2006年度 日言文シラバス
  

〔国際多元文化専攻のシラバス CLICK

☆ 下記の内容は変更することがあります。掲示等に注意してください。

日 本 言 語 文 化 学 講 座
言語文化学原論
 ◇講義題目: 後期夏目漱石の文学世界 −「語り」の視点を手がかりとして−
 ◇担当教員: 柴田庄一 (月・3、総623)
 ◇オフィス・アワー: 火(13:00〜14:00)
 ◇授業内容:
 1900年、時あたかもパリ万博の年にヨーロッパに渡り、二年間余のイギリス留学を経験した夏目漱石は、明治維新の直前の江戸に生まれ、明治時代の終焉を契機に代表作の一つ『こころ』を執筆し、明治体制の変質とともに50年にわたった生涯を閉じたが、その時代背景とも相俟って、日本の近代化にまつわる諸問題を、正負ともども一身に担って生き抜いた文学者であった。それは、例えば、功利と精神、個人と社会の関係をどうするのかという問題だけでなく、漢学と英学、日本と西欧、散文と韻文、物語と小説といった、対立するとともに密接に関連した二項目をどう擦り合わせ、いかに主体的な課題として据えるのかという難問とも格闘することを意味していた。その遺産は、今日の眼から見ても、いささかも古びていないどころか、ますますそのアクチュアリティを増しているとすら言っていい。
 本セミナーでは、まず、漱石自身の手になる論説文―主として、文明批評と文芸論に関するもの―や日記および書簡等を手掛かりに、問題意識の構図を概観したあと、主として、『門』以降の後期の作品群をなるべく多角的な観点からしっかりと読解するよう試みる。その上で、もし時間的余裕があるようなら、さらに『夢十夜』や『漾虚集』といった特異な短編群ならびに『文学論』についても、検討してみたいと考えている。
 なお、教室では、それぞれ個別の主題ないし作品につき、各受講者に簡単なレポートを課し、全員の共同討議を中心にすすめる予定なので、主体的に参加する用意のある学生諸君の積極的な受講を期待する。その際、必ずしも特段の予備知識は必要としないが、できれば、漱石作品の二、三点については、予め一読しておくことが望ましい。
 ◇テクストならびに参考文献:
   とりあえずは入手しやすい文庫本を挙げるにとどめるが、これ以外のものについては、今後、
   必要に応じて教室で指示する。
   1. 『漱石文明論集』(岩波文庫)
   2. 『漱石文芸論集』(岩波文庫)
   3. 『漱石書簡集』(岩波文庫)
   4. 『漱石日記』(岩波文庫)
   5. 漱石『門』(新潮文庫)
   6. 漱石『彼岸過迄』(新潮文庫)
   7. 漱石『行人』(新潮文庫)
   8. 漱石『こころ』(新潮文庫)
   9.漱石『道草』(新潮文庫)
   10.漱石『明暗』(新潮文庫)
 ◇成績評価: 夏休みに課すレポートの内容ならびにセミナーにおける日常の参加などを加味して
     総合評価する予定である。

言語文化学方法論
 ◇講義題目: 夏目漱石の『吾輩は猫である』を読む
 ◇担当教員: 福田眞人 (月・4、総623)
 ◇オフィス・アワー: 月(13:00〜14:00)、火(10:30〜11:30)
 ◇授業内容:
 明治文化史研究の一環である。
 漱石の『吾輩は猫である』を精読する授業である。一字一句に拘(こだわ)りながら、明治文学の世界に遊ぶ。遊びながら、明治の時代を考察する。また、この作品をひねり出した漱石の経歴、思想にも触れる。経歴はさして面白くあるまい。(博士号を拒否したのも、東大をやめて朝日新聞に入社したのも)しかし、留学などは重要な意味を持っているだろう。しかも思想は一見平易に見えて、複雑怪奇であろう。その思想を解き明かす試みをする。 これは「文化理解能力」に関係する。
 福田がその手ほどきをするのだが、大概、興味に沿って思いのままに漱石の世界に遊ぶ。遊びながら文化を説く。文化、文化と言いながら、英語だの病気だのの解説に現(うつつ)を抜かす予定である。
 そもそもこの小説は、大学時代からの友人正岡子規が、結核に罹(かか)って、どうしようもなくなって始めた雑誌『ホトトギス』に寄稿したものである。それが滑稽だのなんだのということも大切だが、これが座談会のような場所で論じられ、評され、それから雑誌掲載となったのである。漱石の小説家としての出発であり、また彼の自宅で飼っていた何匹かの猫との生活の結晶でもあった。
 漱石にとって猫は一体なんだったのであるか、それも話し合われよう。猫と作家、文学と猫、などといういかがわしい派生的トピックも十分考慮されねばならない。
 猫の食料、猫の爪、猫の目、猫の睡眠、猫じゃらし、猫いらず、猫飯(ねこまんま)、世界の猫などという至って異端的、ファナティックなトピックも歓迎せざるを得まい。ここでいきなり文学論は、猫論に変転するのである。その身勝手さもまたよろしとせねばなるまい。ここに「文化解説能力」が必要となる。もちろん吾輩は猫ではない。
  1. 夏目漱石の生涯
  2. 漱石の文学活動としての俳句
  3. 漱石のロンドン留学
  4. 『吾輩は猫である』の形成
  5. 第1章、猫の出現
  6. 第2章、西洋知識の宝庫
  7. 第3章、登場人物のモデル
  8. 第4章、胃弱と鼻毛:胃薬
  9. 第5章、新登場の物
  10. 第6章、立身出世と大学
  11. 第7章、医学と病気
  12. 第8章、西洋絵画と東洋絵画
  13. 無名性と有名性
  14. 漱石の小説の発展過程
  15. 漱石の総括、猫の総括
 ◇教科書:『吾輩は猫である』新潮文庫
 ◇参考文献:
   『漱石全集』岩波書店
   『明治文化全集』新評論社
   『明治文学全集』筑摩書房
   福田眞人『結核の文化史』名古屋大学出版会
   福田眞人『結核という文化』中央公論社

 ◇成績評価: 発表(30%)と期末レポート(60%)、授業参加(10%)
 ◇注意事項: 比較文学的授業である。しかし、明治文化史の一環として行う授業である。それゆえ
   比較文化史的授業であるから、純・文学的テキスト・クリティークなどを極端に期待されても困る
   のである。もちろん読みに時間はかける。その文学的背景についても言及する予定である。しか
   し、文化を論じるのである。

