2013年度 日言文シラバス
  

☆ 下記の内容は変更することがあります。掲示等に注意してください。

日 本 言 語 文 化 学 講 座
日本言語文化学方法論a
 ◇講義題目:福澤諭吉の『西洋事情』を読む
 ◇担当教員:福田眞人(前期、月4、文総624)
 ◇オフィス・アワー:月(16:30~17:30)文総館714号室
◇目的・ねらい:
 慶応2年(1866)から明治3年(1870)にかけて福澤諭吉(1835-1901)の西洋経験に基づいて書かれた『西洋事情』は、文化受容の目配りを示す、文化比較の格好の入門書であろう。この書を現代の目で読み直す作業を行う。
 この書では、大きくは政治、社会から、小さくは日常の事物に及んで、独特の筆致で西洋事情が詳細に記述され、分析・考察を施されている。幕末・明治維新にあって、もっとも最前線の教養人であり知識人であった福澤が西洋をどのように解剖し、新しい西洋文明の出会いの中で、その事物に驚き戦いている日本人にどのような西洋像を示したのかを辿ってみよう。

◇授業内容:
 1. はじめに。授業導入説明。
 2. 江戸幕末から明治維新への変遷概論
 3. 政治体制:英国との比較
 4. 経済体制:江戸時代の経済流通体制と私有の概念
 5. 交通事情:東海道53次から蒸気機関車へ
 6. 蒸気機関車と衝撃
 7. 軍事:徴兵制と軍隊
 8. 教育:学制と寺子屋
 9. 人物:偉人、英雄伝の意義 『西國立志篇』との響き合い
 10. まとめ
 11. まとめ
 ◇教科書:
   福澤諭吉『福澤諭吉著作集第1巻・西洋事情』慶應義塾大学出版会、2002年。
 ◇参考文献:
   『福澤諭吉全集』岩波書店、1969-1971.
 ◇履修条件:
   特になし。
 ◇成績評価:
   授業での発表(30%)、発言(20%)、ならびに期末レポート(50%)から総合判断により成績を付ける。


日本言語文化学方法論b
 ◇講義題目:福沢諭吉の『西洋事情』を読む
 ◇担当教員:福田眞人(後期、月4、文総624)
 ◇オフィス・アワー:月(16:30~17:30)(文総館714号室)
◇目的・ねらい:
 慶応2年(1866)から明治3年(1870)にかけて福澤諭吉(1835-1901)の西洋経験に基づいて書かれた『西洋事情』は、文化受容の目配りを示す、文化比較の格好の入門書であろう。この書を現代の目で読み直す作業を行う。
 この書では、大きくは政治、社会から、小さくは日常の事物に及んで、独特の筆致で西洋事情が詳細に記述され、分析・考察を施されている。幕末・明治維新にあって、もっとも最前線の教養人であり知識人であった福澤が西洋をどのように解剖し、新しい西洋文明との出会いの中で、その事物に驚き戦いている日本人にどのような西洋像を示したのかを辿ってみよう。

◇授業内容:
 1. はじめに。授業導入説明。
 2. 江戸幕末から明治維新への変遷概論
 3. 政治体制:議会
 4. 経済体制:銀行、紙幣、預金
 5. 交通事情:道路事情
 6. 郵便事情
 7. 軍事:帝国軍隊と植民地、帝国主義の問題
 8. 教育:博物館、病院と特殊学校
 9. 院生の発表
 10. まとめ
 ◇教科書:
   福澤諭吉『福澤諭吉著作集第1巻・西洋事情』慶應義塾大学出版会、2002年。
 ◇参考文献:
   『福澤諭吉全集』岩波書店、1969-1971.
 ◇履修条件:
   特になし。
 ◇成績評価:
   授業での発表(30%)、発言(20%)、ならびに期末レポート(50%)から総合判断により成績を付ける。


言語文化交流論a
 ◇講義題目:言語文化交流の根底にあるもの
 ◇担当教員:涌井 隆(前期、水3、文総609)
 ◇オフィス・アワー:金(10:30~12:00)
◇目的・ねらい:
 言語文化交流の根底にあるものが何かについて考えます。なぜ、文化の衝突があるのか。文化、宗教、国家の衝突と理解されているものの本質が何かについて考えます。様々なメディアによって流布される情報はたとえ公式見解として教科書に載っているような情報であっても嘘が含まれるのが普通です。したがって、教科書を鵜呑みにせず、ネットから積極的に情報を取り自分の頭で考えることが重要です。騙されないように脳を鍛えるのが講義の目的です。

◇授業内容:
 前半は、皆で言語文化交流について論じた文章を読み、後半には、受講者各自図書館やインターネットを使って世界の言語文化交流の実状について調べ発表してもらいます。世界のどこでもいいですから、どのような言語文化交流が行われているのか、その背景にはどのような政治・社会・経済的な背景があるのか、調べて見てください。一緒に読みたいと考えている文献は次の通りです。『日本の国境問題』(孫崎享)、『消滅する言語―人類の知的遺産をいかに守るか』(デイビッド・クリスタル)、『エコノミック・ヒットマン』(ジョン・パーキンス)、『異文化文化理解の倫理に向けて』(稲賀繁美編)、『日本語が亡びるとき』(水村美苗)、など。言語文化交流を考える場合、言語文化に内在する要素だけを考察することも出来ますが、そもそも、交流が可能になる背景には、政治・社会・経済的な要因が存在し、その事実に無知であることは出来ません。授業は、教員が一方的に話すのではなく演習形式を取ります。最近のインターネットの浸透と発展は目覚ましく、日本に長期滞在する外国人が、日本の快適で比較的自由なインターネット環境を利用してポド・ビデオキャストの配信を行い世界に向けて発信している例もあります。日本にいても世界を取材することが出来ます。もちろん現地に足を運ばなければ得られない情報は存在しますが、情報を咀嚼する分析力と背景を理解するための幅広い知識の方が重要です。

 ◇教科書:
   なし
 ◇参考文献:
   なし
 ◇履修条件:
   なし
 ◇成績評価:
   出席状況、授業参加の度合い、発表の出来などを考慮に入れ総合的に判断する。


言語文化交流論b
 ◇講義題目:外国詩の日本語への翻訳
 ◇担当教員:涌井 隆(後期、木3、文総623)
 ◇相談時間:木(14:45~16:15)
◇目的・ねらい:
 主として英語と中国語(フランス語、ドイツ語、スペイン語などを扱う場合もある)の詩を日本語に翻訳する作業を通じて、日本語の表現能力を養い、詩についての理解を深めます。詩を翻訳するためには両言語の深い知識が必要です。論文を書くための語学力以上のものが求められます。したがって、詩を翻訳する練習を積むことが論文を書く力を養うことにつながります。

◇授業内容:
 一回の授業で一編の詩を扱います。誰のどの詩を訳すかはまだ未定ですが、過去に扱った詩人を挙げると、シェイクスピア、デレク・ウォルコット、ケベド、ネルーダ、方文山、北島、徐志摩、海子、ロバート・フロスト、ローラ・クロンク、シェイマス・ヒーニー、ワーズワース、マリアン・ムーア、ヨシフ・ブロツキー、トマス・ハーディ、ビリー・コリンズ、マーガレット・アットウッド、キャロライン・フォーシェ、マヤ・アンジェロウ、テッド・ヒューズ、W.H. オーデンなどがあります。上記以外の言語でも参加者が語句の意味と文の構造を説明出来、他の受講者が辞書を引ける言語である場合問題ありません。毎回の授業でお互いの翻訳を批評し合います。日本語が母語ではないからとか、詩は難しいとか、怖じ気づいてしまう必要はありません。毎回原文を詳細に説明するので自分でも辞書を引いて挑戦してみてください。日本語が母語でないからこそ優れた翻訳が生まれる可能性もあります。

 ◇教科書:
   なし
 ◇参考文献:
   なし
 ◇履修条件:
   なし
 ◇成績評価:
   授業参加の度合いと詩の出来具合を総合的に判断して評価を出します。




日 本 語 教 育 学 講 座
日本語教育学原論a
 ◇講義題目:実証的言語研究法・基礎編
 ◇担当教員:玉岡賀津雄(前期,月曜日の6限目,18:15~19:45,全学教育棟北棟2階 211)
 ◇オフィス・アワー:月曜日 (16:30~18:00), 場所: 全学教育棟北棟4階403
◇目的・ねらい:
 日本語教育・習得の研究を対象として,心理言語学的なアプローチによって,言語の研究を「直感」ではなく「実証」的に行うための研究および実践への応用の方法を習得することを目的とする。各授業のテーマについて,科学的な言語研究のための調査・実験計画の立案,データの統計解析,分析結果の読み方,論文での報告の仕方など一連の論文作成のための方法を身につける。なお,講義の焦点は日本語教育であるが,言語一般の研究,実験研究などもテーマとして含んでいる。

◇授業内容:
 言語研究,特に日本語教育のための研究に関連して,講義では,クラスごとに研究テーマがある。それに対して,(1)どういう理論的背景があるか,(2)どのような点が問題となるのか,(3)具体的な証明されうる研究対象は何か,(4)どのように被験者(日本語学習者,英語学習者,母語話者など)サンプルまたはコーパスを対象とすべきか,(5)どのようなデータ収集,テストあるいは実験をする必要があるか,(6)どのような分析を行うべきか,(7)結果をどのように図表化すべきか,(8)どのように分析結果を報告すべきか,(9)結果からどのような結論が導かれるか,(10)どのように現場に応用できるか,これら一連の研究方法を説明する。受講者は,これらの流れを理解して,自分の研究に応用できる能力を養う。
 データの解析には, Microsoft ExcelとIBM-SPSS社の統計パッケージを使用する。日本語や英語の言語習得・理解に関係した仮説を証明するために,音韻,語彙,文,コーパスの共起頻度,談話 (discourse) など多様なデータについて,15回の授業で基礎的な分析法を指導する。まず,ノンパラメトリック分析から始める。会話での表現頻度,「はい」「いいえ」という二者択一の回答,コーパスなどの頻度データの解析のためにカイ二乗分布を使った一様性の検定と独立性の検定,クラスタ分析,決定木分析 (decision tree analysis) の中の分類木分析 (classification tree analysis) を使った言語研究を紹介する。より高度な決定木分析 (回帰木分析) は,日本語教育学原論bで扱う。さらに,パラメトリック分析としては,t検定,反復の無い(non-repeated)および反復の有る(repeated)分散分析,多重比較,単純対比を使った研究を紹介する。授業の最後では,最新の分析法である線形混合効果モデル (LME: linear mixed effect model)の分析法を,IBM-SPSS社の統計パッケージを使って紹介する。

 [各クラスの授業内容 – グループ間比較と記述的アプローチ]
 クラス♯1 2013年4月16日 連濁の有無に関する頻度: 適合度検定(一様性の検定)
 クラス♯2 2013年4月23日 焼酎の連濁頻度: 独立性の検定および残差分析
 クラス♯3 2013年4月30日 焼酎の連濁の地域差: ボンフェローニの補正と分類木分析
 クラス♯4 2013年5月7日 日本語学習者の普通体と丁寧体の使用頻度: 分類木分析
 クラス♯5 2013年5月14日 接続助詞の頻度: コレスポンデンス分析と決定木分析
 クラス♯6 2013年5月21日 聴解・語彙・文法テストの成績によるグループ分け
 クラス♯7 2013年5月21日 テストの妥当性と信頼性: 信頼度係数とブートストラップ
 クラス♯8 2013年5月28日 和製英語の理解: t検定と独立性の検定の復習と応用
 クラス♯9 2013年6月4日 日本文の正順語順(canonical order): 多様なt検定の紹介
 クラス♯10 2013年6月11日 可能文の認知処理: t検定とクラスタ分析の応用
 クラス♯11 2013年6月18日 和製英語の理解に及ぼす日本語語彙力の影響: 分散分析
 クラス♯12 2013年6月25日 短縮語の理解: 分散分析3とクラスタ分析による分類
 クラス♯13 2013年7月2日 音声提示のかき混ぜ文の理解: 反復のある分散分析
 [クラス♯14 2013年7月9日 香港中文大学のSSSR学会参加のため休講]
 クラス♯15 2013年7月16日 山口方言話者の世代間比較: 被験者・項目分析
 クラス♯16 2013年7月23日 文処理における眼球運動: 線形混合効果モデル(LME)
 授業後に,四者択一形式の最終試験を実施する。
 ◇教科書:
   授業中に資料を配布する。
 ◇参考文献:
   [一般的な解説]
   近藤安月子・小森和子編 (2012)『研究社 日本語教育辞典』東京: 研究社.
   [分析の応用例]
   伊原睦子・村田忠男(2006). 日本語の連濁に関するいくつかの実験.音韻研究,9,17-24.
   林炫情・玉岡賀津雄・宮岡弥生 (2011). 否定によって日本語の行為要求疑問文はより丁寧になるのか. 日本学報, 86, 1-11.
   Koizumi, M., & Tamaoka, K. (2010). Psycholinguistic evidence for the VP-internal subject position in Japanese. Linguistic Inquiry, 41, 663-680.
   小森和子・玉岡賀津雄 (2010). 中国人日本語学習者の同形類義語の認知処理. レキシコンフォーラム, 5, 165-200.
   玉岡賀津雄・林炫情・池映任・柴崎秀子 (2008). 韓国語母語話者による和製英語の理解. レキシコンフォーラム, 4, 195-222.
   玉岡賀津雄・邱學瑾・宮岡弥生・木山幸子 (2010). 中国語を母語とする日本語学習者によるかき混ぜ語順の文理解―聴解能力で分けた上位・中位・下位群の比較―. 日本語文法, 10(1), 1-17.
   Tamaoka, K., Ihara, M., Murata, T., & Lim H. (2009). Effects of first-element phonological-length and etymological-type features on sequential voicing (rendaku) of second elements. Journal of Japanese Linguistics, 25, 17-38.
   Tamaoka, K., & Ikeda, F. (2010). Whiskey, or Bhiskey?: Influence of first-element and dialect region on sequential voicing of shoochuu. 言語研究, 137, 65-80.
   Tamaoka, K., Lim, H., Miyaoka, Y., & Kiyama, S. (2010). Effects of gender-identity and gender-congruence on levels of politeness among young Japanese and Koreans. Journal of Asian Pacific Communication, 20, 23-45.
   Tamaoka, K., Ihara, M., Murata, T., & Lim H. (2009). Effects of first-element phonological-length and etymological-type features on sequential voicing (rendaku) of second elements. Journal of Japanese Linguistics, 25, 17-38.
   Tamaoka, K. (2007). Rebounding activation caused by lexical homophony in the processing of Japanese two-kanji compound words. Reading and Writing, 20, 413-439.
   大和祐子・玉岡賀津雄 (2011). 日本語テキストのオンライン読みにおける漢字表記語と片仮名表記語の処理: 中国人日本語学習者の語彙能力上位群と下位 の比較. 小出記念日本語教育研究会論文集, 16, 73-86.

