東アジア言語文化講座
大学院生・修了生エッセイ集


高謙(平成27年度博士前期課程修了)
 「前進あるのみ」

 修士課程に入学した当時、私はいつも悩んでいました。研究計画書をどう書けばよいのか、研究発表
の質疑にどう答えればよいのか、将来の進路についてどの道を選べばよいのか、何度も何度も自分に問
いかけました。しかし、考えれば考えるほど、それは時間の無駄でしかなく、何の答えも得ることがで
きませんでした。
 悩みながら試行錯誤した結果、その「悩み」は解決できないのではなく、解決する時機がまだ来てい
ないのだということが分かりました。計画書を書くというのは、計画書そのものの出来上がりを一筋に
考えるのではなく、先人の残した貴重で膨大な資料を読み込み、その中にある疑問点や不足点を一つ一
つ拾い出し、それを究明するための方法を考え、これをまた一つ一つ検証する。この積み重ねが研究で
あり、その指針を表したものが研究計画書だということがやっと分かったのです。
「人の一生は重荷を負うて、遠き道を行くが如し、急ぐべからず」と徳川家康公も言うように、「修士
論文」「研究発表」という遠大なゴールを目の前に立ち尽くすのではなく、一歩一歩目の前にある問題
を解決していけば、自ずと道は通ずるということを学びました。
初めて来日した時、スーツケース一つと名古屋市街地図一枚が、私の財産のすべてでした。あれから
3年が経ち、研究が面白く感じられるようになり、また先生方や周りの友人の励ましを受けて、自ずと進
学を決意しました。博士論文執筆の道も「前進あるのみ」で頑張っていきたいと思います。




                           


                                                        (2016年4月6日)