4.2. B-Class (初級)

担当:河合・大和・渡邉

 

.実習生

渡邉、大和、河合の3名が担当した。基本的に一コマの授業は一人の実習生が授業を行い、残りのメンバーが補佐としてビデオ撮影、記録を請け負った。(担当は4のカリキュラムを参照)

 

2.学習者

学習者に関する情報は以下のとおり。BとEは、コース開始前にコース期間全日程の参加ができない旨を伝えていた。CとDは全日参加であったが、5日目の3限に早退しているため、全体を通して全ての授業に出席した受講者はいなかった。そのため、授業内容のバランスは困難であった。

 

学習者

出身地

性別

参加日

A

アメリカ

男性

最終日のみ欠

B

イギリス

男性

前半3日

C

アメリカ

男性

6日目3限を除く全日

D

アメリカ

女性

6日目3限を除く全日

E

カナダ

女性

前半3日

 

3.ニーズ・レディネス分析

(コース開始前)

事前アンケートとPTの録音、及び追加調査書(文法項目を含んだ文を理解できるかどうかを確かめるもの)から学習者のレディネスとニーズを予測した。以下に学習者が希望した授業の焦点/学習したい場面/その他日本への興味等を順に挙げる。

A:語彙・会話練習/  仕事で同僚と日常会話/  日本での異文化・考え方・食べ物/

B:語彙・会話練習・文法パターンの説明/  長い複雑な文(条件文・テンス等)を言えるようになる/  

C:話す練習・文法パターン・会話練習/  郵便局から何か送るとき ブックオフで何かを売る時 新しい携帯にかえるとき 外国人登録証を申請する時/

D:新語彙・会話/  レストランでのメニューの読み方(肉を食べないで済むように)/  日本のアート

E:会話/  友達と買い物・レストラン・空港

(コース開始後)

 実際にコースを開始して、学習者それぞれの学習の嗜好傾向や発話傾向を実習生がつかめるようになってきた。そして、学習者の傾向を考慮した上で、再度事前アンケートの記述を解釈しなおした。ところが、アンケートの記述を見直したはずだったにも拘わらず、翌週月曜日の授業後アンケートで学習者Aが、授業が難しすぎることに不満を示した。それに応じ、学習者Bに配慮し、学習者Bが理解できることを目指した授業を行おうと実習生の間で目標に対する認識を確認した。

 

4.シラバス・カリキュラム

 以上の学習者のニーズ・レディネスに関する情報から以下について決定した。

      教授項目

 学習者がニーズを訴えた文法項目、日本語使用場面を配慮し、学習者の希望していない教授項目は入れなかった。学習者の希望に添う形でシラバスをたてた。よって、日によって中心となる学習内容が違った。機能の学習が目標となる場合もあれば、場面での日本語使用が目標となる場合もあるという、機能シラバスと場面シラバスの中間的なシラバスによって構成した。ただし、シラバスを考える際、文法項目、場面、機能が重複しないように、それぞれの授業で扱う内容を確認した。

      教材

 毎回授業の度にパンチで穴をあけたプリントを配布し、綴っていってもらった。Bクラスの教科書はコース終了時に教科書が完成するというものであった。コース開始時には、教室で使用する表現と動詞、形容詞の活用表、基本文型の一覧表(接続形つき)を先に配布し、使用法を説明した。その続きに毎回の授業のテキストのプリントを綴ってもらった。

各時間担当の実習生が個々にテキストを作成するので、形式は統一されていなかった。しかし、原則として学習者に実際に直面しそうな日本語会話場面のサンプル会話を提示し、語彙、文型は必ず盛り込むというふうにテキストの構成要素の統一はした。

コース開始前に学習者のレディネスの把握が不十分だったため、テキストの準備に悩んだ。初めは1コマの授業のために複数の会話テキストを作成し、どのレベルの学習者が来ても対応できるように事前の準備に骨が折れた。しかし、そのような対応をすることは実習生の負担が大きく、全授業の分を事前に用意することは無意味に思えた。よって、初めの2日分(12日(木)、13日(金))だけ、いくつかの学習者のレベルを想定として複数の会話サンプルのストックを作成しておいて、授業を行った。そして、翌週は1週目に得られた学習者の情報を元に授業の照準を定め、テキストのレベルを決定した。ニーズ・レディネス調査でも言及したように、学習者Aが授業後アンケートで、授業に対する不満を訴え、教材への工夫も施した。

