東アジア言語文化講座
大学院生・修了生エッセイ集


韓涛(平成25年度博士後期課程修了)
 「博士論文を書き終えて」
 博士論文を書き終えて、この3月にようやく博士学位を取得することができた。
とにかく感慨深かった。まず真っ先に脳裏に思い浮かんだのは、“ It’s been a long, bumpy road.”という英文だった。
10年余りの留学生活を振り返ってみると、確かに、その道のりは長くて平坦なものではなかったのだ。しかし同時に、
「人生というのは本当にドラマチックなんだな」とも思った。
 「もしも、あのとき、日本語を専攻しなかったら…」
 「もしも、大学2年の終わり頃、日本への交換留学生に選ばれなかったら…」
 「もしも、あの先生に出会えなかったら…」
 「もしも、…」
どれも私の人生を左右する重要な分岐点だった。しかもどこかの分岐点で違った選択をしていたら、いまの私はいないであろう。
そう物思いにふけっていたら、今度は別のことを考えた。
 「過去を振り返ってばかりいては、前に進むことができない。今日のゴールは、あくまでも明日のスタートラインにすぎない」と。
 唐の詩人賈島(779−843)は、かつてこんな絶句を詠んだことがある。

  十年磨一剣,  [十年一剣を磨くも]
  霜刃未曾試。  [霜刃未だ曾て試みず]
  今日把似君,  [今日把りて君に似さば]
  誰為不平事?  [誰か不平の事を為さん]

 なぜか、いまになって妙に心打たれたのだ。
 学位が取れたからと言って、引き続き日本語学習者であることは変わらない。これからも日本語について中国語と比較しながら、
その構造や発想をもっと知りたいというのが私の切実な願いだ。末筆ながら、いままでお世話になった方々に心より御礼申し上げる。


                           


                                                        (2014年3月18日)