       注: 授業中に紹介する論文は,http://www.lang.nagoya-u.ac.jp/~ktamaoka/gyouseki.htmの玉岡賀津雄のホームページの中の「研究業績」からダウンロードできる。
 ◇履修条件:
   特になし
 ◇成績評価:
   授業への出席および積極的な参加,さらに最後の授業で,四者択一のテストを実施して評価する。


日本語教育学原論b
 ◇講義題目:実証的言語研究法・発展編
 ◇担当教員:玉岡賀津雄(後期,月曜日の6限目,18:15~19:45,全学教育棟北棟2階 211)
 ◇オフィス・アワー:月曜日 (16:30~18:00) , 場所: 全学教育棟北棟4階403
◇目的・ねらい:
 日本語教育・習得の研究を対象として,心理言語学的なアプローチによって,言語の研究を「直感」ではなく「実証」的に行うための研究および実践への応用の方法を学習し,習得することを目的とする。クラスごとに言語研究のテーマがあり,科学的な言語研究のための調査・実験計画の立案,データの統計解析,分析結果の読み方,論文での報告の仕方など一連の論文作成のための方法を身につける。なお,「日本語教育学原論 a」では,言語の実証的研究のための基礎を学んだが,「日本語教育学原論 b」では,高度な統計ソフトや数学理論を応用した言語研究の実証法を習得する。

◇授業内容:
 「日本語教育学原論a」の授業に続いて,言語研究,特に日本語教育研究に応用できるより高度な数学・統計解析法を使った研究手法を身につけるために,まず基本的な予測統計の分析を学習する。具体的には,相関係数,単回帰,重回帰,判別分析を教える。実際の言語研究で得られたデータを使いながら, IBM-SPSS社の統計パッケージを使って分析してみる。もちろん,得られた結果の読み方,図表の書き方,報告の仕方も同時に学ぶ。基本的な予測統計が終ると,次の6つを紹介する。(1)構造方程式モデリング (SPSS AMOS 16.0)―構造方程式モデリング (SEM; structural equation modeling)とは,多変量の因果関係のモデルを証明するための分析法である。IBM-SPSS社が開発した AMOSと呼ばれる統計ソフトのおかげで,この難解な統計解析が恰も「お絵かきソフト」のようにできるようになった。具体的には,中国語・韓国語を母語とする日本語学習者に行った日本語能力試験のデータを使用して分析を試みる。SEMの基本概念,変数の種類とその意味,モデル検定の指標とその読み方,結果の解釈,論文で使うための作図などを教える。(2)決定木分析(回帰木分析と分類木分析の両方)-コーパスから得られた頻度ばかりでなく,スケールのデータにも使える多変量解析である。ある特定の従属変数を,複数の独立変数で予測する手法である。従属変数を予測する強さで,独立変数の影響力の結果を階層化して樹形図 (dendrogram)として描いてくれる高度な統計解析である。これまで経済学・経営学のマーケティングの研究で使用されてきた解析法であるが,言語研究にも極めて有効である。(3)小規模サンプルのための項目応答理論 (T-DAPという統計ソフトを使用 )-項目応答理論 (IRT: item response theory)はテストの受験者数が大規模でなくては効力を発揮しないのが普通である。しかし,それでは日本語教育の現場で使用するテストには実用的ではない。そこで,100名くらいの小規模の受験者に対して使用できる1パラメタ・ラッシュモデル (Rasch Model)を紹介する。データとしては,中国語・韓国語を母語とする日本語学習者の日本語能力テスト,和製英語の理解テスト,慣用句・オノマトペの理解テストなどを使用する。(4)エントロピー (entropy)と冗長度 (redundancy)によるコーパス解析 (Microsoft Excelに公式を入れて計算 )-シャノンの情報の数学理論からエントロピーと冗長度の指標をコーパス研究に応用する方法を教える。具体的には,韓国語を母語とする日本語学習者の敬語表現や日本語母語話者とコーパス頻度のオノマトペのデータなどを使用する。さらに,(5)反応実験を実施するためのE-primeの使い方,眼球運動実験とデータ分析,さらに脳波(Electroencephalogram: EEG)を使った事象関連電位(ERP: event-related potentials)の測定とデータ解析について扱う。

 [各クラスの授業内容 – 実験手法,予測統計および因果関係]
 クラス♯1 2013年10月1日 語彙,文法および読解の関係: 相関分析と重回帰分析
 クラス♯2 2013年10月8日 語彙能力と文法能力の構成概念: 探索的・確認的因子分析
 クラス♯3 2013年10月15日 Can-do-Scaleと日本語能力: 確認的因子分析と重回帰分析
 クラス♯4 2013年10月22日 語彙,文法,読解の因果関係モデル: SEM-1
 クラス♯5 2013年10月29日 情動のIQ (Emotional Intelligence): 探索的因子分析SEM-2
 クラス♯6 2013年11月5日 「のだ・のか」と語用能力の因果関係: SEM-3
 クラス♯7 2013年11月12日 テストの妥当性と信頼性: 信頼度係数とブートストラップ
 クラス♯8 2013年11月19日 動詞および形容詞化の予測: ロジスティック回帰分析
 クラス♯9 2013年11月26日 複合動詞の特性: エントロピーと冗長度
 クラス♯10 2013年12月3日 E-prime -1
 クラス♯11 2013年12月10日 E-prime -2
 クラス♯12 2013年12月17日 ERP - 1
 クラス♯13 2013年12月24日 ERP - 2
 [クラス♯14 2014年1月14日 香港中文大学のSSSR学会参加のため休講]
 クラス♯15 2014年1月21日 眼球運動 - 1
 クラス♯16 2014年1月28日 眼球運動 - 2, 授業後に,四者択一形式の最終試験を実施する。
 ◇参考文献:
   Barrett, P. (2007). Structural equation modeling: Adjudging model fit. Personality and Individual Differences, 42, 815-824.
   Bentler, P. M., & Bonnet, D. C. (1980). Significance tests and goodness of fit in the analysis of covariance structures. Psychological Bulletin, 88, 588-606.
   Bozdogan, H. (1987). Model selection and Akaike’s information criterion (AIC): The general theory and its analytical extensions. Psychometrika, 52, 345-370.
   Browne, M. W., & Cudeck, R. (1993). Alternative ways of assessing model fit. In K. A.
   Bollen & J. S. Long (Eds.), Testing structural equation models (pp. 136-162). Newbury Park, CA: Sage.
   Dixon, J. A. & Marchman, V. A. (2007). Grammar and the lexicon: Developmental ordering in language acquisition. Child Development, 78, 190-212.
   Hooper, D., Caoughlan, J., & Mullen, M. (2008). Structural equation modeling: Guidelines for determining model fit. Electronic Journal of Business Research Models, 6, 53-60.
   Jöreskog, K., & Sörbom, D. (1993). LISREL 8: Structural equation modeling with the SIMPLIS command language. Chicago, IL: Scientific Software International.
   Kaplan, D. (2000). Structural equation modeling: Foundation and extensions. Thousand Oaks, CA: Sage.
   Marsh, H. W., & Grayson, D. (1995). Latent variable models of multitrait-multimethod data. In R. Hoyle (Ed.), Structural equation modeling: Concepts, issues and applications (pp. 177-198). Thousand Oaks, CA: Sage.
   Schermelleh-Engel, K., Moosbrugger, H., & Müller, H., (2003). Evaluating the fit of structural equation models: Tests of significance and descriptive goodness-of-fit measures. Methods of Psychological Research Online, 8, 23-74.
   Schwarz, G. (1978). Estimating the dimension of a model. The Annals of Statistics, 6, 461-464.
   Shiotsu, T. & Weir, C. J. (2007). The relative significance of syntactic knowledge and vocabulary breadth in the prediction of reading comprehension test performance. Language Testing, 24, 99-128.
   高橋登 (1996). 学童期の子どもの読み能力の規定因について―componential approachによる分析的研究― 心理学研究, 67, 186-194.
   高橋登 (2001). 学童期における読解能力の発達過程―1-5年生の縦断的な分析 教育心理学研究, 49, 1-10.
   玉岡賀津雄 (1997). 中国語と英語を母語とする日本語学習者の漢字および仮名表記語彙の処理方略 言語文化研究 17, 67-77.
   玉岡賀津雄 (2000). 中国語系および英語系日本語学習者の母語の表記形態が日本語の音韻処理に及ぼす影響読書科学 44, 83-94.
   Tamaoka, K., Leong, C. K., & Hatta, T. (1992). Effects of vocal interference on identifying kanji, hiragana and katakana words by skilled and less skilled Japanese readers in Grades 4-6. Psychologia, 35, 33-41.
   玉岡賀津雄・メンツェル, バーバラ (1994). 日本語教育におけるローマ字使用批判の理論的根拠に関する言語心理学的考察 読書科学 38, 104-116.
   玉岡賀津雄・木山幸子・宮岡弥生 (2011). 新聞と小説のコーパスにおけるオノマトペと動詞の共起パターン. 言語研究, 139, 57-84.
   Tamaoka, K., & Menzel, B. (1995). Die alphabetische Verschriftlichung des Japanischen: "Sesam-öffne-Dich" order zusätzliche Fehlerquelle? Zeitschrift für Fremdsprachefor-schung, 6, 108-128.
   豊田秀樹 (1998). 共分散構造分析[入門編]―構造法的式モデリング 東京: 朝倉書店
   van Dijk, T. A., & Kintsch, W. (1983). Strategies of discourse comprehension. New York, NY: Academic Press. Urquhart, A. H., & Weir, C. J. (1998). Reading in a second language: Process, product, and practice. New York: Longman.
   Wong, C-S., & Kenneth S. L. (2002). The effects of leader and follower emotional intelligence on performance and attitude: An exploratory study. The Leadership Quarterly, 13, 243–274.

   授業中に紹介する論文は,http://www.lang.nagoya-u.ac.jp/~ktamaoka/gyouseki.htmの玉岡賀津雄のホームページの中の「研究業績」からダウンロードできる。
 ◇履修条件:
   特になし
 ◇成績評価:
   授業への出席および積極的な参加,さらに最後の授業で,四者択一のテストを実施して評価する。


第二言語習得研究概論a
 ◇講義題目:第二言語習得研究の理解
 ◇担当教員:稲垣俊史(前期、火4、全学教育棟C32)
 ◇オフィス・アワー:火3限
◇目的・ねらい:
 第二言語習得 (second language acquisition / SLA) 研究を概観し、SLAの基礎概念、ならびにこの分野でどんなことが問題(争点)となっている かを理解する。さらに、具体的な研究例に触れ、SLA研究のロジックを理解する。
◇授業内容:
 1.SLAの基礎概念(転移、習得順序、インプット、学習可能性、指導の効果など)に関する講義
 2.具体的なSLA研究の紹介
 ◇教科書:
   特になし
 ◇参考文献:
   白井恭弘 (2008).『外国語学習の科学-第二言語習得論とは何か』岩波書店.
   白畑知彦・若林茂則・村野井仁 (2010).『詳説第二言語習得研究-理論から研究法まで-』研究社.
   山岡俊比古 (1997). 『第2言語習得研究 新装改訂版』桐原ユニ.
   大関浩美(著)・白井恭弘(監 修)(2010).『日本語を教えるための第二言語習得論入門』くろしお.
   小柳かおる (2004). 『日本語教師のための新しい言語習得概論』スリーエーネットワーク.
   迫田久美子 (2002).『日本語教育に生かす第二言語習得研究』アルク.
   近藤安月子・小森和子 (2012).『研究社 日本語教育事典』研究社.
   白畑知彦・富田祐一・村野井仁・若林茂則 (2009).『英語教育用語辞典 改訂版』大修館書店.
   Gass, S. M. (2013). Second language acquisition: An introductory course (4th ed.). Routledge.
   Lightbown, P.M. & Spada, N. (2013). How languages are learned (4th ed.). Oxford University Press.
   Ellis, R. (2008). The studies of second language acquisition (2nd ed.). Oxford University Press.
   Loewen, S. & Reinders, H. (2011). Key concepts in second language acquisition. Palgrave Macmillan.
   VanPatten, B. & Benati, A. G. (2010). Key terms in second language acquisition. Continuum.
   Richards, J.C. & Schmidt, R. (2010). Longman dictionary of language teaching & applied linguistics (4th ed.). Longman.
 ◇履修条件:
   特になし
 ◇成績評価:
   授業への出席・参加状況 (50%)、小テスト (20%)、中間・期末レポート (各15%、計30%)


第二言語習得研究概論b
 ◇講義題目:第二言語習得研究の批評
 ◇担当教員: 稲垣俊史(後期、火5、北棟211)
 ◇オフィス・アワー:火4限
◇目的・ねらい:
 第二言語習得 (second language acquisition / SLA) の 研究論文を批評する能力を養う。また自ら実験調査を行うことによりSLA研究の面白さ/大変さを実地で学ぶ。
◇授業内容:
 1.日本語または英語で書かれたSLA研究論文の講読、発表、ディスカッション。
 2.実験調査(プロジェクト) の立案と実施、またそれ関する発表とディスカッション。
 ◇教科書:
   プリント配布
 ◇参考文献:
   『第二言語としての日本語の習得研究』やStudies in Second Language AcquisitionなどのSLA主要雑誌.
   白畑知彦・若林茂則・村野井仁 (2010).『詳説第二言語習得研究-理論から研究法まで-』研究社.
   Gass, S. M. (2013). Second language acquisition: An introductory course (4th ed.). Routledge.
   小柳かおる (2004). 『日本語教師のための新しい言語習得概論』スリーエーネットワーク.
   迫田久美子 (2002).『日本語教育に生かす第二言語習得研究』アルク.
   Gass, S.M. & Mackey, A. (2007). Data elicitation for second and foreign language research. Lawrence Erlbaum.    近藤安月子・小森和子 (2012).『研究社 日本語教育事典』研究社.
   白畑知彦・富田祐一・村野井仁・若林茂則 (2009).『英語教育用語辞典 改訂版』大修館書店.
   Loewen, S. & Reinders, H. (2011). Key concepts in second language acquisition. Palgrave Macmillan.
   Richards, J.C. & Schmidt, R. (2010). Longman dictionary of language teaching & applied linguistics (4th ed.). Longman.
 ◇履修条件:
   第二言語習得研究概論aを履修しているか、またはSLAの基礎知識を有する人
 ◇成績評価:
   出席・参加状況 (50%)、発表(研究論文のまとめと批評、プロジェクトの提案と 成果発表)(25%)、 期末レポート (25%)