言語文化交流論
 ◇講義題目: 「複数文化を生きた日本語作家を読む」
 ◇担当教員: 涌井 隆 (金・3、総623)
 ◇相談時間: 水(9:30〜10:30)、金(14:30〜15:15)それ以外はメールで予約してください。
 ◇授業内容:
 人類の歴史を通じて言語文化は交流によって広められ深化してきました。異文化交流を抜きにしては殆どの言語文化を語ることができません。最近はインターネットが本格化し交流の規模と速度は年々加速化され、文化交流の新しい段階を迎えていることは疑いを得ません。国連の調査によると全世界で一億を越える人々が移民として母語以外の言語を使用して生活しているという事実も明らかになっています。授業では、このような現時点から過去を振り返り、複数文化を生きた明治以降の日本語作家の作品を読みます。津田梅子、夏目漱石、森鴎外、永井荷風、内村鑑三、新渡戸稲造、南方熊楠、野口米次郎 (Isamu Noguchi) 、金子光晴、金史良、金 時鐘、石原吉郎、李良枝、村上春樹、山田詠美、アレックス・カー、リービ英雄、柳美里、多和田葉子などです。時間が許せば、異文化交流という観点から日本文化を考察する際に手助けになる理論や評論も読むことを計画しています。具体的には、小熊英二、イ・ヨンスク、坂口安吾、柄谷行人等々です。何を読むかについては最初の授業で指示しますが、作家によってはテキストの選択を受講生に任せたいと思います。テキストを決めて皆で同じものを読むのもいいかもしれませんが、各自が自分の興味に従って選んで内容を授業で紹介するという風にすれば、 沢山の情報を皆で共有できるという利点があります。受講者の数にもよりますが、毎回発表してもらって皆で意見交換をしたいと考えています。
 一人の作家に一回か二回の授業を当てます。その殆どが複数文化を経験し日本語で 表現した作家ですが、2006年からは日本に滞在した外国人も扱うことにしました。受講生はその作家が 書いた文章を短いものでもよいから読んできて授業中の討論の中で報告できるようにしてください。長い文章の一部分、あるいは日記の断片でもよい。予め読むテキストは指定しません(そうしない方がよいという希望が多かったので。)自分で 勝手に面白そうな情報を図書館などで拾って来て、皆に披露してください。一緒に読む作家の例。他に取り上げてほしい人があればどうぞ。
  江戸末期明治初期に欧米を視察した日本人達:
  例。中浜万次郎、咸臨丸、万延元年遣米使節団。
  福沢諭吉(『万延元年遣米使節団』(宮永孝))『米欧回覧実記』
  津田梅子 津田塾創設者。米国で大学教育を受けた最初の日本人女性の一人。
  夏目漱石 小説家。英国。講演。随筆。
  森鴎外 官僚。小説家。翻訳家。ドイツ。(『阿部一族』『鴎外最大の悲劇』(坂内正))
  (『単一民族神話の起源 』小熊英二 )
  永井荷風 小説家。『あめりか物語』。日記。米国。フランス。
  (日本語の著作はないが、日本に影響を与えた外国人:ジョルジュ・ビゴー(Georges Bigot) 小泉八雲(Lafcadio Herne) ブルーノ・ タウト(Bruno Taut) バーナード・リーチ(Bernard Leach) 等)
  岡倉天心 官僚 美術評論。『茶の本』。米国。中国。
  内村鑑三 キリスト教信者。新聞記者。米国。『余はいかにして基督信徒となりしか』
  新渡戸稲造 官僚。大学教授。文筆家。米国。『武士道』
  野口米次郎(Isamu Noguchi) 詩人。日本文学紹介者。
  南方熊楠 博物学者 民俗学者
  (『国語という思想』 イ・ヨンスク)
  (坂口安吾 『日本論』 小説家 )
  金子光晴 詩人。画家。自伝。 『詩人』
  金史良 朝鮮人。小説家。 講談社文芸文庫
  林芙美子 詩人。小説家。パリ旅行。 『下駄で歩いた巴里』
  金時鐘 在日朝鮮人。詩人。
  石原吉郎 詩人。 ロシアに抑留された。講談社文芸文庫
  アレックス・カー 美術収集家 『美しき日本の残像』
  村上春樹 小説家。『やがて哀しき外国語』
  山田詠美 小説家。アメリカ人と結婚。
  リービ英雄 小説家。翻訳家。日本在住。ユダヤ系アメリカ人。
  柳美里 小説家。劇作家。在日韓国人。
  多和田葉子 小説家 ドイツ在住 ドイツ語でも執筆
 ◇成績評価: 学期末のレポート、授業での口頭発表、授業での議論への参加具合を均等に考慮し
   総合点を出します。ただし、どれか一つが突出して優れているような場合は特別に配慮します。



日 本 語 教 育 学 講 座
「日本語教授法概論」教職課程
  多様な日本語教育現場において、多様な学習者を前に、適切な意志決定と問題解決ができるように
 なることを目指し、実践的基礎知識を身につけると共に、自らの日本語教育観を育てる。
  学習者の多様性、各種教授法とその理論的背景、コース・デザイン、四技能(読む、書く、聞く、話す)
 とその指導法、教室におけるインターアクションといったテーマを取り上げ、日本語の教育と学習につい
 て理解と考察を深めてゆく。授業は、講義、文献講読、討論により進める。

日本語教授法概論
 ◇講義題目: 日本語教育及び日本語教育研究の基礎
 ◇担当教員: 鷲見幸美 (金・3、総609)
 ◇オフィス・アワー: 火・金(15:00〜16:00)
 ◇授業内容:
<講義目的>
 日本語教育の現状とその理論的背景及び問題点を知り、日本語の教育と学習について理解と考察を深め、実践に生かすための基礎力を身に付ける。
<講義内容>
 1 教授者のビリーフス
 2 学習者の多様性とそれへの対処
 3 各種教授法とその理論的背景
 4 コースデザイン
 5 話すことの指導(授業実践の方法・背景理論・教材分析)
 6 書くことの指導(授業実践の方法・背景理論・教材分析)
 7 読むことの指導(授業実践の方法・背景理論・教材分析)
 ◇参考文献:
   岡崎敏雄・岡崎眸(1990)『日本語教育におけるコミュニカティブ・アプローチ』凡人社
   川口義一・横溝紳一郎(2005)『成長する教師のための日本語教育ガイドブック(上)』ひつじ書房
   川口義一・横溝紳一郎(2005)『成長する教師のための日本語教育ガイドブック(下)』ひつじ書房
   小池生夫(監修)・SLA研究会(編)(1994)『第二言語習得研究に基づく最新の英語教育』
    大修館書店
   小池生夫(編集主幹)・寺内正典(他編)(2004)『第二言語習得研究の現在 −これからの
    外国語教育への視点』大修館書店
   小柳かおる(2004)『日本語教師のための新しい言語習得概論』スリーエーネットワーク
   田崎清忠(編集責任者)(1995)『現代英語教授法総覧』大修館書店
   名柄迪・茅野直子・中西家栄子(1989)『外国語教育理論の史的発展と日本語教育』アルク
   西口光一(1995)『日本語教授法を理解する本 歴史と理論編』バベル・プレス
   日本語教育学会編(1991)『日本語教育機関におけるコース・デザイン』凡人社
   Richards J.C. and Rodgers T.S.(2001)Approaches and Methods in Language Teaching
    (second edition ).Cambridge University Press
 ◇成績評価:
   平常点(クラスディスカッションへの貢献度)、発表、学期末レポートにより総合的に評価する。

日本語教育学原論
 ◇講義題目: 日本語教育における文法
 ◇担当教員: 鷲見幸美 (水・3、総623)
 ◇オフィス・アワー: 火・金(15:00〜16:00)
 ◇授業内容:
<講義目的>
 1 日本語教師としての学習設計力・問題解決力・自己研鑽力を実践的に身に付ける。
 2 関連諸分野の研究、及び教授者それぞれの特徴を生かしながら、協働して教授
   する力を実践的に身に付ける。
<前期> 「文法指導:何を教えるか」
 1 『コミュニケーションのための日本語教育文法』・関連文献の講読
 2 日本語母語話者の日本語運用・日本語学習者の日本語運用の観察
 3 初級日本語教科書(文法解説書)の批判的検討
 4 初級文法シラバスの再検討:中級・上級を視野に入れた段階的文法シラバスの構築
<後期> 「文法指導:いかに教えるか」  5 日本語授業の見学
 6 学習活動の設計
 7 教師行動・教室内インターアクションについての文献講読・討議
 8 教案作成、及び、教壇模擬実習
 ◇教科書:
   野田尚史編(2005)『コミュニケーションのための日本語教育文法』くろしお出版
   名古屋大学日本語教育研究グループ編(2002)『A Course in Modern Japanese −revised
   edition−』 Vol. I & II, 名古屋大学出版会
 ◇参考図書:(「日本語教授法概論」参考図書を併せて参照のこと)
   野田尚史編(2005)『コミュニケーションのための日本語教育文法』くろしお出版
   迫田久美子(2004)『日本語教育に生かす第二言語習得研究』アルク
   ショードロン,クレイグ(2002)『第2言語クラスルーム研究』田中春美・吉岡薫(共訳),リーベル出版
   野田尚史・迫田久美子・渋谷勝己・小林典子(2001)『日本語学習者の文法習得』大修館書店
   村岡英裕(1999)『日本語教師の方法論』凡人社
   横溝紳一郎(2000)『日本語教師のためのアクション・リサーチ』凡人社
 ◇成績評価:
   平常点(グループワーク・クラスディスカッションへの貢献度)、及び各種課題、学期末レポートに
   より評価する。
 ◇注意事項:
   ・授業内外における課題への主体的取り組み、受講生間の活発な交流を望みます。授業時間外
    にも受講生間の共同作業が必要になります。
   ・来年度日本語教育実習参加を希望している人は、必ず履修してください。実習参加は、「日本語
    教育学原論」の単位を修得していることが必須条件となります。

