夏期教育実習(ミャンマー実習班)

 

 

1. はじめに

 

  母国ミャンマーでは、正規の教授法を受けている日本語の教師がいないため、帰国後は、ミャンマー国やミャンマーの日本語を習いたい人々のために日本語の教師を目指している。当研究科に入学し、恩師大曽先生に事情を説明したところ、幸い、実習させていただける許可をいただき、実習に参加することができた。

 

2.    ミャンマーの日本語教育

 

  ミャンマーの大学の中で、日本語学科を持つ大学は“マンダレー外国語大学”と“ヤンゴン外国語大学”だけである。いずれも国立の大学である。

  民間の日本語学校もいくつかあるが、数えるほどしかない。

 

3.    実習開始までの経過

 

  ミャンマーのマンダレー外大で夏期の実習を行うことを決定した後、マンダレー外大と連絡を取ったところ、実習できるという返事をいただいた。

  しかし、現実では、ミャンマーの文部大臣からの許可なども必要だと言われ、交渉はうまくいかなかった。マンダレー外大の学部長に負担をかけることにもなるため、結局マンダレー外大での実習を取り止め、学生を集めて、僧院で実習を行うことにした。

 

4. 実習コースの概要

 

(1)日程

  2002 810日(金)~24日(金)、8月12日(日)(休日)上の全部14日間、各午後2時間ずつ授業を行った。

(2)学習者

  マンダレー大学に在学している学部大学生5名と社会人2名、全部で7名。学習者の専門や日本語の学習目的は、日本の大学で勉強したい ―1名、仕事で日本人と関わりがある時に使う ―6名と、それぞれ異なっていた。ほとんど全員日本語を習ったことがないが、6ヶ月コースを終了している学習者が1名いた。しかし、全員をゼロ初級の扱いとした。

(3)実習方針

  学習者が日本で生活するときや、日本人とコミュニケーションするときに最低限必要な日常会話程度の日本語運用能力を身につけることを目標とする。上記の目標から、言語4技能のうち、特に「話す」及び「聞く」能力に重点を置くことにした。

(4)教科書

 2000年度教育実習において使用された教科書「ひまわり」に修正を加えて、使用した。

 

5. 実習内容

 

8/10()あいさつ言葉、教室用語

 オリエンテーションをして、挨拶言葉や教室用語の意味を説明し、後からついて読ませた。挨拶言葉は大きい声でよくできたが教室用語の方は、半分までしかできなかった。

 

8/11() 第一課 、数字(1~99)

 絵カードを使って数字(1~99)や ~です、~ですか、NN 」を導入し、一人ずつ、また、ペアで練習をした。内容は理解できたようだが、教師の話すスピードが早すぎて、聞き取るのが難しかったようだ。

 

8/13() ひらがな、カタカナ、教室用言葉、TPR

 前日の復習(挨拶言葉、~です、~ですか、NN)をして、「ひらがな」の発音の練習をした。その後、単語を覚えるためにTPRをして、最後に後半の教室用語を教えた。

 「ひらがな」の教え方がわからなかった。学習者が面白くない顔をしていたため、途中でやめた。TPRの方は、面白く、楽しく覚えさせることができた。

 

8/14()「こそあど」、TPR、数字

 前日の復習(挨拶言葉、TPR)をして、TPRで新出単語や色を導入した。そして、

「こそあど」を導入し、数字(1~10000)を教えた。

 

8/15()   第二課、TPR、「ひらがな」の書き方

 前日の復習を色々な場面を設けて練習した。第二課、会話を読んで練習した。学習者は、教えたことは全部、落ち着いて覚えてくれたが、第二課は、半分までしかできなかった。復習に時間をたくさん使ってしまった。

 

8/16()  第二課、「ひらがな」の書き方、TPR(ゲーム)

 前日の復習(挨拶ことば、自己紹介など)をして、第二課 会話2を練習した。

それから、「ひらがな」の書き順を教え、TPR(ゲーム)に入って終わりにした。

 全体として、予定通りうまくでき、学習者も楽しそうだった。しかし、「ひらがな」の書き順を教える時、学習者が退屈そうであった。

 