日本語教授法及び実習
 ◇講義題目:日本語教育実習
 ◇担当教員:鷲見幸美(通年、火2、文総609)
 ◇オフィス・アワー:水(13:00~14:30)
◇目的・ねらい:
 高度な日本語教授能力を実践的に養う。
 ・実習準備を通して、学習設計力を高める。
 ・実習を通して、問題解決力・応用力・実践力を高める。
 ・実習の振り返りを通して、自己研鑽力を高める。
◇授業内容:
 01. 春休みに[前倒しして授業開始前に]、実習準備、及び、実習を行う。
 02. 自らの授業を多角的に検討する。
 02-1 授業目標と授業活動の構成
 02-2 教案と実際の授業
 02-3 学習内容
 02-4 教師行動
 02-5 総括
 03. コースの運営を多角的に検討する。
 03-1 学習者募集
 03-2 事前調査
 03-3 シラバス
 03-4 事後調査
 03-5 総括
 04. 実習報告書を作成する。
 ◇教科書:
   なし
 ◇参考文献:
   名古屋大学大学院国際言語文化研究科日本言語文化専攻・日本語教育実習報告書(本専攻HP公開)
   名古屋大学日本語教育研究グループ(編)(2002)A Course in Modern Japanese revised edition. Volume One & Two. 名古屋大学出版会
   横溝紳一郎(2000)『日本語教師のためのアクション・リサーチ』凡人社
 ◇履修条件:
   2012年度に日本語教授法概論a、日本語教授法概論bの単位を修得し、春休みに行われた実習に参加していること。休学等によりその条件に当てはまらない場合には、担当教員に申し出ること。
 ◇成績評価:
   実習への取り組み、授業への貢献度を総合的に評価する。


日本語教授法概論a
 ◇講義題目:日本語教育の基礎
 ◇担当教員:鷲見幸美(前期、火3、文総609)
 ◇オフィス・アワー:水(13:00~14:30)
◇目的・ねらい:
 日本語教授者として必要な基礎的知識を身につけ、自らの日本語教育観を育てる。
 ・日本語学習・教育について基礎的理解力を高める。
 ・さまざまな外国語教授法について基礎的理解力を高める。
◇授業内容:
 01. 日本語教師としてのビリーフス
 02. 日本語教育の多様性
 03. 日本語能力
 04. 日本語学習にかかわる様々な要因
 05.(日本国内における)伝統的な日本語教授法とオーディオリンガル・メソッド
 06. 1970年代までに提唱された外国語教授法
 07. コミュニカティブ・アプローチ
 08. 内容中心の教授法
 09. タスク中心の教授法
 10. 文法教育再考
 ◇教科書:
   なし
 ◇参考文献:
   和泉伸一(2009)『「フォーカス・オン・フォーム」を取り入れた新しい英語教育』大修館書店
   細川英雄(編)(2002)『ことばと文化を結ぶ日本語教育』凡人社
   野田尚史(編)(2005)『コミュニケーションのための日本語教育文法』くろしお出版
 ◇履修条件:
   ・後期に開講される日本語教授法概論bとあわせて履修することが望ましい。
   この科目の単位修得が、来年度の「日本語教育実習」参加の条件となるので、実習参加を希望している人は必ず履修すること。
 ◇成績評価:
   授業への貢献度とレポートを総合的に評価する。


日本語教授法概論b
 ◇講義題目:日本語教育の内容と方法
 ◇担当教員:鷲見幸美(後期、火3、文総609)
 ◇オフィス・アワー:水(13:00~14:30)
◇目的・ねらい:
 日本語教育を実践するために必要な応用力を身につける。
 ・技能別の教授活移動能力を養う。
 ・学習段階別の教授活動能力を養う。
 ・学習設計力を養う。
◇授業内容:
 01. 読むことの指導
 02. 話すことの指導
 03. 授業見学
 04. コース・デザイン(教育実習に向けての準備)
 05. 教材分析と教材作成(教育実習に向けての準備)
 06. 教師行動と教室内インターアクション
 ◇教科書:
   なし
 ◇参考文献:
   岡崎敏雄・岡崎眸(2001)『日本語教育における学習の分析とデザイン―言語学習過程の視点から見た日本語教育―』凡人社
   川口義一・横溝紳一郎(2005)『成長する教師のための日本語教育ガイドブック(上)』ひつじ書房
   国立国語研究所(編)(2006)『日本語教育の新たな文脈―学習環境、接触場面、コミュニケーションの多様性』アルク
 ◇履修条件:
   ・この科目の単位修得が、来年度の「日本語教育実習」参加の条件となるので、実習参加を希望している人は必ず履修すること。
   ・授業内外における課題への主体的取り組み、受講生間の活発な交流を望みます。授業時間外のグループワークにも積極的に参加すること。
 ◇成績評価:
   授業への貢献度、課題への取り組みとその成果物を総合的に評価する。


対照表現論演習 I a
 ◇講義題目:現代日本語の語彙・意味研究の基礎
 ◇担当教員:鷲見幸美(前期、金3、文総609)
 ◇オフィス・アワー:水(13:00~14:30)
◇目的・ねらい:
 類義語を対象とした意味の分析・記述の方法を探る。
 ・類義語について、基礎的理解力を高める。
 ・類義語分析の方法を学び、自ら類義語の意味の違いを分析・記述できるような応用力をつける。
◇授業内容:
 01. 語の意味と文法
 02. 語と語の意味関係
 03. 語の意味と辞書の意味記述
 04. 日本語学習者による語彙習得の困難点
 05. 初級・中級レベルで学習される類義語
 06. 「意味が似ている」「意味が近い」ということ
 07. 類義語分析の実際
 ◇教科書:
   なし
 ◇参考文献:
   池上嘉彦(1978)『意味の世界―現代言語学から視る』日本放送出版協会
   国広哲弥(1982)『意味論の方法』大修館書店
   国広哲弥(1997)『理想の国語辞典』大修館書店
 ◇履修条件:
   特になし
 ◇成績評価:
   口頭発表、授業への貢献度、レポートを総合的に評価する。


対照表現論演習 I b
 ◇講義題目:現代日本語の語彙・意味研究の基礎
 ◇担当教員:鷲見幸美(後期、金3、文総609)
 ◇オフィス・アワー:水(13:00~14:30)
◇目的・ねらい:
 多義語を対象とした意味の分析・記述の方法を探る。
 ・多義語について、基礎的理解力を高める。
 ・多義語分析の方法を学び、自ら多義語の意味を分析・記述できるような応用力をつける。
◇授業内容:
 01. 単義・多義・同音異義:語の意味はどのように区分されるか
 02. カテゴリー化とプロトタイプ
 03. 多義語の意味カテゴリー:意味の離散性と連続性
 04. 意味の拡張:意味の階層性と可変性
 05. 多義語の意味の全体構造
 06. 複数の意味とプロトタイプ的意味の認定
 07. 多義語分析の実際
 ◇教科書:
   なし
 ◇参考文献:
   国広哲弥(2006)『日本語の多義動詞―理想の国語辞典Ⅱ』大修館書店
   谷口一美(2003)『認知意味論の新展開―メタファーとメトニミー』研究社
   早瀬尚子・堀田優子(2005)『認知文法の新展開―カテゴリー化と用法基盤モデル』研究社
 ◇履修条件:
   特になし
 ◇成績評価:
   口頭発表、授業への貢献度、レポートを総合的に評価する。


対照表現論演習 II a
 ◇講義題目:日本語教育文法の基礎から応用まで
 ◇担当教員:杉村 泰(前期、金4、C41)
 ◇オフィス・アワー:金(9:00~10:00)
◇目的・ねらい:
 この授業では日本語を他言語と対照しながら、日本語文法に関する基礎的理解力を身につけ、日本語教師として必要な応用力と実践力を養う。
◇授業内容:
  この授業では具体的な日本語表現を材料にして、日本語教育上有効な教授法について議論する。演習形式で行うので、授業中の積極的な発言や作業が期待される。学期の前半は教員主体による授業によって教育文法の基礎的知識を身につけ、後半は受講生自らが興味のあるテーマについて課題を設定し、文献収集と分析を行って発表する。発表の際には、一方的に自分の調べてきたことを話すのではなく、受講生同士が議論して考えを深め合うようにする。今学期の内容は以下のとおりである。(ただし、受講生の興味や関心に応じて臨機応変に変更することがある。)
  1. ガイダンス
  2. アンケート調査とコーパス調査
  3. 「は」と「が」の使い分け
  4. 格助詞のイメージ
  5. 動詞の自他に関する母語話者と学習者の意識の違い
  6. 学生の発表と討論
 ◇教科書:
   なし
 ◇参考文献:
   森篤嗣・庵功雄編『日本語教育文法のための多様なアプローチ』(ひつじ書房)
   その他必要に応じて授業中に紹介する。
 ◇履修条件:
   対照表現論演習 II b と合わせて履修することが望ましい。
 ◇成績評価:
   授業での発表(25%)、討論参加(25%)、レポート(50%)


対照表現論演習 II b
 ◇講義題目:日本語教育文法の基礎から応用まで
 ◇担当教員:杉村 泰(後期、金4、C41)
 ◇オフィス・アワー:金(9:00~10:00)
◇目的・ねらい:
 この授業では日本語を他言語と対照しながら、日本語文法に関する基礎的理解力を身につけ、日本語教師として必要な応用力と実践力を養う。
◇授業内容:
  この授業では具体的な日本語表現を材料にして、日本語教育上有効な教授法について議論する。演習形式で行うので、授業中の積極的な発言や作業が期待される。学期の前半は教員主体による授業によって教育文法の基礎的知識を身につけ、後半は受講生自らが興味のあるテーマについて課題を設定し、文献収集と分析を行って発表する。発表の際には、一方的に自分の調べてきたことを話すのではなく、受講生同士が議論して考えを深め合うようにする。今学期の内容は以下のとおりである。(ただし、受講生の興味や関心に応じて臨機応変に変更することがある。)
  1. ガイダンス
  2. 複合動詞のV1+V2結合
  3. 学習者の誤用分析
  4. 格助詞と文の構造
  5. テンスとアスペクト
  6. 学生の発表と討論
 ◇教科書:
   なし
 ◇参考文献:
   森篤嗣・庵功雄編『日本語教育文法のための多様なアプローチ』(ひつじ書房)
   その他必要に応じて授業中に紹介する。
 ◇履修条件:
   対照表現論演習 II a と合わせて履修することが望ましい。
 ◇成績評価:
   授業での発表(25%)、討論参加(25%)、レポート(50%)


辞書論a
 ◇講義題目:ヒトの特性:進化、認知、言語
 ◇担当教員:外池俊幸(前期、月3、北棟107)
 ◇オフィス・アワー:水(10:30~11:30)
◇目的・ねらい:
 言語を中心課題とするが、ヒトの特性を、広く認知科学、また進化の観点から理解すること.赤ちゃんの発達、言語学習、人間の身体の特徴、さらに、人が芸術を楽しむことについても問題として取り上げる予定.
◇授業内容:
 1.「教材心理学」という実験キットを使い、互いに実験を行う1
 2.「教材心理学」という実験キットを使い、互いに実験を行う2
 3.「教材心理学」という実験キットを使い、互いに実験を行う3
 4. 光の当たり方で対象が違って見えることを学ぶ
 5. 子供の絵の発達による変化について学ぶ
 6. 透視画法について学ぶ
 7. 赤ちゃんの発達について学ぶ
 8. 知覚の偏り、判断の偏りについて学ぶ
 9. 社会生活を営むことを、ヒトの進化という観点から考える
 10.言語の起原を考える
 11.素性とその値を使った、知識表現について学ぶ
 12.素性とその値を使った言語知識の表現方法について学ぶ
 13.受講生の発表1
 14.受講生の発表2
 15.受講生の発表3
 ◇教科書:
   特定の教科書は使わない。教材はこちらで指示する。
 ◇参考文献:
   授業時に適宜紹介する。
 ◇履修条件:
   特になし
 ◇成績評価:
   出席(欠席回数が多いと不可)、授業中の議論への参加態度および貢献度(30%)、口頭発表・レジュメ(30%)、最後のレポート(40%)


辞書論b
 ◇講義題目:認知科学の歴史とその概要
 ◇担当教員:外池俊幸(後期、火4、北棟107)
 ◇オフィス・アワー:火(13:00~14:00)
◇目的・ねらい:
 認知科学の歴史を概観することと、ヒトの言語について辞書を中心に考える。
◇授業内容:
 1. 認知科学の歴史1
 2. 認知科学の歴史2
 3. 認知科学の歴史3
 4. 生成文法入門1
 5. 生成文法入門2
 6. 句構造文法 
 7. 移動や派生を仮定する生成文法と仮定しない枠組みの比較1
 8. 移動や派生を仮定する生成文法と仮定しない枠組みの比較2
 9. 論文を読む
 10. 言語の起源を進化の観点から考える1
 11. 言語の起源を進化の観点から考える2
 12. 言語の起源を進化の観点から考える3
 13. 受講生の最終発表1
 14. 受講生の最終発表2
 15. 受講生の最終発表3
 ◇教科書:
   特定の教科書は使わない。教材はこちらで用意する。
 ◇参考文献:
   授業時に紹介する。
 ◇履修条件:
   辞書論aを履修していることが望ましい。
 ◇成績評価:
   出席(欠席が多いと不可)、授業中の議論への参加態度および貢献度(30%)、口頭発表・レジュメ(30%)、最後のレポート(40%)




応 用 言 語 学 講 座
応用言語学概論a
 ◇講義題目:言語類型論の主要な研究成果と日本語への貢献
 ◇担当教員:堀江 薫(HORIE, Kaoru)(前期、月2、文総6階ファカルティラウンジ)
 ◇オフィス・アワー:授業直後、ほか随時。メールによってアポイントメントを取ってください。
◇目的:
 日本語の記述・理論言語学的研究、日本語と他言語との対照言語学的研究、日本語の習得・教授法に関する応用言語科学的研究にとって、日本語が世界の言語の中でどのような形態・統語的な特徴を持っているかを正しく理解することは非常に重要です。本講義では、言語類型論・対照言語学の方法論・研究史とそれぞれの分野の通言語的比較の手法を概説し、言語類型論・対照言語学が応用言語科学にどのように貢献できるかを理解することを目的とします。

◇ねらい:
 言語類型論という学問分野の特徴を理解し、日本語の研究に役立てられる応用力を養います。

◇授業内容:
 本年は、特に「語順」・「格標示」・「他動性」・「関係節」・「補文」という、言語類型論の有効性が示され、生産的に研究が行われた分野の研究成果を集中的に概観し、言語類型論の観点から見た日本語の特徴をよりよく理解し、受講生各自が日本語の記述・理論言語学的、対照言語学的研究、応用言語学的研究を行っていくための基盤を作ります。