日本語教授法及び実習
 ◇講義題目: 日本語教育実習
 ◇担当教員: 鷲見幸美 (火・5、総623)
 ◇オフィス・アワー: 火・金(15:00〜16:00)
 ◇授業内容:
<講義目的>
 1 2回の教育実習を通して、高度な日本語教授能力を身に付ける。
 2 自らの授業を客観的に分析し、それを基に自らの教授能力を高める力を身に付ける。
<講義内容>
 1 春季実習(2月)をもとに;
   1) 春休みに行った春季実習を様々な角度から検討し、各自が自分の長所、短所
      を探り、授業改善のための課題を考える。
   2) 春季実習に現れた一般的な問題を取り上げ、対応策を検討する。
 2 夏季実習(8月)にむけて;
   3) これまでの実習報告を検討し、本年度実習の参考とする。
   4) 各自、実習に向けてニーズ分析を行い、コース・デザインに取り組み、教材を
      選定あるいは開発し、教案を作成する。同じ所で実習に臨む者はグループで作業にあたる。
 3 実習の場における研究テーマ、研究方法を考える。
 4 教壇実習を行う。
 5 実習報告書を作成する。
<準備課題>
 1 授業開始までに、春季実習においてビデオ録画した自分の授業を文字化しておい
   てください。
 2 本専攻のホーページから過去2年間の教育実習報告を印刷し、各自目を通した上、
   授業に持参してください。
 ◇参考文献:
   岡崎敏雄・岡崎眸(1990)『日本語教育におけるコミュニカティブ・アプローチ』凡人社.
   名古屋大学大学院国際言語文化研究科日本言語文化専攻(1998-2003)『日本語教育実習報告』
   (WWW公開)
   名古屋大学日本語教育研究グループ編(2002)『A Course in Modern Japanese −revised
   edition−』Volume One & Two, 名古屋大学出版会
   日本語教育学会編(1991)『日本語教育機関におけるコース・デザイン』凡人社
   日本語教育学会編(1995)『タスク日本語教育』凡人社.
   村岡英裕(1999)『日本語教師の方法論』凡人社
   横溝紳一郎(2000)『日本語教師のためのアクション・リサーチ』凡人社
    その他の参考文献、日本語教材等は随時紹介する。
 ◇成績評価:
   授業中の討論への参加、2回の実習への取り組み、課題、研究レポート基づき、総合的に
   評価する。
 ◇履修条件:
   「日本語教育学原論」の単位を修得し、春休みに行われた実習に参加した者を対象とします。

対照表現論演習 I
 ◇講義題目: 対照言語学と言語教授法
 ◇担当教員: 小坂光一 (火・3、A会議室)
 ◇オフィス・アワー: 月・金(14:00〜15:00)またはメールで相談
 ◇授業内容:
<講義目的>
 1 言語教育への応用を目的とした言語研究の方法を学ぶこと
 2 非母語でのコミュニケーションの涵養を目的とした言語教授法のあり方を学ぶこと
<前期>
 動詞句や名詞句による表現をめぐる諸問題を言語学的、言語教育学的に考察する。
具体的には
  1)日本語の時称、アスペクト/動作様態、モダリティ
  2)「否定」、「条件」などにまつわる諸問題
  3)Thema-Rhema 構造(主題化)をめぐる諸問題
  4)事象の成立・存在、状態の発生・存在と命題の存在
などの中から、日本語に関するいくつかの具体的な問題点を選び、それをヨーロッパの言語(英語、ドイツ語、フランス語、オランダ語、ロシア語など)やアジアの言語(朝鮮・韓国語、中国語、アイヌ語など)と比較して考察を加えながら日本語の誤用分析を行い、言語干渉にまつわる問題を理論的に整理する方法をさぐる。参加者が必ずしも多くの言語を知っている必要はないが(しかし、最低日本語とその他の1ヶ国語ができることが必要)、参加者の母語や学習した言語が多様であればそれだけ対照の範囲が広がり、面白いものとなろう。
 ときどき、口頭によるレポートをしていただく。前期はどちらかと言えば理論的な内容を取り扱うので、少々頭を使う。既成の概念に基づく考察ではなく、言語学における新しい発想の展開を歓迎するとともに、それを高く評価する。言語教育への応用を念頭においた考察を期待する。
 ○タイム・スケジュール
  1)4月:時称、アスペクト、モダリティを扱う際の術語の概念の解説。時称の選択に
       関する理論的考察
  2)5月:動作・現象・状態の成立・存在とアスペクト的要素の関連
  3)6月:成立・存在表現と条件文の関連。受講者側の口頭レポート
  4)7月:述語否定・命題否定と条件文の関連。場所表現にまつわる問題点。誤用分
       析とその応用
<後期>
 TPR(全身反応教授法)や CLL(コミュニティ言語学習法)といった、一風変わった教授法の実習(実験)を行なう。参加者にとって未知の言語(トルコ語の予定)を到達言語として選んで体験学習をし、半年でどれくらい覚えられるかの実験をする。ただし、この場合の「どれくらい覚えられるか」というのは、「予習や復習をして、さんざん苦労してどれだけ覚えられるか」ということではなく、「何も苦労しないで、放っておいてどれくらい学習効果をあげられるか」という意味である。 後期はどちらかと言えば行動的な授業であり、少々体力を使う。頭を使うかどうかはその人次第。効果的教授法のための新しい発想の展開を期待するとともに、それを高く評価する。

 ○タイム・スケジュール
  1)10月3日〜11月28日:前半と後半に分かれてTPRの実習
  2)12月12日〜1月23日:前半と後半に分かれてCLLの実習
  3)1月30日:TPR と CLL に関する受講者の口頭レポート
<準備学習などの具体的指示>
 1)前期はそれぞれの学生に適した課題を課する。当該学生は授業において口頭発表
   すること。
 2)後期は実習形式の授業なので、TAとともに実習の準備と実習の後片づけをすること
 ◇成績評価:
   1)前期授業での口頭発表
   2)動詞句の性質にまつわる問題点と解決策について論じたレポートを提出する(5000字程度)
   3)1月30日の授業における討論に参加して教授法に関する口頭レポートをする
   1)は該当者のみ。2)と3)はいずれかを選択すること
 ◇注意事項:
   1.演習・実習形式の授業なので、毎回出席できることが参加及び単位取得の条件となる。
   2.参考文献は必要に応じて授業中に指示する。教材としては主にプリントを使用する。
   3.教室:前期はA会議室(国際言語文化研究科棟1階、研究科長室右隣。受講者数により変更
     があり得る)、後期は主として国際言語文化研究科棟4階のスタジオを使用する(10月前半
     と12月中旬以降はA 会議室を使用)。
   4.http://www.lang.nagoya-u.ac.jp/~kosakak/graduate.htmlにも類似した内容説明及び実習
     風景の写真あり。

対照表現論演習 II
 ◇講義題目: 日本語教育文法を考える
 ◇担当教員: 杉村 泰 (金・4、演習室1階)
 ◇オフィス・アワー: 木・金(8:30〜10:30)またはメールで相談
 ◇授業内容:
<講義目的>
 この授業では日本語教育で問題となる文法項目を取り上げ、教育的観点から効果的に教える方法について考える。演習形式で行うので学生の積極的な討論を期待する。最初の数回は教師が実践例を示し、受講生に様々な作業をしてもらう。その後は毎回一人ずつ担当者を決め、特定の文法形式について、日本語教育に役立つ新しい文法説明を考えていく。
<発表の際の注意>
 発表の際には必ず実例に当たること。ただし、例文を無造作にインターネットで探すのは禁止する。日頃から小説などを読んで例文を集めておくように。
<講義内容>
  1. コーパスによるコロケーション分析
  2. コーパス調査とアンケート調査の違い
  3. インターネット検索エンジンの利点と注意点
  4. 日本語多義動詞の分析(「返す」と「戻す」)
  5. 他動詞「しめる」の分析
  6. アスペクト関数としてのcutと「切る」
  7. 中国語の自他動詞
  8. 「たて」構文
  9. 受講生の興味に応じて文法分析をする
  10. 日本語教育のための日本語教育文法について考える
 ◇教科書: 影山太郎(編)『レキシコンフォーラム No.1』(ひつじ書房)
 ◇参考文献:
     池上嘉彦『〈英文法〉を考える』(ちくま学芸文庫)
     清水義範『日本語必笑講座』(講談社文庫)
     清水義範『日本語の乱れ』(集英社文庫)
     土屋賢二『われ笑う、ゆえにわれあり』(文春文庫)
     米原万里『不実な美女か 貞淑な醜女か』(新潮社文庫)
 ◇成績評価: 授業での発表、討論参加、宿題、レポートを基に総合的に評価する。

