分析を加えていく。
 講義時には、一般言語学的な視点をも交えて、現代中国語の文法事項について相対的に論じる。一般言語学における言語理論が、往々にしてその特異性ばかりが強調されがちである中国語という言語を分析する際にどこまで有用かという問題についても併せて考えてみたい。履修の前提として言語学・日本語学・英語学などの知識をある程度有することが望ましい。従って、専門外の学生については、必要に応じて当該事項や概念・用語を調べてくることを別途課題として課すことがある。
 後期も前期同様、論文講読が主となる。
◇成績評価の方法:
 レポートほぼ100%。出席などによる平常点は成績評価時に、補助的に用いることがある。課題は原則として授業で扱った複数のテーマの中から選択できる形式とし、その中に「自分の興味のある文法事象」について自由に論じるものも入れる予定である。その場合、問題の発掘という点が、とりわけ重要となる。
◇教科書、参考書等:
 プリントを配布する。学界の動向をも見据えつつ、定期的に刊行される学術雑誌の新しい論文・著書に細心の注意を払い、必要に応じてそれを教材として使用することもある。
 取り扱うテーマに関連する個別の専門書・論文等については授業時に随時紹介するものの、中国語の文法を体系的に理解し、理論を構築していく際の前提となるものとして、以下に挙げるものに常日頃目を通して、文法研究の方法論を把握しておくことが望ましい。
(1) 朱徳煕《語法講義》商務印書館(邦訳:『文法講義』杉村博文・木村英樹訳,白帝社)
(2) 朱徳煕《語法答問》商務印書館(邦訳:『文法のはなし−朱徳煕教授の文法問答−』中川正之・木村英樹編訳,光生館) ※この (2) については邦訳本の方に訳者による詳しい注釈がついており、参考になるところが大きい。
(3) 輿水優『中国語の語法の話 −中国語文法概論−』光生館
◇注意事項:特になし
◆日中対照表現演習 b
◇担当教員:勝川裕子
◇開講時限:今年度は開講しない。
◆現代中国語表現論演習 b
◇担当教員:勝川裕子
◇開講時限:今年度は開講しない。
◆現代中国語表現技術演習 b
◇担当教員:
丸尾誠
◇開講時限:今年度は開講しない。

ヨーロッパ言語文化講座
トランスレーション言説分析論 b
◇副題:翻訳思想の現在
◇担当教員:吉村正和
◇開講時間:後期月曜2限
◇教室:
文総623
◇講義目的:最新の翻訳理論を学習し、翻訳と意味に関わる諸問題について新しい知見を得る。
◇講義内容:
 前期に続いて、主として翻訳と意味に関わる諸問題を扱う。
(1)現代日本語の語彙体系に定着し日本文化の根幹をなしている、ヨーロッパ起源の翻訳語を取り上げて、それを再検討する作業を進める。異なる文化的背景をもつ言葉に翻訳された翻訳語は、原語の意味とはまったく別の意味内容をもって使用されるが、その根拠及びメカニズムについて考察する。
(2)翻訳の歴史的な経緯について概観する。対象となる翻訳史は、イギリス、中国などである。それぞれの翻訳史は、基盤となる文化的特性と密接に関係しながら独自の展開を遂げているが、ここではその翻訳の文化的様態に見られるさまざまな特徴について検討することになる。
(3)さらに時間があれば、翻訳と意味との問題から派生する言語神秘主義あるいは言語魔術(言語呪術)の問題にも触れてみる。
(4)授業の進め方は、前半で毎回指定のテーマに関して報告と討論、後半で受講者の発表する独自のレポートを基にした全員参加の討論による。
◇教科書・参考書:
 教科書は、第1回の授業において指示する。参考書としては、以下のものを参照。
 井筒俊彦『意識と本質』(岩波文庫)
 ムーナン『翻訳の理論』(朝日出版社)
 ナイダ『翻訳―理論と実際』(研究社)
 芳賀徹編『翻訳と日本文化』(山川出版社)
 大橋良介編『文化の翻訳可能性』(人文書院)
 丸山真男・加藤周一『翻訳と日本の近代』(岩波新書)
 柳父章『翻訳語成立事情』(岩波新書)など
◇成績評価:
 成績評価は平常点と、後期に各自1回ずつ行う研究発表とレポートの総計点により評価する。内訳は、平常点(出席率を含む。50%)、口頭発表(後期1回。30%)、レポート(後期1回。20%)である。
◆ヨーロッパ都市文化論 b
◇副題:「絵画」を通して見る前期ヴィクトリア朝の時代精神と社会風潮
◇担当教員:
松岡光治
◇開講時限:後期金曜6限
◇教室:
国言棟1F演
◇目的・ねらい:「ヨーロッパ都市文化論 a」と同じ。