 

     実施した時間割と担当

時間配分については、長くかかると判断された項目については1限から2限の前半までと2限後半から3限までの2コマにわけて行った。

 

   1時限

    2時限

     3時限

8/12

オリエンテーション

   河合

   +αの自己紹介

     渡邉     

  全体での自己紹介会

      

8/13

買い物

河合

   可能形:レストラン

     大和

買い物(文法)―くなります

   河合

8/16

 学校で許可を得る

    大和

病院で(聞き取り中心):〜たら

      河合

放課後についての話/誘いの入り

〜たあと 〜たことがある 

渡邉

8/17

誘い方の練習 

    渡邉

          日本文化デー

8/18

    依頼を受ける・断る

        大和

ものを描写する(連体修飾) 郵便局で

 

         河合

 

8/19

電話でピザの注文

    大和

  電話でピザの注文    

      大和

  天気予報(聴解練習)

    河合(←渡邉) 

8/20

スピーチ準備

  渡邉

 フェアウェルパーティー

漢字チェックと雑談・質疑応答等

      全員

 

◆授業後アンケートについて

Bクラスでは、授業後アンケートを以下のような質問項目を設け、行った。12日と13日に関しては、アンケートの様式が異なっていた。ここでは、同2日間で行ったアンケートについての反省は行わない。

週末に検討した結果、以下のようなアンケートに変化した。授業への満足度をパーセントで示してもらうようにしたことで、授業がうまくいっているか、いないか、のバロメーターとしての役割を果たしたように思う。

・授業に満足しているか(満足度)

・トピックの選択は的確だったか

・話す機会はたくさんとられていたか

・得られた知識は十分だったか

・理解度(5段階評価)

・新しく得られた知識はあったか(具体的にどんなことを新しく学んだか)

・授業のなかでつまらない活動はあったか

・自分にとって難しすぎる(分からない)質問や練習を他の学生の前でされることがあったか

(そのことについて、あなたはどう思うか)

・自分の理解度を教師は分かっていると思うか

・教師の話し方は分かりやすかったか

・教師の話し方で重要な要素とは何だと思うか

・授業で無駄な時間はあったか

・フィードバックの量

・フィードバックは適切だったか

 

5.各授業の反省

     授業後アンケートから

以下は、授業後アンケートの項目の中から、全体の満足度とそれに関わると思われた評価についての表である。

(満足→満足度が高かった学習者の高評価要因 不満→満足度が低かった学習者の回答の低評価要因)

12日、20日についてはアンケートの回収ができなかった。                                                    

 

満足 Y/N

満足度

満足度に関わると思われる評価

13 1

有益4 語彙:新語彙:聴解練習、新語彙:実生活場面

無益

 

13 2

有益4 語彙:語彙,文法:可能形が学べた

無益0

 

13 3

有益4 新形容詞:話す練習ができた:語彙

無益0

 

16 1

Y4   Ns

60・50・無・無・無

学習者へのfeed back

ペアで会話練習をする時間が十分に取れていなかった。

16 2限 

Y 4   N

92・70・40・無・無

満足)勉強したい項目が学べた(たら)、教師の発話の明瞭さ、速度、反復、使用語彙

不満)発話機会、理解度、話題の面白さ

教師の発話速度、使用語彙

16 3限 

Y 4   Ns1

100・80・70・60・無

満足)すべて適切と判断された。

(単に評価が甘かったとも考えられる)    

不満)得た知識の量、トピック、理解可能性 (人によって要因は異なっていた)

17 1限

Y 4

100・100・95・無

満足)理解可能性・発話機会・トピック・新しく得た知識を発話すること

18 1限

Y 3

100・90・無

学習者の理解度はまずまず

新しく学んだ知識が少なかったことを指摘している学習者もいた。

18 2限

Y 3

100・97・80

新語彙、名詞修飾の学習、繰り返しによる理解の定着

トピックの面白さに欠けた(郵便局という場面なのか名詞修飾なのかが不明)

19 1限

Y 3

100・95・90・

学習者にとって難しすぎることを他の学習者の前で言わなければならないことに関して、肯定的に捉えていることが分かった。

19 2限

Y 3

100・89・75

不満)フィードバックの頻度、トピックの面白さ

満足)語彙の習得、反復、発話の明瞭さ、速度、使用語彙

 