8/17()  第三課、数え方、い・形容詞

 前日の復習をし、数え方を教えた。「~~があります」形を導入し練習させ、それから、絵カードを使って「い・形容詞」を導入した。

 毎日復習している自己紹介などは慣れてきている。時間不足で第三課の会話ができなかった。

 

8/18()  第三課、な・形容詞、動詞

 第三課の会話1、2を読んで、練習した。絵カードを使って「な・形容詞」の練習、及び動詞の練習をした。絵カードを使ったパターン練習はよくできた。

 

8/19() 第四課、時間、カレンダー、場所

 前日の復習をして、カレンダーと時間を導入した。そして、第四課を読み、ペアで練習させた。最後に、絵カードで場所の単語を覚えさせた。

 時間通り終わったが、カードの使いすぎで学習者が疲れている様子だった。

 

8/20() 動詞、第五課

 前日の復習をして、「~時に起きます」、「~時から~時まで」「~ません」、「~ました」を導入した。それから、第五課の会話を読んだ。動詞のパターンを変える練習はよくできたが、時間の練習のために一人ずつロールプレイをさせたが、すらすら言えなかった。

 

8/21()  第五課、動詞、ゲーム

 前日の復習をして、第五課の会話1、2を読み、ペアで練習させた。それから、動詞5、6個を導入した。最後に、(~はどこですか、上、下、右、左~にあります)のゲームをして終わりにした。母語をあまり使わなかった。

 

8/22()  第六課、病気・からだの名前、ゲーム

 前日の復習をして、病気やからだの名前を覚えさせた。そして、第六課の会話1、2を読み、ペアで練習し、最後に、ゲームで終わりにした。

 導入する項目が多すぎて、覚えられなかった。ゲームはよくできた。

 

8/23()  第七課、数え方や動物の名前、ゲーム

 前日の復習をして、動詞の「~たい」の練習をした。そして、「数え方や動物の名前」のプリントを配り、練習した。それから、第七課の会話1、2を読み、ペアで練習した。最後に、動詞のカード取りゲームを行った。

 

8/24 ()  第八課、動詞、形容詞の過去形

 前日の復習をして、動詞や形容詞の過去形の練習をした。そして、第八課の会話1、2を読み、練習した。最後に、アクセント、イントネーションや疑問詞のプリントを配り、少し説明を加えた。

 


6. コース全体について(成果と反省)

 

成果

1.挨拶言葉や自己紹介がよくできるようになった。

2.TPRで単語や表現を導入した際、とても喜んですぐ覚えてくれてよくできた。

3.絵カードを使用して導入した「い・形容詞、な・形容詞、動詞や名詞」のパターンの変換がよくできた。

 

反省

1.ひらがなの教え方がうまくいかなかった。

2.TPRの復習に、同じ内容の復習ばかりで、新しい単語や短文をもっといれておけばよかった。

3.ひらがなを導入する際、ローマ字を見て、対応するひらがなをひらがなチャットからさがさせる練習をしたがそこまではできなかった。

4.実習の後半になると前の課の会話の練習しかできず、いままで教えたパターンを全て含む復習ができなかった。

5.ローマ字で教えたが、発音をミャンマー語に置き換えて書く学習者が一人いた。その学習者の発音はよくなかった。

6.挨拶ことばや自己紹介を、授業が始まる時に必ず復習させた。後半は自己紹介に自分の興味なども言うよう指示したが、学習者が言いたい言葉に教えていない新しい単語が含まれており、説明するのに苦労した。

7.挨拶ことばを覚えるために一つの場面を設定して毎日復習したら、よくできた。同じように他の項目も場面を設定すれば良かった。

8.クラスの時間は20:00~22:00までと決まっていたが、20:00に開始できた日はなかった。終わりの時間も23:00までかかったりして、授業時間が不規則だった。

9.各課の進行は予定通り行かず、前半に時間を掛けすぎたため、後半は急いでぎりぎりで終わらせることになった。そのためテストができなかった。予定以外に2日間も余分にかかった。

 

7. おわりに

 

 以上、夏期教育実習(ミャンマー実習班)について述べた。実習の際、場所を提供してくださった僧侶に深く感謝致します。

Shwe Mann Kyu

 

 

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