第2言語習得研究概論
 ◇講義題目: 第二言語としての日本語習得・学習 −多角視点からの考察−
 ◇担当教員: 池田佳子 (水・2、演習室2階)
 ◇オフィス・アワー: 木・金(10:30〜11:30)またはメールで相談
 ◇授業内容:
 前期に引き続き、SLA研究主分野をカバーしながら、日本語を第二言語とする学習者の習得について考察して行きたいと思います。心理学的視点・認知的視点から捕らえたSLA理論に加え、社会的視点から見た第二言語習得・学習の研究にも時間を十分に割いて後期を終えたいと思います。最終的に@SLAという多様性あふれる分野の展望が見え、A日本語教育に携わっていく受講者の皆さんが学習者をより理解する手段としてSLAを援用してくださることを期待します。多角視点からSLAを考えることで、自分の興味をそそるテーマが見つかり、さらにもっと文献を読み、自らの研究・実践教育への意欲と行動開始の「きっかけ作り」になればとてもうれしく思います。もちろん、既に研究を行っている方にもできる限り講義内外でサポートします。
<講義内容>
  普遍文法・認知的視点から見たSLA
  1 日本語の教室内第二言語習得I (Instruction / Focus on Form)
  2 日本語の教室内第二言語習得II (Feedback/ Recasts)
  3 Input, Output, and Interactional Hypothesis
  4 習得環境とSLA (バイリンガリズム)
  5 社会言語学視点から見たSLA(sociolinguistics and SLA)
  6 第二言語語用論的能力の習得 I (L2 Pragmatics Development)
  7 第二言語語用論的能力の習得II (Interactional Competence)
  8 Language Socializationから見たSLA
  9 教室内学習研究 発話分析の援用 (Conversation Analysis)
  10 社会文化理論から見たSLA (Sociocultural Theory and SLA)
  11 留学環境における言語習得・学習
 ◇使用文献: 各講義で指示します。
 ◇注意事項:
  (1) SLAの文献は、週一回の講義ペースではとうてい把握仕切れないほど豊富です。興味があ
    る分野やテーマについて、自主的にデータベースを探索したり、教員のアドバイスを受ける
    なりして、自分で文献を読み進めるスキルと習慣を身に付けましょう。
  (2) 講義では、受講者の積極的な参加を期待します。教師は潤滑油の役割(facilitator)で
    あって、主役は学生の皆さんだと思っています。皆さんから、そしてこちらから、学びあえ
    る場を(相互)構築して行きましょう。
 ◇成績評価: 前期に引き続き、授業[ディスカッション]への貢献度・口頭発表(レジュメ)・レポート。必要によりディスカッションのトピックを作成し、お互いにメールリストなどを利用して(次回の授業の為に)配布しておく、というようなこともします。

辞書論演習
 ◇講義題目: レキシコンと文法
 ◇担当教員: 外池俊幸 (月・2、演習室2階)
 ◇オフィス・アワー: 月(13:00〜15:00)
 ◇授業内容:
 「レキシコンと文法」という題になっていますが、平成17年度に引き続いて、もう少し広い観点から、ヒトの特性を考えることにします。脳・ヒトの特性としての言語、知覚・意識・注意・認識の偏り・錯視、言語の起源、知識表現などの問題を取り上げ、言語を中心にしながらも、ヒトの特性の様々な側面と、それがどう関係しているかを考えます。
<講義内容>
  1. 認知
  2. 知覚
  3. 記憶
  4. 生成文法
  5. 文法性と容認可能性
  6. 辞書と他のモジュールとの関係
  7. 辞書記述の具体的な問題点の検討
  8. 言語の起原と進化
 ◇教科書: 特定の教科書は使いません。
 ◇参考文献: 授業で随時紹介しますが、次の2册は、なるべく早めに各自読んで下さい。
   岡ノ谷一夫「小鳥の歌からヒトの言葉へ」岩波 科学ライブラリー92
   下條 信輔「<意識>とは何だろうか」講談社現代新書
 ◇成績評価: 出席重視、授業での参加の度合い、レポート。
 ◇注意事項: 特になし

日本語教育学特殊研究 (集中講義、7月31日(月)〜8月2日(水)の3日間)
 ◇担当教員: 玉岡賀津雄 (広島大学留学生センター教授) ktamaoka@hiroshima-u.ac.jp
 ◇教室: 日言文大院生室 (コンピューター室)
 ◇授業内容:
 最近は,統計解析用のソフトが手軽に使えるようになりました.ところが,どのような方法で,どのくらいの数のデータを集めればよいのか,データをどう分析したらよいのか,分析で得られた数値をどう読めばよいのか,分析結果をどのように図表にまとめればよいのか,結果はどう日本語で報告するのか,そして,分析結果を基にしてどのような議論を展開すればよいのかなど,分からないことが多いのではないでしょうか.そこで,今回の集中講義では,日本語の研究や教育のデータを分析し,論文として仕上げるための基本的な統計解析法を紹介します.具体的には,カイ二乗分布を利用した独立性および母比率の検定,独立したサンプルおよび対応のあるサンプルのt検定,いろいろな分散分析について説明します.統計解析ソフトとしては,SPSS社が開発したBase System(基本統計ソフト)を使用します.また,日本語研究では,具体的な語彙や表現を記述したり,日本語学習者の特性を全体的に把握したりすることが大切です.そこで,各種検定の結果やクラスター分析による分類を,Excelのグラフィック機能でプロッテリングして,図として綺麗に描く方法も紹介します.また,時間が許せば,コーパス研究のための分析法や数学的な指標についても紹介します.
 【具体的な講義内容】
 1. 未知の和製英語の理解に対する英語母語話者の日本語学習経験の影響
 −カイ二乗を使った母比率の検定とプロッティングによる結果の図解
 2. 中国語とトルコ語を母語とする日本語学習者の漢字の書き取りの比較研究
 −刺激および被験者選択の手法と独立したサンプルのt検定
 3. 中国語を母語とする日本語学習者の正順とかき混ぜ語順の能動文と可能文の
  理解
 −対応のあるサンプルのt検定とクラスター分析による日本語学習者の分類
 4. 短縮語の理解についての性差および世代差の影響
 −分散分析とクラスター分析による語彙の分類
 5. 日本語と韓国語における否定表現が尊敬度に与える影響
 −調査法を使った実験検証的なアプローチと分散分析および多重比較
 6. 中国語を母語とする日本語学習者の正順・かき混ぜ文の理解におよぼす日本語
  能力の影響
 −日本語能力別の被験者選択法と反復測定による分散分析
 7. 韓国語を母語とする日本語学習者の敬語表現の多様性
 −エントロピーと冗長度の数学的指標による表現の多様性の簡素化
 8. 新聞および小説のコーパスにおける味覚形容詞の基本義と別義の使用
 −ノンパラメトリックデータの決定木による総括的分析
 ◇講義方法: SPSSの統計ソフトを実際に使い,具体的なコマンドの使い方を説明しながら授業を
 すすめていきます.
 ◇成績評価: 集中講義の最後に4者択一のテストをして,評価します.
 ◇教科書・参考文献:集中講義の初めに,書籍を紹介します.これを当日買っていただくことに
 なります.また,各種の論文は,玉岡のホームページにPDFファイルがありますので,それを各自で
 ダウンロードして下さい.http://home.hiroshima-u.ac.jp/ktamaoka/



応 用 言 語 学 講 座
応用言語学概論
 ◇講義題目: 応用言語学的研究の方法
 ◇担当教員: 近藤健二 (水・1、南演習室)
 ◇オフィス・アワー: 随時(授業・会議の時間は除く)
 ◇授業内容:
<講義目的>
 受講者が取りあげる各種の言語研究を批判し合うことによって、言語を多角的に見る眼、いわば応用言語学的能力の養成をはかる。取りあげる研究は、受講者が自分の関心に応じて読みたいと考える論文であってもよいし、受講者自身が執筆した論文、あるいは構想している研究であってもかまわない。
<講義内容>
  授業では下記の事柄について論じる。
  1. 研究テーマの設定に問題はないか。
  2. 先行研究の検証はなされているか。
  3. 提示された仮説に問題はないか。
  4. 調査の方法に問題はないか。
  5. 調査された内容に問題はないか。
  6. 導き出された結論に問題はないか。
  7. 論文の構成に問題はないか。
  8. 文章表現に問題はないか。
 ◇成績評価: 授業に対する取り組みが熱心であったかどうか、またレポーターとしての役割を十分に果たしたかどうか、を基準にして評価する。

言語習得論
 ◇講義題目: データーの統計学的処理方法について
 ◇担当教員: 井上 公 (月・4、総609)
 ◇相談時間: 事前にメールで相談内容と都合のいい日時を連絡してください。相談 事項にかかわる資料、データーがあればメールで送ってください。
 ◇授業内容:
 言語に関する仮説検証の為に収集されたデーターを解析するために一般的に採いる統計処理方法について概説する。
 統計ソフトSPSSの使用方法についても解説する。

 ◇授業項目:
  1. Chi-square test
  2. Correlation coefficient
  3. Linear regression
  4. Analysis of variance
  5. Multivariate analysis of variance
  6. Cluster analysis
  7. Discriminant analysis
  8. Principal components analysis
  9. Factor analysis