◇履修条件等:「ヨーロッパ都市文化論 a」と同じ。
◇講義内容:
 今年度の後期は、前期ヴィクトリア朝の人々の生活を描いた絵画とその解説文を精読しながら、絵画に内在する物語に着目し、その解読の醍醐味を味わう。また、写実的に描かれた都市、田舎、家庭、学校、スポーツ、娯楽、交通などに見られる悲喜こもごもの人間模様に触れると同時に、画家たちに無意識的な理想化や美化を行なわせた時代精神と社会風潮についても考察する。
◇成績評価の方法:「ヨーロッパ都市文化論 a」と同じ。
◇教科書、参考書等:

 Christopher Wood, Victorian Panorama: Paintings of Victorian Life (London: Faber, 1976) をコピーして使う。参考文献は高橋裕子・高橋達史(著)『ヴィクトリア朝万華鏡』(新潮社)と松村昌家(著)『ヴィクトリア朝の文学と絵画』(世界思想社)。
◇注意事項:「ヨーロッパ都市文化論 a」と同じ。
◆ヨーロッパ文化芸術論 b
◇担当教員:西川智之
◇開講時限:後期火曜3限
◇教室:
国言棟1F演
◇目的・ねらい:
 19世紀後半から20世紀初頭にかけてのヨーロッパでは、文化・芸術・学問などの様々な分野で大きな変革の動きがあった。そうした変動を生み出した要因のひとつが、市民階級の台頭であった。本講義では、19世紀ヨーロッパ、主にドイツ語圏の市民階級に焦点を絞り、当時彼らがどのような生活を送り、どのような考え方を持っていたのかを知ることで、ヨーロッパが近代から現代へと変貌を遂げていく過程の一端を明らかにしたい。
◇履修条件等:
 主にドイツ語圏の文化・芸術を扱うことになるので、ドイツ語の基礎知識があること、あるいはそうした分野を研究対象とすることが望ましいが、それ以外の学生の受講を認めないというわけではない。
 前期同じ時限に開講された「ヨーロッパ文化・芸術論a」から続けて受講していることが望ましい。
◇講義内容:
 後期は、前期で扱ったことを前提に、音楽、美術、文学など、19世紀〜20世紀初頭のドイツ語圏の文化・芸術について、具体的な例を取り上げていく。何を扱うかは、受講者の関心分野によって決めていく。授業では、毎週担当者を決め、レポートしてもらう。少人数の授業になることが予想され、レポートの担当は数週間に及ぶと思われるので、その点も覚悟して受講してほしい。期末には、今期の授業で扱った内容に即したレポートを提出してもらう。
◇成績評価の方法:
 平常の授業への取り組み30%、担当してもらうレポート40%、期末レポート30%。
◇参考文献・扱う予定の文献:
 マックス・フォン・ベーン『ドイツ18世紀の文化と社会』(三修社)、マックス・フォン・ベーン『ビーダーマイヤー時代―ドイツ19世紀前半の文化と社会』(三修社)、ロベール・ミュシャンブレッド『近代人の誕生―フランス民衆社会と習俗の文明化』(筑摩書房)、インゲボルク・ヴェーバー=ケラーマン『ドイツの家族』(勁草書房)、宮本直美『教養の歴史社会学』(岩波書店)、若尾祐司編著『近代ヨーロッパの探求2 家族』(ミネルヴァ書房)、小田部胤久『芸術の逆説 近代美学の成立』(東京大学出版会)、小田部胤久『芸術の条件 近代美学の境界』(東京大学出版会)、ウィリアム・ウェーバー『音楽と中産階級 音楽の社会史』(法政大学出版局)、山之内克子『世界史リブレット74 啓蒙都市ウィーン』(山川出版社)、弓削尚子『『世界史リブレット88 啓蒙の世紀と文明観』(山川出版社)、ピーター・ゲイ『シュニッツラーの世紀』(岩波書店)、アレグザンダー・リンガー編『西洋の音楽と社会7 ロマン主義と革命の時代』(音楽之友社)、ジム・サムソン編『西洋の音楽と社会8 市民音楽の抬頭 後期ロマン派I』(音楽之友社)、ジム・サムソン編『西洋の音楽と社会9 世紀末とナショナリズム 後期ロマン派』(音楽之友社)
◆ヨーロッパ文化分析批評論 b
◇副題:ヴィクトリア朝イギリス社会を読む──絵画と文学テクストを手掛かりとして
◇担当教員:
上原早苗
◇開講時限:後期木曜5限
◇教室:文総623

◇目的・ねらい:(1)論理的な思考力を身につける、(2)英語文献に慣れ親しむ、(3)十九世紀イギリス社会への関心を涵養する。
◇履修条件等:授業で配付されたプリントを丁寧に予習すること。また本授業は前期のヨーロッパ文化分析批評論aの応用・実践編なので、前期の授業も併せて受講することが望ましい。