 1.概説:言語類型論とはどのような研究分野か?
 2.言語類型論における「説明」:内在的・外在的説明
 3.言語類型論の歴史的展開
 4.「語順」の類型論的研究(1):Greenbergの研究を中心に
 5.「語順」の類型論的研究(2):Hawkins、Dryerの研究を中心に
 6.「語順」の類型論的研究(3):Dun et al.の研究を中心に
 7.「格標示」の類型論的研究(1):対格言語と能格言語
 8.「格標示」の類型論的研究(2):格標示の観点からみた日本語
 9.「他動性」の類型論的研究(1):Hopper and Thompsonの研究を中心に
 10.「他動性」の類型論的研究(2):他動性の観点からみた日本語
 11.「関係節」の類型論的研究(1):Keenan and Comrieの研究を中心に
 12.「関係節」の類型論的研究(2):類型論の観点からみた日本語の「関係節」
 13.「補文」の類型論的研究(1):Givonの研究を中心に
 14.「補文」の類型論的研究(2):類型論の観点からみた日本語の「補文」
 15.まとめ:言語類型論と日本語研究
 ◇教科書:
   リンゼー・ウェイリー『言語類型論入門―言語の普遍性と多様性―』(岩波書店, 2006, 大堀壽夫他訳)
   (Whaley, Lindsay, Introduction to Typology, 1997, SAGE publicationsの邦訳)
 ◇参考文献:
   バーナード・コムリー『言語類型論と言語普遍性』(ひつじ書房)
   Croft, W. Typology and Universals (Cambridge UP, 2003)
   角田太作『世界の言語と日本語―言語類型論から見た日本語―』(くろしお出版)
   他に関連論文のプリントを適宜配布します。
 ◇履修条件:
   特にありません。
 ◇成績評価:
   レポート(85%)と授業参加(15%)を総合して評価する。


応用言語学概論b
 ◇講義題目:認知類型論と機能主義類型論:認知類型論のケーススタディを通じて
 ◇担当教員:堀江 薫(HORIE, Kaoru)(後期、月2、文総館6階ファカルティラウンジ)
  連絡先アドレス:horieling(at)gmail.com
 ◇オフィス・アワー:授業直後、ほか随時。メールによってアポイントメントを取ってください。
◇目的:
 認知言語学と機能主義言語学は言語類型論と異なる形で接触し、融合的に発展してきました。本講義では認知言語学と言語類型論の融合的研究分野である「認知類型論(Cognitive Typology)」の理論的背景、方法論、機能主義的類型論との相違について、認知類型論のケーススタディを通じて理解を深めることを目的とします。

◇ねらい:
 認知類型論という学問分野の特徴を理解し、日本語の研究に役立てられる応用力を養います。

◇授業内容:
 本年は、認知類型論と機能主義的類型論のアプローチの相違の理解を深めることに特に留意し、認知類型論の観点から見た日本語の特徴をよりよく理解し、受講生各自が日本語の記述・理論言語学的、対照言語学的研究、応用言語学的研究を行っていくための基盤を作ります。

 1.概説:認知類型論とはどのような研究分野か?
 2.認知類型論と機能主義類型論の関係と相違点
 3.認知類型論の基盤(I):Croftのアプローチ
 4.複文の認知類型論(1):名詞化(補文)
 5.複文の認知類型論(2):関係節
 6.複文の認知類型論(3):副詞節と文の階層性
 7.複文の認知類型論(4):従属節の主節化と語用論
 8.複文の認知類型論(5):日本語の名詞節の文法変化
 9.認知類型論の基礎(II):Talmyの認知類型論
 10.フレーム類型論と応用言語学
 11.受動文と主観性の類型論
 12.主観化と間主観化の類型論
 13.語彙類型論と言語接触
 14.社会類型論と神経類型論
 15.まとめ:認知類型論と日本語研究
 ◇教科書:
   堀江薫・プラシャント・パルデシ(1997)『言語のタイポロジー:認知類型論のアプローチ』(研究社)
 ◇参考文献:
   大堀壽夫『認知言語学』(東京大学出版会)
   他に関連論文のプリントを適宜配布します。
 ◇履修条件:
   特になし。「応用言語学概論a」を受講していることが望ましいですが取っていなくても大丈夫です。また、認知言語学関連の授業を受講することも勧めます。
 ◇成績評価:
   成績評価:レポート(85%)と授業参加(15%)を総合して評価する。


言語習得論a(言語統計学a)
 ◇講義題目:言語研究に用いられる統計的手法について
 ◇担当教員:井上 公(前期、水3、文総623)
 ◇オフィス・アワー:相談の内容と希望される日時を事前にメイルでお知らせ下さい。
◇目的・ねらい:
 統計的手法に関する基本事項について概説する。各種の統計的手法がどの様な原理に基づいて成立しているかを解説する。数学的な知識を前提としない形式で講義する。なお、講義項目は英語表記になっていますが、解説は日本語で行います。
 統計ソフトSPSS、STATAの利用法についても説明する。

◇授業内容:
 1. Contingency tables
 2. Chi-squared tests of independence
 3. Following-up chi-squared tests
 4. Small-sample tests of independence
 5. Generalized linear models for binary data
 6. Generalized linear models for count data
 7. Inference about model parameters
 8. Model comparison using the deviance
 9. Fitting generalized linear models
 10. Logistic regression
 11. Interpreting parameters in logistic regression
 12. Inference for logistic regression
 13. Logistic regression with categorical predictors
 14. Multiple logistic regression
 15. Fitting logistic regression models
 
 ◇教科書:
   なし。講義はすべてプロジェクターを使用して行う。
 ◇参考文献:
   Agresti, A. (2002) Categorical Data Analysis, 2nd edn. Wiley.
   Agresti, A. (2007) An Introduction to Categorical Data Analysis, 2nd edn. Wiley.
   Hosmer, D. and S. Lemeshow (2000) Applied Logistic Regression, 2nd edn. Wiley.
   Long, S. and J. Freese (2006) Regression Models for Categorical Dependent Variables Using Stata, 2nd edn. Stata Press.
 ◇履修条件:
   特になし。
 ◇成績評価:
   与えられた課題に対するレポートで評価する。


言語習得論b(言語統計学b)
 ◇講義題目:言語研究に用いられる統計的手法について
 ◇担当教員:井上 公(後期、月4、教養教育院北棟107)
 ◇オフィス・アワー:相談の内容と希望される日時を事前にメイルでお知らせ下さい。
◇目的・ねらい:
 統計分析手法について解説する。各種の統計的手法がどの様な原理に基づいて成立しているかを解説する。授業は、数学的な知識を前提としない形式で講義する。各種の統計的手法の説明と平行して、受講者が修論、博論の為に収集したデータに対して、どの様な統計的手法が可能かも検討する。なお、講義項目は英語表記になっていますが、解説は日本語で行います。統計ソフトSPSS、STATAの利用法についても説明する。

◇授業内容:
 1. Logit models for nominal responses
 2. Baseline-category logit models
 3. Cumulative logit models
 4. Loglinear models for contingency tables
 5. Loglinear models for two-way and three-way tables
 6. Inference for loglinear models
 7. Loglinear models for higher dimensions
 8. The loglinear-logistic connection
 9. Using logistic models to interpret loglinear models
 10. Correspondence between loglinear and logistic models
 11. Logistic regression for matched pairs
 12. Modeling correlated, clustered responses
 13. Marginal modeling
 14. GEE for binary data
 15. Multinominal responses
 ◇教科書:
   なし。講義はすべてプロジェクターを使用して行う。
 ◇参考文献:
   Agresti, A. (2002) Categorical Data Analysis, 2nd edn. Wiley.
   Agresti, A. (2007) An Introduction to Categorical Data Analysis, 2nd edn. Wiley.
   Hosmer, D. and S. Lemeshow (2000) Applied Logistic Regression, 2nd edn. Wiley.
   Long, S. and J. Freese (2006) Regression Models for Categorical Dependent Variables Using Stata, 2nd edn. Stata Press.
 ◇履修条件:
   特になし。
 ◇成績評価:
   与えられた課題に対するレポートで評価する。


応用言語学特殊研究a
 ◇講義題目:日本語の副詞研究の展望
 ◇担当教員:奥田智樹(前期、金1、文総623)
 ◇オフィス・アワー:火(13:30~15:00)、金(10:30~12:00)またはメールで相談
◇目的・ねらい:
 日本語の副詞について、先行研究の系譜を踏まえてその機能上の特質を明らかにし、いかなる問題が存在するか、またそれに対していかなる分析のアプローチが可能であるかを探る。
 授業は一貫して演習形式で行い、先行研究における問題点の発見を出発点として、新しい研究テーマの設定や考察に結び付けていくための実践力を養うことを目的とする。
◇授業内容:
 1.副詞という品詞の浮動性
 2.主な文法学説における副詞の取り扱い
 3.連用修飾ということ
 4.副詞の下位分類
 5.副詞の呼応に関わる諸問題
 6. アスペクトの規定に関わる副詞
 7. モダリティの規定に関わる副詞
 8. 程度副詞の名詞修飾について
 ◇教科書:
   なし。授業ではハンドアウトおよび論文のコピーを配布する。
 ◇参考文献:
   授業中に指示する。
 ◇履修条件:
   特になし。応用言語学特殊研究a(前期)とb(後期)は全く独立した内容ですので、どちらか一方のみの受講も歓迎します。
 ◇成績評価:
   毎週の課題レポート(60%)、講読論文の口頭発表・レジュメ(20%)、発言を含めた授業への貢献度(20%)。


応用言語学特殊研究b
 ◇講義題目:日本語の複合動詞研究の諸相
 ◇担当教員:奥田智樹(後期、金1、文総623)
 ◇オフィス・アワー:火(13:30~15:00)、金(10:30~12:00)またはメールで相談
◇目的・ねらい:
 日本語の様々な複合動詞の特質を観察することにより、日本語における語彙と文法の接点、さらには意味論と統語論の接点について探る。
 授業は一貫して演習形式で行い、先行研究における問題点の発見を出発点として、新しい研究テーマの設定や考察に結び付けていくための実践力を養うことを主目的とする。
◇授業内容:
 1. 複合動詞の結合条件と分類
 2. 語彙的複合動詞に関する諸研究
 3. 後項動詞「~出す」について
 4. 後項動詞「~こむ」について
 5. 後項動詞「~合う」について
 6. 後項動詞「~かける」について
 7. 他の言語との対照研究
 8. 習得研究
 ◇教科書:
   なし。授業ではハンドアウトおよび論文のコピーを配布する。
 ◇参考文献:
   授業中に指示する。
 ◇履修条件:
   特になし。応用言語学特殊研究a(前期)とb(後期)は全く独立した内容ですので、どちらか一方のみの受講も歓迎します。
 ◇成績評価:
   毎週の課題レポート(60%)、講読論文の口頭発表・レジュメ(20%)、発言を含めた授業への貢献度(20%)。




比 較 日 本 文 化 学 講 座
比較文化学概論a
 ◇講義題目:幕末・明治初期の日本人の西洋受容(福沢諭吉を中心に)
 ◇担当教員:前野みち子(前期、火6、文総623)
 ◇オフィス・アワー:随時(メールで予約して下さい)
◇目的・ねらい:
 本授業は、比較文化学の方法とはどのようなものかについて、テキストの分析、議論、発表、レポートなどを通してその基礎的理解力を養うとともに、比較文化学的な視座から研究実践力を身につけることを目的としている。

◇授業内容:
 幕末から明治にかけて、外発的開化を余儀なくされ、一日も早い近代化を迫られた日本は、欧米に多くの人々を送り出してその開化の実状を視察させ、留学生として学ばせた。幕末にそのような洋行を果たした知識人には、福沢諭吉、福地源一郎、西周、津田真道などがおり、明治維新後のいわゆる米欧回覧に同行した知識人には、後にこの回覧記録をまとめることになる久米邦武、幕末の経験を買われて随行した福地、留学生としては中江兆民などがいる。津田梅子など、初めての日本人女子留学生五名もこの時の船で横浜からアメリカへ渡った。
 本授業では、このような初期の西欧体験において、日本の知識人が西欧世界の何に興味・関心をもち、何を学び取ろうとしたのか、また日本の開化にとって何が喫緊の課題と考えられたのか、という問題を、福沢諭吉の『西洋事情』(1866-1870)、『学問のすゝめ』(1872-1876)に見られる実学思想を中心に、関連するテキストを読み進めつつ探っていきたい。
 「比較文化学原論a」においては、『西洋事情』を次の観点から読み進める。
 1.福沢は西欧社会において注目したものと、彼の考える(目ざす)文明開化
 2.福沢の西欧諸国観と、その法・経済に関する理解

 1.『西洋事情』初編巻之一:「小引」「備考」政治・収税法・紙幣・商人会社etc.
 2.『西洋事情』初編巻之二:「合衆国」史記・政治・海陸軍・銭貨出納、「荷蘭」同
 3.『西洋事情』初編巻之三:「英国」史記・政治・海陸軍・銭貨出納・附録
 4.『西洋事情』外編巻之一:人間・家族・人生の通義及び其職分etc.
 5.『西洋事情』外編巻之二:政府の種類・国法及び風俗・政府の職分
 6.『西洋事情』外編巻之三:人民の教育・経済の総論・私有の本を論ずetc.
 7.『西洋事情』二編巻之一:人間の通義・収税論・
 8.『西洋事情』二編巻之二:「魯西亜」史記・政治・海陸軍・銭貨出納
 9.『西洋事情』二編巻之三:「仏蘭西」史記
 10.『西洋事情』二巻巻之四:「仏蘭西」史記・政治・海陸軍・銭貨出納
 ◇教科書:
   福沢諭吉『西洋事情』福沢諭吉全集第一巻、岩波書店
 ◇参考文献:
   ルソー『社会契約論』桑原武夫・前川貞次郎訳、岩波文庫
   福沢諭吉『学問のすゝめ』岩波文庫
   『明六雑誌』岩波文庫
   『米欧回覧実記』一~五、久米邦武編・田中彰校注、岩波文庫
   丸山眞男『福沢諭吉の哲学―他六編』松沢弘陽編、岩波文庫
   その他、授業のなかで必要に応じて指示する。
 ◇履修条件:
   議論への積極的な参加が求められる。
 ◇成績評価:
   発表内容、議論への参加度、学期末レポートを総合して評価する。


比較文化学概論b
 ◇講義題目:幕末・明治初期の日本人の西洋受容(福沢諭吉を中心に)
 ◇担当教員:前野みち子(後期、火6、文総623)
 ◇オフィス・アワー:随時(メールで予約して下さい)
◇目的・ねらい:
 本授業は、比較文化学の方法とはどのようなものかについて、テキストの分析、議論、発表、レポートなどを通してその基礎的理解力を養うとともに、比較文化学的の視座から研究実践力を身につけることを目的としている。