 ◇教科書:
     Woods, A., P. Fletcher, and A. Hughes (1986) Statistics in Language Studies,
     Cambridge: Cambridge University Press.
 ◇注意事項: 統計学の予備的知識を前提としない形式で授業を進める。
 ◇成績評価: Exerciesに対するレポート形式の解答を評価の対象とする。

対照言語学
 ◇講義題目: 文法化理論を援用した多義性分析
 ◇担当教員: 奥田智樹 (金・1、総623)
 ◇オフィス・アワー: 月・火(14:00〜16:00)
 ◇授業内容:
<講義目的>
 ・言語の対照研究は多岐にわたるため、必ずしも言語同士の直接的な「対照」にこだわ
  らず、複数の言語を共通に取り扱うための理論的な枠組みを提供する。
 ・受講者の皆さんが実際の研究に使うか使わないかは別として、言語について深く考え
  るための納得できる確固とした一つの視座を与える。
<講義内容>
 対照言語学的見地から言語を考える際の一つの枠組みとして、いわゆる文法化理論を取り上げ、この理論を援用した多義性分析について議論する。例えば英語の be や have が本来の繋辞や所有の意味の他に、受身や完了の助動詞としても用いられること、 must が義務と推定の意味を併せ持つこと、 see が「見る」と「理解する」の意味を併せ持つことなどは、他の多くの言語にもそれと並行する事実が認められる現象である。文法化理論では、こうした様々な言語に見られる普遍的な特徴を、主に歴史的な観点に基づいて、出来る限り統一的に取り扱うことを目指す。授業では、前期には、まず文法化理論とは何かを受講者の皆さんに知っていただき、日本語を中心とする文法化関連のいくつかの研究例を例にとって、この理論の特質について検討する。その上で、後期には、「こと」、「もの」、「ところ」などの日本語の形式名詞を題材として、語彙と文法の境界、あるいは意味論と統語論の境界について文法化の視点から考えたいと思う。なお、隣接領域である認知言語学的な研究の手法にも、随時触れる予定である。
  1. 文法化とは
  2. 文法化に関するホッパーの5つの仮説
  3. 主観化
  4. 研究例1 日本語における動詞から後置詞への文法化
  5. 研究例2 「だって」について
  6. 研究例3 「しまう」について
  7. 研究例4 文法化における方向性について
  8. 研究例5 複文における名詞節について
  9. 形式名詞「もの」について
  10. 形式名詞「こと」について
  11. 形式名詞「ところ」について
  12. 形式名詞「わけ」について
  13. 形式名詞「点」について
 ◇教科書: 特に使用しない
 ◇参考文献: ここでは日本語で読めるもののだけを掲げる。詳しくは授業中に指示する。
   P.J. ホッパー,E.C. トラウゴット(2003) 『文法化』 日野資成訳 九州大学出版会.
   『月刊言語』 2004年4月号,第33巻第4号,特集:文法化とはなにか.
   『日本語の研究』 第1巻3号 (通巻222号),2005年7月,テーマ特集:日本語における
   文法化・機能語化.
   秋元実治他(2004) 『コーパスに基づく言語研究 文法化を中心に』 ひつじ書房.
 ◇成績評価: 夏休みに課すレポート(60%)と前期、後期1回ずつの発表(30%)、および発言を含め
    た授業への貢献度(10%)を総合して評価する。


 


比 較 日 本 文 化 学 講 座
比較文化学原論
 ◇講義題目: 明治期の「日本」論
 ◇担当教員: 前野みち子 (火・6、共同研究室C(旧ドイツ語図書室))
 ◇オフィス・アワー: 月(12:30〜13:30)、金(12:00〜13:00)
 ◇授業内容:
   幕末から明治期における知識人の「日本論」「日本人論」あるいは「日本」に関する言説を読み、彼らの日本像・日本観を探る。
 明治期に活躍した知識人のほとんどは広義の洋学者であり、その言説は直接的に政治を動かしたわけではなくても、明治政府の舵取りに様々な形で影響力をもった。
 江戸時代の人びとにとって、それがどの階層に属しているにせよ、「日本人」という自己意識は希薄であった。鎖国が他国の存在を見えにくくし、それによって「日本」という国の輪郭もぼんやりとしたものになってしまったからである。この意味で、近代の「日本人」は、ペリーの黒船来航後の「外発的開化」(夏目漱石『現代日本の開化』)によって「日本人」になった。さらに、明治期の洋学者の多くが漢学および儒学の素養を身につけており、それぞれの個人の内面で、この二つの異文化が干渉し合い、葛藤を引き起こしながら、自身の「日本」「日本人」観が形成されていった。
 したがって、洋学者が日本について語る際の概念用語には、欧米の思想を漢語に翻訳する過程で必然的に、一度は捨て去った(あるいは乗り越えた)はずの漢学的素養がかなり大きく露呈している。福澤のように呪逆を敵視し洋学の有用性を説き続けた人間にとって、あるいは兆民のように洋学を介して東洋的伝統へと回帰する姿勢を示した人間にとって、彼らの「日本」は、どのように洋文脈・漢文脈とかかわり、どのように独自の輪郭をもつ像を結んでいたのだろうか。
 今年度はこのような視座から、さまざまのジャンルの明治期知識人が残したテキストを読み、この時代において「日本」および「日本人」とは何だったのかという問題について考えたい。また、彼らの公的言説と、当時急速に発達したジャーナリズムにおける「開国日本」のイメージとの関係、同時代の「日本論」「日本人論」の趨勢についても、テキストを読みながら一緒に分析を試みたい。
 最初の二回は概論的講義を行い、第三回からゼミ形式を取り入れながら進める。
 ◇テキスト: 参加者が関心をもつテキストを採用する。
 ◇参考文献: 採り上げるテキストに応じてそのつど指示する。
 ◇成績評価: 前・後期一回ずつの発表と年度末のレポート。
 ◇注意事項: 発表者は発表の二週間以上前にテキストを決定し報告すること。また、参加者全員が読むテキストも、授業の経過のなかで指示する。発表者に対する質問や発表内容に関する意見など、積極的に発言することが望まれる。

比較芸術論
 ◇講義題目: ベルトルト・ブレヒトの教育劇と能
 ◇担当教員: 大庭正春 (火・4、総623)
 ◇オフィス・アワー: 火(13:00〜14:00)
 ◇授業内容:
 ヨーロッパの近代演劇史の延長上にありながらその流れからの脱却を試み、新しい演劇の方向を示したドイツの劇作家ベルトルト・ブレヒト (1898年―1956年) と彼の戯曲制作、特に「教育劇」に多大な影響を与えた日本の古典演劇の中の一つ、能との接点をもとに、両者の異なった文化的背景を考察しながら異文化理解の観点から比較研究の場を提供したい。具体的には、ヨーロッパにおける演劇論の変遷、またその中におけるベルトルト・ブレヒトの演劇の位置付け、さらには日本の能に代表される禅の美学及び世阿弥の能芸論を学び、それらの類似点または相違点等を考えていく。また「受容」の観点から、なぜブレヒトが日本の古典演劇に関心を寄せ、能の戯曲『谷行』の改作(『イエスマン・ノーマン』)を行ったかなどを、他の幾つかの謡曲(『鉢の木』、『景清』、『竹の雪』など日本の封建社会のイデオロギーを顕著に表す作品)の解釈を踏まえ、ブレヒトの創作活動の「資本主義社会のイデオロギーの破壊」などの文脈の中で考える。またその両者の接点となったアーサー・ウェイリー (1889年―1966年) の『日本謡曲集』が、ブレヒトの能の受容に果たした役割及びその問題点などについて、特に翻訳の視点から考察する。授業では時折、能を紹介したビデオを見たり、『谷行』のビデオを鑑賞したりして、能に対する知識を深め、日本文化の理解へと結び付け、将来日本文化の一端を紹介出来る能力を養成したい。また授業の後半では各受講生に世阿弥の能芸論に関するレポートを書いてもらい、発表の機会を与え、自分の考えを整理し、的確に伝達できるような能力も身に付けてもらいたい。そのためには講義中も、各受講生が積極的に質問し、また自分の意見が述べられるような環境を作り、楽しく学んで行きたい。最後に、ブレヒト以外に日本の古典演劇、特に歌舞伎に興味を持ったマックス・ダウテンダイ (1867年―1914年) と歌舞伎との関連にも言及したい。 以上の内容を各学期で以下のようなキーワードのもとで授業を進めていく。
 <前期>
    1)先行研究の問題点の分析
    2)能・狂言の歴史と作者
    3)能・狂言の種類
    4)能の芸論
    5)能を紹介したビデオの鑑賞
    6)教育劇と能の演出上の類似点と相違点
    7)謡曲(『鉢の木』、『景清』、『竹の雪』、『谷行』の解釈
    8)ブレヒトの『イエスマン・ノーマン』の解釈と『谷行』との比較等。
 <後期>
    1)ウェイリーの翻訳の問題点
    2)『イエスマン・ノーマン』の教育的メインテーマ
    3)日本の封建社会におけるイデオロギー(倫理及び宗教)と資本主義社会の
      イデオロギーとの比較及び批判
    4)1930年代のドイツ社会における保守主義の台頭(ドキュメンタリー映画の鑑賞)
    5)教育劇と能の主題の相違点
    6)世阿弥の美学(花の理論)と演出上の技法(「序破急」、「陰陽道」等)
    7)ダウテンダイと歌舞伎等。 
 ◇教科書: 特になし。
 ◇参考文献:
   伊地知鐵男・表章・栗山理一校注・訳者「連歌論集・能楽論集・俳論集]
    (『日本古典文学全集 51』)小学館、1989年
   小林保治・森田拾史郎編者「能・狂言図典」小学館、1999年
   千田是也・岩淵達治「【改訳版】ブレヒト教育劇集」未来社、1988年
   Arthur Waley: “The NO-Plays of Japan”, 1990.
 ◇成績評価: 授業への出席、積極的な参加(80%)及びレポート発表(20%)との総合的な評価。