◇ 講義内容:
 ヴィクトリア朝イギリスは、福音主義運動の復活とともに所謂「リスペクタブルな」時代を迎え、グランディズムという名の検閲制度が支配した社会であった。そのため当時の社会・文化を分析するにあたっては、〈表現されえたもの〉だけでなく〈表現されえなかったもの〉をも念頭に置ながら、分析対象に向かうことが必要になってくる。この授業は、絵画および文学テクストを手掛かりに、〈表現されえたもの〉と〈表現されえなかったもの〉の境界線に注目しながら、十九世紀イギリス社会の一段面に光を当てようとするものである。具体的な授業の展開は以下の通り。
 1 オランダ画派再発見──ターナーからオランダ画派へ
 2 オランダ画派とは
 3 オランダ画派の風景画──ロイスダール、ホッベマ、コイプの風景画を中心に
 4 ヴィクトリア朝の出版制度・検閲制度
 5 「危険な」文学テクスト、その「危険性」を隠蔽する絵画──Thomas Hardy, Under the Greenwood Tree: A Rural Painting of the Dutch School を読む 
 (キーワード:ダーウィニズムの影、転覆されるジェンダーの非対称性、女子教育の史的展開、恋愛の可能性と不可能性)
 なお、授業では日本語文献だけでなく英語文献も扱うので、受講者は課題とされた箇所を予め丁寧に読んでおくことが強く望まれる。また授業の進め方としては、講義を行うだけではなく、受講者の発表、討論を通じてより大きな成果をあげたいと考えている。受講者には文献を批判的に読む、あるいは文献に批判を加えたうえで自身の論を構築する、という基本的な姿勢を身につけてもらいたいと思う。
 この授業の受講者として念頭にあるのは、文化研究の分析法を学びたいと思っている学生、イギリス社会・文化に関心のある学生、あるいは英語の文献に慣れ親しみたいと考えている学生だが、知的好奇心のある「勤勉な」学生であれば、誰でも受講することを歓迎する。
◇テキスト:プリント使用(以下の文献の一部を取り上げる)。
 1 Thomas Hardy, Under the Greenwood Tree: A Rural Painting of the Dutch School (1872; Oxford: Oxford University Press, 1998).〔トマス・ハーディ『緑樹の木陰──和蘭派田園画』、阿部知二訳、岩波文庫;トマス・ハーディ『緑樹の陰で──オランダ派の田園風景画』、藤井繁訳、千城〕
 2 Painting in the Dutch Golden Age (Washington: National Gallery of Art)
◇ 成績評価:授業への貢献度+レポートの内容
国際社会学演習 b
◇副題:集合的アイデンティティ・公共圏・メディア:2
◇担当教員:
鶴巻泉子
◇開講時限:後期月曜5限
◇教室:国言棟1F演
◇目的・ねらい:
 メディアを通じた公共圏・集合的アイデンティティの形成と、そのプロセスへの包摂・排除の問題をテーマとする。文献の精読を通じて既存研究の流れとその視座・問題設定の違いを確認すると共に、近年の研究動向・課題についても学ぶ。
◇履修条件等:
 前期「演習a」・後期「演習b」を通した受講が望ましいが、どちらかのみの受講も可能。前期には理論的文献の講読、後期には実証研究の検討と個別発表に重点が置かれる。
◇講義内容:
 この授業は次の2つの問題関心に基づいている。
 A.コミュニケーション技術の発展は近代化、国民国家の創出と密接に結びついてきた。現在のヨーロッパにおいて、メディアはどのように集合的アイデンティティや公共圏形成と関わっていると言えるだろうか。この授業では特に、想像された共同体としての国民国家とメディアの関係、他方ではトランスナショナルな空間の表出に着目したい。例えば独・仏共同経営のアルテ・テレビやヨーロッパのジャーナリストが協働するユーロ・ニュースなどは新しいヨーロッパ公共圏を創出していると言えるだろうか。グローバル・メディア(CNN, BBC, アルジャジーラ)の登場はグローバル・ジャーナリズム(つまり国民国家の視点を超えるようなジャーナリズム)とどこまで結びつくだろうか。
