4. 中級(クラス3)

 

4.1 学習者

 E-mailによるアンケートとインタビューによるプレースメントテストの結果、女性4(2名、豪2)が中級クラスとなった(詳細は以下の表4-1参照)

 

4-1.中級学習者データ

学習者

国籍

日本語学習歴

来日経験

A

 

US

59ヶ月(高校:39ヶ月、週5時間・

大学:2年、週5時間)

1ヶ月

B

 

AUS

37ヶ月(大学:3年7ヶ月、週5時間)

なし

C

 

AUS

3年(大学:3年、週6時間)

11ヶ月

D

 

US

2(大学:18ヶ月、週5時間・

日本の大学:4ヶ月、週8時間)

5ヶ月

 

 

4.2 実習者及びシラバス

 本年度は、実習者2名が中級クラスを担当した。また、前年度までは12時間であった時間数を3時間に増やした。(実習者及びシラバスは以下の表4-2参照。)

 

4-2.実習者及びシラバス

 

1時間目

2時間目

3時間目

 

9:3010:20

10:3011:20

11:3012:20

815()

オリエンテーション・インタビュー

自己紹介

(月森)

ウエルカムパーティー

816()

呼びかけ・依頼

(八木)

苦情を言う

(月森)

誘いと返事

(八木)

817()

説明文

(月森)

電話表現

(八木)

買い物

(八木)

820()

贈り物の習慣

(八木)

はがきの書き方

(月森)

箸に関するタブー

(月森)

821()

縮約形

(月森)

日本の歌

(八木)

台風のため中止

822()

台風のため中止

823()

アクティビティー

) ()内、授業担当者

 

4.2.1 授業内容・反省

815()

    2時間目・・・自己紹介

・出席者:A,B,C,D  ・教具:プリント2(「自己紹介」、「日本の名前」)

・授業内容:一味違った自己紹介をめざして名前の由来やニックネームなどのエピソードを加えた自己紹介文を作る。その自己紹介文を次限のウエルカムパーティー時に発表する。

     日本の名字ベスト10、年代別新生児名前ベスト10について書かれてあるプリントをもとに、自国との比較など意見を述べる。

・反  省:板書の際に、漢字をできるだけ避けて書いていたら、「漢字を使ってください」との要望が出た。自己紹介文は各自ユニークなものができあがり、ウエルカムパーティー時の発表でも好評であった。

 

816()

○1時間目…呼びかけ・依頼

・出席者:A,B,C,D  ・教具:プリント、タスクカード、ボール

・授業内容:主に学校での呼称(「校長先生」、「○○先生」、「○○君」等)や、「あなた」はあまり使わないことを確認。

                    ボールを回しながら、「〜さんにあげます。」、「〜さんからもらいました。」、「八木先生に差し上げます」等の発話を練習。

                    補助動詞「〜してもらいました」等の練習

・反  省:やりもらいの表現に関する各学習者の理解を把握していなかったため、指導のポイントがずれてしまった。

                    解説が多く、練習が少なかった。

 

    2時間目・・・苦情を言う

・出席者:A,B,C,D  

・教具:ダイアログ録音テープ、テープレコーダー、プリント1

・授業内容:苦情を言う(はっきりと/ひかえめに)。いろいろな謝罪表現。いいわけ。

     「うるさい」などの直接的な表現を避け、「ちょっとテレビの音が・・・」など婉曲的な表現の紹介・練習。

・反  省:ダイアログの聞き取りは、学習者ABには難しかったようだ。ダイアログの代入練習で、うまくあてはまらないものがあった。こちらの選択ミスであった。

 

○3時間目…誘いと返事

・出席者:A,B,C,D  ・教具:プリント2枚

・授業内容:「すみませんが、・・・はちょっと〜なんです。」等の、丁寧な断り方の見本を確認した後で、学習者同士、断るタスクをした。

・反  省:指示が不明確だったため、誘って断るというタスクのところで、断らない学習者がいた。

 

 

817()

    1時間目・・・説明文

・出席者:A,B,C,D   ・教具:プリント1枚、字カード、絵カード、新聞紙

・授業内容:料理の作り方のプリントを用いて、調理器具の名称、調理時に使う表現(煮る、焼く、ふっとうする等)の学習。依頼表現の復習。接続表現を用いての説明文の作成。

・反  省:扱う内容が多すぎた。せっかく提示した用語をもう少し活用させて幾つかだけでも頭に残るように練習するべきであった。もう少し自由発話を促してもよかった。説明文の応用で、新聞紙で兜を作ったのは、好評であった。

 

○2時間目…電話表現

・出席者:A,B,C,D  ・教具:プリント2枚、携帯電話

・授業内容:穴埋め問題で「電話をかける」、「電話をとる」等のコロケーションを確認し、ダイアローグで「○○さんのお宅ですか」、「夜分遅く申し訳ありません。」等の表現を確認した後、それぞれの学習者と実習者とで、電話のロールプレイをした。

