院生として一年を過ごして

佐藤瑠衣(国際言語文化研究科博士前期課程在学中)

大学院への進学を決めたのは、大学で勉強してきたことをもっと続けたい、中断させたくないという思いがあったからです。進学を勧めてくれたのは学部の先生でしたが、研究したいものが決まらないままでいました。そんなときに、この国際言語文化研究科のHPを見て、「文学と舞踏」を研究している先生がいることを知り、私が小学生から続けているバレエも研究対象になるのだとうれしくなったことを覚えています。それまでも、絵画や演劇が学問としてあるのだから舞踊だってあってもいいじゃないかと思ってはいましたが、大学で研究している方がいるとは全く知りませんでした。

大学院に入って感じたことは、勉強と研究は違うということです。振り返ってみると学部の時には、与えられたものを勉強してきただけ、調べたことをまとめるだけでした。論文を書くために研究するということは、自分で資料を発掘することから始めなければならないのです。当然のことかもしれませんが、頭ではなんとなくわかっていても、実際に論文を書くために研究をする力は備わってない状態で、私は大学院に入学してしまいました。

そんな私を一から指導してくださっているのは、指導教官の山口先生です。先生は、論文とはどういうものかわかっていない私に、資料の集め方から、論文の読み方、テーマの絞り方など、どのように進めていったら良いのかを、本当に丁寧に指導してくださっています。私があまりにもひとりで研究を進める能力がないという原因もありますが、ここまで細かく指導してもらっている院生は他にいないのではないでしょうか。いずれにしても、どの先生も研究の仕方をアドバイスしてくれるはずです。大学院というところは、自分で研究する力を身につける場所であると実感しています。

修士論文では、現在、日本で活躍している振付家が創作したモダン・バレエの作品をとりあげようと考えています。舞踊を研究する学問は、日本でまだ十分に確立している分野ではないので、舞踊作品をどのように分析したらよいのかを探っている段階です。研究対象にしようと考えている作品には、実際に私もダンサーとして参加していますので、創作過程や練習のメソッドなども分析した上で、作品から振付家の考え方を導き出せたらと思っています。

国際言語文化研究科の学生には院生室という場があたえられていますので、そこで同じ授業をとっていない学生とも知り合うきっかけができ、先輩方からアドバイスをしてもらったり、研究内容を話し合うことで刺激をうけたりして、とても良いと思います。大学院へ入ってからの幅広い分野の授業の内容や、出身や年齢の様々な人との出会いは、私の視野を広げてくれるものです。授業の発表や、外国語の論文を読むのに苦戦し、こんな状態で院生としてやっていけるのかと不安になっていた時期もありましたが、先生やまわりの人々に支えられて自信もついてきました。進学を決心する前は、クラシック・バレエを教える道に進もうと考えていたのですが、何か背中を引っ張られるような思いがありました。それは、技術的な面でも精神的な面でも自分が未熟であると感じていたからでした。しかし、今はこの前期課程を修了できたら、本格的にバレエ講師を目指そうと思っています。

(2004.5.13)