比較文学論
 ◇講義題目: 神隠しから考える比較文学
 ◇担当教員: 渡辺美樹 (金・4、総623)
 ◇授業内容:
 この授業では、「神隠し」を主題とした日本と英米の文学作品を取り上げ、文学におけるこのテーマでの意味を考える。最初に神隠しとは何かについて民俗学の視点から考え、その上で次のような文学作品に目を通していく。泉鏡花『竜潭譚』『高野聖』、宮沢賢治『風の又三郎』『狼森と笊森、盗森』、大江健三郎『同時代ゲーム』『M/Tと森の不思議』、藤沢周平『神隠し』、京極夏彦「小豆洗い」『巷説百物語』、「山男」『後巷説百物語』宮部みゆき『天狗風』、小野不由美『魔性の子』、桐野夏生『柔らかな頬』等である。文学作日は孤立して存在するものではなく、文学的伝統の中で作り上げられていく。そこで、ギリシャ神話やケルト神話に見られるthe other worldをテーマとする物語類をも神隠しとの関連で論じる。取り上げる主な作品は、ホメロスの『オデュッセイア』、アプレイウスの『エロスとプシケー』、Lewis CarrollのAlice in Wonderland、J.M.BarrieのPeter Pan、 C. S. LewisのChronicles of Narnia、 William GoldingのLord of Flies、 Paula FoxのHow Many Miles to Babylon?やThe Slave Dancerである。ただし受講者の人数等によって講義内容や講義方法を変える可能性もある。
 以下のような流れで授業を行う予定である。
 1.導入
 2.神隠しの民俗学的考察
 3.泉鏡花
 4.宮沢賢治
 5.大江健三郎
 6.現代の時代小説作家:藤沢周平、平岩弓枝、京極夏彦
 7.小野不由美、宮部みゆき
 8.桐野夏生、スー・グラフトン
 9.ホメロス
 10.アプレイウス
 11. Lewis Carroll
 12. J.M.Barrie
 13. C. S. Lewis
 14. William Golding
 15. Paula Fox
 16.まとめ
 ◇教科書: なし
 ◇参考文献: 授業中に指示する
 ◇成績評価: 2回のレポートと口頭発表

比較社会制度論
 ◇講義題目: 日本古代の婚姻、家族と外来文化
 ◇担当教員: 胡潔 (木・4、総611)
 ◇相談時間: 火(13:00〜14:00)、木(16:30〜17:30)
 ◇授業内容:
 古代日本文化の基層をなす婚姻・家族の輪郭を明らかにするのが本講義の目標である。日本古代の婚姻、家族と外来の婚姻制度の関わりを知る手掛の一つに八世紀前半に制定された『養老令』がある。養老令は中国の唐令の継受法であり、婚姻、家族に関して唐令より多くの内容を取り入れている。本講義では外来文化の受容の視点から、日本律令はどのように外来文化を受容し、どのように社会に対応していったのかを解明していく。具体的には、養老令の注釈書を集大成した『令集解』の婚姻、家族、親族に関する部分を講読し、日本令と唐令との比較をしながら、古代日本における外来の婚姻制度の導入と解釈のあり方、制度と実態などの諸問題を考える。今年度は儀制令の五等親条と喪葬令の服紀条を中心に読んでいく予定である。
 なお『令集解』の諸注釈は当時の明法家特有の漢文で書かれており、また数多くの中国の史料が引用されているので、やや難解であるが、古代日本社会を知る上で不可欠の史料である。正確な読解を通じて、古代日本文化の研究を目指す者にとって必要な漢文史料の読解力が養われるとともに、日本文化と中国文化の関わり、日本文化の特質に対する理解も深められるだろう。
 一 導入
 二 古代日本の婚姻・家族
 三 古代中国の婚姻・家族と律令
 四 古代日本の律令制度の導入と家族制度の構築
 五 令集解について
 六 中国の五服制度について
 七 養老令儀制令五等親条について
 八 養老令喪葬令服紀条について
 九 纏め
 ◇教科書: プリント配布
 ◇参考文献: 講義中に適宜指示する。
 ◇成績評価: 平常点、口頭発表、レポート
 ◇注意事項: 参加者には事前に一部分づつ担当を割り振るので、養老令本文の正確な理解と諸注釈の法解釈とを調べて報告し、その上で全体討論形式で講義を進めていく。積極的な参加を期待する。

日韓比較文化論
 ◇講義題目: 在日朝鮮人文学を読む
 ◇担当教員: 浮葉正親 (金・5、総623)
 ◇相談時間: 月(13:00〜15:00)
 ◇授業内容:
 植民地時代から現在までの在日朝鮮人(朝鮮半島にルーツを持つ人々の総称)作家の作品を読みながら、日本と朝鮮半島のはざまで独自の文化を築いてきた彼らの存在について理解を深める。今年は女性作家の作品を多く読んでいく。具体的には、金フナ『在日朝鮮人女性文学論』作品社を参考にして、宗秋月、李正子、李良枝、深沢夏衣、金真須美、柳美里の作品を読み進めていく。
 在日朝鮮人文学の世界で女性作家が活躍するようになるのは1970年代以降である。そのころ、在日朝鮮人社会では祖国への帰属意識が弱まり、朝鮮人でありながら日本に住み続けること、すなわち「在日」であることの意味が問い直されていた。それまでの男性作家の多くが祖国・民族・歴史・政治という大きな物語を背景にしてきたのとは異なり、女性作家たちは家族・私・性という小さな物語から出発している。儒教的な男性優位の発想が色濃く残っていた在日朝鮮人社会で、女性たちはどのような声を上げ始めたのだろうか。そして、女性作家たちの表現はその後どのような変化を遂げていくのだろうか。
 個々の作品を丹念に読みながら、作家のメッセージとその社会・文化的な背景を読み取っていくのがこの授業の目的である。そのために、映画やドキュメンタリー番組等の映像資料を必要に応じて用いることにする。
  1.オリエンテーション
  2.在日朝鮮人文学のなかの女性作家たち(教科書序章)
  3.宗秋月:年譜と主な作品(教科書第1章第1節)
  4.宗秋月『猪飼野タリョン』を読む
  5.金時鐘『猪飼野詩集』を読む(宗秋月との比較)
  6.李正子:年譜と主な作品(教科書第1章第2節)
  7.李正子『鳳仙花のうた』を読む
  8.李良枝:年譜と主な作品(教科書第2章第1節)
  9.李良枝『ナビ・タリョン』を読む
  10.深沢夏衣:年譜と主な作品(教科書第2章第2節)
  11.深沢夏衣『夜の子供』を読む
  12.金真須美:年譜と主な作品(教科書第3章第1節)
  13.金真須美『メソッド』を読む
  14.柳美里:年譜と主な作品(教科書第3章第2節)
  15.柳美里『石に泳ぐ魚』を読む
 ◇教科書: 金フナ『在日朝鮮人女性文学論』作品社
 ◇参考文献:
   川村湊『生まれたらそこがふるさと』平凡社
   磯貝治良『<在日>文学論』新幹社
   林浩治『戦後非日文学論』新幹社
   藤原書店編集部編『歴史のなかの「在日」』藤原書店
 ◇成績評価: 発表(30%)、期末レポート(60%)、授業参加(10%)
 ◇注意事項: 30分以上の遅刻は欠席とみなす