◇授業内容:
 幕末から明治にかけて、外発的開化を余儀なくされ、一日も早い近代化を迫られた日本は、欧米に多くの人々を送り出してその開化の実状を視察させ、留学生として学ばせた。幕末にそのような洋行を果たした知識人には、福沢諭吉、福地源一郎、西周、津田真道などがおり、明治維新後のいわゆる米欧回覧に同行した知識人には、後にこの回覧記録をまとめることになる久米邦武、幕末の経験を買われて随行した福地、留学生としては中江兆民などがいる。津田梅子など、初めての日本人女子留学生五名もこの時の船で横浜からアメリカへ渡った。
 本授業では、このような初期の西欧体験において、日本の知識人が西欧世界の何に興味・関心をもち、何を学び取ろうとしたのか、また日本の開化にとって何が喫緊の課題と考えられたのか、という問題を、福沢諭吉の『西洋事情』(1866-1870)、『学問のすゝめ』(1872-1876)に見られる実学思想を中心に、関連するテキストを読み進めつつ探っていきたい。
 比較文化学概論bでは、『西洋事情』の読了によって得た知識を生かして、『学問のすゝめ』を読む。そこに繰り返し言及される「学問」が具体的にどのような「学問」であるのかを議論しながら、彼がそのような「学問」を必須と考えた根拠を探り、『西洋事情』に記述された「西洋」認識とのつながりについて考える。

 1.「合本学問之勧序」「学問のすゝめ 初編」
 2.「学問のすゝめ 二編」〈人民と政府〉社会契約論との関係
 3.「学問のすゝめ 三編」〈一身独立して一国独立する事の漢学・洋学の文脈
 4.「学問のすゝめ 四編/五編」〈学者の職分を論ず〉明六社員との論争
 5.「学問のすゝめ 六編」〈国法の貴きを論ず〉「公」と「私」
 6.「学問のすゝめ 七編」〈国民の職分を論ず〉再び人民と政府の関係を説く
 7,「学問のすゝめ 八編」〈我心をもって他人の身を制すべからず〉支配・被支配と平等
 8.「学問のすゝめ 九編~十三編」 学問の主旨と文明・人間の交際
 9.「学問のすゝめ 十四編」〈心事の棚卸し〉商業・商売のレトリックの多用
 10.「学問のすゝめ 十五編~十七編」 心事と働き、人間交際のための教え
 ◇教科書:
   福沢諭吉『学問のすゝめ』岩波文庫
 ◇参考文献:
   ルソー『社会契約論』桑原武夫・前川貞次郎訳、岩波文庫
   福沢諭吉『西洋事情』福沢諭吉全集第一巻、岩波書店
   丸山眞男『福沢諭吉の哲学―他六編』松沢弘陽編、岩波文庫
   『明六雑誌』岩波文庫
   『米欧回覧実記』一~五、久米邦武編・田中彰校注、岩波文庫
   その他、授業のなかで必要に応じて指示する。
 ◇履修条件:
   議論への積極的な参加が求められる。
 ◇成績評価:
   発表内容、議論への参加度、学期末レポートを総合して評価する。


比較文学論a
 ◇講義題目:原作は何処へ
 ◇担当教員:渡辺美樹(前期、火2、文総522)
 ◇オフィス・アワー:金(10:30~12:00)
◇目的・ねらい:
 文学作品は文学的伝統の中で作られていくものであることを具体例を通して理解することを目的とする。一つの作品は時代とともに異なる解釈を受け、さまざまな翻案作品を生み出すことになる。映画も含めた翻案作品と原作との関係を読み解くことでこの目標を達成する。実際の作品の分析を通して、文学作品が文学的伝統の中で作られていくものであることを理解できるようにする。
◇授業内容:
 まず前半においては、小説、能、映画という三つのジャンルの翻案作品の中で、中世説話「羅生門」がいかに扱われているのかを考察する。後半では、小説、映画、アニメにおける説経説話「さんせう太夫」の解釈を考察し、それらに対して原作が持つ意味を探る。ただし受講者の人数等によって講義内容や講義方法を変える可能性もある。

 1. 4月16日 オリエンテーション
 2. 4月23日 『今昔物語集』巻二十九「羅城門登上層見死人盗人語語第十八」、巻三十一「太刀帯陣売魚姫語第三十一」
 3. 4月30日 芥川龍之介『羅生門』
 4. 5月7日 芥川龍之介『羅生門』の批評の現状
 5. 5月14日 芥川龍之介『藪の中』
 6. 5月21日 芥川龍之介『藪の中』の批評の現状
 7. 5月28日 切能『羅生門』と鬼退治
 8. 6月4日 黒澤明監督『羅生門』
 9. 6月11日 説経「さんせう太夫」
 10. 6月18日 中世の説経語りについて
 11. 6月25日 森鴎外『山椒太夫』
 12. 7月2日 森鴎外『山椒太夫』の批評の現状
 13. 7月9日 溝口健二監督『山椒太夫』
 14. 7月16日 藪下泰司監督『安寿と厨子王丸』
 15. 7月23日 討論
 ◇教科書:
   なし
 ◇参考文献:
   授業中に指示する
 ◇履修条件:
   映画については各自自分で見ておくこと
 ◇成績評価:
   期末レポート


比較文学論b
 ◇講義題目:原作か映画か
 ◇担当教員:渡辺美樹(後期、火2、文総522)
 ◇オフィス・アワー:金(10:30~12:00)
◇目的・ねらい:
 比較文学論aの続きとして、文学作品は文学的伝統の中で作られていくものであることを具体例を通して理解することを目的とする。映画も含めた翻案作品と原作との関係を読み解くことを通して文学作品が文学的伝統の中でいかに作られていくかを理解できるようにする。
◇授業内容:
 この授業では、溝口健二監督の二つの映画化作品『虞美人草』と『西鶴一代女』を題材として取り上げ、最終的に映画は原作をどのように解釈しているのかを考察する。まず前半の授業では、夏目漱石の『虞美人草』とその批評を読み、作品の問題点を明らかにした上で、映画がその問題点をどのように扱ったのかをみていく。後半の授業も前半の授業と同様の手順で行い、井原西鶴の『好色一代女』とその批評に目を通した上で、映画がどのように原作を脚色したのかを考察する予定である。

 1. 10月1日 オリエンテーション
 2. 10月8日 夏目漱石『虞美人草』を読む 1
 3. 10月15日 夏目漱石『虞美人草』を読む 2
 4. 10月22日 夏目漱石『虞美人草』を読む 3
 5. 10月29日 夏目漱石『虞美人草』の批評の現在 1
 6. 11月5日 夏目漱石『虞美人草』の批評の現在 2
 7. 11月12日 溝口健二監督『虞美人草』
 8. 11月19日 「女主人公は誰か」
 9. 11月26日 井原西鶴の『好色一代女』を読む 1
 10. 12月3日 井原西鶴の『好色一代女』を読む 2
 11. 12月10日 井原西鶴の『好色一代女』を読む 3
 12. 12月17日 井原西鶴の『好色一代女』の批評の現在
 13. 12月24日 溝口健二監督『西鶴一代女』
 14. 1月14日 「女の一生と語りについて」
 15. 1月21日 討論
 ◇教科書:
   なし
 ◇参考文献:
   授業中に指示する
 ◇履修条件:
   各自映画を見ておくこと。『虞美人草』についてはYouTubeの動画サイトにある。最後の2分程度が欠落しているが、完全なものは現在確認されていない。
 ◇成績評価:
   期末レポート


日中比較文化論a
 ◇講義題目:古代日本と外来文化
 ◇担当教員:胡 潔(前期、木4、北棟107)
 ◇オフィス・アワー:月(14:30~15:30)
◇目的・ねらい:
 古代日本の文字表記、政治制度、文芸表象などの諸事象から、古代日本と外来文化の関係を探求する。主に古代日本と古代中国の文化的交渉の諸問題を取り扱いますが、単に両国の文化の相違点を洗い出すのみならず、文化要素の流動、衝突、融合の過程を観察する方法を学ぶ。今年度(aとb)は、外来文化の導入における紀伝道文人の役割について考える。aでは平安前期に生きる菅原道真の『菅家文草』・『菅家後集』を取り上げる。家業継承、儒者の抱負と失意、白居易文学の摂取の三つのテーマを設けて読んでいく。テキストの輪読、講師によるレクチャー、参加者による発表を適宜組み合わせる。参加者は、作品に関する研究論文を読み、その方法や発想を学びながら、作品の読解、分析を行う。基礎的理解力、応用力、実践力を身につけることがこの授業の目的である。
◇授業内容:
 1イントロダクション
 2菅原道真の文学とその時代
 3家業継承の思い (1)、(2)、(3)
 4儒者としての抱負と失意 (1)、(2)、(3)
 5白氏文集の摂取 (1)、(2)、(3)
 6参加者発表 (1)、(2)、(3)
 7前期総括
 ◇教科書:
   その都度配布する。
 ◇参考文献:
   川口久雄『三訂 平安朝日本漢文学史の研究 上』明治書院、一九八二年
   藤原克己『菅原道真と平安朝漢文学』東京大学出版会、二〇〇一年
   波戸岡旭『宮廷詩人菅原道真―『菅家文草』・『菅家後集』の世界』笠間書院、二〇〇五年
 ◇履修条件:
   受講希望者は「古代日本と外来文化B」を併せて取るのが望ましい。読むべき資料は予め配布するので、必ず予習してから授業に臨むこと。
 ◇成績評価:
   出席(30%)、授業態度(20%)、レポート(50%)


日中比較文化論b
 ◇講義題目:古代日本と外来文化
 ◇担当教員:胡 潔(後期、木4、全学棟北棟107)
 ◇オフィス・アワー:水(10:30~11:30)
◇目的・ねらい:
 古代日本の文字表記、政治制度、文芸表象などの諸事象から、古代日本と外来文化の関係を探求する。主に古代日本と古代中国の文化的交渉の諸問題を取り扱いますが、単に両国の文化の相違点を洗い出すのみならず、文化要素の流動、衝突、融合の過程を観察する方法を学ぶ。今年度(aとb)は、外来文化の導入における紀伝道文人の役割について考える。bでは、平安中期の王朝社会に生きる大江匡衡の作品『江吏部集』を取り上げる。家学の伝統、儒官の失意と得意、江家と白氏文集の関わりという三つテーマを設けて読んでいく。テキストの輪読、講師によるレクチャー、参加者による発表等を適宜組み合わせる。参加者は、作品に関する研究論文を読み、その方法や発想を学びながら、作品の読解、分析を行う。基礎的理解力、応用力、実践力を身につけることがこの授業の目的である。
◇授業内容:
 1イントロダクション
 2大江匡衡の文学とその時代
 3家学の伝統の誇示 (1)、(2)、(3)
 4儒官の失意と得意 (1)、(2)、(3)
 5江家と白氏文集 (1)、(2)、(3)
 6参加者発表 (1)、(2)、(3)
 7後期総括
 ◇教科書:
   適宜プリントを配る
 ◇参考文献:
   川口久雄『三訂平安朝日本漢文学史の研究・中』明治書院、一九八二年
   後藤昭夫『大江匡衡』吉川弘文館、二〇〇六年
 ◇履修条件:
   受講希望者は「古代日本と外来文化A」を併せて取るのが望ましい。資料は予め配布するので、必ず予習してから授業に臨むこと。
 ◇成績評価:
   出席(30%)、授業態度(20%)、レポート(50%)で評価する。


日韓比較文化論a
 ◇講義題目:日本人の韓国・朝鮮体験を読む1
 ◇担当教員:浮葉正親(前期、火3、文総623)
 ◇オフィス・アワー:火(14:30~15:30)
◇目的・ねらい:
 日本で生まれ育った人たちの目に映る韓国・朝鮮の社会や文化の諸局面を取りあげ、それらを通して、日本列島と朝鮮半島の密接な関係と文化交流の歴史を読み取る。この授業を通して、異文化を理解する柔軟な感性と複眼的な視点を身につける。
◇授業内容:
 植民地時代の旅行者や滞在者の体験記を読み、彼らの朝鮮認識を読み解く。また、植民地期朝鮮での生活を経験した作家の作品をあわせて読み、フィクションの中で彼らの朝鮮経験がどのように再構成されているのかについても検証していく。
 1.オリエンテーション
 2.イザベラ・バード『朝鮮紀行』と『日本奥地紀行』
 3.柳宗悦『朝鮮とその芸術』
 4.浅川巧『朝鮮民芸論集』
 5.在朝日本人の社会史
 6.泉靖一『遥かな山やま』
 7.鈴木栄太郎『朝鮮農村社会の研究』
 8.秋葉隆『朝鮮民族誌』
 9.植民地体験と戦後文学
 10.梶山季之『李朝残影』
 11.五木寛之『大河の一滴』
 12.森崎和江『草の上の舞踏』
 13.日野啓三『台風の眼』
 14.小林勝『チョッパリ』
 15.まとめ
 ◇教科書:
   特になし
 ◇参考文献:
   磯貝治良『戦後日本文学のなかの朝鮮韓国』大和書房
   川村湊『ソウルの憂愁』草風館
   高崎宗司『植民地朝鮮の日本人』岩波書店
   藤本秀夫『泉靖一伝 アンデスから済州島へ』平凡社
 ◇履修条件:
   特になし
 ◇成績評価:
   発表(30%)、期末レポート(60%)、授業参加(10%)


日韓比較文化論b
 ◇講義題目:日本人の韓国・朝鮮体験を読む2
 ◇担当教員:浮葉正親(後期、火3、文総623)
 ◇オフィス・アワー:火(14:30~15:30)
◇目的・ねらい:
 日本で生まれ育った人たちの目に映る韓国(朝鮮)の社会や文化の諸局面を取りあげ、それらを通して、日本列島と朝鮮半島の密接な関係や文化交流の歴史を読み取る。この授業を通して、異文化を理解する柔軟な感性と複眼的な視点を身につける。
◇授業内容:
 鄭大均(1995)によれば、戦後の日本人の韓国・朝鮮に対する関心は、(1)無関心・避関心の時期(1945~64)、(2)政治関心の時期(前半:1965~72、後半:1973~83)、(3)文化的関心の時期(1983~現在)の三つの時期に分けられるという(鄭大均『韓国のイメージ』20頁)。三つ目の「文化的関心」は、その後、2000年代に入り韓流という形で大きく広がるとともに、その反作用として「嫌韓」や「反韓」を生み、またいわゆる北朝鮮バッシングも強くなる一方である。この授業では、その間の変化を時系列的に読み進め、必要に応じて映像資料も視聴していく。
 1.オリエンテーション
 2.戦後日本における在日朝鮮人社会の形成
 3.映画「キューポラのある町」(1962)の時代
 4.司馬遼太郎『街道をゆく2 韓のくに紀行』(1972)
 5.鳥羽欽一郎『もう一つの韓国』(1976)
 6.持田直武『ソウルの横顔』(1979)
 7.1970年代から80年代にかけての韓国社会の変化
 8.関川夏央『ソウルの練習問題』(1984)
 9.戸田郁子『ふだん着のソウル案内』(1988)
 10.ドキュメンタリー「韓国が見えてきた」(1988)
 11.鷺沢萌『ケナリも花、サクラも花』(1994)
 12.在日コリアンの韓国体験
 13.黒田福美『となりの韓国人』(2003)
 14.山野車輪『嫌韓流』(2005)
 15.まとめ
 ◇教科書:
   特になし
 ◇参考文献:
   磯貝治良『戦後日本文学のなかの朝鮮韓国』大和書房
   小倉紀蔵『韓流インパクト ルックコリアと日本の主体化』講談社
   クォン・ヨンソク『「韓流」と「日流」 文化から読み解く日韓新時代』NHK出版
   鄭大均『韓国のイメージ』中央公論社
 ◇履修条件:
   特になし
 ◇成績評価:
   発表(30%)、期末レポート(60%)、授業参加(10%)


