3.4 テキスト改訂

 昨年度のAET実習では『ともだち―つかえるにほんご―2001年度版』(以下『ともだち』とする。)が使用されていた。本実習で使用した教科書『はなび―つかえるにほんご―2002年度版』(以下『はなび』とする。)は、入門と初級の2冊の教科書を使用するという点で『ともだち』を引継ぎ、さらに改訂を加えたものである。
 テキスト改訂は6月上旬からはじめ、最終稿が仕上がったのは8月上旬だった。改訂した教科書の印刷は8月12日に行った。
 テキストは内容と表記と書式の面から改訂した。改訂したのは主に表記と書式の点である。表記と書式は『ともだち』において不統一な箇所が多かったため、『はなび』では入門と初級の全ての課における表記と書式が統一されるようにした。下に改訂の際に留意した点を示す。

<内容>
・ ダイアログの文のうち、不自然なものあるいは相手に失礼な印象を与えるものは直した。ダイアログの改訂に関しては自然さと簡単さを両立させるようにしたが、特に入門用の教科書では学習者への負担を減らすために自然さがややそこなわれているものもある。しかし『ともだち』と比較すると、より自然さを重視したダイアログになっている。
・ RELATED WORDS & PHRASESなどにおける語彙リストで、反義語などペアで提示したほうがわかりやすいと思われるものは追加した。またリストのグループに欠けていると思われるもの(例:色の語彙リストの「しろい」)は加えた。
・ 1年後アンケートの結果より「お金を送る」表現はAETにとって使用する機会がないことがわかったため、扱わないこととした。
・ EXERCISESは授業で使用しないため、全て削除した。

<表記>
★全体について
・ 入門ではひらがな・カタカナには全てローマ字を併記する。初級ではローマ字は使用しない。
・ 入門では漢字を使用しない。初級で使用する漢字は次にあげるもののみとし、振り仮名をふる。
  初級で提示する漢字:時、分、目、日、何、先生、円
  漢字は最低限知っておいた方がいいと判断したものに限って提示し、学習者から漢字を勉強したいとの要望があった場合はさらに漢字を教えることにした。
・ 数字はアラビア数字で統一し、数字には振り仮名をふる。入門についてはひらがなでの振り仮名の他にローマ字でもふりがなをふる。
・ 「ひとつ」「ふたつ」・・・はひらがなで表記する。
・ 日本語の文には全て句点「。」あるいはクエスチョンマーク「?」をつける。
・ 初級において文末に「?」を使用する箇所は、疑問の終助詞「か」が使用されていない疑問文、あるいは英語の付加疑問文に対応する終助詞「ね」が使用された確認の文とする。これに対して入門ではひらがな表記の箇所については初級と同様であるが、ひらがなと併記したローマ字表記の箇所については疑問の終助詞「か」が使用されている疑問文についても「?」を使用した。
・ 日本語の分かち書きは文節単位で行う。ローマ字の分かち書きは語単位とする。
・ ローマ字表記の際、接頭辞の後にハイフン「-」は使用しない。

★「DIALOGUE」について
・ 『ともだち』における助詞は無助詞になる確率が高いと思われる箇所では丸かっこをつけて表記していた。『はなび』においてはこのような箇所も丸かっこなしで助詞を表記した。つまり省略されやすい助詞とされにくい助詞を区別せずに提示した。ただし助詞を書くことが不自然になるような箇所は助詞を除いた(例:「スミス先生、おくには?」)。そして授業中に口頭で「話すときには助詞を省略することがある」と説明することにした。理由は、助詞が省略されやすいかどうかの判断は難しいと思われ、またかっこつきの助詞とかっこつきではない助詞を提示することによって学習者が混乱するのを避けるためである。

★「VOCABULARY」「RELATED WORDS & PHRASES」について
・ 動詞は「ます形」とする。
・ イ形容詞は「です」をつけない。
・ ナ形容詞は「な」がついた形とする。
・ 同義語はスラッシュ「/」で示す。
・ 反義語は両矢印「⇔」で示す。

★ 「GRAMMER NOTES」「REFERENCE」
・ 文法説明は英語で表記するが、英文の中に日本語の語句が含まれる場合、入門ではそれをローマ字で表記し、初級ではひらがなで表記する。
・ 例文の
・ 例文における「EX.」「(1)」「A:」などの位置関係は次に示すとおりとする。
Ex.
(1) A:
    B:

 <書式>
・ DIALOGUEの英訳は左端をそろえる。
・ DIALOGUEのタイトルについて、日本語のタイトルは左端、英語のタイトルは右端をそろえる。
・ 英字のフォントはTimes New Romanとする。日本語はMS明朝とする。
・ RELATED WORDS & PHRASESのリストは太字で表記しない。
・ 見出しの網掛けについて、VOCABULARYとUSEFUL PHRASES以外は短い網掛け、それ以外はページの幅と同じ長い網掛けとする。
・ DIALOGUEの上下に黒の太線を引く。この線と網掛け部分との間には行スペースをおかない。
・ 入門のひらがなに併記するローマ字は、分かち書きの各文節の下に配置する。
・ GRAMMERとGRAMMER NOTESを後者に統一する。
・ 「。」のあとに文が続く場合は半角で1マス空ける。
・ DIALOGUEにおける場面のト書き(例:John is looking at a shirt.)は行頭を名前の最初の一文字目とそろえる。動作のト書き(例:Pointing to the menu)は名前と「:」の後に書く。時間の経過はト書きとはせず、「* * *」のようなアスタリスクとスペースで示す。
・ DIALOGUEのタイトルは文ではなくフレーズとする。
・ DIALOGUEにおける英訳は、それと対応する日本文と対応させて改行などを行う。
・ DIALOGUEの分かち書きは半角スペースで、それ以外の分かち書きは全角スペースで示す。
・ 英訳のスラッシュは前後を半角1マスずつ空けるが、日本語のスペースは空けない。
・ イラストを挿入し、改ページを適当な場所で行えるように調整した。
 
 これらの規則に従い、4名の実習生が分担して教科書の改訂を行った。しかしそれでも書式や表記にずれが生じるため、4名が仕上げた改訂版を別の実習生1名がまとめることで統一を試みた。しかし最終的に完成したものにも若干の誤植が含まれている。なお巻頭と巻末の資料は昨年度使用されていたものを使用した。
 テキストの英語はネイティブスピーカーにチェックしてもらった。DIALOGUEの英語訳については直訳ではなく意訳とした。ただし意訳との間にずれが大きいものについては、丸かっこの中に直訳も掲載した。
 本年度のテキストの改訂の中で最も時間と労力を費やしたのが書式の統一であった。改訂には全部で2ヶ月以上かかったが、そのほとんどが書式の統一を図るために費やした時間である。しかし苦労してテキストを改訂したにもかかわらず、授業においてテキストをほとんど使用しなかったことは残念に思われる。本年度の実習において、テキストは学習者が自習するために使ってもらう参考書として配布した。来年度以降の実習生には、テキストを活用した授業や、授業に活用することを考慮したテキスト作りについても考えていってもらいたい。

 

 目次

 3.準備

 3.3 事前インタビュー

 4.実施