新しい一歩のために

矢崎 芳(岐阜県職員、平成12年3月博士前期課程修了

 

昨年3月に名古屋大学大学院国際言語文化研究科を修了し、4月に岐阜県職員として再就職しました。2年間の大学院生活は短くはありましたが、私にとってはとても充実した、貴重な時間でした。ここではご紹介したいことはたくさんありますが3つだけ、まずは現代アメリカ表現講座(ラテンアメリカ分野)について、そして私の勉強方法について、最後には少し就職活動についてご紹介します。

私は生後5ヶ月の子供を持つ主婦の立場からの入学でした。同期で入学した人たちは学歴、国籍、年齢、家庭環境も様々で、私のように、それまで学業から離れていた人たちも何人かいました。ですからそれほど違和感を感じることなく大学院生活のスタートを切ることができました。

私は初めから学部時代の研究テーマであった「ラテンアメリカの先住民政策」について研究することを決めていました。現代アメリカ表現科学講座の内容は、大きく「北アメリカ」と「ラテンアメリカ」分野の二つに分かれ、さらに言語、文学、政治、経済、文化などに分かれます。私の指導教官であった二村先生はラテンアメリカ政治・経済の研究を、また、スペイン語やポルトガル語の演習でお世話になった水戸先生はポルトガル語のみならず、ブラジルの言語政策などを研究をされていました。お二人の研究は私のテーマとは必ずしも一致していませんでしたが、“ラテンアメリカつながり”で多くの接点があり、たとえどのような話題であっても、先生方のお話はとても勉強になりました。名古屋大学でラテンアメリカに関する研究をされている先生はおそらくこのお二人だけであると思います。先生方の講義や演習には、いつも他の研究科から多くの聴講者がありました。

次に勉強方法についてですが、ラテンアメリカに関する資料は大学院国際協力研究科にたくさんありますし、専門によっては他学部の図書館を利用すればかなりの資料が集まると思います。私の研究テーマが“政策”でしたので、法学部の本をよく借りました。しかし、さらに専門的な内容となると、どうしても学外へ出ることが必要になります。私の場合はラテンアメリカ学会の研究部会に参加することで、他大学の同じ研究分野の先生方とお会いし、情報を提供していただくことができました。外国研究には現地へ行くことが一番良いと思いますが、私の場合は家族の制約上行くことはできませんでした。しかし多くの先生方に本を貸していただくことができ、またアドバイスをいただいたので無事論文を完成させることができました。

この大学院では他研究科の受講も認められているため、私は国際協力研究科の講義もいくつか受講していました。そこでは自分とは全く異なる視点で研究をしている人たちに出会うことができ、自分の研究に欠けている視点を強化することもできました。そこでお会いした東村先生には論文の副指導教官をお願いし、先住民政策に関しては色々ご指導いただくことができました。

最後に私の就職活動と現在の仕事についてご紹介します。私の就職活動は年齢の制限もあってかなり限定的なものでした。スペシャリストと呼べるような技術がない私にとっては一般企業への就職はまず無理でしたので、進学して研究職、あるいは公務員を目指していました。大学院入学当初から修了後の進路を考えていたのですが、それは「卒業してもこれまでの生活と同じではだめだ」と強く感じていたからです。公務員試験の対策としては法律の勉強を少しづつ、計画的に進めていきました。運良く岐阜県での採用が決まり、結果的には研究職ではなく、公務員という選択をしました。

公務員生活も早1年半になりました。この職業も一般企業と同様、現在大きな転換期を迎えています。税収入の減少と債務負担が大きく公務員の業務と私生活にのしかかってきています。個人的見解ですが、公務員は今後これまで以上に専門的知識が要求される、厳しい職業へと変わっていくと思います。

(2001.8.3)