立場が変わった

金 由那(国際言語文化研究科博士後期課程在学中)

私の日本留学は国際言語文化研究科の国際多元文化専攻で始まりました。30才近い年になって、国と身分を変えるのにはかなりの勇気が必要でした。しかし、30年の年月を遡って自分のありきたりの人生を顧みるようになったのは、これから進まなければならない未来が遠いことに気がついたからです。それで、留学することを決め、こちらに来ました。私はこの場を借りて現在の心境と研究科の雰囲気などについて述べたいと思います。私のように、社会人から立場を変えて大学院に進学することを希望される方に読んでいただければ幸いです。

韓国では日本語は外国語として人気があって、どの大学でも専攻や教養で受講する学生が多い。ですから、私のような者でも非常勤として教えることができました。しかし、言葉だけ教えるのには物足りなさを感じたため、仕事を辞めて、もっと日本のさまざまな文化を知りたいと思って飛んできました。立場が変わったら服装も変わりました。いつもスーツの服装でしたが、ジーパンとTシャツの姿で学校へ行く気持ちは嬉しくて、歩みが軽かったです。自転車でキャンパスを走る気持ちも爽やかです。

院生室では、自分の母国語ではない言語で論文を書かなければならないため、みんな自分が興味のある言語に熱心です。研究室での朝のあいさつも、日本語をはじめ、韓国語、英語、中国語などで行われるのが面白いです。お互いに論文を読んでもらったりするので、外国語で書くことも恐ろしくありません。

一方、学問及び生活の道具としての言語習得の必要性が強調され、後期課程ではまた別の外国語の能力が必要です。私は英語のセミナー授業を取っています。英語の原書を読んで応用できる文章を探して、コーパス(電子化された大規模な言語の資料で、言語の記述や分析の便宜に供されるもの)で調べてから、みんなのメーリングリストに送ると先生のコメントがメールで来る。それを授業で取り扱うようにするので、すごく有用な授業です。そのおかげで、ある程度読むことに自信がつきました。

私は東アジア言語表現科学講座で韓国語と日本語の対照研究をしています。特に言語意識と言語学習との関係を社会言語学を援用して研究しています。研究ではいつも指導教官である飯田先生の指導をいただいています。

また、韓国語の全学向け授業はだれでも自由に入って聴講できるように開放されているので、私も先生の教授法を学ぼうとして聴講しています。日本の大学生と接する機会がなかなかない私のような留学生にとって、彼らと一緒に授業を取ることは日本の大学生と話し合える本当に有益な時間です。快く聴講を承諾してくださっている先生にはとても感謝しています。

国際言語文化研究科は国際化という社会環境との関連で研究を捉えているため、言語文化に関するさまざまな研究が行われています。自分が興味のある分野を自由に研究できます。また、どの国の留学生でも自由に入れるように門が開かれていますし、年齢制限が無いので、勉強しようとする意欲さえあれば入れるのがこの研究科の特徴です。大学院生活を国際多元文化専攻で始めてはいかがですか。 

(2001.9.12)