比較日本文化学特論a
 ◇講義題目:「月王・乙姫物語」を読む
 ◇担当教員:伊藤信博(前期、金6、北棟105)
 ◇オフィス・アワー:水(17:00~19:00)
◇目的・ねらい:
 前近代の擬人化された物語を考察することを目的とする。
◇授業内容:
 ベルリン国立図書館所蔵「月王・乙姫物語」は恋愛、流離、合戦、異類などが登場する伝奇性に満ちた作品である。この作品を取り上げ、この物語がどのような思想、素材から構想されたかを考察する。また、描かれる図像からも、作品の構想に与えた影響が考えられるため、類似する図像も考察の対象とする。そこで、
 1.主人公の名前、物語のモチーフの分類から見る類似説話
 2.物語創作の歴史的背景
 3.使われる図像の比較研究
 4.同時代の擬人化された物語との比較
 などに区分し、この物語が近世に与えた影響などを探る。
 ◇教科書:
   特になし
 ◇参考文献:
   授業中に提示
 ◇履修条件:
   特になし
 ◇成績評価:
   出席、レポート、発表評価など。
 ◇注意事項:
   発表は、二週間以上前にテーマやテキストを指示する。また、参加者全員が読む参考文献も、授業の経過のなかで適時指示する。発表後、発表内容に関する意見など、受講者が積極的に発言する機会を持とうと考えている。なお、学期中に京都への研修旅行により、「室町物語」の成立を時代背景、歴史背景に鑑み考察する機会を考えている。


比較日本文化学特論b
 ◇講義題目:「猫の草紙」を読む
 ◇担当教員:伊藤信博(後期、金6、北棟105)
 ◇オフィス・アワー:水(17:00~19:00)
◇目的・ねらい:
 「猫の草紙」が成立する歴史背景を考察することで、文学研究における歴史研究の重要性を示唆する。
◇授業内容:
 「猫の草紙」を読み、中世の猫の飼われ方、猫とネズミの関係、中世の京都と滋賀の関係性、この絵巻成立時の宗教背景など物語の構成を歴史的背景をもとに考察する。具体的には、
 1.猫の飼われ方の歴史的背景
 2.ネズミと猫の関係性
 3.擬人化される動物
 4.中世の京都の食事情
 などの紹介を授業中に行いながら、猫やネズミが持っていた象徴性を考察する。

 ◇教科書:
   特になし
 ◇参考文献:
   授業中に提示
 ◇履修条件:
   特になし
 ◇成績評価:
   出席、レポート、発表評価など。
 ◇注意事項:
   発表は、二週間以上前にテーマやテキストを指示する。また、参加者全員が読む参考文献も、授業の経過のなかで適時指示する。発表後、発表内容に関する意見など、受講者が積極的に発言する機会を持とうと考えている。なお、学期中に岩瀬文庫への研修により絵巻の比較研究を考えている。




現 代 日 本 語 学 講 座
現代日本語学概論a
 ◇講義題目:類義表現の分析:認知言語学の「捉え方」を基盤として
 ◇担当教員:籾山洋介(前期、木・2、総609)
 ◇オフィス・アワー:火(13:00~14:30)
◇目的・ねらい:
 この授業の目的は、まず、「同じ物事を異なる捉え方で捉える」という認知能力が、言語(特に「類義表現」)の基盤として重要な役割を担っているということを理解し、具体的な分析方法を学ぶことである。なお、この「捉え方」(construal)とまとめられる認知能力にも多様なものがあり、その多様性が言語表現の多様性の基盤となっている。この授業の最終的な目標(ねらい)は、現代日本語の類義表現について、「捉え方」の観点から、記述・分析ができるようになることである。また、授業の進め方は、教科書の理解をスタートラインとし、より専門的な文献に進む。
◇授業内容:
 1)導入
 2)認知言語学の基礎(1):認知能力とは
 3)認知言語学の基礎(2):経験の役割
 4)認知言語学の基礎(3):類義表現と比喩
 5)類義表現(1):枠組みの異なり
 6)類義表現(2):予測の働き
 7)類義表現(3):原因の推論
 8)類義表現(4):視点の異なり
 9)類義表現(5):焦点の異なり
 10)類義表現(6):構成要素か全体か
 11)類義表現(7):評価の異なり
 12)類義表現(8):婉曲表現
 13)類義表現(9):日英対照(1)
 14)類義表現(10):日英対照(2)
 15)まとめ
 ◇教科書:
   籾山洋介(2009)『日本語表現で学ぶ 入門からの認知言語学』研究社
 ◇参考文献:
   参考文献は授業の際に提示する。
 ◇履修条件:
   認知言語学の基礎知識が十分でない人は、授業と平行して、前期の間に最低限以下の文献を読むこと。
    松本曜(編)(2003)『認知意味論』大修館書店
    籾山洋介(2002)『認知意味論のしくみ』研究社
    籾山洋介(2006)「1-8.認知言語学」、『言語科学の百科事典』、pp.157-177、丸善株式会社
    籾山洋介(2010)『認知言語学入門』研究社
 ◇成績評価:
   1.授業への貢献度(平常点)[30%]
   2.レポート(2回):課題等の詳細は後日知らせる/1回目[30%]、2回目[40%]


現代日本語学概論b
 ◇講義題目:百科事典的意味観の射程
 ◇担当教員:籾山洋介(木・2、総609)
 ◇オフィス・アワー:火(13:00~14:30)
◇目的・ねらい:
 この授業の目的は、「百科事典的意味観」について多角的かつ的確に理解し、その考え方に基づく言語の具体的な分析方法を学ぶことである。特に、百科事典的意味観とは、どのような特徴を有するものであるか、意味研究(の歴史)の中でどのように位置づけられるか、言語表現の分析・記述においてどのような点で有効であるかなどについて、具体的に学ぶ。この授業の最終的な目標(ねらい)は、百科事典的意味観に基づき、現代日本語の語、メタファー、直喩(シミリー)などについて分析・記述ができるようになることである。
◇授業内容:
 1)1~5回目:「百科事典的意味観」について、下記の文献(教科書)などに基づき、多角的に学ぶ。
 2)6~10回目:受講者の発表①(受講者の発表とディスカッションに基づき、認知言語学の基礎を確認する。なお、発表内容は、原則として、「現代日本語学概論a」において提出したレポートの内容に基づくもの)。
 3)11~15回目:受講者の発表②(受講者各自が、百科事典的意味観に基づき、現代日本語について記述・分析し、発表する。発表後、ディスカッションを行う)。
 ◇教科書:
   籾山洋介(2010)「百科事典的意味観」、山梨正明他(編)『認知言語学論考』No.9、pp.1-37、ひつじ書房
   籾山洋介(2010)「百科事典的意味とメタファー」、上野善道(監修)『日本語研究の12章』、pp.253-265、明治書院
 ◇参考文献:
   参考文献は授業の際に提示する。
 ◇履修条件:
   原則として、「現代日本語学概論a」を受講していること。そうでない人は、「現代日本語学概論a」の内容と同等の知識を有していること。
 ◇成績評価:
   1)授業への貢献度(発表・平常点)[40%]
   2)レポート(1回)[60%]:授業で「百科事典的意味観」について発表した受講者は、その内容をまとめればよい。


日本語音声学a
 ◇講義題目:日本語分節音の音声的特徴について
 ◇担当教員:鹿島 央(前期、木5、文系総合館609)
 ◇オフィス・アワー:毎週月曜日16時から 留学生センター棟 4階 404研究室
◇目的・ねらい:
 様々な言語を母語とする日本語学習者の音声上の特徴が分析できるようになるための音声学的知識と運用力の養成を目的とする。前期は、単音レベルを音声学的に考察した上で、いろいろな言語を母語とする日本語学習者の音声上の問題点が分析でき、国際音声字母による表記ができる力を養成する。
◇授業内容:
 1-2.総論
 3.音声教育の必要性
 4-11. 分節的特徴
 1)破裂音 2)破擦音 3)摩擦音 4)接近音 5)鼻音 6)ふるえ音 7)弾音 8)その他の調音
 12. 音声表記について
 13-15.学習者の問題点について
 ◇教科書:
   「なし」
 ◇参考文献:
  ・Catford, J.C.(1988) A Practical Introduction to Phonetics. Oxford Univ. Press.
  ・Ladefoged, P. & K. Johnson (2011) A Course in Phonetics. Wadsworth.
  ・Laver, J.(1994) Principles of phonetics, Cambridge Univ. Press.
  ・Vance, T.J.(2008) The Sounds of Japanese, Cambridge Univ. Press.
  ・神山五郎、戸塚元吉共訳(1990)『話しことはの料学』東京大学出版会
  ・斎藤純男(1997)『日本語音声学入門』三省堂
  ・鹿島 央(2002)『日本語教育をめざす人のための基礎から学ぶ音声学』スリーエーネットワーク
 ◇履修条件:
   「特になし」
 ◇成績評価:
   出席10% 参加度10% 授業内での課題30% 最終レポート50%


日本語音声学b
 ◇講義題目:日本語の韻律的特徴と音声教育の方法について
 ◇担当教員: 鹿島 央(後期、木5、文系総合館609)
 ◇オフィス・アワー:毎週月曜日16時から 留学生センター棟4階 404研究室
◇目的・ねらい:
 様々な言語を母語とする日本語学習者の音声上の特徴が分析できるようになるための音声学的知識と運用力の養成を目的とする。後期は、韻律レベルに関わる様々な現象を考察し、「高さ、長さ、大きさ、音質」のコントロールが日本語学習者の音声にどのような影響を与えているのかを、実例をもとに分析し、音声教育の可能性について議論する。その上で、日本語学習者の韻律レベル上の特徴を分析できる力と音声教育のカリキュラムデザインができる力を養成する。
◇授業内容:
 1-2.総論
 3. 音節
 4-5. リズム
 6-7. アクセント
 8-9. イントネーション
 10-11. プロミネンス,ポーズ,その他
 12-15.韻律教育について
 ◇教科書:
   「なし」
 ◇参考文献:
  ・Ladefoged, P.(2003) Phonetic Data Analysis : an introduction to fieldwork and instrumental techniques. Blackwell.
  ・Wells,J.C.(2006)English Intonation. Cambridge Univ. Press.
  ・Vance, T.J.(2008) The Sounds of Japanese, Cambridge Univ. Press.
  ・神山五郎、戸塚元吉共訳(1990)『話しことはの料学』東京大学出版会
  ・斎藤純男(1997)『日本語音声学入門』三省堂
  ・鹿島 央(2002)『日本語教育をめざす人のための基礎から学ぶ音声学』スリーエーネットワーク
 ◇履修条件:
   「特になし」
 ◇成績評価:
   出席10% 参加度10% 授業内での課題30% 最終レポート50%


日本語文法論a
 ◇講義題目:日本語文法教育論
 ◇担当教員:李 澤熊(前期、金・2、総609)
 ◇オフィス・アワー:金(9:00~10:00)留学生センター棟4階406研究室
       (TEL:789-4189(研究室)、E-mail:leetack@ecis.nagoya-u.ac.jp)
◇目的・ねらい:
 本講義では、現代日本語の文法にかかわるトピックをいくつか取りあげ、具体例をあげながら分析・考察する。また、日本語教科書、文法解説書などで、文法項目がどのように扱われ、記述されているかを整理・検討し、日本語教育への効果的な応用、特に実用的な文法指導の方法を探る。
◇授業内容:
 1)~5)
  ・助詞(相当句)について
  ・「は」と「が」の問題
 6)~10)
  ・「大学の前に・大学の前で」、「名古屋に行く・名古屋へ行く」
  ・「だけ・しか・ばかり」
  ・「そして・それから・それに」、「それで・そこで」
  ・「ために・ように・に」、「たり・し」等
 11)~15)
  話し手の気持ちを表す表現
  ・「~と思う・~つもりだ・~予定だ」
  ・「~しなければならない・~べきだ・~ざるを得ない・~ずにはいられない」
  ・「~そうだ・~と言っていた・~って」等
 ◇教科書:
   ハンドアウトを配布する
 ◇参考文献:
   国立国語研究所(1978,1981)『日本語の文法 上・下』
   近藤安月子・姫野伴子(2012)『日本語文法の論点43』研究社
   高見健一(2011)『受身と使役』開拓社
   寺村秀夫(1982,1984)『日本語のシンタクスと意味Ⅰ・Ⅱ』くろしお出版
   仁田義雄(2007)『日本語の文法カテゴリをめぐって』ひつじ書房
   仁田義雄(2010)『日本語文法の記述的研究を求めて』ひつじ書房
   日本語記述文法研究会編(2003~2010)『現代日本語文法①~⑥』くろしお出版
   野田尚史(1991)『はじめての人の日本語文法』くろしお出版
   野田尚史(1996)『「は」と「が」』くろしお出版
   野田尚史(2005)『コミュニケーションのための日本語教育文法』くろしお出版
   益岡隆志・田窪行則(1992)『基礎日本語文法-改訂版-』くろしお出版
   益岡隆志(1993)『24週日本語文法ツアー』くろしお出版
   宮島達夫・仁田義雄(編)(1995)『日本語類義表現の文法 上・下』くろしお出版
   森篤嗣・庵功雄(2011)『日本語文法教育のための多様なアプローチ』ひつじ書房
   森山卓郎(2000)『ここからはじまる日本語文法』ひつじ書房
   森田良行(2002)『日本語文法の発想』ひつじ書房
   高橋太郎(2003)『動詞九章』ひつじ書房
   村田美穂子編(2005)『文法の時間』至文堂
   その他の参考文献は、必要に応じて授業中に紹介する
 ◇授業方法:
   講義、クラス発表・討論、文献講読
 ◇履修条件:
   特になし
 ◇成績評価:
   出席(欠席回数が多いと不可)、授業への参加(20%)、口頭発表(30%)、レポート(50%)
 ◇その他:
   日本人にとって日本語は無意識のうちに身につけた、いわゆる「母語」である。つまり、空気と同じように存在しないのと同様なものだと考えられる。だから、日常の意識ではそもそも問題にならないわけだし、当たり前のことをわざわざ問題にするということも普通はしないと考えられる。しかし、日本語教育学の世界ではその当たり前のようなことがたびたび問題になったりする。普段日本人がなかなか気づきにくい日本語の様々な現象に気づくということはこの学問分野では非常に大切なことである。そういった現象に気づくためには、日本語を客観的な立場から観察する力を身につける必要がある。そういったことを常に念頭におきながら日本語に接してほしい。