 B. 共同体の創出と密接に関わる一方で、メディアは常に排除される集団を作り出してきた。社会的に排除された集団――例えば何らかの障害を持つ人々、女性、高齢者、失業者、エスニック・マイノリティなど――は、一般に主流メディアからも排除される傾向がある。この排除のメカニズム、様式、要因をどのように説明できるだろうか。この問題を、特にヨーロッパにおけるエスニック・マイノリティを素材としながら考えてみたい。特に主流メディアにおけるマイノリティ表象・レイシズム研究と、制作者と発信プロセスの研究に重点をおいて検討する予定である。
 授業は講義・講読・個別発表の三形式で進行する。移民研究とメディア研究の相互の視点からメディアの中でのマイノリティ表象・アクセス・排除の問題を考えたい。具体的には以下の手順で進める予定。
 1講義:
 ・ヨーロッパ、特にフランスを中心とした移民問題とその社会問題化
 ・公共圏とメディア空間、メインストリーム・メディアの諸相
 2講読:
 ・エスニック・マイノリティとメディアについての基本文献を講読
 3事例研究/発表:
 ・参加者にそれぞれ自由に題材を選んでもらい(移民問題、イスラムのベール問題、あるいは例えば女性や障害者の表象など他のマイノリティ集団に関する題材も可)、個別に発表していただくことを考えている。
 ※※ 初回講義はガイダンスにあて、参加者の専門・希望を考慮しながら講読テキストを選択。
◇成績評価の方法:議論への積極的な参加(50%) と事例研究の発表 (50%)。
◇教科書、参考書等:初回授業時にリストを配布。
◇注意事項:
 この授業はあらかじめ特定の専門知識を必要とするものではありません。専門外の方々の参加を大いに歓迎します。ただし、講読文献を必ず前もって読んで授業に望むこと、さらに積極的に議論・発表に参加していただくことが受講の条件となります。また欠席の際には前もってメール(tsurumaki@nagoya-u.jp)・電話(789-4798)などでの連絡を御願いします。
現代ドイツ語表現技術演習 b
◇副題:"Humor im sprachwissenschaftlichen Kontext"
◇担当教員:
イェルク・ペータース
◇開講時限:後期月曜4限
◇教室:
国言棟1F演
◇目的:
 Diese Veranstaltung ist fuer Studenten aller Fakultaeten gedacht, die sich akademisch mit der deutschen Sprache und (Alltags-) Kultur -- im Vergleich mit Japan -- auseinandersetzen wollen.
◇履修条件等:
 Da Lektuere und Diskussionen im Seminar ausschliesslich auf Deutsch stattfinden, sind sehr gute Sprachkenntnisse unerlaesslich.
◇講義内容:
 Humor ist ein schwer fassbares Phaenomen. Nicht nur sind die Meinungen darueber, welche konkrete kommunikative Darbietung als humoristisch anzusehen ist, individuell und kulturell abhaengig und gehen somit weit auseinander, sondern Humor laesst sich auch keiner Disziplin eindeutig zuordnen. Ethnologie, Soziologie, Psychologie und Linguistik sind nur einige wissenschaftliche Bereiche, in denen Humor erforscht wird.
 Im Wintersemester wollen wir Humor auf interdisziplinaerer Ebene untersuchen, um dann linguistisch zu erklaeren, wodurch eine Aeusserung humoristisch wird. Aufgrund der gegebenen Beispiele wird im Seminar hoffentlich viel gelacht.
