春期教育実習

1.目的と概要

1.1 目的

 春期教育実習の第一の目的は、教案の作成、授業の準備と実施、問題点の発見という日本語授業の一連の活動を実際に体験することである。実習を通して、日本語教育の現場を客観的に観察することで、教授法だけでなく、事前準備や教室でのティーチャートークなど、日本語教育にかかわる様々な項目を学び、教室で生じる問題点を発見し、自分なりの考え方を形成する。

1.2 春期日本語集中講座の概略

名称:名古屋大学留学生センター2003年度春期日本語集中講座
開講期間: 2003年2月19日〜2002年2月3月12日
実習クラス:初級
対象:名古屋大学に在籍する外国人留学生、客員研究員、外国人教師など
学習者の出身国:バングラディシュ、フィリピン、ミャンマー、ラオス、タイ、カンボジア、ベトナム、ジャマイカ、フランス、ホンジュラス、ハイチ、インドネシアほか
登録学習者数:17人
使用教科書:新A Course in Modern Japanese Vol.2(名古屋大学総合言語センター日本語学科編名古屋大学出版会1983に改訂を加えたもの)

2.実習の実施

実習生

日時

担当課

学習項目

村田千乃

2月19日

12

〜たら

2月26日

14

ことになる/ことにする

猪飼佳子

2月20日

13

比較

2月26日

15

〜てある

森 博子

2月22日

16

やりもらい動詞

3月4日

19

使役受身

片桐恵理子

2月22日

16

やりもらい動詞

3月4日

16

使役

栗原由華

3月1日

17

〜のに

3月8日

19

使役受身

三好育恵

3月5日

17

らしい

3月8日

19

命令形、〜ように言う

3.反省点

 次年度の「日本語教授法及び実習」の授業の中で、春期実習の反省点について各自発表した。発表の際には、実習時に記録したビデオも見せた。以下ではこの授業において報告された点を中心に、授業見学、実習の準備、実習の実施の3項目について反省点や留意点などをまとめる。
 
3.1授業見学
 
・ 
TAの方や他の実習生の授業を見られる機会は滅多にないと思うので、できるだけ多くの授業を見学した方がいいと思った。多くの授業を見学することによって、自分に足りない点なども実感することができ、他の方のいい点もたくさん気付くことができたので、とても勉強になった。

・ 教師が変わることによって、学生の様子も変化することがとても印象的だった。  

・ ペアワークの際など、時々アシスタントとして授業に参加することがあったが、ただ受け身の姿勢で見ているだけでなく、自分も参加することによって学生の反応を直接つかみとる事ができたので、非常に有意義であったと思う。

3.2実習の準備

経験の少ない教師の場合は時間配分がうまくいかないことが多いので、時間が余った場合、足りなくなった場合に備えてフレキシブルな教案を用意しておくべきである。

教師が緊張して教案のどこを進めているかわからなくなってしまうことを予防するために、教案には色を付けたり番号をふったりするなど、見やすくしておく必要がある。

・ 準備はかなり前から始め、授業で使う道具や絵カードなども作成することができた。しかし、準備に時間をかけ過ぎたせいか、絵カードを作りすぎてしまい、学生の負担が多くなってしまった。副教材の量なども計画的に準備したほうがいいと感じた。

・ 授業で使う絵カードやプリントをたくさん用意しすぎて、授業が進むにつれてそれらが教卓の上で散乱し、いざ使おうとすると該当のものが見つからず、探しているうちに時間がたってしまうというようなことが多々あった。

3.3授業の実施

<時間配分>

・ 時間があまってしまうことを懸念するあまりに、一つの練習に時間をかけすぎてしまう傾向がみられた。

・ ゲームをするときは、思った以上に時間がかかる場合があるため、ゲームの内容をよく考えてから実施した方がいいと思った。

・  無駄な説明に多大な時間をかけ、肝心の実践練習の時間が少なくなるという悪しき傾向が見られた。

<しぐさ>

・ 特に導入部分において教案をチェックするがあまりに下を向きがちになってしまい、授業のリズム・テンポが悪く教室がしらけ気味だった。教師自身が緊張気味でリラックスできていないため、学習者にもその緊張が伝わってしまっていた。

・ 笑顔はとても大切だと感じた。

・  授業中にいすに座ったり立ったりしたため、いすをひく音が異様に響いた。そもそも授業中にいすに座ったことが問題だった。

<話し方>

・ 一定の長さの文を文節ごとに区切って話したり、助詞にアクセントを置いたりする傾向がみられた。これでは学習者は日本語の自然なリズムがつかめないので、教室でも自然な話し方ができるようもっと意識すべきだった。

・ 普段声のあまり大きくない人は、意識して大きめの声を出さないと、自分で感じるよりも他の人には小さな声に聞こえているようなので気をつけた方がいいと思った。

・ 「ら抜き言葉」の使用や助詞の脱落がみられた。「ら抜き言葉」に関しては賛否両論分かれるところではあるが、授業においてはできるだけ控えた方がいいだろう。

・ 時々アクセントが名古屋弁になるので、気をつける必要がある。

<板書>

・ パターンプラクティスの際、学習者の回答を全て板書してしまったが故に、WBが非常に見難いものになってしまった。 板書はあらかじめ決めていたのだが、当日は字を大きく書きすぎて書けなくなってしまったりしたので、字の大きさもイメージしておいた方がいいと思った。

・ 配布したプリントに書いてあることを、さらに黒板に書いて説明したがあまり意味はなかった。黒板に書くと学生はそちらばかり見て、せっかく配ったプリントが無駄になってしまうことになる。

<対応>

・ 難解な語彙を言葉で説明しようとし、学習者を混乱させている場合があった。学習者には豊富な例文を与え、言葉の意味を感じ取らせることも必要である。

・ 学生の質問に急に答えられなかった場合は、無理に答えようとせずに、授業後に個人的に説明したりしてもいいと思った。

・ 学生の特徴に応じて質問する内容を割り振る技術は、授業を円滑に進める上で、教師は是非とも身に付けておかねばならないと思う。

<その他>

・ 授業にメリハリを持たせ学習者の集中力をつなげるために、ゲーム等を採用するのもいいが、進行のテンポやリズムが悪いため活発なクラス展開ができないことがあった。

・ 授業が始まる前から、早く来た学生などに話しかけたりしてコミュニケーションを取ったほうがいいのではないかと感じた。

・ 「誰かに何かをあげましたか。」と質問するところを、「何かをあげましたか。誰かに。」というように、倒置的表現になってしまった場面があった。これについてTAの方から、ターゲットセンテンスはできるだけこわさないようにして学習者に与えてほしいとの指摘を受けた。このような表現は無意識に言ってしまうので、自分の言葉には細心の注意を払わなければならないと思う。


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