・反  省:穴埋め問題の聞き方が分かり難く、学習者が回答につまっていたため、こちらでどんどん説明していくような展開になってしまった。

                結果、説明の時間を取りすぎ、ロールプレイに十分な時間をかけられなかった。

 

○3時間目…買い物

・出席者:A,B,C,D  ・教具:プリント、おもちゃのお金

・授業内容:難しい敬語を使う店員とのやりとりと、「とにかく安いのをください」や「もっと、安いのをください」等の必要な商品を説明する表現をダイアログで確認後、実際に携帯電話を購入するロールプレイを行った。

・反  省:金額の聞き取り練習をする際、一人の学習者が問題なく理解したため残りの学習者もできるものと考えてしまったが、やはり一通り行うべきであった。

 

 

820()

○1時間目…贈り物の習慣

・出席者:A,B,C,D  ・教具:プリント3枚

・授業内容:贈り物をあげる際に使う、「たいしたものじゃないけど…」、「もらいものだけど…」、「もしよかったら」等の前置き表現をダイアログで確認し、贈り物のロールプレイをする。

・反  省:指導項目が多すぎて、敬語であげる場合の練習やロールプレイが不十分になってしまった。

 

    2時間目・・・はがきの書き方

・出席者: A,B,C,D   ・教具:B紙、プリント2枚、はがき

・授業内容:はがき文の構成・・・@お礼、A感想、B終りの言葉。いろいろなあいさつ文の紹介。宛名書き。

・反  省:学習者は皆、ホームステイを終えたばかりでタイミング的にはちょうどよかった。学習者Aは、宛名書きが分からなくて当日実習生に聞こうとホームステイ先宛ての手紙を持参していた。

 

    3時間目・・・箸に関するタブー

・出席者:A,B,C,D   ・教具: プリント2枚、箸、麦チョコ、紙箱

・授業内容:箸に関するタブーの紹介。日本女性のトイレのマナーについての読み物を読み、ディスカッション。箸を使ったアクティビティー。

・反  省:時間がなくて、十分なディスカッションができなかった。「読解」では、学習者の日本語能力差が顕著に表れた。箸を使ったゲームは盛り上がった。

 

821()

    1時間目・・・縮約形

・出席者:A,B,C,D  

・教具:プリント1枚、トトロのビデオ(編集したもの)、ビデオデッキ

・授業内容:縮約形・・・〜ちゃう/〜てる/〜とく/〜なくっちゃ、の聞き取りと、意味の理解。

    反 省:ビデオ(編集したもの)の映像がうまく映らなかった。事前のチェックが甘かった。

 縮約形は、特に海外で日本語を学習していた場合、中級レベルでも未習の可能性が高い。現に4人の学習者のうち縮約形を学習したことのある者はいなかった。

○2時間目…日本の歌

・出席者:A,B,C,D  ・教具:プリント3枚、ノートパソコン、CD

・授業内容:『ありがとう』、『長い間』という二つのポップミュージックを、前者は聞き取りで、後者は内容理解のために使った。また、聞き取りの部分では、「え、「ありがとう」の後はなんですか?」や「「かん…」なんですか」等、聞き取れない言葉を尋ねる表現を練習した。

・反  省:最終的に全員で歌うことを予定していたが、曲が男性曲でハモリ歌だったため、歌うことが難しそうであった。音楽を使った聞き取りは、何度も繰り返すべきであった。

 

 

4.3 担当実習生の全体を通しての反省

・日を追うごとに学習者間の日本語能力差が明らかとなり、どのレベルに焦点をあてて授業を組み立てるべきかが非常に難しかった。学習者Bは、プレースメント時に初級か中級か迷ったが、本人の意思を尊重して中級とした。しかし、プログラム後半に学習者Cに「私には難しすぎる」と漏らしていたことから、プログラム中期の段階で一度クラスの変更について話し合うべきであった。

・実習生を固定化させたことで、各学習者の日本語力を把握しやすかった反面、他のクラスの学習者と接する機会があまり持てなかった。

・もうすこし、生の教材を使用してもよかった。(:ピザの注文等)

・ウエルカムパーティーの際に、純粋な日本語能力だけではなく、担当する学習者の個人的な嗜好を聞いておけば、もっと早く教室の雰囲気を作ることができたかもしれない。

・個人的には、指示の出し方に問題を感じた。初中級レベルのティーチャートークとしては、「…ですが、今は…してください」等の、前置きをつけた指示は分かりにくいということや、小人数クラスでははっきりと名前を呼んで指示を出した方がよいという、当たり前のことを確認した。

 

 

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