現代ヨーロッパ表現科学講座と私

亀田 明子(富士通、平成13年3月博士前期課程修了

 

早いもので、名古屋大学大学院国際言語文化研究科を修了して、2ヶ月が経とうとしています。ここで、私は大学院での研究をはじめとして、ヨーロッパ講座の紹介、そして就職活動や社会人生活について述べたいと思います。

私は大学院に在学中、英語文体論を研究し、修士論文ではチャールズ・ディケンズの『オリヴァー・トゥイスト』の言語的特徴をテーマに執筆しました。実を言いますと、大学院に入学したばかりの頃は、イギリスの文化について研究してみたいという漠然とした考えしかありませんでした。というのも、私が大学院に入った理由が、大学時代を振り返って英語学を専攻しながら自分の勉強不足を痛感し、英語の専門知識を身につけて学業を修了したいと考えたからで、この研究をぜひ行ないたいという明確な目的意識はなかったのです。しかし、この現代ヨーロッパ表現科学講座に入学して担当教官の松岡光治先生に相談したところ、私の意見を聞きながら様々な研究計画の案を出してくださり、自分のやりたいことがはっきりと見えるようになりました。先生のおかげで私の研究テーマは1年目の夏までには明確になり、夏休みの研究が大変充実したものとなりました。同じ講座の友人も早めにテーマを決め、修士論文執筆もかなり早いうちに取りかかっていました。このようにヨーロッパ表現科学講座は教官と学生の1対1の関係が確立しており、自分の研究についても納得がいくまで相談することができます。

また、私は大学院に通いながら高校で英語の非常勤講師をしていました。そのため大学へは週3回しか行けませんでしたが、どちらをおろそかにする事もありませんでした。それは友人や先生方の理解と協力があったからこそだと思います。友人とは授業以外に、英検や統計的手法の勉強会を自主的に行ない、英語力の向上や修士論文作成にとても役立ちました。

ヨーロッパ表現科学講座の授業内容についてですが、分野が多岐におよび、ひょっとしたら自分の研究内容と全く違うと思われるかもしれませんが、どの授業においてもヨーロッパの言語や文化に関する研究に役立つ周辺の知識を得ることができます。だから、修士論文も自分だけの偏った主張にならず、さまざまな視点から考察できるようになるはずです。また言語文化部をはじめとして語学力の育成に力を入れており、作文の授業や外国人教師のオーラルコミュニケーションの授業が充実しています。ですから、自分のやる気と努力次第で語学力を飛躍的に伸ばせます。

平成13年4月から、私は(株式会社)富士通の中部システムズというIT関連の企業で働いています。まだ研修の段階で、実質的な業務を行なうまでには到っていないものの、毎日が勉強の連続で、社会人としての責任をひしひしと感じています。会社では同世代の新人同士、学生の頃のように教えあい、励ましあいながら研修を受けています。また、会社終了後の友人との語らいが楽しみで会社に向かい、社会人生活を満喫しています。社会人になって1日のスケジュールが固まり、自分の時間が少なくなりましたが、それで学生時代よりも余暇を有意義に過ごそうと努めるようになりました。

先ほど述べたように、私はシステムエンジニアという仕事を選びました。大学院での専攻とはかけ離れた仕事のようですが、システムエンジニアという職種はコンピュータの知識だけでなく、より幅広い知識や情報をつかむ必要があるため、社員の出身学部はさまざまです。私は、大学院で英語教育とコンピュータの授業を受けて、将来自分で英語のマルティメディア教材を作りたいと思うようになり、この仕事を選びました。私はプログラミングの経験がないために現在の研修は厳しく感じられますが、新しい知識を増やし、大学院までの知識と組み合わせることで、自分の可能性がより広がって行くような気がして、研修の大変さを苦痛に感じることは全くなく、与えられた課題に奮闘しています。

私は博士後期課程に進学せずに就職したわけですが、やはり就職活動は大変でした。修論の研究と重なるため、どちらも早くから始めておくことが、成功の鍵となると思います。また、どの職種にも言えることだと思いますが、グローバル化が進んでいる昨今、企業は「語学力のある学生」を望んでいます。私が就職したシステムエンジニアも海外企業との共同開発の業務などがあり、英語は必須となっています。英語でなくとも何か一つの外国語を身につけておくことは、就職活動において大きな強みとなると思います。ですから、現代ヨーロッパ表現科学講座に入って、ぜひ実用的な語学力と特定の分野における高度な専門的知識を身につけていただきたいと思います。

(2001.5.23)