執筆:丸尾 誠 2005年4月1日更新

中国語を学ぶために

丸尾 誠


 I .はじめに

 中国語の選択動機として「漢字を使っており、意味が何となく分かりそうだったから」ということを挙げる人がやはり多いようです。中国大陸には北京語、上海語、広東(カントン)語ほか様々な方言が存在しますが、皆さんがこれから勉強するのは「普通話」とよばれる全国共通のことばであり、それは「簡体字」という簡略化された漢字を用いて表されます。例え“日本”、“学生”(下中国語は“ ”で表すこととします)のように日本の漢字と同形のもの、(問題)、(紙)、(骨)のようにちょっと違うもの、そして“无”(無)、(為)のように一見しただけでは想像のつかないものまで様々です。また、たとえ日本と同じ漢字を使っていても“猪”は「ブタ」、“走”は「歩く」のように意味が異なるものもたくさんあります。中国語は、やはり外国語だということを認識してください。そして当然のことながら日本語とは漢字の読み方が違います。“中国”は中国語では「チュォンクゥオ」と発音しますが(カタカナでは正確な発音が表せません)、中国ではこの音を 「ピンイン」と呼ばれるローマ字表記と声調符号を用いてと表記します。中国の人が(ウオ・シ・チュォンクゥオレン:繰り返しますが、カタカナでは正確な発音は無理です)といっているのを耳にしてその意味が分からない人も、これを漢字になおした“我是中国人。”ですと意味は何とかとれますよね(訳:私は中国人です)。このように、音と漢字が結び付いてこそ、使える中国語が身についたといえるのです。

 II .辞書

 皆さんがこれから中国語の勉強をはじめるに当たって必要となる辞書の紹介をしておきましょう。
 
【中日辞典】
 まず中日辞典の配列についてですが2種類(漢和辞典型・英和辞典型)あります。
 
1.漢和辞典型
 皆さんがとりあえず使うのはこちらの形式の中日辞典でしょう。分からない字があるとそれを部首、画数という手順で探していきます(すなわち漢和辞典を引くのと同じですね)。そうするとその親文字の発音・意味が分かり、その字で始まる単語・熟語の中からお目当ての語を見つけるということになります(図1参照)。単語の並べ方はピンインで表されるアルファベット順です。しかし、毎回一つずつその要領で引いていたら時間もかかりますし面倒ですよね。というわけで、その漢字の読み方を覚えてしまえばいきなりその親文字にたどりつき、調べる手間がものすごく省けるということになります(基本語は何度も出てくるので自然と覚えられます。心配しないで)。この形式のものには以下のような辞典があります。

(1) 『中日辞典(第2版)』(小学館、¥6,300)
 これまでも初級者から上級者まで広く使われてきた「中日辞典」の改訂版です。文法の解説も分かりやすく、おすすめです。2003年発行の辞書です。

(2) 『プログレッシブ中国語辞典』(小学館、¥3,500)
 初級者に使いやすいように、工夫が成されています。ただ中級・上級になるとやや物足りないかも……

(3) 『クラウン中日辞典』(三省堂、¥4,000)
(4) 『白水社 中国語辞典』伊地智善継 編(白水社、¥7,800)
(5) 『講談社 中日辞典(第2版)』相原茂 編(講談社、¥6,500)
(6) 『東方中国語辞典』(東方書店、¥5,250)
 (5) は初級〜上級の学習者を対象とした本格的な学習辞典で、中国語理解のための様々な工夫が凝らされています。おすすめです。 (6) は2004年4月発行の新しい辞書です。学習に役立つ付録が多数掲載されています。

2.英和辞典型
 もう1種類は親文字形式をとらず、語が全てローマ字綴り(ピンイン)のアルファベット順に配列されているものです。例えば(ヨウピィアオ)という音からその意味(漢字)を調べる場合、英和辞典を引く要領で探します(図2参照)(見つかりましたか?[切手]ですね)。つまり耳で聞いて分からない語を調べるときには非常に便利です。が、このタイプの辞書が使える前提条件として、ピンインの綴りと音をしっかりマスターしていなければなりません。現段階ではやはり先に挙げた漢和辞典方式がよいでしょう。ただ今後の参考のために、この方式の辞典も挙げておきます。

(1) 『標準中国語辞典(第2版)』上野恵司(白帝社、¥2,300)
(2) 『はじめての中国語学習辞典』相原茂 編著(朝日出版社、¥2,800)
(3) 『岩波中国語辞典(簡体字版)』倉石武四郎(岩波書店、¥3,200)
 (1) (2) は初級者向けの辞典です。 (3) 語彙は(共通語とはやや異なる)北京語が中心ですが、基本語の解説は詳細で、例文も豊富です。

図1.『プログレッシブ中国語辞典』
(漢和辞典型)

図2.『標準中国語辞典』
(英和辞典型)

【日中辞典】
 日中辞典は現段階ではまだ必要ないと思われますが、一応挙げておきます。

(1) 『日中辞典(第2版)』(小学館、¥7,000)
(2) 『岩波日中辞典(第2版)』(岩波書店、¥5,000)

 なお、電子辞書としては、音声機能が備わったものなど数社から発売されています。ただし収録されているのは、いずれも上記小学館の『中日辞典』『日中辞典』(ともに改訂版以前のもの)です(2005年1月現在)。

『中日/日中統合辞典(国際版)』(小学館、¥15,000)

