中上級会話クラスを振り返って

村田千乃

1. コース内容など

本年度のAETプログラムは2003年8月14日・15日と18日から22日までの計7日間の日程で行なわれた。参加した実習生は、猪飼さん・片桐さん・栗原さん・三好さん・森さん・筆者(村田)の6名であった。また、クラス分けはゼロ初級・初級・中上級の3クラスとし、学習者14名のうち、ゼロ初級クラス4名・初級クラス3名・中上級クラス7名となった。下に中上級の担当者と学習内容を示す。

14日(木)         15日(金)        18日(月)

オリエンテーション 

1限   1課(村田)       2課(村田)        4課(村田)

2限   1課(村田)       3課(猪飼)        4課(猪飼)

3限 ウェルカムパーティー すもうクイズ(スポーツの話)   ビデオ

(ウォーターボーイズ)

19日(火)         20日(水)        21日(木)

1限  5課(村田)        6課(村田)       8課(村田)

2限  5課(猪飼)        7課(三好)       9課(三好)

3限   ビデオ          お好み焼きを      ポップミュージック

   (ウォーターボーイズ)    食べに行く

22日(金)

1限  10課(三好)

2限  助数詞ゲーム 

3限  フェアウェルパーティー

表1 中上級 担当者・学習内容

(1限9:30〜10:20 2限10:30〜11:20 3限11:30〜12:20)

ゼロ初級クラスの担当は栗原さん・片桐さん・森さんの3名、初級クラスは森さん・三好さん・片桐さん・猪飼さんの4名、中上級クラスは筆者(村田)・猪飼さん・三好さんの3名であった(表1参照)。担当者が複数いることによって、授業内容が豊かになる反面、担当者が学習者の特性をつかむのに苦労したり、学習者の方も担当教師の特性について理解するのが大変だったと思われるが、本年度は授業時間数を多く持つ担当者をクラス担任的な位置づけとし(中上級は筆者)、複数の担当者間で情報交換がスムーズに行なわれるようにし、最終的な責任を持つようにした。しかし、本プログラムは7日間という短期コースであるため、クラス担任を置いたとしても時間数の少ない担当者は情報を得るのに苦労したり、学習者と打ち解ける前にプログラムが終了してしまう危険性がある。そのため、担当者の人数はあまり多くない方がいいと思われる。

本プログラムではAETが仕事や日常生活において必要とする会話能力の向上を学習目標とし、教室活動として口頭練習やロールプレイ、ディスカッション、聴解を行なった。上の表1のように、一日の授業の構成は、基本的に1・2限はテキストに基づいた内容とし、3限は疲れが出たり、集中力が低下する可能性があるため、テキストから離れたアクティビティーを行なうこととした。

 

2.テキスト選定の背景

 昨年まで中級・上級クラスでは特定のテキストを使用せず、必要に応じてプリント教材を使用していた。しかし、昨年までの実習報告書を検討した結果、中級もしくは上級の学習者の中には英語の文法解説付きの教材を使用してほしいという意見があった。よって、本年度は学習者が授業中に文法事項や語彙の意味を確認したり、授業時間外に予習・復習ができるようにあらかじめテキストを準備しておくことにした。ただし、ゼロ初級と初級テキストの改訂作業もあり、実習生が新たにテキストを作る時間が限られていたため、市販のテキストから一部を抜粋し、AETの状況に合うよう改訂したテキストと、改訂後のダイアローグを録音したテープを準備した。

3.具体的な手順

(1)6月10日(火)打ち合わせで、AETが仕事や日常生活において必要とする会話能力の向上を本年度の学習目標と決定し、機能別シラバスに従って学習項目を考えることとした。また、文法機能を話し合う際、『現代日本語コース中級機Ν供戮鮖温佑砲掘具体的には、「謝る・礼を言う」「誘う・断る・受ける(・注文する)」「依頼する」「許可をもらう・許可する・不調を訴える」「情報を得る、道を尋ねる」「文句を言う・考えを言う」の6つに大きく分けて考えることとした。後日、文法機能に合う場面を『新日本語の中級』から探して表にしたものを元にそれぞれが担当課を決めてダイアローグを検討することになった。

(2)7月から火曜日の授業時間内で『新日本語の中級』のダイアローグがAETの状況に合うかどうか、担当課を決めて報告し、話し合った。

(3)8月10日(日)ダイアローグ録音

4.本年度の中上級会話クラスの反省点から

  本プログラムでは、学習者の会話能力についてインタビューテストの印象を元にクラス分けを行なったが、インタビューテストではレベル差を把握しきれておらず、クラスが開講してからまとまった会話練習や活動をしてもらおうとすると上手くいかないことがわかった。

文法能力や語彙量が限られている学習者が会話をスムーズに進められる背景として、留学経験があったり、日本人と接する機会が多いため、難しい文型や語彙を使用しなくても会話を進められる技術を持っていることが考えられる。しかし、簡単な会話ならスムーズに行なうことができてもまとまった内容になるとスムーズにはいかず、初級で学習済の文法項目(使役・受身など)や語彙についても丁寧な練習が必要であった。また、授業の最後に学習内容のまとめの意味でロールプレイを行なったが、その際、日本語で指示を書いた紙を読むのに時間がかかったり、テキストを見ながらでないとロールプレイができない学習者もいた。学習した項目や会話の流れをプリントにしておき、それを元に練習してもらった方がよかった。高見澤(1996:100)は中級の会話指導目標について「個々の文法的正確さから、談話構成の適切さに指導の重点を移す」ということを述べているが、両者の比重は学習者の状況によって異なり、初級終了レベルの学習者にとっては文法的正確さに重点を置いた方がいいと思われ、中級後半から上級レベルの学習者にとっては談話構成の適切さに重点を置いた方がいいと思われる。

参考文献

高見澤猛(1996)「はじめての日本語教育2・日本語教授法入門」,凡人社


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