◇成績評価の方法:Mitarbeit im Seminar, Hausaufgaben

ジェンダー論講座
◆ ジェンダーと文学 b
◇副題:日中のフェミニズム/ジェンダー文学批評の流れ
◇担当教員:星野幸代
◇開講時限:後期金曜3限
◇教室:
国言棟1F演
◇目的・ねらい:日中のフェミニズム\ジェンダー文学批評を、批評史的に主要な文学作品、批評を読むことにより学ぶ。
◇授業内容:
○授業の進め方
 作品ごとに担当者を決める。担当者は作家、作品が従来どのように評価されてきたかを紹介/該当する論文の論旨をまとめ/自分の疑問点・意見をあげ/問題にしたい点を提示する。(レジュメにして配布)。
 基本的に一〜二回ごとに一作品+論文を扱う(下に挙げるテキストのうち*とあるものは授業二回ずつ使う予定)。作品の順番は担当者の都合を考慮する。
 初回はガイダンス。授業のねらいと年間の流れを確認/テキストについて批評史的な位置づけを略紹/担当の仕方、レジュメの例/担当者を決める。 
 以下のテキストを読み合わせることを通じて、日中のフェミニズム/ジェンダー文学批評史的に主要な文学作品をおさえ、フェミニズム/ジェンダー文学批評史の流れを理解し、またそれらによる文学批評の方法を学ぶ。
○ テキスト(論文、関連する作品。順不同。*のものはそのいずれか一章を扱う予定)☆購入の義務はありません。
 藤森清「強制的異性愛体制下の青春―『三四郎』『青年』」藤森かよこ編『クイア批評』世織書房2004
 千種・キムラ−スティーブン「「范の犯罪」(志賀直哉)と性の政治」『男性作家を読む フェミニズム批評の成熟へ』新曜社1994
 水田宗子「「虞美人草」における漱石の<藤尾殺し>について」
 *江種満子『わたしの身体わたしの言葉』翰林書房2004
 張愛玲「談女人」1944
 *ジュリア・クリステヴァ『中国の女たち』せりか書房1981
 江上幸子「中国フェミニズム文学批評の十年」『野草』57号1996
 山口守「“華人文学”におけるジェンダーとナショナリズム」『アジア遊学43 特集 変容するジェンダー』2002 エイミ・タン「ジョイ・ラック・クラブ」他 
 * タニ・E・バーロウ『国際フェミニズムと中国』お茶の水書房2003
 *孟悦/戴錦華『浮出歴史地表』中国人民大学出版社1989
◇教科書、参考書など:その他、授業時に指示します。
◇成績評価:
 担当一回以上と、十回以上の授業参加が単位取得の必要条件とする。担当発表7割、出席・発言による授業貢献を3割で評価する。
◇注意事項:4月18日出張のため休講。そのため4月11日の3限にガイダンスを予定。追って掲示します。
◆ ジェンダーとセクシュアリティ b
◇副題:クィア映画批評
◇担当教員:松下千雅子
◇開講時間:後期火曜4限
◇教室:
国言棟1F演
◇目的・ねらい:(1)映画研究の基礎を学ぶ(2)クィア理論を映画研究に応用する
◇講義内容:
 1992年に公開された映画『おこげ』は、ゲイのカップルと、彼らに魅了された女性の不思議な関係を描いた物語である。タイトルの「おこげ」とは、ゲイ(俗称「おかま」)にくっつく女性のことを指す言葉だが、この映画では、清水美砂がそうした女性を演じている。同じく1992年に公開された『きらきらひかる』は江國香織による同名の小説が映画化されたものだが、そこでもまた、ゲイのカップルのうちのひとりと結婚する女性を、薬師丸ひろ子が演じている。さらに、その10年後に公開された『ハッシュ!』においても、ゲイのカップルと家族的な友愛関係を持つことを望む女性がスクリーンに映し出される。これらの映画では、ゲイのカップルに惹かれていく女性の人生が軸となって物語が展開するが、彼女らは、自分の性的なパートナーとなりえないゲイ男性に、なぜ魅力を感じるのだろうか?彼らとの関係において、性的なものを排除してどのように自分の居場所を見つけていくのだろうか?そして、彼女らの性的な欲望が向かう先と、彼女の快楽は、どのように表現されているのだろうか?