日本語文法論b
 ◇講義題目:日本語文法教育論
 ◇担当教員:李 澤熊(後期、金・2、総609)
 ◇オフィス・アワー:金(9:00~10:00)留学生センター棟4階406研究室
       (TEL:789-4189(研究室)、E-mail:leetack@ecis.nagoya-u.ac.jp)
◇目的・ねらい:
 本講義では、現代日本語の文法にかかわるトピックをいくつか取りあげ、具体例をあげながら分析・考察する。また、日本語教科書、文法解説書などで、文法項目がどのように扱われ、記述されているかを整理・検討し、日本語教育への効果的な応用、特に実用的な文法指導の方法を探る。
◇授業内容:
 1)~5)
  ・テンスについて
  ・アスペクトについて
 6)~10)
  ・「ておく・てみる・てしまう」
  ・「~している・~し続ける・~しつつある」
  ・「『する』の多様な用法;「やる」との比較」
  ・「~とき(に)・~際(に)・~おり(に)」
  ・「~てから・~あと(で)・~た上で・~てはじめて」等
 11)~15)
  日本語教育のための文法
  ・受身表現の問題
  ・指示詞「こ・そ・あ・ど」の問題
 ◇教科書:
   ハンドアウトを配布する
 ◇参考文献:
   国立国語研究所(1978,1981)『日本語の文法 上・下』
   近藤安月子・姫野伴子(2012)『日本語文法の論点43』研究社
   高見健一(2011)『受身と使役』開拓社
   寺村秀夫(1982,1984)『日本語のシンタクスと意味Ⅰ・Ⅱ』くろしお出版
   仁田義雄(2007)『日本語の文法カテゴリをめぐって』ひつじ書房
   仁田義雄(2010)『日本語文法の記述的研究を求めて』ひつじ書房
   日本語記述文法研究会編(2003~2010)『現代日本語文法①~⑥』くろしお出版
   野田尚史(1991)『はじめての人の日本語文法』くろしお出版
   野田尚史(1996)『「は」と「が」』くろしお出版
   野田尚史(2005)『コミュニケーションのための日本語教育文法』くろしお出版
   益岡隆志・田窪行則(1992)『基礎日本語文法-改訂版-』くろしお出版
   益岡隆志(1993)『24週日本語文法ツアー』くろしお出版
   宮島達夫・仁田義雄(編)(1995)『日本語類義表現の文法 上・下』くろしお出版
 森篤嗣・庵功雄(2011)『日本語文法教育のための多様なアプローチ』ひつじ書房
   森山卓郎(2000)『ここからはじまる日本語文法』ひつじ書房
   森田良行(2002)『日本語文法の発想』ひつじ書房
   高橋太郎(2003)『動詞九章』ひつじ書房
   村田美穂子編(2005)『文法の時間』至文堂
   その他の参考文献は、必要に応じて授業中に紹介する
 ◇授業方法:
   講義、クラス発表・討論、文献講読
 ◇履修条件:
   特になし
 ◇成績評価:
   出席(欠席回数が多いと不可)、授業への参加(20%)、口頭発表(30%)、レポート(50%)




日 本 語 教 育 方 法 論 講 座
日本語教育評価論a
 ◇講義題目:日本語教育におけるテストと評価
 ◇担当教員:村上京子(前期、水2、文総623)
 ◇オフィス・アワー:火曜13:00-14:30
◇目的・ねらい:
 教育評価に関する基本的な知識を身につけ,日本語教育の現場で役立つ評価技術を獲得する。
◇授業内容:
 1. 日本語教育における評価の目的とテストの種類・形式
 2.achievement test と proficiency test について
 3.評価の基準とシラバス
 4.テストの開発・改訂
 5.テスト結果の記述(平均・標準偏差・偏差値etc.)
 6.SP表を作る
 7.相関係数の意味とその利用
 8.項目分析
 9.テストの信頼性と妥当性
 10.テストの波及効果
 11. テストとカリキュラム
 12.ディスカッション
 13.世界の言語評価1
 14.世界の言語評価2
 15.ディスカッション
 ◇教科書:
   特になし
 ◇参考文献:
   村上京子 2002 「日本語能力を評価する」「テスト改善に役立つ技法」『日本語教育の心理学』新曜社
   Heaton,B. 1988 Writing English Language Tests, Longman Group UK Limited. (ヒートン著、語学教育研究所テスト研究グループ訳 1992 コミュニカティブ・テスティング 研究社)
   Bachman L. F. & Palmer A.S. 1996 Language Testing in Practice (バックマン他著 大伴訳 言語テスト作成法 大修館書店)
   Brown,J.D. 1996 Testing in Language Programs, Prentice Hall (J.D.ブラウン著 和田稔訳 1999 言語テストの基礎知識 大修館書店)
   日本語教育学会編 1991 『日本語テストハンドブック』大修館書店
   佐藤慎司,熊谷由理編 2010『アセスメントと日本語教育』くろしお出版
   Council of Europe (2001) Common European Framework of Reference for Language Learning, teaching, assessment, Cambridge: Cambridge University Press.(吉島茂・大橋理枝他訳編 2004『外国語の学習、教授、評価のためのヨーロッパ共通参照枠』朝日出版社)
   国際交流基金『学習を評価する』ひつじ書房
 ◇履修条件:
   特になし
 ◇成績評価:
   授業中の議論への参加態度およびパフォーマンス 50%、レポート・演習問題 50%


日本語教育評価論b
 ◇講義題目:日本語教育におけるパフォーマンス評価
 ◇担当教員:村上京子(後期、水2、文総623)
 ◇オフィス・アワー:火曜13:00-14:30
◇目的・ねらい
 日本語教育におけるパフォーマンステストの作成・分析に関する基本的な知識を身につけ,日本語教育の現場で役立つ評価技術を獲得する。
◇授業内容:
 1.話す能力の評価の理論と評価1
 2.話す能力の評価の理論と評価2
 3.話す能力の評価の理論と評価3
 4.書く能力の評価の理論と評価1
 5.書く能力の評価の理論と評価2
 6.書く能力の評価の理論と評価3
 7.テスト・デザインの作成1
 8.テスト・デザインの作成2
 9.テストの作成
 10.テストの実施1
 11.テストの実施2
 12.テスト結果の分析1
 13. テスト結果の分析2
 14.テスト結果の分析発表
 15.ディスカッション
 ◇教科書:
   特になし
 ◇参考文献:
   Downing, S. M. & Haladyna, T. M. (Eds.) 2006 Handbook of test development, Lawrence Erlbaum Associates, Inc, (池田央監訳2009『テスト作成ハンドブック』(株)教育測定研究所)
   Luoma,S. 2004 assessing Speaking, Cambridge University Press
   McNamara, T. 2000 Language Testing, Oxford University Press. (伊東祐郎他訳 言語テスティング概論 スリーエーネットワーク)
   Heaton,B. 1988 Writing English Language Tests, Longman Group UK Limited. (ヒートン著、語学教育研究所テスト研究グループ訳 1992 コミュニカティブ・テスティング 研究社)
   Bachman L. F. & Palmer A.S. 1996 Language Testing in Practice (バックマン他著 大伴訳 言語テスト作成法 大修館書店)
 ◇履修条件:
   日本語教育評価論aを履修していることが望ましい。
 ◇成績評価:
   講読論文の口頭発表・レジュメ(20%)、授業中の議論への参加態度およびパフォーマンス(20%)、評価・分析の口頭発表・レジュメ(20%)、レポート(40%)


コンピューター支援日本語教育方法論a
 ◇講義題目:CALL教材の評価、分析及び開発
 ◇担当教員:石崎俊子(前期、木3、留学生センター402)
 ◇オフィス・アワー:水と金(13:00-14:00) またはメールで相談
◇目的・ねらい:
 コンピュータ支援日本語学習教材の評価、分析及びマルチメディア教材開発
◇授業内容:
 1.授業の説明
 2.CALL教材の評価1
 3.CALL教材の評価2
 4.CALL教材を基にした教案作り
 5.動画の内容についてディスカッション
 6.動画のスクリプトの作成1
 7.動画のスクリプトの作成2
 8.動画の絵コンテの作成
 9.動画の絵コンテの作成、撮影の準備
 10.撮影
 11.編集1
 12.編集2
 13.編集3
 14.編集4
 15.発表と評価
 ◇教科書:
   なし
 ◇参考文献:
   必要に応じて紹介
 ◇履修条件:
   コンピューター操作とワープロソフトの基本的な知識+技能が必要
 ◇成績評価:
   授業、プロジェクトへの参加態度およびパフォーマンス(40%)、プロジェクト(60%)から総合的に評価します。プロジェクトは指定された日までに指定された形式で提出すること。遅れると減点されます。


コンピューター支援日本語教育方法論b
 ◇講義題目:CALL教材の評価、分析及び開発
 ◇担当教員:石崎俊子(後期、木3、留学生センター402)
 ◇オフィス・アワー:水と金(13:00-14:00) またはメールで相談
◇目的・ねらい:
 WWWとパワーポイントを利用したコンピュータ支援日本語学習教材の開発
◇授業内容:
 1.WWWによる教材作成1
 2.WWWによる教材作成2
 3.WWWによる教材作成3
 4.WWWによる教材作成4
 5.WWWによる教材作成 発表と評価
 6.パワーポイントによる教材作成1
 7.パワーポイントによる教材作成2
 8.マルチメディア教材作成(音声)
 9.パワーポイントによる教材作成3
 10.パワーポイントによる教材作成4
 11.パワーポイントによる教材作成 発表と評価
 12.プロジェクト1
 13.プロジェクト2
 14.プロジェクト3
 15.プロジェクト発表
 ◇教科書:
   なし
 ◇参考文献:
   必要に応じて紹介
 ◇履修条件:
   コンピューター操作とワープロソフトの基本的な知識+技能が必要
 ◇成績評価:
   授業、プロジェクトへの参加態度およびパフォーマンス(20%)、プロジェクト3つ(80%)から総合的に評価します。プロジェクトは指定された日までに指定された形式で提出すること。遅れると減点されます。


日本語教育方法論概説a
 ◇講義題目:日本語教育と教育方法研究のパラダイム・シフト
 ◇担当教員:衣川隆生(前期、木1、文系総合館609)
 ◇オフィス・アワー:木(13:00~14:30)
◇目的・ねらい:
 日本語教育を取り巻く社会状況の変化に応じた言語教育パラダイムの変化を理解する。さらに受講者の理解が協働学習活動によってどのように変容したかを記録し、その変容と変容の要因を質的に分析する手法を学ぶ。
◇授業内容:
 1. オリエンテーション
 2. パラダイムシフトと学習環境デザイン
 3. 言語教育のパラダイムシフト
 4. 能力観1 コミュニケーション能力1
 5. 能力観2 インターラクション能力3
 6. 質的分析の手法
 ◇教科書:
   講義で適宜紹介する。
 ◇参考文献:
   久保田賢一(2000)『構成主義パラダイムと学習環境デザイン』関西大学出版
   佐々木倫子(2006)「パラダイムシフト再考」『日本語教育の新たな文脈―学習環境、接触場面、コミュニケーションの多様性』アルク, pp.259-283.
   サンドラ・サヴィニョン(2009)「コミュニケーション能力の定義」『コミュニケーション能力[原書第2版-理論と実践(草野、佐藤、田中(訳))法政大学出版, pp.9-65.
   R.C.スカーセラ & R.L.オックスフォード(1997)『第2言語習得の理論と実践-タペストリー・アプローチ-(牧野訳・監修/菅原他訳)』松柏社
   義永未央子(2005)「伝達能力を見直す」『文化と歴史の中の学習と学習者-日本語教育における社会文化的パースペクティブ』凡人社, pp.54-78.
   衣川隆生(2009)「教室と能力観・学習観・教育観」『日本語教育の過去・現在・未来 第3巻 教室(小林ミナ・衣川隆生(編著)水谷修(監))』凡人社, pp.22-45.
   海保博之・原田悦子(1993)『プロトコル分析入門―発話データから何を読むか』新曜社
   やまだようこ(編)(2007)『質的心理学の方法―語りをきく』新曜社
   Canale, M.(1983)"From communicative competence to communicative language pedagogy".in Richards, J. C. & R. W. Schmidt. (eds.) Language and communication.pp.2-27.
   Bachman, L.F.(1990)"Communicative language ability", Fundamenttal Considerations in Language Testing.pp.81-110.
 ◇履修条件:
   事前課題に基づく資料講読と課題提出を行う。授業では事前課題に基づく話し合い、振り返りを中心に進める。また話し合い、振り返りにおける対話は記録として録音、録画することもある。これらの資料、及び受講者相互のインタビューにより、知識の変容、及び変容の要因を分析する質的分析を試みる。グループ・ワークに積極的に参加すること。
 ◇成績評価:
   課題レポート(40%)、最終レポート(40%)、授業時の参加度(20%)


日本語教育方法論概説b
 ◇講義題目:認知アプローチに基づいた課題遂行過程の質的分析
 ◇担当教員:衣川隆生(後期、木1、文系総合館609)
 ◇オフィス・アワー:木(13:00~14:30)
◇目的・ねらい:
 読解、文章産出など文字言語を利用した課題遂行過程に焦点をあて、その過程と過程に影響を与える要因を理解する。さらに、受講者がグループ単位で調査を実施し、課題遂行過程を質的に分析する方法を学ぶ。
◇授業内容:
 1. オリエンテーション
 2. 課題遂行過程とその分析手法について―読解過程
 3. 課題遂行過程とその分析手法について―文章産出過程
 4. 調査・分析方法の検討
 5. 調査・分析の実施
 6. 調査・分析結果の検討
 ◇教科書:
   講義で適宜紹介する。
 ◇参考文献:
   海保博之・原田悦子(1993)『プロトコル分析入門―発話データから何を読むか』新曜社
   津田塾大学言語文化研究所読解研究グループ(編)(1992)『学習者中心の英語読解指導』大修館
   白石知代(1999)「日本語記事文の読解における再話の効果 ─再話プロトコルの観察を通して─」『日本語教育』101号, pp.11-20.
   石橋玲子(2012)『第2言語による作文産出の認知心理学的研究―学習者主体の言語教育のためにー』風間書房
   菊池民子(1997)「日本語の読解におけるテキスト構造の影響と読解前指導の効果」『日本語教育』95号,25-36.
   館岡洋子(2005)『ひとりで読むことからピア・リーディングへ-日本語学習者の読解過程と対話的協働学習』東海大学出版
 ◇履修条件:
   事前課題に基づく資料講読と課題提出を行う。授業では事前課題に基づく話し合い、振り返りを中心に進める。後半は受講者による調査により課題遂行過程を分析するための資料収集、分析、レポート作成を協働で行う。グループ・ワークに積極的に参加すること。
 ◇成績評価:
   課題レポート(40%)、最終レポート(40%)、授業時の参加度(20%)