比較日本文化学特殊研究 (集中講義、具体的な日程は別途掲示)
 ◇講義題目: 日本アルプスの誕生と明治の文学・文化思潮
 ◇担当教員: 藤岡伸子 (名古屋工業大学大学院)
 ◇授業内容:
 日本山岳会の創設者であり、文化事象としての「日本アルプス」を日本に誕生させた文学者小島烏水とその事績を取り上げ、背景となった明治期の文学や文化をめぐる諸状況を考察する。また、そのプロセスを通じて、文化研究の様々な視点を紹介する。この問題を具体的に様々な面から検討するため、@「ヨーロッパにおける山岳美の発見」、A「日本の言文一致運動と新文化創出」、B「小島烏水のアメリカとジョン・ミューア発見」の3テーマを設定し、それぞれに2〜3講をあてて詳細に問題点を探る。@においては、ロマン派詩人に始まり、ジョン・ラスキン、レスリー・スティーヴンへとつながるイギリスのアルピニズムと山岳美の概念形成過程を追い、山が「忌まわしい岩の塊」から「栄光の山」へと変貌していった様子を概観する。Aにおいては、小島烏水による日本アルプスの風景形成の過程が、いかに当時の文学の状況と不可分のものであったかを、小島の作品検討を通じて見ていく。特に言文一致運動に注目し、新しい文体の模索という日本文学の大きな節目を乗り越えられずに自然描写に挫折した田山花袋らとの比較において、小島烏水が従来の文学的題材とは異なる「山」を得て、新しい表現を可能にしていった過程を追う。Bにおいては、文学者と実業人の二つの道を完徹した小島烏水が、横浜正金銀行のサンフランシスコ支店長として過ごした12年間に注目し、カリフォルニアの山々で獲得した新しい風景観や、当時日本の誰も知らなかったジョン・ミューアの存在をほぼリアルタイムで知り、紹介に努めた様子を紹介する。学生同士のディスカッションも交えて比較文化研究への理解を深めたい。
 ◇教科書: なし
 ◇参考文献: 講義中に適宜紹介する
 ◇成績評価: 関連テーマについてのレポート提出



現 代 日 本 語 学 講 座
現代日本語学概論
 ◇講義題目: 認知言語学の諸相
 ◇担当教員: 籾山洋介 (木・2、総609)
 ◇オフィス・アワー: 木(13:30〜14:30)
 ◇授業内容:
(1) 狙い
 認知言語学の基本的な考え方、中心的な概念、諸理論を学び、言語研究(特に「意味」に関係すること)の問題設定の仕方、研究方法を身につける。
(2) 主な内容
 1.認知言語学の基本的な考え方
   「認知」「認知能力」とは何か/他の言語理論(構造主義言語学・生成文法・真理
   条件意味論など)との違い/基本的な概念/意味の考え方
 2.認知言語学における類義表現の分析
   同一の対象に対する様々な異なる捉え方(construal/imagery)に基づく類義表現の
   意味の異なり
 3. 意味拡張の仕組みと多義性
   メタファー・メトニミー・シネクドキー/主体化(subjectification)/文法化
   (grammaticalization)
 4. 概念メタファー
   概念メタファーの諸相/不変性原理(invariance principle)/プライマリーメタファー
 5. 認知言語学の諸理論
   使用依拠モデル(Usage-Based Model)/構文文法/メンタル・スペース/アフォー
   ダンスなど
 ◇注意事項:
   意味論、認知言語学の基礎知識がない人は、以下の文献を読んでおくことが望ましい。
   町田健・籾山洋介『よくわかる言語学入門』バベル・プレス(「第5章 意味論」)
   町田健・籾山洋介他『言語学大問題集163』大修館書店(「第4章 意味」)
   籾山洋介『認知意味論のしくみ』研究社
   松本曜(編)『認知意味論』大修館書店
   吉村公宏『はじめての認知言語学』研究社
 ◇授業形式:
   1.講義
   2.文献講読(日本語および英語で書かれたもの)
   3.受講者の発表・討議
 ◇評価:
   以下の1と2に基づき評価する
   1.授業への貢献度(発表・平常点)
   2.レポート(2回:10月と2月に提出の予定/課題等の詳細は後日知らせる)

日本語音声学
 ◇講義題目: 日本語の音声的特徴と音声教育の方法について
 ◇担当教員: 鹿島 央 (木・4、音声実験室)
 ◇オフィス・アワー: 月(16:00から)
 ◇授業内容:
<講義目的>
 前期は、日本語音声の特徴について、単音レベルと韻律レベルの両面から音声学的に考察することで、いろいろな言語を母語とする日本語学習者の音声上の特徴を分析するための基礎的な力の養成を図る。特に、韻律レベルでは、「高さ、長さ、大きさ」のコントロールが日本語学習者の音声にどのような影響を与えているのかを、実例をもとに分析し、音声教育の可能性について議論する。後期は、実際に単音レベルの音声分析を発表形式でおこない、いろいろな言語を母語とする日本語学習者の音声特徴を観察、記述する。その上で、音声教育の方法についても検討していく。
<講義内容>
 1.音声学とは何か
 2.音声教育の必要性
 3.音節
 4.韻律的特徴
   1)リズム 2)アクセント 3)イントネーション 4)プロミネンス
   5)ポーズ 6)その他
 5.分節的特徴
   1)破裂音 2)破擦音 3)摩擦音 4)接近音 5)鼻音
   6)ふるえ音 7)弾音 8)その他の調音  6.音声表記について
 7.演習
 ◇参考文献:
   授業の中で言及するが、以下のものは読んでおくことが望ましい。
   CATFORD,J.C.(1988)A Practical Introduction to Phonetics. Oxford Univ. Press.
   LADEFOGED,P.(1993)A Course in Phonetics. Harcourt Brace Jovanovich.
   神山五郎、戸塚元吉共訳(1990)『話しことばの科学』東京大学出版会
   斎藤純男(1997)『日本語音声学入門』三省堂
   鹿島 央(2002)『日本語教育をめざす人のための基礎から学ぶ音声学』スリーエーネットワーク
 ◇評価:
   授業内での課題。通年でまとめて後期に課すレポートによる。

日本語文法論
 ◇講義題目: 日本語文法教育論
 ◇担当教員: 李 澤熊 (月・3、総611)
 ◇オフィス・アワー: 木(13:00〜14:00)
 ◇連絡先: 留学生センター棟4階406号室
         (TEL:789-4189(研究室)、E-mail:leetack@ecis.nagoya-u.ac.jp)
 ◇授業内容:
 <目的>
 現代日本語の文法にかかわるトピックをいくつか取りあげ、具体例をあげながら分析・考察する。また、日本語教科書、文法解説書などで、文法項目がどのように扱われ、記述されているかを整理・検討し、日本語教育への効果的な応用、特に実用的な文法指導の方法についても論じる。

 <主な内容>
  1.助詞(助詞相当句)、指示詞
  2.テンス・アスペクト表現
  3.受身・使役表現
  4.可能表現
  5.話し手の気持ちを表す表現(断定、推量、義務、注意、許可、禁止など)
 ◇参考文献:
   国立国語研究所(1978,1981)『日本語の文法 上・下』
   寺村秀夫(1982,1984)『日本語のシンタクスと意味T・U』くろしお出版
   野田尚史(1991)『はじめての人の日本語文法』くろしお出版
   益岡隆志・田窪行則(1992)『基礎日本語文法−改訂版−』くろしお出版
   益岡隆志(1993)『24週日本語文法ツアー』くろしお出版
   宮島達夫・仁田義雄(編)(1995)『日本語類義表現の文法 上・下』くろしお出版
   野田尚史(1996)『「は」と「が」』くろしお出版
   森山卓郎(2000)『ここからはじまる日本語文法』ひつじ書房
   森田良行(2002)『日本語文法の発想』ひつじ書房
   高橋太郎(2003)『動詞九章』ひつじ書房
   日本語記述文法研究会(2003)『現代日本語文法4 第8部モダリティ』くろしお出版