<各授業の反省> 

     8月12日 1限                       学習者:全員

内容:オリエンテーション

     カリキュラムの説明

     教科書の使い方

     事務的な作業(サイン)

 

●8月12日 2限                         学習者:全員

学習事項:自己紹介(名前・出身・職業・趣味の言い方)

目標:レベルを把握する:次のパーティーで自己紹介できるようにする

「先行オーガナイズ⇒ゼロ地点発話⇒出来ないところに気付く⇒導入⇒練習⇒学習後発話」という流れで行った。

     自己紹介で何を言うか聞く

     実際に最初の時点で自己紹介してもらう

     足りなかった表現や更によい表現を導入、練習する

     学習した表現を使ってまた自己紹介を再度行う

という順序で行った。

反省:

 流れとしては、できないことがどのようにできるようになったかが見られる流れだったが、学習者が既に知っている語彙や聞き取り能力の把握・予測が不十分で、話すスピードや語彙のコントロールができておらず、時間をとることになった。時間配分は授業中にレベルに合わせて変えるという計画どおりであった。しかし、予測より既習事項が少ない学習者がいたため、計画していた導入事項を少し口ずさむ程度の練習しか出来きなかった。ただ、新しく導入したことをすぐに学習後発表で使おうと努力する学習者に助けられたと言える。発表時も誤りながらであるが、フィードバックする機会は設けられた。本番である次の全体での自己紹介会では頑張って使っていた。この日の話題に関する領域については、既習の語彙や文型のレベルや領域に差があることがわかったが、いろいろなT質問・S応答活動をする時間がなくなり、他の文型などについては確かめられなかった。

 

8月13日 1限                         学習者:全員
学習事項:〜くなる
目標:物を安く買うことができるように、値段交渉の会話ができるようになる
                 ウォーミングアップ
                 電気屋での会話
                 語彙リストを渡す
反省:
ウォーミングアップのつもりでやっていた活動に時間をかけすぎてしまった。学習者から個人の情報を聞き出したいという気持ちがはやってしまったように思う。まだ学習者のレベルがつかめないでいたのでついそうしてしまったが、計画どおりに授業を進めなかったことは、反省すべき。「もう少し安くなりませんか。」はよく定着したと思う。結局この時間には、文法の説明ができなかったので、3時間目にもちこすことになった。
 

8月13日 2限                         学習者:全員

内容:レストランで

導入表現:可能形「〜られる」

まず、絵カードなどを用いて、「〜られる」を作る練習をした。学習者自身の特技などを挙げながら、「〜られる」を使う練習をした。その後、レストランでのモデル会話を提示し、そこ

で「肉が食べられない」ということを伝えることができることを説明した。モデル会話は、学習者自身の嫌いなものや食べられないものに換え、練習した。

反省:

この授業で表現を主に導入するのか、レストランでの会話を主に導入するのかが曖昧で、学習者に伝わりにくかったのではないか、と思われる。また、「〜られる」の代わりに「〜ことができる」と発話する学生もいたが、そのことにどのように対応するかということに対する教師の立場がきちんと定まっていなかったと思う。

 

8月13日 3限                         学習者:全員

学習事項:13日1限に続く

目標:13日1限に続く

     会話のリピート

     会話の読みの練習

     い形容詞+くなります 

     な形容詞+になります の練習

反省:

何と言っても時間配分が失敗だった。この授業では、会話をメインに扱い、学習者も反応は悪くなかったが、もともと目標としていたことができなかったことは、実習としては問題だったと思う。ただ、学習者の中で、これまで少し分かっていたことが、改めてはっきりと理解できてよかったと言っているものもいたことを考えると、授業自体ではよかったとも言える。

 

 

8月16日 1限                        学習者:全員
内容:許可を求める
導入表現:「〜てもいいですか」
この授業では、許可を求める表現として「〜てもいいですか」を取り上げた。まず、会話例を教師が読み上げ、その場面は「何をしようとしているのか」というものを質問した上で、テキストの一部である会話例を見せ、練習した。次に「〜てもいいですか」の表現が許可を求めるときに使えることを説明し、ペアでドリルを行った。
反省:
全体的に難易度が高い内容を扱ってしまったため、中には消化不良になっていると思われる学生もいた。学生の聴解能力を試す意味でも、導入としていきなり会話例を聞かせたが、結果的には「難しい」「分からない」という意識を抱かせてしまった。また、時間が足りなかったわけでもないのに、ペア練習の時間を十分に取れなかった。さらに、学習者の発話に対するFollow-up発話が足りず学習者に不安感を与えてしまった。