【その他の辞典】

『中国語図解辞典』輿水優ほか編著(大修館書店、¥7,000)
 たとえばという単語の意味を知りたいとしましょう。一般の辞書の記述をまとめてみますと「山西料理の一つ。小麦粉をこね、棒状にしたものを包丁で削った麺。」というところでしょうか。んー、何だか分かったような分からないような……。こういう時にこそ、この辞典の出番です。図3を見てください。このようにして作った麺のことです。視覚的な手段に訴えることにより、イメージが明確になります。また、「臨場感あふれる絵から、生の中国を感じ取ってもらいたい」という意味でもおすすめです。

図3.『中国語図解辞典』

 III .参考書

 もちろん授業で教わることをしっかり吸収することが第一です。さらに中国語が好きだ、もっと自分でもやりたいという意欲のある方におすすめします。

(1) 『はじめての中国語』相原茂(講談社現代新書、¥680)
(2) 『中国語はじめの一歩』木村英樹(ちくま新書、¥720)
 いずれも新書なので気軽に読めます。中国語の全体像を一通り把握することができます。

(3) 『はじめての人の中国語』中川正之(くろしお出版、¥2,200)
(4) 『Why?にこたえるはじめての中国語の文法書』相原茂ほか(同学社、¥2,500)
(5) 『やさしくくわしい中国語文法の基礎』守屋宏則(東方書店、¥2,000)
(6) 『一歩すすんだ中国語文法』荒川清秀(大修館書店、¥2,300)
 これらは文法事項の解説書です。 (3) 楽しいキャラクターたち(先生と生徒)のおしゃべりを通して、中国語の初歩がマスターできます。 (4) は文法事項の詳しい説明に加えて、練習問題もついており、自習用としても使えます。かなりおすすめです。 (5) は初級〜中級者向けの文法のガイドブックという性格をもっています。 (6) は中国語の本質に触れた、より本格的な文法書です。

(7) 『中国語学習ハンドブック 改訂版』相原茂編著(大修館書店、¥2,200)
 この本には中国語を学ぶ上で欠かせない中国に関する知識・情報が満載されており、非常に役に立ちます。

(8) 『新版 中国語入門Q&A101』相原茂ほか(大修館書店2003年、¥2,200)
(9) 『中国語学習Q&A101』相原茂ほか(大修館書店1991年、¥1,800)
(10) 『中国語教室Q&A101』相原茂ほか(大修館書店2000年、¥2,200)
 (8) (10) は月刊『中国語』(内山書店)(※2004年4月より休刊。バックナンバーは名大の中央図書館にあり)に連載されていたものをまとめたものです。ことばの問題を中心に多くの人が抱く素朴な疑問を解決してくれます。例えば「(中国語には)女性言葉はありますか?」「日中の漢字の統一は可能か」などなど。まさに「目からウロコ」といった感じです。中級以上の方へ。

(11) 『中国語ジャーナル』(アルク、¥1,280)
 毎月発行される中国語学習情報誌です。CDが付いており、生きた中国語を身につけるのに役立ちます。

 IV.パソコン関連

 パソコン上で中国語を表示するためには、中国語のフォントをインストールする必要があります。次のようなソフトを用いることにより、中国語の入力(文書作成)や学習ができるばかりでなく、インターネットを使って中国のホームページにアクセスしたり、中国とのメールのやり取りが可能となります。

(1) Chinese Writer V7(Windows対応)(高電社、¥29,800)
(2) 楽々中国語 v2.0(Windows対応)(オムロンソフトウェア、¥19,800)
 ソフトは他にもたくさんあります。なお、中国語表示機能は無償でダウンロードすることも可能です。パソコンでの中国語の扱いに関するマニュアル本としては、

(1) 『電脳による中国語研究のススメ』沈国威(白帝社、¥2,900)
(2) 『電脳中国学』(好文出版、¥3,200)
 (いずれもCD−ROM付)などがあるので、参考にしてください。

 V.検定試験

 検定試験は勉強の励みにもなります。是非チャレンジして資格の取得を目指してください。それぞれの試験対策の問題集も数多く出ています。主なものとして以下のような試験があります。

(1) 中国語検定試験(中検)
 等級別に合否を出す方式。準4級〜1級。

(2) TECC(テック:中国語コミュニケーション能力検定)
 等級別に合否を出すのではなく、1000点満点の「スコア表示方式」で能力を測定。リスニングなど実践的な中国語運用能力を重視。試験は四肢択一のマークシート方式。

(3) HSK(漢語水平考試)
 受験者の得点により1級〜8級のレベルに認定。中国の「教育部」(日本の文部科学省に相当)が設けた中国語学習者のための中国語能力認定標準化国家試験で、世界各地で行われています。中国の大学に留学するときに、要求される中国語能力の証明になります。

 最後に強調しておきますが、中国語では正確な発音というのが(どの言語でもそうでしょうが)特に重要になってきます。従って実際に耳で聞いて発音するという練習が持続的に必要です。授業での発音練習に加えて、NHKのラジオ講座などを利用するのがよいでしょう。
 現在ではインターネットで中国のラジオも聞けますし、また、CSデジタル衛星放送(スカイパーフェクTV)を利用すれば「CCTV大富」(中国中央電視台)や「チャンネル上海」などを24時間見ることもできます(中国語放送はCh.781〜785の5局あり)。

 注:なお本文中に示した価格は変更されている場合がありますので、あくまで目安として考えてください。