 授業では、『おこげ』、『きらきらひかる』、『ハッシュ!』をとりあげ、ミザンセン、撮影法、編集、音などの様々な映画技法や、映画の物語構成に注目しながら、それらを通じて、欲望と快楽とがいかにして映像化され、観客に伝えられるのかを読み解いていく。
◇成績評価:授業への貢献度30%、レポート70%
◇教科書:デイヴィッド・ボードウェル&クリスティン・トンプソン著『フィルム・アートーー映画芸術入門』藤木秀朗監訳(名古屋大学出版会)
◇成績評価:授業への貢献度30%、レポート70%
◇注意事項:映画を見るために授業を延長することがある。
◆ ジェンダーと経済 b
◇担当教員:新井美佐子
◇開講時間:後期木曜6限(開講後、受講者と相談の上、変更の可能性あり)
◇教室:
国言棟1F演
◇目的・ねらい:
・経済学あるいは経済事象にジェンダー視点から接近し、そこにおける問題点を理解する。
・文献の講読、レジュメ作成、ディスカッションへの参加を通じ、論文を書く、意見を交わすといった研究活動の基礎を修得する。
◇履修条件等:
 特になし。前期開講の「ジェンダーと経済a」から継続受講することで上記「目的・ねらい」がより達成されると思われる。また、下記「注意事項」も参照のこと。
◇演習内容:
 経済学では、いわゆる主流派、非主流派の双方において、長らくジェンダー視点が欠落していた。このことを見直し、経済学やジェンダー研究の学問的発展につなげようとする動きが活発化したのは、1990年代に入ってからに過ぎない。本演習では、女性研究者を中心に、学派の相違を越えて取り組まれているこうした試み‐「フェミニスト経済学」‐について、国内外の文献から学ぶ。
 具体的には、前期開講の「同演習a」における理論的研究文献の講読を受け、実証的研究文献を取り上げる。実証分析の対象‐地域(国)、時期、等。つまり講読文献‐については、受講者の希望を考慮して決定する。
 毎回の流れは以下の通り。
 1. 報告者による講読文献のまとめ(要レジュメ)
 2. 用語・内容等に関する質疑応答や解説
 3. 報告者あるいは受講者が提示したディスカッション・ポイントについて議論 
 レジュメには、単に講読文献の抜書きを羅列するのではなく、講読文献の構成や内容が明瞭に捉えられるよう工夫を凝らして欲しい。またディスカッション・ポイントの提示に際しては、講読文献の内容を補足あるいは発展させるようなデータや文献、資料を添付するなどしても構わない(むしろ望ましい)。これらの作業は、テーマに関わらず、「論文を書く」‐既存研究の不足点あるいは批判すべき点を見出し、問題として設定し、適切な方法と過不足なく明確な論述によって解を示す‐ための訓練の一つとなろう。
 さらに、教員あるいは受講者が参加した関連学会・研究会に関する報告なども適宜行い、最新の研究成果の紹介に努める。
 「経済」という語がカバーする範囲はいうまでもなく非常に広く、特にジェンダーとの関わりが深いと考えられる分野に限っても、労働、子育て・介護をはじめとする社会的再生産、社会保障、あるいはグローバルな経済システム等、多様である。本演習でこれら全てについて検討することは無論不可能であるが、上記のような様々な経済領域が密接に関わりあっているということを常に念頭に置き、広い視野でジェンダーを理解するよう心掛けて頂きたい。なお、本演習を通じて、ジェンダー研究が、女性(とりわけ、いわゆる「働く女性」)のみの利益を追求・主張するものでは決してないことが理解されると思う。
◇成績評価の方法:毎回のディスカッションへの参加度(50%)、ならびに報告担当時のレジュメ/ディスカッション・ポイントの内容(50%)。
◇教科書・参考書等:上記「演習内容」を参照のこと。参考書については、演習中に適宜指示する。
◇注意事項:
 経済学の知識を備えた上での受講が望ましいことは無論だが、必須ではない。「経済」とは、われわれの「日常生活」とも言い換え得る身近な活動であり、そこにおけるジェンダー問題とは誰しも無関係ではないはずである。受講者の希望(言語、難易度など)を可能な限り考慮して講読文献を決める予定なので、専門分野を問わず、また単位が不要であっても、関心や意欲のある学生の真摯な受講は大いに歓迎する。
 なお、欠席する際には、メール等にて極力事前連絡のこと。

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(2008.12.10)