    その他の参考文献は、必要に応じて授業中に紹介する。

 ◇授業方法:講義、クラス発表・討論、文献講読
 ◇評価:平常点、口頭発表、レポート



日 本 語 教 育 方 法 論 講 座
日本語教育評価論
 ◇講義題目: 日本語教育におけるテストと評価
 ◇担当教員: 村上京子 (金・2、総623)
 ◇オフィス・アワー: 火・金(13:00〜14:30)
 ◇授業内容:
 教育評価に関する基本的な知識を身につけ,日本語教育の現場で役立つ評価技術を獲得する。教育における評価の位置づけ,評価の意義・目的,方法,種類,その特徴と限界等,日本語教育での実際に合わせて検討する。また,具体的なデータを使った演習問題で,データ処理の方法とその解釈について学習する。関連論文を読み,研究デザイン・統計的手法についても分析・検討する。
 ◇授業で扱う主要テーマ
 ・日本語教育における評価,テストの種類・形式
 ・achievement test と proficiency test
 ・評価の基準とシラバス
 ・テストの開発・改訂
 ・テスト結果の記述(平均・標準偏差・偏差値etc.)
 ・SP表を作る
 ・相関係数の意味とその利用
 ・項目分析
 ・テストの信頼性と妥当性
 ・テストの波及効果
 ・テストとカリキュラム
 ・パフォーマンステストの実際<作成・分析>
 ◇教科書:配布資料「日本語教育におけるテストと評価」
 ◇参考文献:
   Heaton,B. 1988 Writing English Language Tests, Longman Group UK Limited. (ヒートン著、
   語学教育研究所テスト研究グループ訳 1992 コミュニカティブ・テスティング 研究社)
   Bachman L. F. &Palmer A.S. 1996 Language Testing in Practice (バックマン他著 大伴訳 
   言語テスト作成法 大修館書店)
   Brown,J.D. 1996 Testing in Language Programs, Prentice Hall (J.D.ブラウン著 和田稔訳 1999 
   言語テストの基礎知識 大修館書店)
   日本語教育学会編 1991 『日本語テストハンドブック』大修館書店
   村上京子 2002 「日本語能力を評価する」「テスト改善に役立つ技法」『日本語教育の心理学』
   新曜社
   マクナマラ著、伊東他訳『言語テスティング概論』スリーエーネットワーク
 ◇評価: 授業への貢献度 50%、レポート・演習問題 50%
 ◇注意事項: 指定論文は事前に読んで授業に出席すること。英語の論文も読むのでそのつもりで
 受講してもらいたい。

コンピューター支援日本語教育方法論
 ◇講義題目: コンピューター支援日本語教育方法論
 ◇担当教員: 石崎俊子 (木・3、文系総合館情報演習室(106))
 ◇オフィス・アワー: 木(15:00〜16:00)
 ◇連絡先: 留学生センター4階402 電話:5772 メール:ishizaki@ecis.nagoya-u.ac.jp
 ◇コースの目標:
   CALL教材を基にした教案作りから始まり、WWWによる教材の作成及び分析、評価、パワー
  ポイントによる教材作成及び分析評価、動画の撮影と編集を経て最終的に動画入りのCALL教材
  プロジェクトを完成させる。

 ◇授業内容の紹介:
 1. 授業の説明・コンピューター教材の紹介
 2. WWW教材を基にした教案作り1
 3. WWW教材を基にした教案作り2
 4. WWWによる教材作成1
 5. WWWによる教材作成2
 6. WWWによる教材作成3
 7. WWWによる教材作成4
 8. WWWによる教材作成 発表と評価
 9. マルチメディア教材作成(音声)1
 10. マルチメディア教材作成(音声)2
 11. パワーポイントによる教材作成1
 12. パワーポイントによる教材作成2
 13. パワーポイントによる教材作成3
 14. パワーポイントによる教材作成4
 15. パワーポイントによる教材作成 発表と評価
 16. 授業の説明・動画の内容についてディスカッション
 17. 教材の構想を練る
 18. 動画のスクリプトの作成1
 19. 動画のスクリプトの作成2
 20. 動画の絵コンテの作成
 21. 撮影1
 22. 撮影2
 23. 編集1
 24. 編集2
 25. 編集3
 26. 編集4
 27. 問題の作成1
 28. 問題の作成2
 29. 問題の作成3
 30. 発表と評価
 ◇受講に必要な知識・スキル:
   コンピューター操作とワープロソフトの基本的な知識+技能が必要です。
 ◇評価:
   出席、平常点、3つのプロジェクトの3点から総合的に評価します。プロジェクトは指定された日まで
  に指定された形式で提出すること。遅れると減点されます。
 ◇教科書: 使用しません。
 ◇参考図書および参考文献: 必要に応じて紹介します。

日本語教育方法論概説
 ◇講義題目: 学習者自律を支援するコースデザインのあり方
 ◇担当教員: 衣川隆生 (木・1、語31)
 ◇オフィス・アワー: 木・金(14:00〜15:00)
 ◇授業内容:
<目的>
 1.言語運用能力、そのうち特にスキル、ストラテジーを中心に構成概念規定を考える。
  講義では、文章産出能力、口頭発表能力を対象として取り上げる予定である。
 2.言語学習能力、そのうち特に学習者オートノミー、学習者ストラテジー、自己制御
  学習能力についてその概念を検討する。
 3.言語運用能力と言語学習能力を養成することを目標としたコースデザイン、シラバス
  デザイン、カリキュラムデザインのあり方について検討する。

<内容>
 以下のキーワードの概念について資料解読、議論、レポート作成を行う。必要に応じて
 参考文献を紹介する。
 ・言語能力/コミュニケーション能力
 ・知識/スキル
 ・ストラテジー
 (学習(者)ストラテジー/メタ認知ストラテジー/社会的ストラテジー/信念)
 ・自律学習/学習者オートノミー/自己制御学習
 ・自己評価/他者評価
 ・セルフ・モニタリング
 ・ピア・フィードバック
 ・過程(process)と成果(product)
 ・ポートフォリオ
 ・コースデザイン/シラバスデザイン/カリキュラムデザイン

<授業運営方針>
 基本的に、以下の方針で授業を進める。
 1.資料解読
  課題提示時にジグソーリーディングの手法をとり資料を配付する。各自課題に応じた
  読み方をする。
 2.グループ討議(1)
  同じ資料を読んだ受講生が一緒になり、課題に合わせて資料の内容を報告しあう。
  その結果を別のグループに報告する。
 3.グループ討議(2)
  資料の内容を参考に、構成概念の検討、学習能力の検討、実際の授業で、どの
  ような手法を用いればよいかの授業計画、教材作成などを行う。
 4.課題リポート
  上記を文章としてまとめて提出する。わからない場合や理論的検証を行いたい
  場合は、参考文献を引用する。その場合には、かならず、出典を明記すること。
  課題は、4週間に1回程度課す。すべての課題は添付書類で提出する。また、
  これらの課題レポートは、授業の課題としても共用する。
 ◇参考文献
   青木直子・尾崎明人・土岐哲(編)(2001)『日本語教育学を学ぶ人のために』世界思想社
   Wenden, A.(1991)Learner Strategies For Learner Autonomy. Prentice Hall.
   大学英語教育学会学習ストラテジー研究会(編著)(2005)『言語学習と学習ストラテジー
   −自律学習に向けた応用言語学からのアプローチ−』リーベル出版
   田中望・斎藤里美(1993)『日本語教育の理論と実際-学習支援システムの開発』大修館
   宮崎里司・J.V.ネウストプニー(編)(1999)『日本語教育と日本語学習−学習ストラテジー論に
   むけて−』くろしお出版
   J.V.ネウストプニー(1995)『新しい日本語教育のために』大修館書店
 ◇成績評価:
   授業内における課題発表、課題レポートにより評価を行う。
 ◇注意事項:
  ・話し合い、共同発表の過程で生じる疑問点の解消、再発見を重視する。したがって、発表は
   基本的にペア、グループで行うものとする。
  ・発表時には、必ず自分自身にとって何が新しい発見であったか、何が疑問点であったかのセルフ
   リポートも行う。常に批判的読解を行うことを心がける。



注 意 事 項
☆ 履修に当たっては「便覧」等を見て間違いのないようにすること。

集中講義
 ・ 詳しい内容は各講座の枠内を見てください。
 ◇日本語教育学特殊研究: 玉岡賀津雄 (広島大学留学生センター)
 ◇比較日本文化学特殊研究: 藤岡伸子 (名古屋工業大学大学院)

日言文教官の担当する「高度専門職業人コース」と兼用の授業
 ・ 詳しい内容は「高度専門職業人コース」のページを見てください。
 ◇日本語教授法概論:鷲見幸美(金・3 通年、演習室2階)

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  〔高度専門職業人コースのシラバス CLICK 〕   
  〔全学向け授業のシラバス(PDF) CLICK