 

8月16日 2限                        学習者:全員

学習事項:〜てもらえますか たら

目標:病院での医者の指示がわかるようになる

     病院での会話を聞いて理解できるようにする(語彙)

     文法の説明

     言語的キューをだし、「たら」を使った文を作成させる

     会話の穴埋め練習(病状のリストを渡して)

反省:

初めに会話を演技付きで提示すれば、語彙の難しさが解消されると思ったが、演技に懲りすぎて学習者への意識が薄くなってしまった。分からない語彙があると理解が進まない学習者Aには辛い思いをさせてしまった。他の学習者は、今まで勉強したいと思っていたことが勉強できてよかったと授業後アンケートで答えていたし、授業中も楽しそうにドリルに参加していた。このクラスでよくできる学習者にとっては、楽しい授業だったのかもしれないが、このクラスのコントロールについて考えさせられる授業となった。

 

●8月16日 3限 仕事が終わった後・誘い            学習者:全員

 学習事項:予定:人を誘うときの表現と順序→実施:「〜た後」「〜ことがあります」)

     誘う時の状況から入るつもりで仕事が終わった後何をするかという質問

     誘うときどのように誘うか「〜ませんか」を使うということの導入まで(「〜ますか」とどう違うかの質問対応等)

反省:

誘いの導入に入る前に自分のことを話してもらう機会をもって既習文型を把握しようという意向で、「仕事が終わった後何をするか」という質問から広げるつもりが、「後」「〜てから」の意味自体がわからない学習者がいたり、ほかの学習者の返答の中の語彙への質問から話が広がったりして「誘い」の練習はできなかった。知らないことを想定して、「知らなかったらこれを中心にする」ということをしっかり決めずに中途半端に触れてしまうのはよくなかった。「学習者の自発的発話を拾う」ということを目標にしていたが、レベル差がある場合、語彙の扱いや学習者の一部が文型を知らなかった場合どのように扱うかという方針をしっかり決めるべきだった。レベルチェックを行う意図でするのなら、それを教えようとはしないほうがよかったし、もし学習者の既習度がわからなくても何かを新しく教えるというつもりで導入・練習すれば復習にもなるはずだと感じた。

 

●8月17日 1限 誘い                    学習者:A,C,D,E   

 学習事項:誘い方@相手のプランを聞くA情報を与え、誘う B誘いを受ける場合

 目標:都合を聞いたり前置きしたりしながら人を誘う方法を身につける

     プランを聞く方法・時間に関する語彙の導入

(「時間がありますか」「暇ですか」「忙しいですか」「何か予定がありますか」)

・「〜んですが、〜ませんか」「いいですね、〜ましょう(等)」の導入と練習

     いろいろな場面での練習(絵カードキューによるST,SSペア発話練習)

     自作状況での練習

反省:

「知っていることを少しだけ増やし、知っていたこと+知ったことを使えるように練習する」という方針で前日予定していた学習項目の練習を行ったら、レベル調節としてはちょうどよいという印象を受けた。もう既に言えていた学習者が不満なのでは?と心配していたが、語彙を増やしながら練習することで学習者の満足度も高くなったようだ。楽しそうに発話し、初めて習う人も新しい状況を与えても考えながら発話できるようになった。ただ、もう少し誘う状況(語彙)を増やしてもよかった。予定では待ち合わせをするところまでだったが、練習はしなかった。難易度が上がったとしても、導入や質問―応答による説明・練習を口頭でだけ行おうとしなければ既習レベルが低い人でもついて来れる可能性はあると感じた。また、学習者の自発的発話から出た語彙から学習者同士のインタラクションを広げるべきでないときがわかった。

 