日本語教育工学a
 ◇講義題目:日本語教師のための教育工学の理論と教育メディアの活用
 ◇担当教員:佐藤弘毅(前期、木6、留学生センター206)
 ◇オフィス・アワー:随時(適宜授業で案内する)
◇目的・ねらい:
 教育工学的な見方・考え方を日本語教育に取り入れるための科目である。日本語教師が授業の中で主体的に各種教育用情報メディア(以下、教育メディア)を活用するための基礎的な知識や技術を学ぶ。
◇授業内容:
 授業の前半で講義形式による教育工学の最新の理論を紹介し、後半でその理論を活かした教育メディアの活用演習を行う。日本語教育工学aでは特に、教育工学の歴史をたどりながら、最近の日本語教育でよく活用されている基本的な教育メディアの使い方を考える。以下の各回の内容について、左側が取り上げる教育工学の理論、右側がそれに関連する教育メディアの活用演習である。なお、以下の予定は、受講者のスキルや要望に応じて変更する可能性がある。

 01. オリエンテーション(教育工学とは何か)
 02. 情報メディアの特性と批判的思考 (1) - インターネットによる教材の収集
 03. 情報メディアの特性と批判的思考 (2) - インターネットによる教材の収集
 04. 情報メディアの特性と批判的思考 (3) - インターネットによる教材の収集
 05. 行動主義と認知主義による学習理論 (1) - e-ラーニングシステム(CMS)を用いたチュートリアルの作成
 06. 行動主義と認知主義による学習理論 (2) - e-ラーニングシステムを用いたチュートリアルの作成
 07. 行動主義と認知主義による学習理論 (3) - e-ラーニングシステムを用いたチュートリアルの作成
 08. 行動主義と認知主義による学習理論 (4) - e-ラーニングシステムを用いたチュートリアルの作成
 09. 社会構成主義の理論と状況的学習 (1) - ソーシャルメディア(SNS)を通じた議論
 10. 社会構成主義の理論と状況的学習 (2) - ソーシャルメディアを通じた議論
 11. 社会構成主義の理論と状況的学習 (3) - ソーシャルメディアを通じた議論
 12. 存在感(social presence)の理論と動機づけ (1) - e-ラーニング(オンラインコース)のデザイン
 13. 存在感の理論と動機づけ (2) - e-ラーニングのデザイン
 14. 存在感の理論と動機づけ (3) - e-ラーニングのデザイン
 15. 試験
 ◇教科書:
   教師作成の配付資料およびスライド(授業用Webページに掲載予定)
 ◇参考文献:
   「教育工学への招待」,赤堀侃司(著),ジャストシステム
   「状況に埋め込まれた学習」,J. Lave & E. Wenger(著),佐伯胖(訳),産業図書
   「E-Learning in the 21st Century」,D. R. Garrison & T. Anderson(著),RoutledgeFalmer
   他、適宜授業で紹介する
 ◇履修条件:
   授業ではPCを使用した演習を行う。コンピュータに関する高度な知識や操作技術は必要ないが、PC(Windows)の基本的な操作(起動、終了、キーボード入力等)には慣れていること。また、基本的なアプリケーション(ワープロソフト、表計算ソフト等)が使用できること。必ずしも受講者各自がPCを持参する必要はないが、授業用Webページ等による支援と課題を予定している為、授業外で使用できるPCおよびインターネット環境があることが望ましい。
 ◇成績評価:
   出席(10%)
   授業の参加度(授業内での議論への参加や教育メディアの活用状況等、10%)
   授業後の感想提出(30%)
   演習課題(30%)
   最終試験(20%)



日本語教育工学b
 ◇講義題目:日本語教師のための教育工学の理論と教育メディアの活用
 ◇担当教員:佐藤弘毅(後期、木6、留学生センター206)
 ◇オフィス・アワー:随時(適宜授業で案内する)
◇目的・ねらい:
 教育工学的な見方・考え方を日本語教育に取り入れるための科目である。日本語教師が授業の中で主体的に各種教育用情報メディア(以下、教育メディア)を活用するための最新の知識や技術を知ると共に、それらを自身の実践に応用する方法を考える。
◇授業内容:
 授業の前半で講義形式による教育工学の最新の理論を紹介し、後半でその理論を活かした教育メディアの活用演習を行う。日本語教育工学bでは特に、最新の教育メディアである電子黒板、最新の教材作成ツールであるAdobe Flash、最新の理論であるデザインベースの研究方法論を取り上げ、日本語教育におけるそれらの活用を考える。以下の各回の内容について、左側が取り上げる教育工学の理論、右側がそれに関連する教育メディアの活用演習である。なお、以下の予定は、受講者のスキルや要望に応じて変更する可能性がある。

 01. オリエンテーション(復習等)
 02. 視聴覚メディアの効果 (1) - 電子黒板を用いた模擬授業
 03. 視聴覚メディアの効果 (2) - 電子黒板を用いた模擬授業
 04. 視聴覚メディアの効果 (3) - 電子黒板を用いた模擬授業
 05. 視聴覚メディアの効果 (4) - 電子黒板を用いた模擬授業
 06. マルチメディアの効果 (1) - Adobe Flashを用いた教材の作成
 07. マルチメディアの効果 (2) - Adobe Flashを用いた教材の作成
 08. マルチメディアの効果 (3) - Adobe Flashを用いた教材の作成
 09. オブジェクト指向プログラミング (1) - Adobe Flashを用いた教材の作成
 10. オブジェクト指向プログラミング (2) - Adobe Flashを用いた教材の作成
 11. オブジェクト指向プログラミング (3) - Adobe Flashを用いた教材の作成
 12. デザインベースの研究方法論(design-based research) (1) - 動画分析ソフトを用いた授業の分析
 13. デザインベースの研究方法論 (2) - 動画分析ソフトを用いた授業の分析
 14. デザインベースの研究方法論 (3) - 動画分析ソフトを用いた授業の分析
 15. 試験(成果発表会)
 ◇教科書:
   教師作成の配付資料およびスライド(授業用Webページに掲載予定)
 ◇参考文献:
   「教育工学への招待」,赤堀侃司(著),ジャストシステム
   「電子黒板で授業が変わる」,清水康敬(編著),高陵社書店
   他、適宜授業で紹介する
 ◇履修条件:
   授業ではPCを使用した演習を行う。コンピュータに関する高度な知識や操作技術は必要ないが、PC(Windows)の基本的な操作(起動、終了、キーボード入力等)には慣れていること。また、基本的なアプリケーション(ワープロソフト、表計算ソフト等)が使用できること。必ずしも受講者各自がPCを持参する必要はないが、授業用Webページ等による支援と課題を予定している為、授業外で使用できるPCおよびインターネット環境があることが望ましい。
 ◇成績評価:
   出席(10%)
   授業の参加度(授業内での議論への参加や教育メディアの活用状況等、10%)
   授業後の感想提出(30%)
   演習課題(30%)
   最終試験(20%)


オ ム ニ バ ス 授 業
日本文化学概論
 ◇講義題目:日本の衣食住について
 ◇担当教員:胡、福田、ミギ—、前野、伊藤、渡辺、涌井(前期、火5、文総522)
 ◇オフィス・アワー:各教員のオフィス・アワーを参照のこと
◇目的・ねらい:
 日本文化への導入として、思想、歴史や文学を通して日本文化とは何かを理解することを目的とする。将来的に日本文化や日本事情を担当できる能力を養成することを目指し、特に芸術や文学を比較文化学的視点から分析できるだけの理解力を身につけることを目標とする。
◇授業内容:

 1. 4月16日 オリエンテーション

 2. 4月23日、3. 4月30日 「平安時代の寝殿造」 胡
  寝殿造とは、平安時代の貴族住宅の様式である。一町四方の敷地のほぼ中央に寝殿と呼ばれる中心的な建物が建てられ、その東、西、北の三方に対屋という附属的な建物が配される。さらに東西の両対屋から南に廊が伸び、その先に釣殿がある、というのが基本型と考えられている。『宇津保物語』、『落窪物語』、『源氏物語』などの文学作品には寝殿造に関する描写が多く見られる。これらの作品を読んで、当時の居住様式や家族生活について考えてみたい。

 4. 5月7日 「江戸の水」 福田
  人間の生活に水は不可欠である。まず、世界の水事情から入る。次に、日本人はどのように水を確保したかを考察しよう。江戸時代を例に、首府江戸の水の供給、排水を見てみよう。それは、上水の開鑿と木製の樋(水道管)の張り巡らしである。各家庭に上水を配るのはなかなか大事で、そこに集団の使う井戸、あるいは配水所が作られた。それでは、排水はどうだったか。特に排便の処理はどうしたか。そこに江戸の知恵がある。

 5. 5月14日 6. 5月21日 「イケメンの縮緬——近世日本における<粋>と<衣>との関連性をめぐって」 ミギ—
  日本近世社会においては衣類をめぐる規則は多数あった。流行や個人的な嗜好があるものの、徳川幕府の奢侈禁止令および士農工商の身分制度によって、着用できるとできない服装が厳重に制限されていた。しかし、「悪所」として指定された遊郭では、優勢な封建的価値観が覆され、「粋」の表現として贅沢を極めることは決して罪ではなかった。安永・天明期に入ると、服装に対する美意識が更に高まるに至って、大衆文学、特に黄表紙と洒落本というジャンルにおいては、登場人物の着るものを具さに描写することが通例となった。この授業では、『金々先生栄華夢』、『江戸生艶気樺焼』、『遊子方言』などの遊郭に繰り広がる作品群をとりあげ、あらゆる視座から「衣」を社会的および文化的構造として考察する。

 7. 5月28日 「日本の風呂」 福田
  風呂は日本人の必須事項である。シャワーで済ませる文化圏からはなかなか理解できない事である。まず、世界の風呂事情を見てから、次に日本の風呂事情に進もう。日本の高温多湿の夏期には特に行水が自然な風習であった。それがいつどのように風呂になったか。

 8. 6月4日、9. 6月11日 「明治小説のなかの<住>」 前野
  明治期の新しいタイプの小説には、しばしば下宿や寮が登場する。というのも、これらの小説には、主人公であれ周辺的人物であれ、地方から出てきて東京で学ぶ書生たちが多く描かれているからである。
  明治期の書生は新しい時代を象徴する存在として、新都東京の風景と切り離せない。坪内逍遙の『当世書生気質』、『妹背鑑』、二葉亭四迷の『浮雲』、そして夏目漱石の『三四郎』まで、主人公となった書生たちは大都会のなかの町屋の一室を借り、そこで立身出世を夢見る。あるいは『それから』に登場する書生のように、主人公代助の家に住み込んで家事・力仕事の手伝いをしながら何となく生きている人間もいる。
  東京の下宿は、親元の家を出て都会で一定の職業を得るまでの移行期間を暗示する空間的表象であり、この移行期間そのものを象徴する仮住まいの住形態である。下宿住まいをする人々は、少なくとも当初はいつかそこを出るつもりでいるが、この移行期間に終止符を打つことができない場合には、そこは自身の人生の沈滞を象徴する場所ともなる。
  二回の講義では、このような明治期の書生と下宿に焦点を当てて、テキストを一緒に読みながら分析したい。

 10. 6月18日 「『精進魚類物語』から考える室町の食Ⅰ」、11. 6月25日 「『鼠の草子』から考える室町の食Ⅱ」 伊藤
  この授業は室町時代に創作された二作品から、この時代の「食」がどのように表現されていたかを分析する。そもそも、室町時代に代表される「お成り文化」は、それまで文学の中で「背景」や「点描」であった飲食を、文化の中心に置くまでに発展させた。和歌に季節が詠われるように、飲食にも旬の季節感を作り出し、眼で食べるような「食の色彩」文化まで生み出す。
  また、各地の名産品を記す産物誌なども生み、唐招提寺の五穀豊穣を祝う修正会などにまで、各地の名産品(餅)を季節ごとに読み上げる声明までも誕生させるのである。茶道、華道の発展も同様である。
  このような食文化は、ある意味では恣意的に自然を配置した高度な文化創造と呼ぶことも可能であり、この授業ではこのような新たな「文化創造」が現代とどう関わっているかも考察対象とする。

 12. 7月2日、13. 7月9日 「現代小説の中の<食>—『キッチン』『シュガーレス・ラヴ』を考える」 渡辺
    現代女性と食生活との関係を吉本ばなな著『キッチン』(1987)と山本文緒著『シュガーレス・ラヴ』(1997)を読み比べることで明らかにしていく。家族にとっての台所の存在意義を考察し、伝統的な食事を守り続けているか、大きく変貌を遂げているかといった問題も含め、文化的特異性から見た食事のあり方を読み解くことで、女性と食との関係をみていきたい。食を作り、食を食べさせる女性が自らは食することができない女性へと変容してきたことを確認する予定である。

 14. 7月16日、15. 7月23日 「詩に表現される衣食住」 涌井   衣食住に関わる人間の営為は生存に関わっているので、まずその欲求が満たされてから、精神的な活動に向かうのが普通である。詩は本来何でも題材にすることが出来るはずであるが、衣食住を話題にする詩は存在するだろうか?恋愛や自然の情景や別離の悲しみなどを歌った詩が多いのは容易に想像できるが、衣食住はどうであろうか。
  今回は、明治以降の詩を題材にし、上述した観点から、衣食住を扱った詩を鑑賞する。扱う詩人を順不同に列挙すると次のようになる。石垣りん、金子光晴、林芙美子、茨木のり子、長谷川龍生、草野心平、高橋新吉、黒田三郎、石原吉郎、寺田修司、堀口大学など。わかりやすい詩もあるし、わかりにくい詩もある。授業では個別の詩について解釈を試みる。時間が許せば、二回目の授業では参加者が書いた自作の詩(もちろん衣食住をテーマにしたもの)を持ち寄って品評できればと考えている。詩は一回目の授業でプリントして配布する。授業に備えて予め上記の詩人の選集を手にとって読んでおくとよい。

 ◇教科書:
   なし
 ◇参考文献:
   初回に文献目録を配布予定
 ◇履修条件:
   なし
 ◇成績評価:
   出席点を40点、レポート点を60点とする。一回欠席する毎に10点減点する。20分以上の遅刻は欠席とみなす。出席はTAが管理するので、申告すること。レポートは授業中に与えられる課題の中から2つ選んだうえで、レポートの題名をつけて4,000字程度のレポートを8月20日までに、渡辺美樹のメールボックス(文総館2階)に入れること。




注 意 事 項
☆ 履修に当たっては「便覧」等を見て間違いのないようにすること。

集中講義
 ・ 予定なし


日言文教員の担当する「英語高度専門職業人コース」と兼用の授業
 ・ 詳しい内容は「英語高度専門職業人コース」のページを見てください。