東アジア言語文化講座
大学院生・修了生エッセイ集


金賢珍(キム・ヒョンジン)(M2)
 「夢を伴う自分を作ってみませんか!」

  私は現在博士後期課程2年に在籍し、現代東アジア表現科学講座で日本語と韓国語の程度副詞に関する研究をしています。
 私は2000年4月国際言語文化研究科に入学しましたが、振りかえてみるとあっという間に4年が過ぎたような気がします。これから大学院に入学を希望される方、とりわけ外国から日本に留学される方に読んでいただければなにより幸いだと思いながら、入学して今日まで4年の間体験した大学院生活、本研究科の特徴について述べたいと思います。
 私と日本語の出会いは高校のとき、第二外国語として始まりました。このときは正直 に日本語に全然興味を持たず、ろくに勉強もせずになんとか受験だけという気持ちで した。このようなわけで高校を卒業するときは、二度と日本語を覚えることはないだ ろうと思いましたが、大学に入ってまた外国語専門学校の日本語教室に通いはじめま した。今度は自らの選択でしたので、高校のときとは接し方が違ってきました。英語 以外のもう一つの外国語として磨くために、一生懸命覚えました。大学では語学とは 関係がない経済の勉強をしましたので、本格的に語学の方に進路を変えるには相当の 勇気が必要でした。結局、卒業とともには勇気が足りず他の道を選びました。しか し、数年後、やはり日本語を本格的かつ専門的に勉強したいとの思いが強く募り、母 国の大学院の日本語科に入学しました。しかし、母国で外国語の研究をするには様々 な限界をしみじみ感じ、どうせやるなら本場でやりたいと、思い切って日本への留学 を決めました。
 日本に留学を決め、本研究科に入学するまでは、目標とする研究が最後までできるか どうか、また外国人として肩身の狭い思いをするのではないかと大変心配でした。と ころが、本研究科には実に多くの国から、また、多様な経歴をもった学生が集まって いることに驚きました。学生は年代も職業ももちろん、研究している分野も様々であ ります。これは、本研究科の第一の特色として挙げられる言語と文化が二本立てにな っていることによると思われます。言語の面で、特に中国語と韓国語を軸にする現代 東アジア表現科学講座、文化の面で、多元文化・先端文化・アメリカ文化・ヨーロッ パ文化の4つの講座、フェミニズム・ジェンダー論講座、現代の情報技術の進みとと もにメディア論講座の7つの講座で成り立っているのは、大学院にとっては本当に稀 なことであると思います。このようなわけで、本研究科では従来の保守的な偏見や枠 組みにとらわれず、言語と文化を組み合わせた研究ができるのです。元々、言語とい うのは言語だけ一人歩きすることはできず、その国の文化の中から生まれてくるもの であり、また文化は言語があってこそ生まれてくるものです。実に、言語と文化は鶏 と卵のような、または表裏一体の関係であると言っても過言ではありません。その国 の言語を知るためには文化を知らなければならず、文化を知るためには言語を知らな ければ真の理解を得ることは難しいです。従って、専攻が言語であれ、文化であれ、 両方から接近していく立場を取らなければ、結局深みのある研究に至らず終わる可能 性も十分あるわけです。世の中は同じことでも見方の角度によって随分違って見える ものです。私たちが日々専念している研究に対しても同じことが言えます。この見方 の差によって、多様なアイデアが浮かんで、それを生かした新しい研究がいくらでも 可能です。このようなわけで、本研究科は言語と文化、または両方を合わせた研究を 志向する人によって理想的な組み合わせであると言えます。研究対象が言語である私 にとっても、このような環境下でいろいろな研究方法を見につけることができました。
 このような本研究科の組織下で、なにより自慢できるのは指導教官をはじめ、各分野 の先生方の熱意のこもった指導のことです。研究の方向、または自分では見逃したと ころなどは、先生方のコメントと周りの院生たちとの討論を重ねていきながら、解決 することができます。論文を書き上げることは本人であることは確かですが、先生方 と院生たちの支えがなければ不可能なことです。本研究科の言語と文化が交じった未 来志向の体制は、これから21世紀の大学院の姿であることは間違いありません。
 2004年春を機に名古屋大学も法人化になり、新しく生まれ変わることになりました。 新しい環境で言語と文化に関心を持っているみなさん、自分の隠れている能力が引き 出せるかどうか、どこまで背伸びができるのか、自ら試してみませんか。最善を尽く す姿は美しく輝きます。本研究科は、言語と文化の勉強を通じて充実した未来の夢へ 向かって輝ける場になると信じます。(2004年4月5日)