8月18日 1限+2限前半                   学習者:A,C,D  

 
内容:依頼と承諾・断り
導入表現:「〜てもらえませんか」(表現としては既出)
まず、日本に来て困ったことを学生に挙げてもらい、その時にどのように助けてもらったか、という話から、「〜てもらえませんか」が依頼するときに使えることを説明し、練習した。また、依頼されたときに承諾する言い方と断る言い方の例をテキストにて示し、学習者同士で会話の練習をした。その後、パーティーの準備というテーマで応用練習をした。
反省:
コース前半までの授業の難易度が学習者によっては高すぎた、という反省点があったため、すでに表現としては扱われている「〜てもらえませんか」が依頼をする場面でも使用できることを改めて説明した。そのため、学習者は割と理解しやすかったようで、クラス内の理解度は高かったと思われる。しかし、冒頭で教師の説明が多く、学習者の話す機会があまり与えられていなかったと思われる。
 

8月18日 2限後半、3限                   学習者:A,C,D

学習事項:動詞による連体修飾

目標:身近なものを動詞を使用して説明できるようになる

   郵便局で送るものを説明することができる

     洗剤について説明する(食器を洗う洗剤・服を洗う洗剤)

     自分のうちについて説明

     こちらが出した物を説明する練習(栓抜き、タッパー、カセットケース)

     ゲーム(カードに書かれた絵を見た人がその物の名前を言わないで、行った説明を聞いて、何について説明しているかを当てる)

     仕事について説明させる(AETはどんな仕事)

     郵便局での会話の練習

反省:

比較的雰囲気はよかった。学習者Aがよく理解できたためだろうと思う。学習者Dは意外に知らない単語があった。文法が易しくても、新しい語彙が得られたり、既習の文法の確実な定着があれば学習者も満足するのかもしれない。この授業の会話のテーマはCが希望した「郵便局」だったのに、トピックが面白くなかったと授業後アンケートでコメントしている。名詞修飾が面白くなかったのかもしれないが、学習者のニーズに応えることについて考える際、もっと学習者の意図していることを理解しなければならないと思った。

 

8月19日 1限                                              学習者:A,C,D

内容:ピザを注文する
導入表現:
この授業では、まずフェアウェルパーティーでピザを注文することを説明し、ピザを電話で注文するときに必要な情報につい
て挙げさせた。その後テキストの一部となるモデル会話を見せ、モデル会話に合わせて練習した。練習の後で、代表者1人が
実際に電話でピザを注文した。
反省:
ピザは電話で注文したいが、実際に経験したことのある学習者は少ないということもあり、学習者のモチベーションは非常に高かった。また、実際に授業後にピザを注文してみる、ということもあり、いい練習になった。新たに導入した文法表現はなく、その面で学習者にとって、つまずく部分が少なかったともいえるが、今までに学習した項目は、おおよそ理解できていることも確認できた。

 

8月19日 2限                        学習者:A,C,D

学習事項:可能形+ようになります

目標:翌日のスピーチで日本にきてできるようになったことというトピックが扱えるようにその練習

     可能形の復習

     動詞を文字カードで提示。既知の語彙を確認

     絵を見て、作文する練習

     日本にきて、何ができるようになったか自発的発話ドリル

反省:

代講だったため、教案はあまりきちんと練られていなかったが、人数も少なく授業はやりやすかった。可能形への変形練習をやりたがらない学習者と進んでやる学習者がいる。よくできる学習者が、他の学習者に配慮している様子も見受けられ、発話機会を自由に与えると、気を使う学習者の発話機会が減ってしまう。ルーティンでも発話機会を与えるようにしなくてはいけないと思った。

 

8月19日 3限                         学習者:Aのみ

学習事項:山へ行く時の語彙習得と聞き取り

テキスト:『絵とタスクで学ぶ日本語』21 やまへいきます

目標:学習者自身が関わりの深い分野の日本語を聞き取ることで学習者に自信を持たせる

     この授業は、他の学習者に予定が入り、学習者が1人だったため、一人の学習者のために学習内容を選び、話題もかなり個人の関心に合わせたものとした。

     山にもって行く物に関わる語彙の理解(帽子、ラジオ、薬、セーター、懐中電灯、サングラスなど)

     聞き取り練習(ラジオの天気予報)

     「山へ行く時何がいるか」について話してもらう

反省:

初め、テープの発話速度が速かったので、一瞬ひるんだ感じがしたが、少しずつテープを小刻みにして聞かせたら、聞き取れることが分かり、だんだん前向きに取り組むようになった。天気に関する語彙は既習だったようで、その時はすぐに天気に関する語彙が聞き取れていた。知っている語に出会えることは、うれしいようだ。「〜をもって行きましょう。」という文が言えるようになった。  

 

●8月20日 1限 スピーチ準備                  学習者:C,D

次のフェアウェルパーティーで行うスピーチの準備を実習生全員で学習者1人1人について行った。言うことを書いてくるのが宿題になっていたはずだが、まだ書いていなかったため、既習事項を使って「日本に来てからできるようになったこと、びっくりしたこと、困ったこと、変わったこと」について発話してもらい、原稿をその場で作った。その後、話す練習を行った。

 

 

6.全体の反省

【レディネス調査について】

・ 学習者のレディネスに関する調査をしっかり行い、特に既習事項と聞き取り・発話能力を両方事前に確かめるべきだった。

【授業準備について】

     学習者のレディネスを事前に理解していることが理想だが、わかっていないときの対策としてまず、理解度を助けるものを事前に迷わず準備するのがよいとわかった。

     簡単すぎたときの対応策より難しすぎた場合の対応策を先にするべきだった。

【学習者のニーズへの対応について】

     授業を実施する際、学習者の発話を拾うという事前に決めた方針は意識できたと思うが、目的によってはそれをしないほうがよいときもあると実感した。

     学習者に合わせて教材や教授内容を調整しようという試みに関しては努力できたと思う。またそれにあわせ、徐々に学習者にあった授業になっていったと思う。しかし本当に負担が大きかった。事前の準備をレベルを3つぐらい想定してしていたため時間が足りなかった。このような場合は既存の教科書を使うほうが効率的だったかもしれない。

・ 授業後アンケートの結果などから、全ての学習者の理解度を重視して授業を進めるように心がけたコースの後半では、新しく得た知識が少なかったと感じた学習者もいたようである。授業内では、全ての学習者が理解できることを目標にしていながらも、レベルの高い学生でも何か新しいことを学べたと感じるような授業や授業外の工夫が必要であると考えられる。

【実習としてのコース実施上の問題】

     コース開始後は、次の準備に忙しく、お互いに授業の進め方に関する反省をしあう時間が十分には取れなかったと思う。それができたらよかった。

     教師の反省のためのシートを作っておけばよかった。記憶が断片的にしか残っておらず、記録を書くときに時間がかかった。

     教師がどのような意図で授業をやっていたのか、そしてそれが思い通りにできたかどうかという視点、学習者の立場から学習者が満足する授業だったかどうかという視点の反省ができると思う。それらを分けて反省するためには予め教師の意図を明確にし,学習者がどのような点で満足するかに関する基準を明確にしておくべきだったと感じた。

【アンケートについて】

     授業後アンケートを変えたことによってどこを直せばよいかわかりやすくなった。

・ 授業後アンケート、事後アンケートはすべてぱっと見て数値や位置でどこを直せばよいかわかりやすくしておくべきだった。また、誰の評価かわかるようにできるとよかった(無記名にしたほうが書いてくれるという考えでそうしたが、名前を書く欄を書いてもらえる人は書いてほしいというようにしてもよかったかもしれない)。そのほうが、学習者の差があるクラスでは調整しやすいと思う。

【コースデザインについて】
    コースの期間を増やすことは、実習生のみの意向で変更することはできない問題だが、コースの期間が短いと感じている学習者は多いようである。実習生は、コース期間中学習者が充実した日本語学習ができるように、提出を要求しない形で宿題を出すなど、工夫が必要だったと思う。
     Bクラスは、今回の実習のカリキュラムデザインを行う過程で、後行シラバスを立てることにした。実際、学習者側の事情を考慮することができた、というよかった点もあった。しかし、コース期間が短かったため、細かい授業計画を立てる時間がかかった割には、その授業計画を十分に生かすほどの時間が少なく、後行シラバスの利点を十分に生かしきれなかったと思う。
     オーソドックスな物を土台においてシラバス、カリキュラムデザインをすればよかった。そうすれば、効率がよかったと思う。
     だが、全て自分で考えるということはどういうことなのかを実体験で知ることができ、いい勉強になったと思う。
【教材について】
     学習者に宿題を出した日は2日あったが、やはり時間がなくなったから与えるのではなく、宿題にすることに意味があることを宿題にしているかどうかは学習者の意欲を左右すると思った。
     教材についての反省をしなかったが、自分がやったところだけでも教材の作り方は大きく変化した。学習者がどのように受け止めていたかを具体的に聞くとよかった。
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